BanG Dream! 8th☆LIVE「Breakthrough!」
10.8 キラキラ☆Festa Day!&10.9 ドキドキ♪Special Day! ライブレポート

今回はPoppin’Party(以下、ポピパ)の2DAYSライブの模様をお届けしよう。

開演前、ステージ前面には大きな白いスクリーンが張られ、ステージセットや楽器は見えない。期待に胸を高鳴らせながら開演時間を迎えると、ポピパのこれまでの軌跡やメンバーの想いが映し出された。

“感じて欲しいことは「ポピパ」これまでの、今の、これからの「ポピパ」”

そして、スクリーン裏にいる5人の凛々しい表情の生映像へと切り替わる…、会場中のボルテージがどんどん上がっていくのを感じる…
しっとりとしたピアノの音とリードギターの音を合図に、いよいよ幕が落とされた。

1曲目は両日ともに今回のライブタイトルにもなっている、ライブ初披露の新曲『Breakthrough!』だ。爽快感あふれ、ポピパらしさがありながらも、どこか新しい空気も感じる。“Breakthrough”という言葉は、“大きな進歩”や“躍進”という意味で使われることもあり、修行期間を経て成長を遂げて帰ってきたポピパにピッタリだ。

ステージはポピパらしくカラフルで可愛らしい星模様が散りばめられ、キーボードスタンドやドラムセットにもカラフルなLEDがデコレーションされている。

1年以上に渡る修行期間を越え、単独ライブとしては1年8ヶ月ぶりに帰ってきた5人だが、表情や雰囲気、佇まいがこれまでとは何か違うように感じる。一言で言うなら“自信に満ちた貫禄”を見て取れるのだ。

この2日間のセットリストは、1日目「キラキラ☆Festa Day!」の『STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜』と2日目「ドキドキ♪Special Day!」の『前へススメ!』がそれぞれ日替わりで披露され、その他は共通の曲を演奏順の一部を変えながらの披露となった(レポートが順不同になることをご了承いただきたい)。

セットリストの共通曲が多いというのは、様々な事情で現地やライブ・ビューイング会場に両日とも足を運ぶことが難しいファンにとって優しい部分である。同じ曲でも、2日間の中でも演奏にさらに磨きをかけ、8th☆LIVE「Breakthrough!」を2日間かけて完成させるという意気込みとも受け取れる。両日とも、これまでのポピパの集大成と言える中身の濃いセットリストであり、1日しか観ることができなかったとしても充分に素晴らしさを感じられることは間違いない。

客席からは声援を送ることはできないが、観客は拍手やペンライトで精一杯パフォーマンスに応え、熱気が伝わってくる。

Gt.&Vo.愛美(戸山 香澄役)「今日は熱い1日にしましょ~!!

ときめきエクスペリエンス!』では、アニメ第1期のオープニング映像がモニターに映し出された。キャッチーなメロディや、Key.伊藤 彩沙(市ヶ谷 有咲役)が観客へ手拍子をリードする一幕が、ポピパらしいとても楽しいナンバーだ。

愛美「まだまだ行くよ~!!

キズナミュージック♪』ではアニメ第2期のオープニング映像と共に演奏を観ることができ、前の曲からバンドリ!の歴史を思い出させてくれる。随所で5人それぞれのソロ歌唱パートを堪能できる中でも、Dr.大橋 彩香(山吹 沙綾役)がサビの部分で声高く伸びやかに歌い上げる部分は印象的だ。間奏ではフロントを務める3人、Gt.&Vo.愛美、Gt.大塚 紗英(花園 たえ役)、Ba.西本 りみ(牛込 りみ役)がお立ち台に上がり、それぞれのテクニックを存分に披露してくれる。

アニメ第1~2期のオープニングテーマ2曲を続けて披露し、これまでの歴史を感じさせる粋な計らいは2Days共通だ。

自己紹介を聞いて「おや?」と思った。

今回のライブでは2日間とも、「ギター・ボーカル、戸山 香澄役の愛美です」というように、5人が初めから“キャスト本人”として名乗っている。他のバンドのライブにも共通することだが、これまでのライブの自己紹介では、各自が演じているキャラクターとして自己紹介し、“キャラクター本人”として振る舞うのが常だった。そこにどんな想いが込められているのかは、メンバーのみぞ知るところだが、何か意味があるように感じた。もちろん演奏中に聴こえてくる歌声は、聴き慣れたキャラクターのそれに違いない。

アニメ第3期に登場した新しいステージ衣装を紹介したり、マイペースなトークをみせてくれたり、ずっと変わらないアットホームな安心感を覚える。

ぽっぴん’しゃっふる』からフォーメーションが少し変わり、Dr.大橋 彩香は通常のドラムセットよりも前に設置されたスタンディング・ドラムに、Key.伊藤 彩沙も同じく前に置かれたキーボードへとポジションを移した。この2人が曲中、ところどころで観客の手拍子をリードしてくれる。

