6月22日(土) 神田スクエアホールにて「DAITA TGE 20th Anniversary Live Concert THE GUITAR EMISSION – ULTIMA ENSEMBLE – 」が開催された。
1年ぶりとなる今回のライブをギターテック目線でギターの特徴や音に焦点を当てご紹介したいと思う。

今回のライブは珍しく約20分押しでの開始となった。初めてプレイする会場でもあり、ステージ内のモニター音響の問題が中々クリアできず、リハーサルに時間がかかっていたようだ。その代わりと言ってはなんだが、外音の良さとプレイに関してはここ10年見てきた中で1番のクオリティだったのではないだろうか。

オープニングは『Beginning』。会場全体の大きな手拍子からスタート。

1曲目は『Fingeroid』、使用ギターはG-Life Guitars DSG Premium Bora Bora Ocean Blue(White PU)だ。去年に引き続きホワイトPUの個体がメインギター。以前のメインだったブラックPUよりも音像が引き締まっており、少しタイトな音が特徴的。オールタッピングの難曲である為、音の締まりや、反応の速さが求められる。長いリハーサルの甲斐もあり、1曲目から外音は素晴らしいバランス。会場全体が一気に見入る程の完成度だ。

続いて『Direct Word』。こちらも同じギターでの演奏だったが、プレイは打って変わりタイトなロー感のあるイントロのリフ、輪郭のはっきりしたタッピング、ハイミッドの特徴がよく出たリードと音色は様々である。ダウンのスライドのニュアンスが良く聞こえるバランスで普段は細かいテクニックを気にしていない方でも聞き取りやすかったのではないだろうか。

3曲目は『Free』、こちらもタッピングが主体の楽曲である。キーがGメジャーということもあり、明るい音色と反応良いタッピングが相まって音の気持ちよさが存分に出ていた。

MCをはさみ、ギターをTom Anderson Classic Bora Bora to Trans Blue Burstに持ち替え『Emphatic Line』へ。

今回のライブでは唯一のA-Wedgeジョイントのギターということもあり、イントロのナチュラルハーモニクスの響きや、全体の音に混ざるような聞こえ方のギター。DSGと比べると少し粒の大きい歪み。この楽曲ではワウやフェイザー等のエフェクトをかけた時にドライの音との差を少なくしていたのではないだろうか。セッティングは今回使った中で弦高は少し高め(と言っても一般的な数値よりも低めではある)になっており、アーミングやチョーキングビブラートを多様する楽曲なので細かいニュアンスにも対応した状態だった。

ここでギターをG-Life Guitars G-Phoenix Royal Blue Turquoiseへ持ち替え『Melodicfall』。G-Lifeの中では最も音が太く、アームもついていないモデルで、ローミッド~ハイミッドに重点を置いたモデルとなっており、別のギターとの持ち替えを考えると少しテンションを感じたので、弦高は低めに設定した。通常弦高を低くするとサスティーンや発音が悪くなるのだが、ギターの特性や綿密な音作りも相まって、この日1番太い音となっていた。メインのメロディーもロングトーンが多く非常に楽曲とマッチしていた。

Blue Passion』、この楽曲は個人的に1番好きな楽曲である。ギターはG-Life Guitars G-Phoenix Custom Stardust Blue Moonだ。前曲のモデルとは異なりアーム付き、ピックアップはFishman製のアクティブを搭載し、音の方向性を全く別の方向で考え製作したモデルとなる。メタリック塗装という音の硬質感と奥行き感。フロントPUの艶っぽさが特徴的で楽曲の持つ、やや早めのオリエンタルなテンポ感、妖気と哀愁さを表現していた。エンディングのワウのエフェクトもアクティブならではのクリア感だった。

続いて『Jindai』こちらの楽曲はソロでの演奏。日本の竹藪や神聖な場所を思い浮かべるような雰囲気で深いアーミングフレーズから始まった。艶やかなハイトーンも聞き心地も良く、会場全体が引き込まれていた。

8曲目は『Red Wings』。ギターは変わらずだが打って変わってストリングスの華やかな明るい楽曲。軽快なイントロのアルペジオから密度の高いローミッドが特徴的だ。同じギターでここまで表情を変えることができるのもアンプやエフェクターの切り替えを細かく行っている巨大なラックシステムが可能にしている。

