5thアルバム『26ml』を引っ提げ、2023年10月から幕を開けた全国ツアーもいよいよファイナル。11月までの8公演(沖縄、宮城、福岡、石川、愛知、北海道、広島、香川)はループペダルのソロスタイルで回ってきたAnlyだが、2024年1月の2公演(大阪、東京)はより歌に注力できるバンドセットで臨んだ。

ライブはアルバム『26ml』同様、『TAKE OFF』『EYE』を皮切りにスタート。淡いオレンジのショートシャツ+ライトブルーの穴開きジーンズ+スニーカーというカジュアルな衣装を纏ったAnly(Vo&Gt)のエネルギッシュで瑞々しいボーカルが、ド派手なストロボの煌めきに合わせて、小川翔(Gt/LAGHEADS)、山本連(Ba/LAGHEADS)、半田彬倫(Pf)、大津資盛(Dr/POOL ICE MOON)が奏でる屈強なバンドサウンドに乗って、ラップを交えた舌鋒鋭いリリックとともに凛と響く。そのエッジの効いたパフォーマンスを受け、場内は早くも大いに沸き上がる。

「東京ー!いっしょに揺れていきましょう!!」の呼びかけからアーシーな味わいで聴かせた『Message in the bottle』、彼女の地元・沖縄を思い起こさせる三線の音を取り入れた『Alive』とテンポよく繋ぎ、Anlyの歌声が伸びやかに広がりを見せれば、オーディエンスも手拍子やハンズアップ、シンガロングで活き活きと応え、解放的な陽のムードがなんともいい感じに漂い出す。

「Welcome to our GIG! 『26ml』ツアーへようこそ。ファイナルを迎えることができました。とってもいい時間になるなー。もうすでになっているなっていう感じです。最後まで楽しんでいきましょう。よろしくお願いしまーす!」

最初のMCで嬉しそうな表情を見せ、「今回のアルバムは“カクテル”がコンセプトなんですけど、私がいちばん好きなカクテルはこれです!」と、エレクトロ調で彩った洒脱なサウンドの中、キスをせがむサビが愛らしく映える『ジントニック』へ。続いていくものと変わっていくものの共存を歌ったソウルフルな『Round & Round』、沖縄の58号線と東京の246号線をテーマに描いた甘い耳当たりのドライブソング『58 to 246』。うっとり酔いしれてしまうような、大人っぽさが光るナンバーも素晴らしい。

Anlyは「『26ml』の“26”は、私が生きてきた年数です。そこに記憶や景色、感情を混ぜるイメージで、本当にいろんな楽曲を詰め込みました」と、今までで最もジャンルレスな構成となった、26年間の人生を注いで作り上げたニューアルバムについて言及。また、台風前日の沖縄の美しい空模様を引き合いに出しながら、良いことがあっても素直に喜べなかった、過度に不安がってしまっていた時期の自分を振り返る一幕も。

「桃色とか金色に染まったすごく綺麗な空だけど、これから台風が来るのか……みたいなね。小さい頃に抱いていたその想いが、大人になっても似たようにあったというか。嬉しいことや幸せなことが起こると、“明日は悪いことが起きるのかな?”“じゃあ、喜ばないでおこう”と思ったりしている自分がいたんです。でも、去年やっと気づきました。“今感じられる幸せは、今しかここに居てくれないんだ”って」

中盤では、そんな気づきが滲む、「幸せになる覚悟みたいなものを教えてくれた曲」だという『Dear』を、半田のピアノ伴奏でしっとりと披露。同じく崇高なバラードの『STAY WITH ME』は、優しいアルペジオも耳を惹くアコギ弾き語りで優雅に歌い上げるなど、色とりどりのアプローチで観る側を楽しませていくAnly。

温かな愛を表現したあとは、マニピュレーターの久保田滉基を含むバンドクルーを改めて紹介し、事前アナウンスされていたスペシャルゲストのReiがステージに招かれる。高良レコード(沖縄の国際通りにある老舗楽器屋)創業70周年記念のツーマンライブをきっかけに共作したエピソードをはじめ、「戦友というか。ブルースとかクラシックロックとか好きな音楽も似ていて、志が近いなって話していて思う」とReiが明かしたりといい雰囲気になったところで、「あっ、(今日は)ちょうど日曜日じゃん!最近はくだらないことばっかり起きる世の中ですから、みんな鬱憤が溜まってるんじゃないの?」というAnlyのナイスな煽りが。

そして、『26ml』に収録された両者のコラボ曲『Sunday Afternoon Blues』が軽快に発進。“最近のロックは頭使いすぎなんじゃん? ぶっ壊してやれ この日常を”といったスカッとするフレーズを歌う2人のボーカルはもちろんのこと、AnlyのアコギとReiのエレキが重なって生まれるハーモニーも華々しくて息ぴったりだ。

さらに、Reiは『KAKKOII』の演奏にも参加し、エレキとアコギを持ち替えつつ、バチバチに熱いエモーションでダイナミックなプレイを展開する。それに触発されたAnlyも、ハンドマイクで水を得た魚の如く躍動。2人が背中合わせになってのギターソロなど、手に汗握るシーンが満載で、オーディエンスを興奮の渦へと巻き込んでみせた。

