何時しか観劇から、ライブを彩る一人一人のキャストになって参加していた。それが嬉しかった。

原作漫画の人気から、アニメ化へ。そのアニメが、アニメファン以外の人たちも巻き込み大ヒット。その余波を受け、ついに舞台化!!世のロック好きが熱狂するのみならず、アニヲタたちをロック好きにも染め上げた「ぼっち・ざ・ろっく!」。その舞台公演になるLIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」が、8月11日~20日にかけてTHEATER MILANO-Zaで催された。

一つの作品を形にするうえでも、「漫画だからこその」「アニメだからこその」面白さがある。原作を踏襲するのはもちろんだが、そこへ、その媒体だからこその魅力をどう加え、広げてゆくか。そこを上手くプラスに導いたとき、その作品は大きな広がりを得てゆく。

LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」、この作品も、舞台だからこその脚色を加えたことで、「ぼっち・ざ・ろっく!」ファンはもちろん、同作品の知識がまったくない方でも楽しめる青春舞台劇に仕上がっていた。

“ぼっちちゃん”こと”後藤ひとり”は、会話の頭に必ず「あっ」っと付けてしまう極度の人見知りで陰キャな少女。中学生のときにバンド活動に憧れギターを始めるも友達がおらず、毎日一人で6時間ギターを練習しては、演奏動画を“ギターヒーロー”としてネットに投稿する日々。

高校進学に合わせ、「高校に入ったら絶対にバンドを組むぞ」と意気込んでいたが、相変わらず学校でも”ぼっち”行動。そんな彼女が、“結束バンド”でドラムをやっている伊地知虹夏と出会ったことで、念願だったバンド活動ができることに。しかも、いきなり初ライブまで経験。結果は散々だったとはいえ、ようやく人生に光が射しはじめた―。

憧れだったバンド活動だが、そこでもコミュ障ゆえの欠点が露呈し、いろいろと問題も起こしてゆく。それでも、念願だったバンド活動へと踏み出し、次第に一人の人間として成長してゆく後藤ひとりの姿を物語の中に描き出していた。結束バンドも、オーディションライブで合格を貰い、ついに念願だったライブの場へ立つことになるのだが…。

物語のクライマックスは、結束バンドのライブステージになる。そのステージに立つまでにも、後藤ひとりはさまざまな試練を経験。しかもライブ当日は、台風が直撃してお客さんは半分ほどに…。

ライブでは、『ギターと孤独と蒼い惑星』『あのバンド』『青春コンプレックス』の3曲。その後、カーテンコールの代わりに『Distortion!!』と、全部で4曲を演奏。 一曲目の『ギターと孤独と蒼い惑星』では、いつもの実力を出せない結束バンドの演奏を、舞台の生演奏でも再現。観客たちの反応はいまいち…という脚本通りに物語は進行する。目の前にいるこの舞台を観にきた大勢の観客たちはいつしか物語に入り込み、最初の曲の演奏を終えたときにも、拍手をして良いのか戸惑いを覚えていた。でも…。

メンバーたちの緊張が伝わり、客席のしらけた空気にメンバーたちが呑まれそうになっていたことを察知した後藤ひとりが、ギターの音で会場の空気を一変させる。その勢いにメンバーらも乗じて『あのバンド』を演奏。その様を見ている観客たちも、演奏が終わったときには、大勢の人たちが感動の声と熱い拍手を彼女たちに届けていた…という脚本通りの様子が、そこには広がっていた。

そして、最後に『青春コンプレックス』を演奏。(舞台の観客はみんな椅子に座ったままとはいえ)本当にライブハウスで演奏を見ている気持ちで結束バンドのライブを楽しんでいた。そのうえで、カーテンコール替わりの『Distortion!!』の演奏だもの。胸が熱くなり、拳を振り上げてしまうのも当然だ。演奏が終わり、客席から「ありがとう!!」の声が舞台へ向けて飛ぶ様を見たときには、胸に込み上がる思いも感じていた。これこそが観客巻き込み型の舞台劇LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」だからこそ味わえた、楽しさと興奮と感動だ。