アニメ第3期の劇中で作られたポピパのオリジナルMV“ポピブイ!”の映像が流れ、跳ねるようなリズム感も相まって賑やかで楽しいナンバーだ。

間奏でのギターソロやベースソロでは演奏テクニックが光る。所々で足元のエフェクター(スイッチャー)を操作する等、サウンドへのこだわりも垣間見ることができた(一般的にこういった操作をスタッフに任せることは珍しいことではない)。

Gt.&Vo.愛美「どんな時も夢さえあれば前に進める

続くのは初披露曲『Step×Step!』。ここでも、前曲と同じフォーメーションを取っているが、これはアニメ第3期のシーンを踏襲したものだということが映像とのリンクでよくわかる。劇中で六花(=ロック、RAISE A SUILEN)の背中を押した応援ソングということもあってか、通常ポピパのライブでは見ることのない、グリーン(ロックのキャラクターカラー)のペンライトの光が多く見られるのも、この曲ならではの光景だ。

曲間ではGt.大塚 紗英がワウペダルを絡めたファンキーなカッティングリフを皮切りに、ジャムセッションを披露してくれた。

ベース、ギター、キーボード、ドラムの順に名指しされると、それぞれトリッキーで分厚いサウンドを奏でて、テクニックを存分に見せつけてくれる。可愛らしくて楽しい曲が多いポピパのライブで、このようなクールなハードロック・サウンドは良いアクセントだ。

シングルコイルの透明感と芯のあるクリーンサウンドで、しっとりとしたアルペジオから始まる『Returns』。

アニメ第2期の劇中で花園 たえが作った曲として登場することから、客席がキャラクターカラーである青いペンライトの光で満たされる。ストーリーや歌詞も相まって、とてもエモーショナルな“心が震えだす”ナンバーだ。

有明、まだまだ行けるか〜!!

アニメ第3期のオープニング曲『イニシャル』は、アップテンポなリズム感が自然と観客の手拍子を誘う。どことなく情緒的なメロディやコードの響きや、青春の中にもどこか大人っぽさも感じるナンバーだ。ラストの大サビ前に挟まれる、静寂に包まれたブレイクの“間(ま)”が絶妙で、演奏をグッと引き締めている。観客の声出しが制限されていることで、“静寂”とのコントラストがより明確に楽しめるのは、ひとつのメリットと言えるかもしれない。

トークコーナーでは、豪華な面々からのビデオメッセージが上映され、メンバーや観客を驚かせた。

再びライブパートへ戻るとスモークが立ち込め、『What’s the POPIPA!?』が流れだした。ステージ外で歌っているメンバーの姿が画面に映し出されている。
メンバー5人がステージに登場すると、楽器を持たずに全員が横一列になって歌うという珍しい光景だ。

間奏でメンバーが縦一列に並び、ロールダンスを披露する中、愛美が列の一番後ろで何かの準備をしている…?不思議に思いながら見ていると…、なんと、ランダムスターを持った愛美が宙高く飛び上がった!これもきっと修業の成果だろう。目測だが6m以上は舞い上がったように見えた。このサプライズに、きっと観客は声を抑えることに必死だったのではないだろうか。ミニアニメ「BanG Dream! ガルパ☆ピコ」で、香澄がこれによく似た演出を立案、実行したと思われたシーンも頭を過った。

通常の演奏フォーメーションに戻り、『Time Lapse』が始まる。演奏に合わせてステージ前端から、激しいスモークが柱のように垂直に吹き上がる。赤いペンライトでうめつくされた客席はまさに圧巻の光景だ。ハードロックなリフが印象的なアッパーチューン・ナンバー。曲の最初と最後を5人のアカペラによる美しいハーモニーで決めてくれる。

Dr.大橋 彩香がバスドラムでリズムを刻み始めると、『Hello! Wink!』の“振付レクチャー”が始まる。この時メンバー全員で振付を見せてくれるのだが、Key.伊藤 彩沙が右手でフレーズを演奏しながらダンスを披露し、さりげない部分にも技術の高さが垣間見えた。

Gt.&Vo.愛美「Welcome to Poppin’s Halloween Party!!!

