SATOち(dr)の脱退表明を受けて、オリジナル・メンバーのラスト・ツアーとなる<202X惡-The brightness world>を2020年2月から10月にかけて行なったMUCC。同ツアーはライブの上質さはもちろん、サウンド・システムも彼らの意欲を感じさせるものだった。MUCCのリーダーであり、ギタリストのミヤがギター周りにとどまらず、バンドのサウンド面全体を取り仕切っていることをご存じの方は多いと思う。「人間がすごくいい音を聴いたときというのは本能的に、“なにかヤバいな”というのがわかりますよね。コロナ禍でコンサートの楽しみ方が制限される中、サウンドの深いところでお客さんを本能的にいいなと思わせないといけない部分があるなと思って、そこはこだわりたかった」(ミヤ)。そんなミヤが中心になって構築した4人体制ラスト・ツアーのサウンド・システムの全貌と、9月23日に中野サンプラザで行なわれた東京公演のライヴレポートをお届けする。

MUCC 202X 惡-The brightness world
2021.9.23@中野サンプラザホール ライブレポート

バンドを結成した1997年から20年以上にわたって行動を共にしてきたSATOち(dr)が脱退するという衝撃的なアナウンスが2020年12月2日になされた後、今年2月から現体制でのラスト・ツアーとなる<202X惡-The brightness world>をスタートさせたMUCC。当初は5月6日のザ・ヒロサワ・シティ会館 大ホール(茨城県立県民文化センター)で幕を降ろす予定だったが、コロナ禍の影響により東京公演とファイナルの茨城公演は3回も延期となってしまった。ツアー・スケジュールの直前の変更というのは厳しいものがあるし、ましてや節目のツアーということでメンバーやファン、スタッフにとって大きなストレスになったことは想像に難くない。

そんな苦しい時期を経て、9月23日に中野サンプラザで東京公演が行われた。開催が決まって胸を撫でおろしたが、メンバーやファンのモチベーションは下がってしまったのではないか、ライヴのクオリティーはどうなのだろうといった不安を感じる部分もあった。だが、そこはさすがにMUCC。想像を上回る、素晴らしいライヴで楽しませてくれた。

場内が暗転して静かなオープニングSEが流れ、ステージ上に“惡”や“愛”“神”“虫”といった象徴的な文字が浮かび上がる。オーディエンスが総立ちとなる中、ステージにメンバーがゆったりとした足取りで姿を表し、ライヴはヘヴィネスと抒情性を融合させた『惡-JUSTICE-』で幕を開けた。ステージ中央に立って激しいシャウトや伸びやかな歌声を聴かせる逹瑯、身体を揺らしながら重厚なサウンドを轟かせるミヤとYUKKE。そして、ビート・チェンジを用いた凝ったドラミングをパワフルに叩ききるSATOち。凛としたオーラを発する4人の姿とタイトなサウンドからは、メンバー全員がメンタル/フィジカルともに良好な状態で今日を迎えたことが伝わってきた。

SATOち(dr)

その後はジェンティなサウンドに逹瑯のラップなどを配した『CRACK』、高速で疾走するAメロとキャッチーなサビ、ミヤのスリリングなギター・ソロなどを活かした『神風 Over Drive』、メタリック&アッパーな『G.G.』などを相次いでプレイ。メンバー全員が織りなすフィジカルなステージングとスピーディーかつ大胆な展開を見せる楽曲、勢いと安定感を併せ持ったサウンドなどが折り重なって生まれるMUCCの世界は圧倒的な魅力を湛えている。オーディエンスも“声出し禁止”というルールを守ったうえでヘッドバンキングやジャンプ、拳振り上げといった激しいリアクションを見せ、ライヴが進むに連れて場内の熱気はどんどん高まっていった。

ミヤ(Gt)