最初こそ、陰キャでコミュ症の後藤ひとりが、音楽やバンド活動を通して一人の女の子として成長してゆく様を楽しみ、アマチュアバンドだからこその現実もリアルに投影しながら、いろんな苦労や苦悩を克服しながらステージに立つまでの姿を好奇心を持って見ていたが、舞台の中へ生バンドでのライブ演奏を組み込むことで、いつしか観劇から、ライブを彩る一人一人のキャストになって参加していた。それが嬉しかった。

いつかスーパースターになって日本武道館や東京ドームのステージに立つんだと夢を見ながら、学校や同じ町の音楽仲間とバンドを組み、彼女たちと同じようにステージというキラキラと輝く場所に立ち、その場所を大きく広げてゆく日々を体験してきた人たちも多いだろう。もちろん、今もその夢を追いかけている人や、求める夢の形は変わっても、ずっとライブ活動を続けている人もいる。たとえバンド活動の経験はなくとも、夢中になってバンドを追いかけたことや、今もあのときの熱狂や興奮から離れられず、心の拠り所として音楽を楽しんでいる人だって、きっとたくさんいるはずだ。

「ぼっち・ざ・ろっく!」は、そんな夢見るバンド少女たちの姿を追いかけた物語だ。バンド活動を、ひいては音楽を通して、一人一人が成長してゆく様を、“夢”という永遠に消えない憧れを軸に据えて描き出している。これは、「青春」という物語。きっと(物語上の)彼女たちと同じ10代だったら、「俺も、わたしも、バンドをやって、仲間と一緒に夢を追いかけよう」という気持ちになっていたかも知れない。

そんな時代を、過ぎ去った青春時代の一風景として受け止めている今、LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」に触れたことで、あのときのような真っ直ぐな気持ちで何かに、誰かと一緒に夢中になりたい気持ちを思い返せば、何事においても心が無謀だった夢を夢みる眩しかった10代の自分に無性に戻りたくなっていた。

この作品は、「今でもガキのような気持ちで、描いた無謀な夢に向かっていけよ」と背中を叩いてくれた。それを「もう無理だよ」と決めつけるのか、いろんな現実を振りきって新しい何かに踏み出すのか。どっちが正しくて、どっちが間違っているなんてことは言わない。なぜなら、どの考え方も、その人にとっての正解だから。ただ、そんな気持ちに戻し、無性にドキドキさせてくれたのが嬉しかった。

今回の舞台の模様は、2024年2月28日にBlu-ray/DVDになって発売される。これを手元に置いておくのもいいかも知れない。LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」をお酒でも飲みながら見ていたら、しまっていたギターを引っ張りだし、手をブインブインに振り回しながら6弦を掻き鳴らしてしまいそうだ。

TEXT:長澤智典

Guitar 後藤ひとり(CAST:守乃まも)使用楽器・機材紹介

LIVE STAGE ぼっち・ざ・ろっく!

LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」 Blu-ray&DVD 2024年2月28日(水)発売!

[完全生産限定版]
■Blu-ray:¥10,780(税抜価格¥9,800)
ANZX-10297~10298
【ディスク2枚組(本編BD+特典映像DVD)】

■DVD: ¥9,680(税抜価格¥8,800)
ANZB-10297~10298
【ディスク2枚組(本編DVD+特典映像DVD)】

収録内容
[本編ディスク]
・公演本編
・日替わりシーンダイジェスト集

[特典ディスク]
・メイキング&バックステージ
・結束バンド密着ドキュメント~結束デイズ~
・カーテンコール集

特典内容
[完全生産限定版]
■三方背ケース
■デジジャケット仕様
■P56特製ブックレット

https://bocchi.rocks/stage/bddvd/


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