デーモン閣下

美しくも壮麗な音色が響き渡る場内。そこへ雷鳴が轟くのに合わせ、1曲目のイントロが流れだした。聖飢魔Ⅱの第一大教典に収録されているダミアン陛下作の『X.Q.Jonah』だ。そして幕が開いた目の前には、棺が。白いスモークが溢れ出す舞台の上、棺の中から姿を現したのは閣下ではなくダミアン浜田陛下。するといつの間にか、デーモン閣下が歌いながら登場。閣下が登場すると思わせ、ダミアン浜田陛下が姿を現す遊び心にもニヤッとさせられる。デーモン閣下は、言葉の一言一言を解き放つように、勇壮な演奏に乗せて『X.Q.Jonah』を雄々しく歌いあげていた。

曲が終わると玉座に座ったダミアン浜田陛下が語りだす。陛下の言葉に絡みあうデーモン閣下。そのやりとりも、嬉しい見どころだ。

騒ぎたい観客たちの気持ちを煽り、鼓舞するように、デーモン閣下 は雄叫びを合図に『FOREST OF ROCKS』を披露。ザクザクとしたエッジの効いた演奏の上で懐深い姿を見せながら、ときにはハイトーンの声も響かせ、エモーショナルに歌いあげるデーモン閣下 。サビで大きく手を振るたびにフロア中の人たちも手を振る、一体化した様も印象的だ。鍵盤や女性コーラスなども加えた編成ならではの、激しさの中にも華やかさが見える楽曲なのが嬉しい。

狼のような遠吠えを合図に歌いだした『NEO』では、他界した谷村新司の歌声もサンプリングし組み込む形で、フロア中の人たちと一緒にシンガロングしてゆく楽曲を届けてくれた。とても温かい歌声だ。デーモン閣下自身が、思いを空へ届けようと歌っていた。その姿も、瞼を湿らせる。終盤には、デーモン閣下と観客たちの歌声のやりとりも誕生していた。

今宵は新月の3日前。月は細いが星は綺麗だ。そんな空に舞ゆる宴もまた粋なり。

デーモン閣下の言葉を合図に、『HALF MOON~月下独酌~』を演奏。シャキシャキとクリーンな音でカッティングをするギターの音色に合わせ、演奏が心地よく跳ねだした。デーモン閣下は観客たちの気持ちをウキウキと騒がせる。各メンバーのセッションプレイも巧みに挟みながら、デーモン閣下はこの空間に素敵な月夜の宴を催していた。

「俺はここにいる」と軽やかに歌う声を合図に、『Just Being –ここにいる そこにいる-』がスタート。とても軽やかな楽曲だ。聖飢魔IIとは異なる、デーモン閣下としての表現だからこそ、歌や演奏を通して爽やかな歌声を届けてゆくのも、むしろ刺激的だ。人の心に必要なエナジーを、親しみやすくわかりやすい言葉で真っ直ぐに伝えてくれたのも嬉しい。「風に乗せてこの歌が届きますか」。『SOLA』でもデーモン閣下は温かい歌声を響かせ、この場にいる一人一人や配信を通して見ていた人たちへ、青空のように心晴れ渡らせる思いを、歌声の光を通して降り注いでくれた。メンバーどうしのセリフまわしを受けて、『♡8』へ。この曲では、フロア中の人たちが両手を左右に細かく振り、デーモン閣下が作りだしたラブリーでハートフルな宴の中へ心地よく溺れてゆく。重厚でタイトな演奏ながらも、表層を彩る色がとても華やかであり、デーモン閣下自身も甘めの歌声を届けることもあって、場内も、自然と笑顔あふれる空間に染まっていた。

この日は、「星」や「月」「空」「太陽」などをテーマにした曲たちを多く並べていた。終盤に歌ったのが、激しいギターリフを合図に、疾走する雄々しき演奏を響かせた『太陽がいっぱい』。デーモン閣下は、言葉の一言一言を大切に、その言葉たちを歌声に乗せ、天空へと舞い上がらせるように歌っていた。あえて抑えた声で、歌詞に記した思いをしっかりと一人一人の胸へ届けるように歌う姿も印象的だった。

「夕映えが好き。夕焼けは陽が沈んでもしばらく空は赤いまま~」と、メンバーたちが言葉をまわしながら物語を語りだす。フロア中から突き上がったたくさんの拳たちへ向けて、彼らは最後に『New Day Comes』を歌い奏でていた。手にした小さな夕焼け色のような旗を振りながら、希望に満ちた明日が来ることを祈り、願うように、デーモン閣下は歌っていた。とても、希望と幸せを身や心に覚えるライヴだ。『地球魔界化計画』と名付けたライヴながらも、胸に希望を抱ける内容なのが嬉しい。でも、きっとそれがデーモン閣下流の『地球魔界化計画』なのかもしれない。場内中の人たちが無邪気な表情で大きく両手を振り続ける景色が、とても印象深く瞼に焼きついた。

アンコールには、ダミアン浜田陛下もギターで加わる。奏でたのが、ダミアン浜田陛下が手がけた聖飢魔IIの『野獣』。この曲には、D.H.C.のシエル伊舎堂も参加し、まさかの男女ツイン・ヴォーカルという形で『野獣』を届けてくれるとは。まさに、カップリング・ツアーだからこそ見られた嬉しい光景だ。もちろんフロアでも、気持ちをあの頃に戻し、2バンドのメンバーが絡み合うライヴに熱い視線を向けながら、高ぶる気持ちを拳に変えて突き上げていた。

最後のMCでは、デーモン閣下とダミアン浜田陛下が友情を交わす中、デーモン閣下が涙を浮かべてしまう場面が生まれたことをお伝えしておきたい。さらに、デーモン閣下の発生日(誕生日)を祝おうと、ルーク篁がケーキを持って登場していた。

バンド演奏での最後に届けたのが、閣下のソロプロジェクト「!」(エクスクラメイション)の『AGE OF ZERO!』。とてもスケール大きくも荘厳な演奏が響きだす。デーモン閣下は、ドラム缶をパーカッション代わりに叩きながら、この空間に勇壮かつ、心を浄化/昇華する世界を描きあげていった。さらにその後、デーモン閣下はアカペラで『千秋楽雅楽・盤渉調古典曲をモチーフとした独自楽曲』を歌い、このイヴェントを厳かに締めくくっていった。

とても色の濃いバトルだった。ふたたび両者が相まみえる時が訪れることを期待したい。

取材・文:長澤智典
ライブ撮影:山田“あるまじろ”晋也

《SET LIST》
  1. 0.SE
  2. 1.X.Q.Jonah
  3. 2.FOREST OF ROCKS
  4. 3.NEO
  5. 4.HALF MOON~月下独酌~
  6. 5.Just Being -ここにいる そこにいる-
  7. 6.SOLA
  8. 7.♡8
  9. 8.太陽がいっぱい
  10. 9.New Day Comes
  11. -ENCORE-
  12. EN1.野獣
  13. EN2.AGE OF ZERO!
  14. EN3.千秋楽-雅楽・盤渉調古典曲をモチーフとした独自楽曲-

デーモン閣下 使用楽器紹介

デーモン閣下

Larrivee MONO Case
BlackSmoker_BM_MISA BS FUJI 聖飢魔II&DHC
Zemaitis Chay LOVEBITES digimart
DIXON Orange×ひなっちFOLDING CHAIR Fishman Loudbox Micro