7年前のあの熱気が、今夜限り、甦る。

2024年11月29日(金)川崎CLUB CITTA’にて、ガールズメタルバンド「CYNTIA」と「Aldious」による2マンライブイベント“BURRN!PRESENTS CYNTIA×Aldious「Queen of the Night」”が開催された。

CYNTIAは2017年に活動休止を発表して以来、約7年もの間沈黙を貫いてきたが、遂にこの日、SAKI(Vo.)、YUI(Gt.)、AZU(Ba.)の3名とサポート陣によって一夜限りの復活ライブが実現した。

この日のイベントを共に盛り上げてくれたのは、CYNTIAのデビュー当時よりお姉さん分として切磋琢磨してきた国内“嬢メタル”シーンの先駆者、Aldiousである。この日は特別な一夜ということで、Aldiousも元メンバーであるRe:NO(Vo.)、Aruto(Dr.)をゲストに迎え特別編成でステージに臨んだ。

開場時刻からメタルファンでごった返す会場前。とても平日の夕方とは思えぬ光景である。18時30分、超満員の中でステージは幕を開けた。

Aldious

会場は暗転、幻想的なSEが鳴り始めると同時に、待ってましたと言わんばかりの大きな声援と無数の手拍子がリズミカルに鳴り響いた。

そこへ、煌びやかにドレスアップしたYoshi(Gt.)、サワ(Ba.)、トキ(Gt.)、Aruto(Dr.)が順々に登場。一人ひとりがステージに上がるたびに、客席からは勇ましい声援が聴こえてきた。

メンバーが定位置につくと、Arutoの激しいドラム回しを合図に歪んだギターのリフが入り、ライブはいきなり激しいメタルチューン『Luft』からスタート。

Arutoの力強い2バスに激しいストロボ照明で会場が一気にAldiousのヘヴィな世界に染まっていく。その中を、黒いドレスに身を包んだRe:NO(Vo.)が堂々と歩みながら登場した。

直後、Aldiousの醍醐味であるYoshiとトキのツインリードが炸裂。激しいバッキングの中をRe:NOの低く響く歌声がゆったりと艶めかしく入り、下手ではトキの動きを合図にいきなり陣形を崩してのロックなパフォーマンス。サワの頭を回してのステージングにも力が入る。

メンバー5人の、いきなりエンジン全開のステージングに会場のボルテージはさらに急上昇、オーディエンスは力強く拳を掲げた。

中盤ではYoshiのKemperとトキのHughes & Kettnerからの出音が心地よいバランスでテクニカルなソロを下支えし、二人の艶やかな弾き姿も相まって観客を魅了した。

声を聴かせて!

Re:NOの声で、爆音に負けじと会場中の声援が一層大きくなる。1曲目にも関わらずまるでラストスパートを思わせるような熱気に、筆者は息をのんだ。

その後ろではサワがかわいく跳びはねながら重低音を奏でる。一体その小さい体のどこからそんな音を放出しているのか。さすが“嬢メタル”の創始者たち、たったの数分で気圧されてしまった。

Aruto(Drums)

勢いよく続いた2曲目は『Ground Angel』。こちらもヘヴィなリフから始まったが、Yoshiの安定したダウンミュートが心地よく腹に響いてくる。

Aldiousです!今日は最高に熱い1日にしていこうね!

Re:NOの投げかけに全力で応えるオーディエンス。そのまま「オイ!オイ!」と野太い掛け声が続く。

Arutoの安定したビートに、Re:NOの落ち着きブレない艶やかな歌声が華を添える。サビ終わりにはYoshiが客席の声を煽った。華やかさを下手でトキが引っ張り、会場の熱を上手でYoshiがアシストしている、そんな印象である。

この楽曲もやはりツインリードが印象的で、アウトロでリズムが落ちていく中をハモリながら続くソロがなんともエモい。そして立て続けに『Misty Moon』の演奏がスタート。

ギタリスト二人のヘヴィなリフをバックにRe:NOが声を張り上げる。

チッタ、暴れていこうぜ!Come on

白と青の照明が激しく交差する中を、Yoshiとトキが立ち位置をスイッチ、サワも変わらず激しくキックを踏むArutoに歩み寄った。サビではメンバー皆がコーラス参加しているところにオーディエンスも加わって大合唱。3曲連続で演奏しているとは思えぬほど、ステージ上も客席もテンションは最高潮をキープしている。

ギターソロはYoshiのタッピング奏法から始まったが、速弾きとメロディアスなフレージングが良い塩梅で混ざり合っている。メタルファンの心に真っ直ぐと刺さる、起承転結の考えられているソロに耳を奪われた。一瞬入ったRe:NOのがなる歌声も心地よい。

最後はヘヴィなツインリードからの「これぞ正統派メタル!」という進行で締めくくられたが、曲が終わっても全く鳴りやまない声援。2階席からも多くの歓声が響き渡った。

改めましてこんばんは、Aldiousです!

Re:NOの声に、客席からは感動の叫びがこだまする。

本日は貴重な時間を割いて足を運んでいただき、皆さん本当にありがとうございます。そして本当に貴重な機会をいただけたこと、とても感謝しております。今日はマジで最高に熱い夜にしていきたいと思っております。皆さん力を貸してください!宜しくお願いします!

