「これからもみなさんに素敵な景色を見せていきたい」、その言葉通りのライブが、目の前で繰り広げられていた。

デビュー10周年を記念したベスト・アルバム『FRUIT』を6月にリリース。以降、彼女は「Reiny Friday -Rei & Friends-」など勢力的にワンマンライブを行い10月からはアコースティックツアー「Rei 10th Anniversary Acoustic Tour 2025 “Mahogany Girl”」と題した全国ツアーを開催。そして11月より始まった、バンド形式による全国ツアー「Rei 10th Anniversary Tour 2025 “TUTTI FRUTTI”」。その最終公演が、12月5日にduo MUSIC EXCHANGEで行われた。チケットはSold Outを記録。ここに、当日の模様をお伝えしたい。

切れ味鋭くも軽やかなギターの音を響かせるSEが駆けるように流れだした。一瞬にして沸き上がった場内。演奏に合わせてフロア中から力強いクラップが響き渡る。楽器陣のホンキートンクなセッション風の演奏へ導かれるように、鮮烈な赤の衣装にシャープに輝くシルバーブーツを纏ったReiがステージに登場。彼女はフェンダーで制作したシグネイチャー・モデルのギター”Rei Stratocaster R246″を手に、ラジオボイス風に声を変えたマイクを通して観客たちを「Are You Ready?!」と煽りだす。そして…。

「1.2.3」の声を合図に、Reiは相棒のギターが響かせる音を、五線譜の上を自由に駆けるように鳴らしだす。『Delicious Days』を通してReiが作りあげた、音が軽快に駆け回るブルーズでロックンロールな宴。まるで、場末の酒場でロックンローラーたちが自由奔放に音を掻き鳴らしてセッション演奏を楽しんでいるようだ。ソリッドでシャープな音を次々と繰り出し、Reiは、観客たちの気持ちをずっと踊らせていた。最高にゴキゲンな演奏だ。ヘッドフォン型のヘッドセットマイクを用いてステージ上を自由に動きながら歌い、弾き倒す姿が、とても輝いて見えていた。

「Do what you wanna do~」と力強い声を響かせて、Reiは、最新ナンバーの『SODA!』を演奏。切れ味の良いソリッドな音を力強くストロークしながら、彼女はギターでリズムを描きだす。Rei自身の演奏が作り出したグルーヴで楽器陣を引っ張り、おおらかな声で歌いあげ、観客たちの沸きたい感情の熱をどんどん上げていく。力強く跳ねる彼女の歌声と演奏に刺激を受け、フロア中から熱いクラップがずっと鳴り続けていた。Reiは観客たちのクラップも演奏に組み込み、会場全体が一つになった胸の踊るグルーヴィーなロックンロールミュージックを生み出していく。終盤、「LISTEN TO THE MUSIC」と歌う声に合わせて、フロア中の人たちが彼女と歌を掛け合っていた様にも、心を一つに思いを交わし合う楽しさを感じていた。

「1.2.3.4」の言葉を合図に、Reiが横ノリの軽快なグルーヴを自らのギターで作りだす。彼女は『My Name is Rei』を通して、自身の生き様を歌にして伝えてきた。シンコペーションの利いたとてもリズミカルな演奏が、切れ味の鋭いビートを生み出す。その演奏に乗せて声の翼を羽ばたかせたReiの歌が、この空間を自由奔放に飛び交っていく。Rei自身が歌声の羽根を強気に羽ばたかせるたびに、観客たちの気持ちも解き放たれ、歌声や演奏に身を預けて身体を揺らし、一緒に心を羽ばたかせていた。

歪みを上げた音を鳴らすのを合図に、Reiは「Have you ever seen Heaven?」と『Heaven』を歌いだした。とても切れ味の良いシャープな音の玉(旋律)を次々と繰り出しながら、自ら生み出した天国へ導く至高のグルーヴミュージックを通して、観客たちの感情をガンガンに上げていく。歌声や演奏が熱を帯びるたびに、場内中から響くクラップの音も高くなっていたのも印象的だった。