ハロウィンがテーマのこの季節にピッタリの楽しくて賑やかな曲だ。Aメロ~Bメロでは、曲に合わせてダンスを観客みんなで踊る。振付以外の部分でも、思わず身体が動いてしまった。

続いての曲は『ティアドロップス』。数多くあるポピパの曲の中でも、初期のライブからの定番ソングで、人気の高さは不動のものだ。歌詞の中に登場する「赤から青に」「青から赤に」というワードに合わせて、観客のペンライトの色が一斉に切り替わる光景は、ポピパとファンの一体感を感じられる。「この手を離さない」のフレーズの瞬間に会場中のボルテージが最高潮に達するのが伝わってきた。

※『What’s the POPIPA!?』から『ティアドロップス』までの4曲の流れは、2Days共通だ。

Day1のみで披露された『STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜』では、曲の始まりに合わせてGt.&Vo.愛美の持つランダムスターの星マークが、ギター内部に組み込まれたLEDによってキラリとライトアップしたのが印象的だった。アニメ第1期の映像とともに、ステージ上は満点の星空のようにキラキラと輝き、客席のペンライトの光が揺れる光景が一つになり、まさに“星の鼓動”を目にしているかのようだ。

もし1人で悩んでいる人がいたら“1人じゃないよ”ってこの曲で伝えられたら…

メンバーにとって“とても特別な曲”だという『Light Delight』は、実におよそ2年半ぶりの披露となった(Day1ではアンコールパートでの披露)。しっとりとしたピアノのアルペジオで始まり、それぞれの音が寄り添ってゆく。メンバーが涙を堪えながら想いを込めて演奏している姿が胸に刺さる。

Gt.大塚 紗英「(バンドをやる上で)“声優です”っていうからこそ、“声優”という肩書きに逃げたくない

アンコール前に上映された映像は、“Poppin’Party NEXT LEVEL”と題され、今回のライブに至るまでのメンバー5人の様々な想いや今後の目標や願望が語られ、5人それぞれの言葉にとても重みを感じた。

しっとりとした5人のユニゾンから引き込まれる『前へススメ!』は今回はDay2アンコールパートのみでの披露となった。Aメロからサビにかけて、Gt.&Vo.愛美以外の4人それぞれの歌唱パートと楽器の音が重なっていく。ポピパの一体感を感じられるナンバーだ。

最後の曲の前に、最新情報の告知を兼ねたMCで5人の想いを改めて言葉にしてくれた。Day2開催日はGt.大塚 紗英の誕生日前日ということもあり、即興バースデーソング(伴奏は大塚自身が演奏)でお祝いする一幕もあった。

Gt.&Vo.愛美「お客さんは声を出せないけど、心の中で一緒に歌ってくれている
次が本当に最後の曲です!えー!
“えー”ってみんなが言えないから、代わりに自分で言いました(笑)

Day1の最後を飾った『ミライトレイン』は、アニメ第3期のフィナーレを彩った、劇中のポピパの成長の証とも言えるナンバーで、修行で大きく成長を遂げた彼女たちにピッタリだ。“同じ景色を見つめながら一緒に前に進んでいきたい”ポピパとファンの絆を改めて感じさせてくれる。

みんなの心の声、たくさん聴かせてください!

そしてDay2では『Yes! BanG_Dream!』を締めくくりに持ってきた。タイトルにバンドリ!の名を冠した、最初期のナンバーのひとつ、やはりこの曲をやらなければ終われない。Key.伊藤 彩沙がタンバリンを持ってステージを縦横無尽に動き回ったり、満面の笑顔で客席やカメラに駆け寄ったり、メンバーに絡んでいく。最も演奏回数を重ねてきた曲であるということもあり、シンプルな曲の中でも、速弾きがあるなど、各楽器の演奏に惜しみなくアレンジを入れているのがわかる。金色に輝く星の形の紙吹雪が舞い、“キラキラ”と“ドキドキ”が会場中を満たした。

演奏終了後、メンバーが挨拶して回る中、BGMの『CiRCLING』をGt.&Vo.愛美が口ずさみ、だんだんテンションが上がって、思わず歌ってしまう一幕があった。この自由さ、楽しげな光景はポピパならでは。

“修行明けワンマンライブ”は、今までのポピパのライブとは何かが違った。数曲聴いただけで“音が良い”とすぐに感じた。それぞれの楽器の音圧がとても大きく、グッと前に出てくるのだが、単に音量が大きいという事ではない。音像、音の粒立ちひとつひとつが鮮明なのだ。これは、会場の設備環境や機材セッティングでもブラッシュアップさせることはできるが、それだけが要因ではないだろう。間違いなく、修行で磨いてきた演奏技術の賜物だ。演奏の一体感、グルーヴ感がとても良い。

そして、ポピパは“みんなに笑顔を届けるバンド”だ。その言葉の通り、どの場面を思い返しても、ふと笑顔になれるような2日間であった。 ポピパにはまだまだ目標や願望がたくさんある。そして2021年にはMorfonicaとのツーマンライブ開催も決定している。これからも頼もしくバンドリ!プロジェクトを引っ張って先頭を走り続けていくポピパの活躍に、ファンとして期待が膨らんでいく一方だ。

取材・文:佐々木雅晃
ライブ撮影:畑 聡

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