2024年2月の大阪からスタートを切り北海道、愛知、福岡と日本各地を回ってきたライブツアー「Rosenchor」。Roselia初の全国5都市8公演に及ぶ全国ツアーが、ついにこの日、東京ガーデンシアターでファイナルを迎える。大型ツアーの集大成となる今回、どんなステージを見せてくれるか、大きな期待を抱かずにはいられない。
ライブ本編前には 人工歌唱ソフト「夢ノ結唱 ROSE」によるオープニングアクトが披露された。Roseliaが活動初期からカバー演奏してきた『魂のルフラン』では、非常に優れた解像度で本人ボーカルの音源に肉薄しているのがわかる。
ロックバンドTHE SPELLBOUNDによってクリエイトされたオリジナル楽曲『マルカリアンチェイン』は、Roseliaのサウンドスタイルにとらわれない、人工歌唱ソフトならではの大胆なアレンジながらも、歌声には確かに“友希那らしさ”が存在している。まさにどこまでも羽ばたいて行けるような無限の可能性を秘めたツールであることを目の当たりにできた。
開演時間を迎えると、荘厳でシンフォニックなBGMに乗せてRoseliaの面々が登壇し、客席から割れんばかりの拍手と歓声が起こる。ステージ上でメンバー同士がハグしあう微笑ましい様子が観客のテンションに拍車をかけていた。

1曲目からハイテンポなアッパーチューン『ROZEN HORIZON』で観客を高みへと導いていく。Vo.湊 友希那(CAST:相羽 あいな)のパワフルなハイトーンボイスと、客席から聞こえるコーラスが重なり、会場の一体感を高めていく。続けて『ONENESS』へとノンストップで展開し、ここでも客席から大きなコーラスやコールが起きる。

今回、腰のアクシデントに見舞われて激しい動きに制約こそあったが、持ち前の歌声はその影響を全く感じさせないパワフルかつ抜群の安定感を誇るものであった。それどころかむしろ普段より一層“声”に魂を込めたアツいボーカルで観客を魅了した。「Rosenchor」にふさわしい素晴らしい“声”を全国のファンに届けてくれた。
メンバー紹介・MCを終えるとここで日替わり曲『PASSIONATE ANTHEM』が披露された。バンドのアツい演奏に応えて観客もアツいコールをこれでもかと言わんばかりに送り、会場のボルテージがさらに高まっていく。
続いての『覚悟のLiberation』ではメロディアスな曲展開にリズム隊の豊かな表現が折り重なったバンドサウンドに、5人のソロ歌唱パートが映えることで観客を一層Roseliaの世界へと誘う圧巻のステージだ。

暗転したステージにKey.白金 燐子(CAST:志崎 樺音)にスポットライトが当てられると、美しいピアノソロがしっとりと会場に響き渡る。キーボードが編成されたバンドは数多くあれど、この優雅なピアノサウンドはRoseliaのアイコンと言っても良いだろう。ピアノソロからシームレスに『“UNIONS” Road』へと展開し、ここでも壮大なコールレスポンスが観客とバンドの間で交わされた。
ここで Roseliaファンに愛されているライブの名物コーナー、幕間映像“キャラくず”が上映される。これを楽しみにしている観客も少なくないだろう。客席からは何度も大きな笑い声が起こっていた。 この “キャラくず” 企画はなんと今回で記念すべき10回目を迎えた。


曲ごとに仕様の異なる3種類のESP M-II SAYO IIを使い分ける。フロイドローズブリッジ×セイモアダンカン製SENTIENTとNAZGUL搭載機は質量感の大きいドッシリとしたサウンドだ。FISHMAN Fluence Modern Humbucker搭載機は特出したパワーと音抜けの良さでギタートーンをどこまでも響かせる。 バンドとしては歪みサウンドが主体だが、『軌跡』で聴けるVintage P90 Silencerによるノイズレスでかつクリアで煌びやかなクリーンサウンドも素晴らしい。テクニックだけでなくギタートーン“音”に深いこだわりを持ったギタリストだ。
ピアノソナタに乗せてGt.氷川 紗夜(CAST:工藤 晴香)がひとりステージに登場し、アグレッシヴなタッピングやアーミングを駆使したギターソロで観客を大いに沸かせる。普通に弾くというより弦を叩いて鳴らし、複雑にエフェクトをかけることで独特なサウンドが会場にこだまする。ギターソロパートを経て、ライブの後半戦スタートを彩る『THE HISTORIC…』が披露された。重厚感のあるRoseliaのサウンドが心地よい。