攻撃的かつ胸の踊るリフを次々と繰り出しながら、Reiは『COCOA』を演奏。心地よい緊張感を抱いたテンションの高い演奏が爆走しながら迫り続ける。巧みにトリッキーなプレイも組み込み、彼女は腰をグッと落とした姿で、次々と気持ちを騒がせるリフビートを刻み続けていた。Reiが大きく手を振りながら歌う姿に合わせて、フロア中の人たちも大きく手を振り、あふれだすファンキーなグルーヴミュージックに身を預け、熱狂するままに踊っていた。

MCでは、「10周年を迎えた今、自ら生み出す音楽を、音源やライブを通して届けたい」と気持ちを伝えていた。さらに、大好きなギターへの思いや、自身の自由奔放な音楽的指向や嗜好についても述べていた。

次のブロックでは、アコースティックギターを手に演奏。『Silver Shoes』は、Reiにソングライターとしての自信を与えた楽曲。ドラムのキックビートを背景に、アルペジオで弦を爪弾きながら、透明感のある優しい歌声を響かせる。そこへ重なるベースや鍵盤の音色。とても歌心を持った、触れた人の気持ちの琴線をキュッと鳴らす、エモーショナルでスウィートな楽曲だ。軽やかな演奏の上で、心を解き放つように歌う姿に惹かれ、ずっと視線を外せなかった。甘く優しい、でも、高らかに響き渡るサビ歌に触れているだけで、気持ちが幸せで満たされていく。

続く『Love is Beautiful』では、Fender Duo-Sonic IIにギターを持ち変え、少し歪んだギターの音を心地よく駆けるエンジンにしながら、Rei流のシティポップを届けてくれた。ちょっとお洒落な香りも振りまきながら軽やかに走る楽曲の上で、Rei自身も巧みにファルセットを用いて、観客たちの心に甘い刺激を届けていく。澄み渡る美しい旋律の数々が踊るように響くのも印象的だ。後半には観客たちが力強くクラップを打ち鳴らせば、その音もReiは心地よい演奏として加え、心を揺らしながら歌い奏でていた。

MCでは、音楽に没頭し続けてきた人生。ギター1本を挟まないと人と上手くコミュニケーションを取れないような性格だったこと。でも、プロのミュージシャンになってから人との輪が繋がりだしたこと。いろんなアーティストとセッションしてきたことなど、この10年のみならず、彼女の歩んできた人生の道のりを語っていた。「自分の宝物を大切にしていると、欲しいものが手に入ることもある」など、人との出会いについて語る言葉の数々が、印象深く胸に響いてきた。

次に届けたのが、ギタリストの渡辺香津美と一緒に作りあげたインストナンバーの『CACTUS』。一つ一つの音に息吹を与えるようにギターを弾くReiの姿が印象的だ。まるで、一音一音が踊っているようだ。小洒落た社交場の中、ワインを片手にダンスを踊る様を思い巡らせてしまうくらい、Reiの奏でるジャジーなギターの音が、軽やかにステップを踏みながら踊っていた。後半には、メンバーらとセッション演奏をしてゆく様も見せていた。ギターソロでは、自らの演奏に合わせてスキャットしていた姿も印象深い。心地よい昼下がり、ほろ酔いながらジャムセッションをしているような気分で『CACTUS』の演奏に触れていた。

ふたたびギターを持ち替え、今度はメロウな音色の数々を、Reiは観客たちのハートを濡らすように奏でだした。『Categorizing Me』では、自身の心模様を美しく流れるような演奏に乗せ、どこか甘えたそうな仕草も見せながら、少し甘さを含んだ抑揚した声で歌う。彼女は「この世界は想像以上にbeauty」と歌っていた。Reiの歌い奏でるその様も、想像以上に甘くとろけそうな衝動を胸に覚えさせる。アカペラと短いブレイクからエンディングへと向かう甘くメロウな展開も、想像以上にエモくてbeautyだった。だからReiの姿をズッと見つめていたかった。曲が終わったと思いきや、Reiはお立ち台の上に乗り、ここからさらにブルージーなセッションがスタート。Reiはときにギターを高らかに唸らせ、高音域のフレーズの数々を速弾きしながら、この曲の演奏を閉じていった。