翳りを帯びた『海月』と暗いダブ、レゲェ・テイストが闇を感じさせる『アイリス』を聴かせた後、「MUCCです」と逹瑯が挨拶。「何ヵ月やっているんですか、このツアー?(笑) 終わらない、終わらない(笑)。まあ、そのお陰で本来は予定のなかったことがSATOちと一緒にできたりして、悪いことばかりじゃないなと。どうせ、なにをやっても変わらない世界で過ごすならポジティブに考えて、今しかできないことを、この状況だからできることを楽しみながら過ごしたいなと思います。何回もツアーの初日を迎えられることを楽しみながら今日は過ごしていこうかなと思います。今日はよろしく」という逹瑯の言葉に、客席からは温かみを帯びた盛大な拍手が湧き起こった。

 ライヴ中盤ではノイジーなテクノ感を纏った『ファズ』やロカビリーが香る『Friday the 13th』、パンキッシュかつ8ビートが爽やかな『昔子供だった人達へ』、温かみのある逹瑯のボーカルやブルージーなミヤのギター・ソロが聴きどころの『落陽』などが届けられた。幅広さを見せながら散漫な印象になるどころか、逆に深度を増していく辺りは実に見事。優れた楽曲やアレンジはもちろん、様々なエモーションを増幅して伝えるMUCCの表現力の高さは群を抜いていて、バラードなどではないにも拘わらずオーディエンスがじっと聴き入るシーンが何度も訪れることが心に残った。

逹瑯(Vo)

メロディアス&エモーショナルな『アルファ』を経て、『スーパーヒーロー』からライヴは後半へ。ここではNOCTURNAL BLOODLUSTの尋が加わって明るいステージングと逹瑯とのツイン・ボーカルでオーディエンスを大いに沸かせた『目眩』や爽快感に溢れた『スイミン』、ラウド・ミュージックとメロコアを融合させた雰囲気の『My WORLD』などが畳みかけるように演奏された。ステージを行き来して華やかにパフォームするメンバー達の姿や心を駆り立てるパワフルなサウンド、一体感を見せつつ熱狂的な盛り上がりを魅せるオーディエンスなどが折り重なって、中野サンプラザの場内は楽園を思わせる空間へと化した。

その後は本編の締め括りとして、メロディアスかつ抒情的な『スピカ』をプレイ。様々な顔を見せたライヴの最後にこういった柔らか味のある楽曲を持ってくる辺りも本当に心憎い。『スピカ』を聴かせてMUCCがステージを降りた後の場内は爽やかな余韻に包まれていた。

YUKKE(Ba)

アンコールでは「もう緊張で、ゲロ吐きそうでしたよ(笑)。俺ね、4~5日前から、この緊張がずっと続いているから。この緊張を和らげてくれたのは練習でした(笑)。でも、みんなも緊張していますっていう言葉をくれて、仲間がいっぱいいるんだなと思った」というSATOちのMCや再び尋が参加して『Mr.Liar』『蘭鋳』などを披露。アンコールも大いに盛り上がったが、アンコールが終わった後もオーディエンスの手拍子が続き、誰1人席を立つことはない。

さらなるアンコールに応えて再びステージに立ったMUCCはオーディエンスの一体になったハミング(声を出せないので)が湧き起こった『優しい歌』に続けて、煌びやかかつ壮大なスケール感を備えた『ハイデ』、ミヤがSATOちをイメージして書いた『明星』をプレイ。胸に強く響く楽曲を並べたメニューでオーディエンスにカタルシスを与えて、オリジナル・メンバーによる最後の東京公演は幕を降ろした。

度重なる延期や最後のライヴから2ヶ月というブランクなどを微塵も感じさせない、観応えのあるライヴを披露してみせたMUCC。ダークなヘヴィネスでオーディエンスを引きずり込む前半、多彩さで魅せる中盤、光を感じさせる後半という幅広さを見せながら常に説得力に満ちていたのはさすがの一言に尽きる。MUCCというバンドの挑戦する意欲や新たな要素を良質かつ個性的なものに昇華するスキルの高さには圧倒されずにいられない。今回のライヴでは、そんな彼らの魅力をあらためて感じることができた。

もうひとつ、“SATOちラスト・ツアー”でいながらしんみりとした空気感やネガティブな雰囲気は微塵もなく、常に進化し続けるバンドにふさわしい最新のMUCCを見せつけたことも印象的だった。このことからはMUCCとSATOちの離別がお互いにとって前向きなものだということがうかがえる。メンバーが1人去るというバンドにとって初の出来事を乗り越えてMUCCはこれからも魅力に富んだ物語を紡いでいくし、SATOちは悔いのない人生を歩んでいくに違いない。そんな双方の明るい未来を強く予感させる素晴らしいライヴだった。

Photo by Susie

サウンドシステム/使用楽器・機材紹介。まずはミヤのギターから

MUCC

New Single 『GONER/WORLD』2021.11.5 Release!!