Reiがステージを降り、ライブは終盤に突入。コラボを通していい感じに肩の力が抜けたのか、一段と楽しそうに歌うAnlyの姿が印象深く、フロアが歓喜のワイパーであふれた代表曲『カラノココロ』も颯爽と届けた。その後、次の曲に対する想いを再び真摯に語り始める。

「アルバムの最後にできて、学びがあった曲です。自分の気持ちをすごく入れた内容になっているんですけど、私もやっぱり元気がない日ってあるんですよ。本当は考えちゃいけないようなことを、つい考えちゃうとかね。で、横断歩道の前で突っ立ってたとき、この曲が頭に浮かんできました。でも、2番の歌詞がなかなか書けなかったんです。なんでかって言うと、今の想いをそのまま書いたら、いろんな人が悲しむだろうなと思ったから。お母さん、お父さん、(故郷の)伊江島の人たちも……」

自分の中で感情がぐるぐると駆け巡った末、背負っていた責任をいったん全部下ろし、正直に歌詞を書いた。結果、曲を作る工程で“死ぬ覚悟よりも、変わる覚悟を決めたほうがいい”という言葉に辿り着いたとAnlyは話す。「この状態なんだったら、会いたい人に会いに行こうとか、食べたいものを食べに行こうとか、違うベクトルの覚悟を決めるのも、人生としていいんじゃないかなって。そんな気持ちを込めた曲です」

たびたび“覚悟”を口にするAnlyが、この日いちばんの覚悟を持って、胸の内をリアルに示した『点滅~Green Light~』。どうしようもなくつらい心境に、生きづらい今に寄り添う温かい詞の世界観、しなやかさと強さを兼ね備えた歌唱は絶品で、イントロから客席いっぱいにグリーンのサイリウムが輝くという、スタッフ発案&オーディエンス協力の感動的なサプライズ演出にも涙腺が緩む。

清らかな空気が会場を満たす中、本編ラストを飾ったのは『好きにしなよ』。『点滅~Green Light~』と同じように「迷っているとき、焦っているときに書いた」というこの曲でも、“うまくいくかなんて 誰にもわからない また会えるかなんて 僕にもわからない 乗っても降りても あなたを咎めない”と、自由であることを肯定するAnlyの歌が、壮大なアイリッシュサウンドとともに揺るぎなく鳴り響いていた。

アンコールでは、ステージがタイトルどおりの暖色に染まった『オレンジカラー』も披露し、アルバム『26ml』の収録曲をすべて出し切ったAnly。最後の最後はミラーボールが美しく照らされた『Welcome to my island』で、充実のツアーをピースフルに締め括った。また、3月の横浜と大阪での初Billboard Live公演、6月のオーケストラバンド“Style京to琉”での京都劇場公演に加え、4月から5月にかけての弾き語りツアー『Anly -Imensholy Tour 2024-』が発表に。さまざまな形態で行なわれるこの先のライブも見逃せない。

Photo:きるけ。
取材・文:田山雄士

《SET LIST》
  1. 1.TAKE OFF
  2. 2.EYE
  3. 3.Message in the bottle
  4. 4.Alive
  5. 5.ジントニック
  6. 6.Round & Round
  7. 7.Moonlight
  8. 8.58 to 246
  9. 9.Dear
  10. 10.STAY WITH ME
  11. 11.Sunday Afternoon Blues
  12. 12.KAKKOII
  13. 13.CRAZY WORLD
  14. 14.カラノココロ
  15. 15.点滅~Green Light~
  16. 16.好きにしなよ
  17. <ENCORE>
  18. EN1.オレンジカラー
  19. EN2.Welcome to my island

Anly 使用楽器紹介

Anly

Anly "いめんしょり" -Imensholy Tour 2024- 開催決定!

Anly "いめんしょり" -Imensholy Tour 2024-

4.06 土 兵庫 神戸VARIT.
4.07 日 福岡 ROOMS
4.11 木 大阪 umeda TRAD
4.12 金 京都 someno kyoto
4.14 日 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
4.20 土 宮城 誰も知らない劇場
4.28 日 愛知 NAGOYA CLUB QUATTRO
4.29 月祝 東京 duo MUSIC EXCHANGE
5.12 日 沖縄 ミュージックタウン音市場

一般自由席 ¥5,000/学割自由席 ¥3,000
2.24[土]10:00~ TICKETS ON SALE!!
https://eplus.jp/anly/

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Anlyの1年ぶり5枚目のフルアルバム!TVアニメ『Dr.STONE(ドクターストーン)』エンディングテーマ「好きにしなよ」、テレビ朝日系土曜ナイトドラマ『ハレーションラブ』主題歌「EYE」, 国際ファッション専門職大学 2023年度新TVCMソング「TAKE OFF」のほか、「Round & Round」(沖縄セルラー×au 5G「沖縄のために5Gは何ができるか。2023篇」CMソング)を収録。初回生産限定盤DVDには2022年12月にEX THEATER ROPPONGIにて開催された『“Loop Around the World”~TRACK4 / QUARTER TOUR~』でのライブ映像の他、2023年7月に開催されたAnly史上最大キャパのワンマンライブ『A.L.I.V.E』のライブ映像が収録されている。


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