Reiがギターの音を激しく歪ませ、ブルーズ&ハードロックな演奏をぶち噛ました。東京ゲゲゲイとコラボした『CRAZY! CRAZY!』を、Reiはずっと強気に攻める姿勢で歌い奏でていた。演奏が進むごとに歌声に熱が加わり、激しさとエモーショナルさを増していく。間奏で見せた、攻めた演奏も刺激的だ。いつしか気持ちをクレイジーにした観客たちが、荒々しく情熱的に迫るReiに向け、熱い思いを力強いクラップにしてぶつけ返していた。

続く変拍子を用いた『GUITARHOLIC』でも、Reiはシンコペーションの利いたトリッキーなフレーズを次々と繰り出し、オラオラとした強気な姿で、歌声を雄々しく響かせていた。掻き鳴らす一つ一つの音が身体を騒がせる。魂を解き放つようにおおらかに歌う声が感情を熱く掻き立てれば、ねっとり絡みつくような歌声に気持ちを絡め取られていくようだ。泥臭くて深くて熱いブルーズな唸りの中に、このままずっと縛られていたい。

ライブも後半戦へ。切れ味鋭いギターのカッティング音が響き渡る。そこへ重なる観客たちのクラップと楽器陣の演奏。楽曲が心地よい緊張感とスリリングさを背負って駆け出すのを合図に、Reiは『The Reflection』を歌い奏で出した。スリリングながら心地よさも抱かせる演奏の上で、彼女自身が歌声を響かせ、この場にテンションの高いグルーヴを描きだす。なんて胸をスカッとさせるカッティングしたビートだろう。エッジ鋭い音の刺激が堪らなく胸を騒がせる。

「騒げー!」の声を合図に飛びだしたのが、RHYMSTERとコラボした『My Runway』だ。跳ねたスリリングな演奏の上で、Reiは胸を騒がせる言葉たちを次々と打ち放っていた。彼女の剥きだした感情をぶつけるラップが刺激的だ。この曲でReiは、ギターソロも含め、高ぶる感情のままに、終始攻撃的な姿勢で歌声や演奏を叩きつけていた。「1.2.3.4.5」と凛々しく煽る様も、堂々としていて格好いい。

ブルーズなセッションのような始まりだ。楽器陣が自由奔放にアバンギャルドな音をぶつけあう。その空気を切り裂くように、Reiのギターが炸裂。そこへジャングルビートが鳴り出すのを合図に、この場を華やかながらも妖しい空気に染め上がる。続く『Lonely Dance Club』はSOIL &”PIMP”SESSIONSとコラボした楽曲。ここでは、スリリングでジャジーなムードを作りだす演奏の上に、Reiの歌声が華やかな色を描き加えていた。野生味あふれる荒々しいジャズ楽団の演奏を、お茶目で破天荒な歌姫がリードしていくような雰囲気だ。この曲の演奏中は、この会場が、妖しくもゴージャスな香りを満載にした昭和のCLUBのような色に染め上がっていた。

軽快に跳ねるドラムビートを合図に、楽器陣のセッション演奏がスタート。アコースティックギターに持ち替えたReiがウェスタン風のフレーズを軽快に奏でるのを合図に、『New Days』が飛びだした。この曲でReiは、観客たちの拳を高く突き上げさせ、泥臭いセッションの中へ呼び入れ、一緒にこの場を場末のダンスホールに染め上げていく。途中でフライングVに持ち替えたReiは、お立ち台の上に立って速弾きで次々と音を繰り出し、観客たちを恍惚の世界へと導いていった。

最後にReiは、ふたたびギターを持ち替え、まるでジミヘンドリックスのようにロングトーンの冴え渡る音を荒々しく響かせ、一人でブルージーなソロを弾きだした。顔を上げ、恍惚に浸りながら演奏をするRei。途中には、ギターのフレーズと観客たちとのやりとりも登場。それを受けて始まった激しく跳ねたホンキートンクな演奏に飛び乗り、Reiが荒々しく煽りだす。彼女の「Are You Ready!?」の声に、高らかに声を上げて思いをぶつけ返す観客たち。最後にReiは自らの感情を奮い立てるように、『What Do You Want?』を歌い演奏した。攻撃的な音を次々と繰り出しながら、彼女は観客たちを煽るように歌っていた。間奏ではお立ち台の上に立ち、今にもフロアへ飛び込まんばかりの姿を披露していた。「What Do You Want?」と掛け合いもしながら、Reiは刺激的で攻撃的な演奏を次々と繰り出し、観客たちの感情を熱く騒がせ、奮い立てていった。