dwのCollector’s Series Pure Maple “SSC”キットを軸に、シグネイチャーシンバルPAiSTe 900 SP10 ROSELIA、スネアドラムdw CL1455SD / Roselia-Akoを組み合わせる。持ち前の元気でパワフルなプレイスタイルや、Roseliaにとって象徴的なツーバスのビートに目が行きがちだが、エッジが効いたスネアやメロディアスなタムのプレイも非常に豊かな表現で観客を魅了していた。ところどころに織り込まれたフィルインフレーズの強弱の抑揚がとても効果的に楽曲を彩っていた。
ここでDr.宇田川 あこ(CAST:櫻川 めぐ)にスポットライトが当てられ、ソロプレイパートを披露。ドンドンとタムを叩く音に乗せて観客が「あこ」の名前でコールレスポンスを行う。そこにBa.今井 リサ(CAST:中島 由貴)も加わり、先ほどと同様に「リサ」の名前でコールレスポンスが展開し、さらにリズム隊2人によるグルーヴィーなセッションへと発展していく…そして『R』へと繋がるアツい構成で会場の熱量を引き上げていく。演奏中も観客を煽るような手振りやファンサービスを振る舞い観客のハートを撃ち抜いていた。

Roseliaのメンバー5人の色がそれぞれ気高く咲き誇るようなステージが展開していく。
続いてのパートではライブ演出に観客も協力し、ペンライトをブルーとイエローの光で客席を満たし、星空のように彩られた中で『軌跡』が披露された。 紗夜、リサ2名がステージ中央に座り、しっとりとしたバラードナンバーが心に沁みるステージに観客の心は震えたに違いない。

全般を通してESP BTL LISA II(Seymour Duncan SJB-1搭載機)をメインに駆使する。アタックの効いたスラップ奏法を筆頭に、とてもクリアでクッキリとしたサウンドが特徴だが、それだけにとどまらず、まるでウッドベースのようなふくよかで有機的なトーンでメロディアスなプレイも届けてくれる。彼女の多彩なテクニックを存分にアウトプットできる優れた楽器であることがよくわかる。『R』前のセッションはもちろん『Dear Gleam』での速弾きは特に必見のプレイだ。
ここで日替わり披露された『Sprechchor』。客席のコールと折り重なって壮大なハーモニーが高らかに響き渡った。
いよいよこの日のライブも終盤に入る。つまり全国ツアーの終わりが近づいてきたと言うことだ。その名残惜しさを次へのステップの力に変えて『Dear Gleam』を披露する。演奏のボルテージが一層増し、サウンドのパワーが増したのが感じられる。

「必ずまた会いに来る」
ファンへの約束をのせて『一逢のFull Glory』を披露する。アッパーチューンでありながらもクリーンなギターバッキングがあり、爽快なサウンドが心地よい。さらにノンストップで『Floral Haven』を披露し観客をさらに沸かせる。本公演の直前にリリースされたばかりのRoselia 3rd Album「Für immer」に収録の新曲をここで初披露してみせた。スカッとした疾走感、パンクロックのエッセンスを感じられるアップテンポなパートとしっとりとしたパートのメリハリが最高だ。
クライマックスでステージの上部から5色の花びらがひらひらと舞い散り、客席の色とりどりのペンライトと相まって、広大な花畑のような景色が広がった。
アンコール前に“キャラくず” 企画の決着が公開され、再び観客を爆笑の渦に巻き込んでいた。