初回限定盤(CD+DVD) MSHN-116-117 ¥2,420(tax in)
通常盤(CD only) MSHN-118 ¥1,485(tax in)

<収録曲>
01 GONER
02 WORLD
03 XYZ.
04 XYZ. -Original Karaoke-
05 WORLD -Original Karaoke-
06 GONER -Original Karaoke-

MUCC TOUR 202X 惡-The brightness WORLD is GONER

3人体制での始動ツアー。11月4日を皮切りに10公演開催!
2021年11月4日(木)東京 USEN STUDIO COAST OPEN 17:00/START 18:00 *
2021年11月15日(月)なんば Hatch OPEN 17:00/START 18:00 *
2021年11月16日(火)なんば Hatch OPEN 17:00/START 18:00
2021年11月22日(月)仙台 GIGS OPEN 16:30/START 17:30 *
2021年11月23日(火/祝)仙台 GIGS OPEN 16:30/START 17:30
2021年11月26日(金)金沢 EIGHT HALL OPEN 16:30/START 17:30 *
2021年11月27日(土)金沢 EIGHT HALL OPEN 16:30/START 17:30
2021年11月30日(火)名古屋ダイアモンドホール OPEN 17:00/START 18:00 *
2021年12月1日(水)名古屋ダイアモンドホール OPEN 17:00/START 18:00
2021年12月3日(金)東京 USEN STUDIO COAST OPEN 16:30/START 17:30

*朱ゥノ吐VIP会員限定公演

LIVE ALBUM 「Best live CDs from TOUR 惡-The brightness world」2021.12.24 Release

SATOちラストツアーのベストテイクを集めたライヴアルバム
【朱ゥノ吐VIP会員限定受注生産盤】MSHN-119-121 CD3枚組 ¥7,150(tax in)※送料別
【初回限定盤】MSHN-122-124 CD3枚組 ¥5,500(tax in)
【通常盤】MSHN-125-126 CD2枚組 ¥3,850(tax in)

VIDEO「MUCC ライヴ クロニクル4 ~20TH ANNIVERSARY~」2021.12.24 Release

結成20周年公演をまとめた映像作品
【朱ゥノ吐VIP会員限定受注生産盤】MSHN-127-132 Blu-ray 6枚組 ¥19,690(tax in)※送料別
【通常盤(Blu-ray)】MSHN-133-135 Blu-ray 3枚組 ¥9,600(tax in)
【通常盤(DVD)】MSHN-136-140 DVD 5枚組 ¥9,600(tax in)

VIDEO「Crossroad of the brightness world」2022.2.2 Release

SATOちラストツアー 茨城ファイナル公演を収録した映像作品
【朱ゥノ吐VIP会員限定受注生産盤】MSHN-141-142 Blu-ray 2枚組 ¥9,900(tax in)※送料別
【初回限定盤(Blu-ray)】MSHN-143-144 Blu-ray 2枚組 ¥8,800(tax in)
【初回限定盤(DVD)】MSHN-145-148 DVD 4枚組 ¥8,800(tax in)
【通常盤(Blu-ray)】MSHN-149 Blu-ray ¥6,600(tax in)
【通常盤(DVD)】MSHN-150-151 DVD 2枚組 ¥6,600(tax in)


Creek MONO Cases
Heritage 春畑道哉 Dean Icon
新山詩織 Orange Artist Combo Orpheus Valley Guitars
Kamaka TUBE Martin Strings
G7th Capo The Realist RV5PeA SGZ DoraKitty