今回久しぶりの登場となるPRS Custom 24 に持ち替え『Ammersee』。このPRSはライブではほとんど登場してこなかったブラウンカラーのモデル。映像化されているライブだと2004年以来である。楽曲も2015年のライブΩ以来久しぶりの演奏となった。いい意味で前に出過ぎない音、もったりしたロー感が特徴的なギターが、実際にあるドイツのアマー湖を思わせる静けさや穏やかさを表現していた。

続いては『Breath of the sea』。同じくPRSでの持ち替えで、こちらはいつもライブで使用するレッドカラーのモデル。先程のモデルに比べると少し勢いのある音で同期のオーケストラも壮大になっており前曲との差や全体のバランスが非常に良く聞こえた。音のハリ感や抜け感、ピーキーなPRSらしい高域は目立っていたのではないだろうか。

雰囲気も一変し『Ancient Moon』ではG-Life Guitars G-Phoenix Custom Deep Royal Blue Turquoiseに持ち替え。細かいアーミングとロングトーン、深いディレイが特徴的な楽曲だ。ベースのシンセのようなループ感やドラムの勢いがあり、全体的に低域を感じられた。メタリック塗装のモデルに比べ、音の抜け感が強く、エフェクトの掛かり方も自然に聞こえ、ワーミーペダルを使っていても音痩せがほぼ感じられないような音作りとなっていた。

SE『Spinning』から続けて披露された『Exotic soul』ではG-Phoenix Custom Stardust Blue Moonに持ち替え。この楽曲は展開が多くなっており、様々なプレイに反応でき、太さもしっかりありつつキレも良いサウンドを繰り広げた。

Goðafoss』は再びDSG Premiumに持ち替え、 E-BOWを使用したロングサスティーンから巨大な滝をイメージした壮大なフレーズが会場を包み込む。

そして今回最難関楽曲『Lucifer D』。ギターは同じくDSG Premiumだが、今までの楽曲と違い太い音作り。様々な帯域をブーストしている関係もあり、ピッキングやミュートのニュアンスも細かく聞こえてくる。通常は色々な帯域を太くしてしまうと歪み成分や周りの音と混ざってしまい音が潰れてしまいがちだが、言葉の通り本当に太くなって前に出ていた。

そしてNo.1人気曲と言っていいだろう、『真実と闘争』へ。使用ギターはTom Anderson Classic Bora Bora to Trans Blue Burst。珍しくステージ上を動き回り会場を煽る。会場全体も大きな盛り上がりを見せた。今回のライブでフロントPUとリアPUの音の差が1番出ていたのではないだろうか。

本編ラストは『Volcano High』。ギターをTom Anderson Drop Topに持ち替え。シンクロブリッジにピエゾピックアップが搭載されたモデルだ。この楽曲は6弦のみBまでドロップしており、少し変則的なチューニングとなっている。今までのサウンドと比べ、ローズ指板ということもあり、少し奥行きがありつつエッジの効いた荒々しいサウンドとなっていた。シンクロブリッジならではの横の広がりを見せ、激しいながらも繊細な音質だ。

本編が終了しアンコールの手拍子と共に再登場。「20年経ってもこれだけの人が集まってくれてありがとう。これからも新しいことを取り入れながら色んなギタリストに刺激を与えられるように頑張ります」とこれからの活動についても話してくれた。

アンコール1発目は定番曲の『Handroid』。ギターはDAITAが最初に手にしたというTom Anderson Classic Bora Bora Blue。ジョイントはプレートの4点止めのクラシックなスタイル。1番弾いてきたギターということもあり、イントロの音のキレ、タッピングの表情、楽器全体の鳴っている感を感じられる。こちらも本編で使用したTom Andersonと同じく弦高は少し高めのセッティングとなっている。

メンバー紹介では「D-ROCKに詳しくなったドラマー原澤秀樹!」「そして後輩で相棒、ベーシストのBOH!今日使っているベースは今回のライブに間に合うように製作してきてくれました」と紹介。この日初お披露目となったBOHのAtelier Z製5弦ベースは、角度付きヘッドでテンションも良く、様々な楽曲に対応できるように考えたとのこと。完成仕立てだったので鳴りはまだまだだったにもかかわらず、音のハネ感やテンション感もあり、今後の使用による変化を期待していきたい。

