音楽と楽器のたのしさ、魅力を発信する会議(カンファレンス)がふたたび!
各ジャンルの第一線で活躍するミュージシャンをゲストに迎え、一夜限りのコラボレーションライブを提供する「Music Conference!」。その第二弾となるMusic Conference! Vol.2 が、9/25(水)築地・汐留のBLUE MOOD にて開催された。
「このイベントをきっかけに、楽器と音楽を楽しむ人が一人でも増えてくれたら嬉しい」――。
そんな想いをキーコンセプトに、昨年に続いての開催となった本公演では、宇都圭輝(Key)、佐藤優樹(Gt)に加えて、才恵加(saeka)(Sax)、mika(Dr)、kurumi(Vn)、山田潤一(Ba) が新たに迎えられ、6人組のバンド編成が組まれた。普段は見ることのできないミュージシャンの一面を間近で感じながら、特別な巡り合わせの中で生まれたスペシャルなライブパフォーマンスやトークが楽しめる、人気イベントである。
時刻は19:00。小雨まじりの築地、汐留。食とくつろぎの演出によりゆっくりと、上質な時間が流れる中、暖かな拍手で迎えられたメンバーがステージへ。誰もが知る往年のナンバー『ルパン三世のテーマ』で、華々しくライブのスタートを飾ったメンバーたち。ステージ中央に才恵加(saeka)とkurumiを配置した目新しい編成の中、おなじみのフレーズが熱くファンを沸かせてくれる。
一夜限りのライブだからこその一体感を大切にしたいとの想いから、メンバー紹介を交えながら、あらためて「お互いを愛称で呼ぼう!」と持ち掛けられると、けいちゃん(Key)、ゆーきんぐ(Gt)、さえちゃん(Sax)、みか先生(Dr)、くるみちゃん(Vn)、やまださん(Ba) と、それぞれにチャーミングなネームとなって、会場はより親しみやすく、和やかなムードに包まれていった。
宇都圭輝自ら楽曲解説を行い披露したのは、自身のオリジナル楽曲である『カリブの風』。この楽曲にのみ登場した佐藤優樹所有のガットギター(クラシックギター)についても触れながら、音色の特徴、使われるジャンルについての説明といった、楽器にまつわる興味深いトークも展開してくれた。美しいピアノの旋律にガットギターのトーンが冴える情熱的で甘く官能的なナンバーであり、ソプラノサックに持ち替えた才恵加(saeka)が優雅につなぐ。重厚かつ安定感のある山田潤一のベースとmikaのドラムも相まった芳醇な空間が実に味わい深い。
次曲の『Call me』は、才恵加(saeka)が今年7月にリリースした3枚目のニューアルバム『NEW CITY』からの1曲。極上のサックスサウンドの中で、kurumiが軽やかに、澄んだヴァイオリンの音色を重ねていく。2人の印象的なユニゾンを受けながら、宇都圭輝がスケール感あふれるソロでムードをぐっと深めると、リズムに身体を揺らしながら演奏するメンバーたちの姿がよりいっそう魅力的なものとなって、自然と心が弾んでいるのを感じるのだった。
ライブセッションでの披露は滅多にないという佐藤優樹の『Cogito Ergo Sum』は、疾走感で走るアグレッシブな展開を全員で魅せた堂々たるパフォーマンスであった。この日限りの特別な空間を共有し、楽しもうとするエンターテイナー性と、生演奏のみが持つ迫力に感化されたオーディエンスからは盛大な拍手が送られ、会場はより深く、熱を帯びていく。
「Music Conference!」では、メンバーたちがこれまでに経験してきた、楽器と音楽にまつわるエピソードトークが随所に散りばめられており、普段は見ることのできないミュージシャンの一面を間近で感じることができる点も醍醐味なのである。
最初のテーマとして設けられたのは、「自身がその楽器を選んだきっかけや、その楽器でプロを目指そうと思ったターニングポイントは?」というもの。
憧れの師匠に近づくために熱を入れて踏み込んだという、当時の弟子入り話をしてくれた佐藤優樹。
ポップス、ジャズシーンでの憧れから高校進学を機に念願のサックスを手にしたという才恵加(saeka)。
おジャ魔女どれみになりたくて5歳からヴァイオリンをはじめたkurumi。
小室哲也の世界観に惚れ込み、没頭した宇都圭輝。
プロを目指し、そしてプロになるために上京し夢を掴んだ山田潤一。
バンドで唯一椅子に座れるドラムがよかったというmika。
そのどれもが実に個性豊かで、笑いありのおもしろエピソードが次々と飛び出すと、会場は笑顔に溢れ、場を温めてくれたメンバーたち。
再びのライブシーンでは、才恵加(saeka)による『Misty Blue』が披露された。サックスの揺れ動くメロディにギターのワウサウンドが溶け込むブルージーな雰囲気が、「霧を挟んだ東京タワー」という楽曲イメージを見事に描き出し、淡くも美しい光景の中で、柔らかな拍手が溢れていく。
続く宇都圭輝が手掛けた『Feel Like Spring』では、この日に出会った楽器たちが楽しそうに躍動し映える、ジャズライクなサウンドが爽やかな風となって会場中を吹き抜ける。暖かな旋律と、柔らかなリズムセクションの心地よい会話をいつまでも聴いていたいような、皆それぞれが、心の赴くままに身を浸している姿が印象的だった。