次のエピソードトークでは「楽器や機材を選ぶときは音や性能で選ぶ派?見た目で選ぶ派?」という問いに答えてくれたメンバーたち。
「僕の場合は仕事として、求められた音を出せるような楽器を選んでいるという側面があります。ただ、そういうのを抜きにできるなら、完全に見た目です!」「今日使っているSCHECTER EX-V-24-CTM-FRTは、より高音域を使いこなすためにセレクトした24フレット仕様のモデルになってます」(佐藤優樹)
「(愛機のSELMER MARK VIIを掲げながら)これはどう見ても性能ですよね笑。結構なぼろぼろの見た目ですけど、とてもパワフルで、ジャズシーンだけじゃなく、ロックやフージョンでも使っていけるプレイヤー志向のモデルです。ヴィンテージなのでメンテナンスは大変ですが、レコーディングには欠かせない大切な楽器。手放すことはできないなって思います」「でもやっぱり、きれいでキラキラした楽器を使いたい!ってこともあるんですよ笑。なので性能と見た目は半々ですかね」(才恵加(saeka))
「今日のヴァイオリンはエレキなんですけど、映えるこの青色なら、ステージにたった時にファンの子たちが見つけやすいかなって!」「ヴァイオリンの形はきちんと保ちつつ、色がめちゃくちゃ可愛いというのもあって一目惚れで選びました!」(kurumi)
「てっちゃん(小室哲也)といえばYAMAHAなんですよ。なので最初に買ったのはEOSでした。でもその後にRolandが出したFANTOMがすごくカッコよくて、、すぐに乗り換えてしまいました笑。そこからはずっとRolandです」「シンセサイザーとかデジタル・ピアノって大概が黒色なんですけど、僕のRD-2000は赤色!世界に1台の貴重なもので、メタリックレッドな質感が男性ウケ抜群です。見た目は大事!目立ってなんぼですよね」(宇都圭輝)
「僕は最近、楽器を資産価値として見ている部分もあります。楽器も年々値上がりしてるから、未来に向けて少しでも価値の上がるものを笑」「これはFenderのAmerican DeluxeにSadowskyのピックアップを搭載した流行りのカスタム品。国内では出回りが少ないから、将来値上がりするかなって思ってます笑」「もちろん、ボディやネック、フィンガーボードの違いだったり、4弦か5弦かでも音は変わるから、それぞれをセレクトした上で、あとは資産価値で選んでます!」(山田潤一)
「私はスティック1本を取っても、機能性で選ぶことが多いです」「今日のスティックは衝撃や曲げに強いヒッコリー材の中でも、特に中心の硬い部分だけを使って作られているカナダ製のもの」「1日に2セット折れちゃうこともあるくらいにスティックは消耗品。これだと3日くらい持ってくれるし、好みのタイト目で粒だちの良い音、コントロールのしやすさがお気に入りです!」(mika)
ショルダーキーボードへの持ち替えをアナウンスして始まった『TEAM神風Tornado』は、過去、宇都圭輝が「ミニ四駆・ダンガンレーサー(株式会社タミヤ)」のチーム、TEAM神風~KAMIKAZE~へ提供したという楽曲。今回はギターの佐藤優樹たっての願いで実現したという、特別バージョンでの披露となった。BPM高めのアッパーチューンにバンドメンバーが一際魅せる。正確なリフと唸るソロ。そこをメロディが颯爽と駆け抜けたと思えば、ドラムとベースが躍動感を持って弾けていく。アグレッシブなバンドサウンドが一体となった渦の中で、色とりどりの楽器がキラキラと輝く。
スピード感を維持したまま続けた『Flame of Hope』は、メディアミックス作品「BanG Dream!」に登場するガールズバンドMorfonicaからの1曲。序盤から原曲さながらの迫力で突き進み、エネルギッシュなサウンドの中にメロディックな要素を取り入れながら、サックスとヴァイオリンが華麗に歌い上げる。演奏陣それぞれが展開した冴え渡るアレンジもライブならではで、会場からは惜しみない拍手と共に、渾身の賞賛が贈られたのだった。
「絶対知らない人はいない!」とkurumiが宣言してスタートさせたのは、屈指のヴァイオリニスト葉加瀬太郎の『情熱大陸』。オーディエンスに笑顔を向け手拍子を求めながら、おなじみのキラーフレーズで熱くファンを鼓舞していく。サビからシームレスに展開したベースから、サックス、ギター、キーボード、……と紡いでいった6人の「Music Conference!」が嬉々として会場に伝播していった。
トークコーナーの最後となった「今だから言える!裏話&こぼれ話」では、これまでに体験したヒヤリ・ハットを絡めながら、それぞれに事故あり!怪我あり?!な、ディープでインパクトのある話題を届けてくれた。そうした困難や経験を積んだ結果で今があるのだと、笑いに変えて話してくれたメンバーの姿は微笑ましく、頼もしいものとして写り込み、そこには絶えず温かな時間が流れていた。
本編のラストを飾るナンバーの始まりは宇都圭輝の『Summer Ocean』。軽快に弾むキーボード。煽情的なサックスの響きと、それに寄り添うヴァイオリンの調べ。ギターは情熱的に鳴らされ、滑らかにベースを奏でながら、変化するリズムをコントロールし、正確に繰り出されるドラム。もう一度引き込まれるような爽快な夏気分にフロア中が歓喜し、再び気持ちを熱く騒がせてくれる。
続いたのは才恵加(saeka)のアンセムナンバー『SKY』。サックスの魅力を全面に押し出すような、フレッシュで伸びやかな情景がより一層広がりを見せる。音楽と楽器を通じてメンバーが巡りあい、それぞれのファンがその場に集う、非日常。この特別を享受したメンバーがご満悦な表情を見せながら、本編最後の瞬間まで心弾むアンサンブルを豊かに響かせ、笑顔でステージをあとにした。
1曲1曲を演奏し終えるごとに、メンバーたちがそれぞれの楽曲について想いを語り合う姿が、この日のライブを象徴するシーンとなって深く記憶に刻まれている。
一夜限りのスペシャルバンドだからこそ実現した、ライブを通じて音と音が連鎖し合うキャッチボールのような、音を通じた会話。「オレはこう思うんだけど、オマエはどうなの?」とか、「ワタシはこうするけど、アナタならどうするの?」といった音のキャッチボールをしていくうちに生じる、自然的な発想が生のライブの魅力であり、それが私たちを深く誘うのだろう。
楽しそうな音楽と楽器の有意義なカンファレンス。メンバーとファンとの間で交わした弾ける笑顔がそれを証明してくれた。
取材・文:廣瀬航
Photo:小谷歩美
《SET LIST》
- 1. ルパン三世のテーマ
- 2. カリブの風
- 3. Call me
- 4. Cogito Ergo Sum
- 5. Misty Blue
- 6. Feel Like Spring
- 7. TEAM神風Tornado
- 8. Flame of Hope
- 9. 情熱大陸
- 10. Summer Ocean
- 11. SKY