2021.2.22@横浜アリーナ Roselia×RAISE A SUILEN合同ライブ「Rausch und/and Craziness Ⅱ」ライブレポート(後編)

前半の雰囲気とは一転、荘厳な交響曲と共にスクリーンに青い薔薇の花びらが舞い散り、その奥にRoseliaのロゴが浮かび上がる。

Avant-garde HISTORY』と共に幕が上がると、そこには新衣装を身に纏ったRoseliaの5人がいた。アニメ第3期の最終話に登場した5人の衣装が忠実に再現されており、スクリーンに映るアニメ映像とのシンクロがとても素晴らしい。イントロや間奏でGt. 氷川紗夜(CAST:工藤晴香)が凛々しい表情で奏でる技巧的なフレーズが印象的だ。Roseliaらしいヘヴィなロックサウンドでありながら、3拍子のリズムやピアノサウンド、歌詞の一言ずつが持つ気品も相まって、優雅な世界観で観客を魅了した。

もはやライブの定番と言える『FIRE BIRD』が始まると、客席が一面真っ赤なペンライトの光で満たされ、ステージも赤々と輝く。メンバーと観客の熱量が実体化したかのように、ステージ前面から轟々と火柱が燃え上がる。Dr. 宇田川あこ(CAST:櫻川めぐ)が奏でる力強いツーバスのサウンドを存分に浴びることができる。バスドラムに限らず全体を通してドラムの手数の多く、そのテクニックに圧倒された。熱いアッパーチューンを2曲目で披露することで、観客を一気に惹き込んだ。

メンバー紹介を終え、『PASSIONATE ANTHEM』が披露される。Roseliaの楽曲の中でも特にキーが高くテンポも速い楽曲を、Vo. 湊友希那(CAST:相羽あいな)がソウルフルなハイトーンボイスで高らかに力強く歌い上げる。“かかって来なさい 勝てると思うのならば”この挑発的なフレーズは、良きライバルであるRASへ向けたリスペクトなのかもしれない。

カバー曲の『シャルル』は、前述のRASによる『劣等上等』と同じく、有観客ライブでは今回が初披露となった。ボカロ曲らしいポップなメロディとRoseliaのサウンドの融合が新鮮なナンバーである。また、この楽曲からGt. 氷川紗夜はP-90タイプのピックアップを搭載したギターに持ち替えており、鈴の音のようなクリーンと、輪郭のあるドライブサウンドが特徴的だ。

続いての『Song I am.』は、“これまでのRoselia”と“これからのRoselia”がギュッと詰まったような楽曲だ。ファンにとっては聴き馴染みのある要素が散りばめられながらも、新たな道へと歩み出す決意が紡がれている。演奏に臨む5人の凛々しい表情、バンドサウンドの一体感に心を奪われた。白い鳥が高く、遠くへと飛び立ってゆく映像は、果てない高みを目指すRoseliaの姿を強く感じさせる。

シリアスなナンバーを披露した後のMCでは、公演日の2月22日にちなんだファンサービスで会場を和ませた。

ここからの3曲はスペシャルメドレーだ。いずれの曲も『ガルパ』で描かれている各キャラクターのストーリーと重要な関わりがあるナンバーで、それが演奏している彼女たちの姿からも感じ取ることができる。3曲を通して、Vo. 湊友希那が演奏中のメンバーへ向ける眼差しも見逃せないポイントだ。

熱量の込められたピアノソロから始まる『Ringing Bloom』は、Key. 白金燐子(CAST:志崎樺音)による凛としたソロ歌唱パートが印象的で、サビにかけてVo. 湊友希那の歌声へと繋がっていく展開が、燐子とRoseliaの絆を象徴しているようだ。

陽だまりロードナイト』では、春の木漏れ日のような暖かい音と光が溢れ出す。Ba. 今井リサ(CAST:中島由貴)によるメロディアスなベースラインが、ボーカル、そして他の楽器隊と絶妙なコンビネーションを織りなす。

メドレーの最後を飾る『Determination Symphony』は、Gt. 氷川紗夜が抱いていた妹に対する想いや決意を描いたナンバーだ。弦を弾く手に感情が込められ、音の表情が変わった。さながら打ちつける雨粒のようなサウンドだ。

優しいピアノソロとスモークが辺りを包み込む。しっとりとしたバラードナンバー『軌跡』は、これまでRoseliaが歩んできた道を知るファンにとって、とても特別な曲のひとつだろう。「ありがとう」というとてもストレートな歌詞が胸に沁みる。音の粒をひとつひとつ噛みしめるように紡がれる優しいメロディに合わせて、ゆっくりと揺れるペンライトの光景は筆舌に尽くしがたいものがある。

鐘の音が響き渡るイントロが特徴的『Blessing Chord』は、初披露の新曲だ。ステージセットのデザインと曲のアレンジが相まって、荘厳な世界観を織りなす。ハードロック・サウンドの中にバロック音楽的な雰囲気が漂い、エレガントでありながら疾走感と力強さのあるナンバーだ。これまでの楽曲の中でも特に、5人のソロ歌唱パートがふんだんに盛り込まれていて、それがひとつのハーモニーに繋がっていく様がとても美しい。Roseliaの新しい一面を感じられた。

MCを挟んで次に披露されたのは『BLACK SHOUT』だ。前回のラウクレではアンコールで、両バンドのコラボ演奏によって披露されたこの曲だが、やはりRoseliaのセットリストで楽しむ味わいも代え難い。最も演奏を重ねてきた曲だけあって、全員のサウンドの一体感、パフォーマンスの熟成を強く感じる。クライマックスでは5分割された画面に5人のアップが映し出され、観客のテンションがさらに熱く高まった。

湊友希那「音楽で、心で繋がっていると信じている。大丈夫、私たちはここにいる

セットリストの最後を飾るのは、初披露の新曲『ZEAL of proud』だ。どの楽器に対しても難度の高いフレーズが散りばめられているのがわかる。Bメロの5人によるソロ歌唱パートの展開は、ひとりひとりの力が合わさることで新たなRoseliaとしての集大成が花開いていくようだ。そして友希那がメンバーひとりひとりを指差していく振り付けでは、その指の先端まで想いや感情が満ち溢れている。大サビで金銀の紙吹雪が舞い輝き、観るものを陶酔へと導くパフォーマンスに幕を下ろした。

取材・文:佐々木雅晃
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