Zenith』のイントロが流れ、会場内も壮大で明るい空気に包まれる。きらびやかなサウンドとロングトーンが特徴的だ。

続いたのはこちらも定番曲『Triptych』。イントロアルペジオではシングルコイルならでは音の粒立ち。やや強めのコーラスのエフェクトから盛り上がるフレーズへ。

この勢いのままラストの楽曲『19 Boogie』へ。シャッフルのハネ感、ダブルチョーキングの勢い等熱いプレイを披露。途中のジャズのようなフレーズの艶っぽさからラストは勢い全開の激しい速弾きにて幕を閉じた。

2004年から開始したソロライブ「THE GUITAR EMISSION」も20周年を迎えたが、変わらず進化を止めず、ますますプレイにもトーンにも磨きがかかるDAITA。これから先もギターでどんな景色を描き出してくれるのか益々期待が高まる一夜であった。

取材・文:河本亘介
ライブ撮影:野田雅之

《SET LIST》
  1. SE.Beginning
  2. 1.Fingeroid
  3. 2.Direct Word
  4. 3.FREE
  5. 4.Emphatic Line
  6. 5.Melodicfall
  7. 6.Blue Passion
  8. 7.Jindai
  9. 8.Red Wings
  10. 9.Ammersee
  11. 10.Breath Of The Sea
  12. 11.Ancient Moon
  13. SE.Spinning
  14. 12.Exotic Soul
  15. 13.Goðafoss
  16. 14.Lucifer D – Limited Edition –
  17. 15.真実と闘争 (TRUTH AND STRUGGLE)
  18. 16.Volcano High (Bass & Drums Solo Version)
  19. -ENCORE-
  20. EN1.Handroid
  21. EN2.Zenith
  22. EN3.Triptych
  23. EN4.19 Boogie

DAITA 使用楽器・機材紹介(1)

DAITA

DAITA New Live DVD「THE GUITAR EMISSION - ULTIMA ENSEMBLE -」2024.11.19 Release!!

2024年6月22日(土) 神田スクエアホールで行われたTGE20周年記念コンサート「THE GUITAR EMISSION - ULTIMA ENSEMBLE - 」のライブ映像を完全収録!
発売日:2024年11月19日
品番:SMDL-20241119
収録曲:全20曲収録
発売 / 販売元:SOUND MOTORS INC.
<TGE 20周年記念特別企画>
■2024年6月22日 " KANDA SQUARE HALL " にて行われたライブ・コンサート全曲を完全収録(エンドロールに「DAITA 20年の軌跡」映像を特別収録)
■DAITA メッセージ入り特典封入紙を同封(サイン入り)
■TGE 20周年記念 - LINER NOTES - DAITA によるマニアックな全20曲解説インタビュー動画を購入特典として視聴できます。(同封の封入紙にあるQRコードよりご覧頂けます:YOUTUBE - DAITA TV - 特別限定公開)
▼お申し込みはこちらから
https://www.g-life-guitars.com/ultimaensemble-dvd/

DAITA New Album「DIRECT WORD」絶賛発売中!

DAITA is back!!
フロンティア・スピリットでギター・インストゥルメンタルの新境地を切り開く!

Project Album『DIRECT THIRD』より10年! 待望のダイレクト・シリーズ4作目 “DIRECT WORD” が遂に完成!
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※2022年11月デジタル配信が開始された “DIRECT WORD” に【THE GUITAR EMISSION】ライブのオープニングを飾る “Beginning” “Spinning” の2曲が追加収録された完全盤! スペシャル・アルバム仕様(全10曲収録)

https://www.g-life-guitars.com/directword-cd/

「DAITA THE GUITAR EMISSION - STRING ART - 」ライブDVD 絶賛発売中!

「Melodicfall 」「Reincarnation」「Futatsu no Yuragi」初収録!
DAITA初の会場「日本橋三井ホール」で開催された- STRING ART -ライブの映像を完全網羅した最新ライブDVD!!

DAITA THE GUITAR EMISSION - STRING ART -
2019.6.23 Nihonbashi Mitsui Hall LIVE DVD
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発売 / 販売元:SOUND MOTORS INC.
SMDL-20200401(TGBS-11491)
本体価格¥7,150
2020.4.1発売
全18曲収録

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DAITAソロデビュー15周年を記念した初の豪華写真集”D-LIFE”。
ソロワークス15周年記念公演TGE WHITE HOLE(2018年)の未公開ライブ写真から初のソロライブ TGE First Impact(2004年)までを大量の写真で振り返るライブヒストリー。
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