持ち前のテクニカルな鍵盤さばきとRoland FA-08のサウンドは、Roseliaのバンドサウンドに「優雅さ」というキャラクターを付与する重要なファクターだ。特に『“UNIONS” Road』前のピアノソロパートでは存分にテクニックとサウンドを堪能できる。ただ優雅なだけでなく、POPやロック向きのアタックの効いた音抜けの良いサウンドにセッティングされており、 聴くものに高揚感と癒しを与えてくれる。『R』で聴けるRoland JUNO-DS61によるキャッチーなリードシンセサウンドも良いアクセントだ。
アンコールパートでは『FIRE BIRD』、『VIOLET LINE』の2曲が奏でられた。どちらもバンドの演奏と、観客のクラップや歌声が一つになって、これまでにないほどの一体感で会場が包まれた。これまでの各地で収録された観客の歌声も重ねられ、まさにツアーの集大成が美しく昇華した瞬間だ。
バンドカラーの銀テープがキラキラと会場を彩り、LIVE TOUR「Rosenchor」はついにグランドフィナーレを迎えた。観客の歓声がいつにも増して熱を帯びていた。
“全国ツアー”という彼女たちにとって大きな目標を達成したRoselia。彼女たちの表情は達成感に満ちた眩しいものであった。しかし彼女たちの目はすでに“先”を見ているようだ。もちろんこのツアーをゴールにするつもりはなく、また次も各地にいるたくさんのファンにRoseliaの音楽を届けていくんだという強い意気込みを感じた。
DAY2の公演日である6月30日は、奇しくも2017年にRoselia 1st Live「Rosenlied」が行われたのと同じ日付だ。活動開始から8年目を迎えたRoseliaの活動の節目と言うにふさわしいライブだった。
すでに決まっている12月の単独ライブ(Roselia「Stille Nacht, Rosen Nacht」)に向けて、彼女たちの躍進はまだまだ止まらない。
取材・文:佐々木雅晃
Photo:ハタサトシ
©BanG Dream! Project
《SET LIST》
- オープニングアクト:夢ノ結唱 ROSE
- 1.魂のルフラン
- 2.マルカリアンチェイン
- Roselia
- 1.ROZEN HORIZON
- 2.ONENESS
- 3.PASSIONATE ANTHEM
- 4.覚悟のLiberation
- 5.“UNIONS” Road
- 6.THE HISTORIC…
- 7.R
- 8.軌跡
- 9.Sprechchor
- 10.Dear Gleam
- 11.一逢のFull Glory
- 12.Floral Haven
- EN1.FIRE BIRD
- EN2.VIOLET LINE
Roselia
Roselia 単独ライブ開催決定!

2025年6月15日(日)に有明アリーナにて、Roselia単独ライブの開催が決定!
オープニングアクトには夢限大みゅーたいぷが出演。
<公演概要>
◆公演名:Roselia単独ライブ
◆日程:2025年6月15日(日) 開場16:30/開演17:30(予定)
◆会場:有明アリーナ
◆出演:Roselia
オープニングアクト:夢限大みゅーたいぷ
詳しくはこちら
https://bang-dream.com/events/roselia2025live
Roselia 16th Single「Dazzle the Destiny」 6.26 On Sale!!

定価:Blu-ray付生産限定盤:9,900円(税込)/通常盤:1,540円(税込)
品番:Blu-ray付生産限定盤:BRMM-10918/通常盤:BRMM-10919
発売日:2025年6月26日 (木)
商品タイプ:Blu-ray付生産限定盤:シングルCD+Blu-ray/通常盤:シングルCD
Roselia 16th Single 書き下ろし表題曲の「Dazzle the Destiny」は、“運命”が映し出す光の側面を描いた楽曲。交響的なサウンドと壮大なスケールのリリック、幾重にも折り重ねたコーラスが一体となった圧巻のアンセムナンバーだ。神話の如く綴られる荘厳な世界観に没入していただきたい。
カップリングに収録されるのはスマートフォン向けゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」でも配信中の「Grateful Melting」。こちらはメンバーへのリスペクトが一心に込められた、切なくも温かいロックバラードに仕上がっている。
Blu-ray付生産限定盤には、2024年12月に武蔵野の森総合スポーツプラザにて開催された単独ライブ「Stille Nacht, Rosen Nacht」を収録。
Roseliaが奏でる音の真髄を、心ゆくまで堪能してほしい!
詳細はこちら
https://bang-dream.com/discographies/4027
Roselia 17th Single「Requiem for Fate」6.26 On Sale!!

定価:Blu-ray付生産限定盤:9,900円(税込)/通常盤:1,540円(税込)
品番:Blu-ray付生産限定盤:BRMM-10920/通常盤:BRMM-10921
発売日:2025年6月26日 (木)
商品タイプ:Blu-ray付生産限定盤:シングルCD+Blu-ray/通常盤:シングルCD
Roselia 17th Single 書き下ろし表題曲の「Requiem for Fate」は、“運命”が落とす影の側面を描いた楽曲。渦巻く不穏な調べに激情が入り乱れた、これまでにない世界観の一曲に仕上がっている。眼前の絶望を憂うような語りから一転、“それでも どうか謳わせて”と懇願するように歌い叫ぶボーカルは必聴だ。
Blu-ray付生産限定盤には、2025年2月に浦発銀行東方体育中心にて開催された「Stille Nacht, Rosen Nacht」上海追加公演を収録。
Roseliaが拓く新たな境地を、その身で体感してほしい!
詳細はこちら
https://bang-dream.com/discographies/4028