この10年で築いてきたアイデンティティ。わたし以外に似ているアーティストはいない状況を作れたことを誇りに思っています。でも、日本武道館や東京ドームに立ちたいなどの夢は叶えられたわけじゃない。わたし、幸せって頂点にしかないものだと思っていたわけですよ。それで、山登りはしんどいと思っていたけど。みなさんと出会い、みなさんがわたしの、その時々の音楽を楽しんでいただいてきたことで、思う意識が変わってきました。途中途中の過程も幸せの一部だなと思えるようになりました。幸せはゴールだけにあるものじゃないよというのを教えてもらえたからこそ、これからもみなさんに素敵な景色を見せていきたいので、これからも一緒に居ていただけたら嬉しいです」と、Reiはアンコールの演奏前に述べていた。

ボリューミーな純白のブラウスを主役に据えたモノトーン衣装へと着替えを終え登場したアンコールでは、デビューミニアルバム『BLU』に収録した曲を持ってきたのが嬉しかった。奏でたのが、『Long Way to Go』。「もう少し先まで歩いてみようかなという気持ちになったので、この曲をお届けしたいと思います」と語った後に、Reiはギターの音色も小さく添えながら、『Long Way to Go』をアカペラのように朗々と歌い始めた。歌声とシンクロするように鳴り響くファズったギターの音色も印象的だ。Reiの歌声が高まったのを合図にギターも太いブルーズな音色を刻めば、Reiの歌声に合わせて楽器陣も音を奏でだす。広大な世界をおおらかな気持ちで旅をするような、とてもスケール大きなブルーズナンバーだ。彼女の歌声とギターの音色が一つに重なり合い、大きな1本の絵筆になり、大胆な筆のタッチでこの場に広大な景色を描きだす。まるでドアーズの楽曲に触れているようだ。その雄々しき歌声と演奏が感情を解き放ち、自由に心を羽ばたかせる。そんな気持ちで、太い声を奮わせて歌うReiの姿を強い眼差しで見つめていた。終盤、しゃがみ込んでギターを激しく掻き鳴らすReiの姿も登場。彼女はずっと豪快な音の衝撃を与え、満員の観客たちの心を大きく揺さぶっていった。

興奮のやまない観客たちの熱い声を受け、Reiが三度(みたび)ステージへ。最後に彼女がたった一人でエレアコを手に歌い奏でたのが、スリリングでアグレッシブな演奏も刺激的な『BLACK BANANA』だ。あえて最後はたった一人でステージに上がり、力強く弦をストロークする演奏を見せつつ、沸き立つ感情を早口の歌にして次々と打ち放っていた。ときに魔法のように次々とギターの旋律を塗り変え、Reiは、熱いクラップと高ぶった声の上がる熱情した景色を作りあげていった。踊るようなギターの旋律と彼女のスキャットした声が重なりあえば、ときにギターが唸りを上げて駆けだす。Reiは、「BANANANANANA」と観客たちと声をかけあう様も見せながら、最高に熱狂した空間を作りあげていった。 Reiの10周年の動きは、来年3月まで続いていく。その後に続く展開も、ぜひ追いかけてもらいたい。

TEXT:長澤智典
PHOTO:上飯坂一

《SETLIST》
  1. 1.Delicious Days
  2. 2.SODA!
  3. 3.My Name is Rei
  4. 4.Heaven
  5. 5.COCOA
  6. 6.Silver Shoes
  7. 7.Love is Beautiful
  8. 8.CACTUS
  9. 9.Categorizing Me
  10. 10.CRAZY! CRAZY!
  11. 11.GUITARHOLIC
  12. 12.The Reflection
  13. 13.My Runway
  14. 14.Lonely Dance Club
  15. 15.New Days
  16. 16.What Do You Want?
  17. -ENCORE-
  18. EN1.Long Way to Go
  19. EN2.BLACK BANANA
Rei

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