感謝の念を伝えたRe:NOに対して客席は全力で応えた。そこに「今日は最強のメンバーを連れてきた」と笑顔で語るYoshi。彼女のアットホームな口調に、会場中がより一層楽しそうな表情に変わっていく。

その後、Re:NOとオーディエンスのタイトルコールを合図に、ヘヴィながらも可愛いらしさも見えるポップロックチューン『die for you』がスタート。

Aメロではギターのブリッジミュートとサワの活き活きとしたベースラインが心地よく絡み合う。Re:NOの歌声も心なしか明るめのそれに変化し、会場はピンクとイエローの照明が良く似合う愛らしい世界観へと表情を変えていた。

サビでは観客とメンバーが合唱。一発で覚えてしまえるキャッチーなメロディである。きっとCYNTIAファンもつい口ずさんでしまったに違いない。下手ではトキとサワが仲良く頭をくっつけて笑顔で演奏するなど、メンバーの可愛らしい姿も垣間見ることができた。

その後、ダークで攻撃的なリフが始まると同時に青いストロボで会場が包まれ、『Sweet Temptation』が始まった。Arutoの力強いドラミングが続いたかと思えば、Aメロでは一気にバックの演奏が静まり返り、暗く妖艶なRe:NOの世界観が広がっていく。

下手で闇の中を嘗め回すように歌うRe:NOの後ろで下手二人がこれでもかというほどに首を回す。ストロボ照明と相まって、一つの芸術作品を見ているかのような感覚に陥った。

続いて奏でられたのは『Go away』。これもまたスピーディーなドラム回しから入り、激しく重いギターリフが展開される。その上をRe:NOの艶やかな声が、少し攻撃性を増して応戦してきた。なんと、ここにきて更に彼女の本当のエンジンがかかってきた様子だ。

ドラムの縦のリズムに気持ちよく竿隊(ギター、ベース)が乗り、2階席の観客たちもつい腕を振って参加する。テクニカルなギターソロなど、この楽曲もロック好きにはたまらない展開がふんだんに盛り込まれていた。

相変わらず演奏が終わっても鳴りやまない歓声。今度はArutoが関西弁でトークを展開し、Yoshiをはじめメンバーに対して今回のライブの感謝の意を述べつつ、客席に笑いも届けた。

オーディエンスのタイトルコールで始まった次の曲はAldiousの人気チューン『We Are』。「頭ぶん回せ!」の声に、会場が揺れる。

ベースとドラムのビートが気持ちよく混ざり合い、Yoshiとトキは上手で揃って美しい指さばきを魅せる。この曲ではサワのベースソロやサビでの可愛いらしいコーラスが堪能でき、サワ推し勢には特にたまらないものとなっていた。

続いては、上下のギターが交互に鳴り響くところから始まる明るいメタルチューン『Ultimate Melodious』がストロボ照明の中を休むことなく突き進んでいく。アウトロでは、Arutoの荒野を駆け抜ける獣のように重く響き渡る長尺の2バスが風を切った。

お次はトキがマイクを持って観客を煽り『メガロマニアック』がスタート。これもまた驚きなことに、激しいストロボ照明の中を2バスが心なしかパワーアップしてスピーディーに駆けていく。彼女たちの一体どこにそんな体力が残されているのか。

Re:NOの声も全くブレることなく爆音の中を我が道で切り裂いていくが、本当に、久々の環境で歌っているとは全く思えない凛々しさである。

トキの「オイ!」の声に続いて観客もはち切れんばかりの叫び声を上げ、そこにYoshiのドラマティックなビブラートが溶け込んでいく。爆音にも関わらずなんと心地良いことか。曲の最後はRe:NOの美しく伸びる歌声とフランジャーの印象的な音色によって豪快に締めくくられた。

その後のMCでは、Yoshiのラスト1曲との言葉に悲しむ客席だったが「みんなが聴きたい曲を持ってきた」とのことで笑顔に戻っていった。Re:NOにバトンが渡ると自然と湧き上がるRe:NOコール。

彼女はそんな観客に、今回のイベントを企画してくれたBURRN!に、CYINTIAに心から感謝を伝えた。

そうしてAldiousパートでラストに演奏されたのは『Red strings』。イントロのギターが鳴り出すと、客席から嬉しそうな歓声が聴こえてきた。明るいミドルテンポのロックチューンに、Re:NOの声もこれまでと違い少し軽やかで可愛らしいものになった。

サビでは会場の空気が一気に開ける。ドラムのスネアの響きに合わせて皆が手拍子を絶やさない。笑顔に包まれた会場は、本当に幸せに満ちた空間だった。この時間が終わってしまうことを惜しむような、そんな雰囲気さえ感じさせた。

Yoshiの明るいけれど切ないドラマティックなソロがまた涙を誘う。サワとトキ、Re:NOとYoshiが身を寄せ合って、音符一つひとつへ心を込めた。

最後はメンバーがドラムの周りに集まり豪快に各々の楽器をかき鳴らす。オーディエンスの熱い拍手と歓声が応戦し、会場が一体となって勢いよく締めくくられた。

ありがとうございました、最後まで楽しんで行ってください!

客席からの声援は、メンバー全員がステージを降りるまで、いつまでも鳴り止まなかった。

《SET LIST》
  1. Aldious
  2. 1.Luft
  3. 2.Ground Angel
  4. 3.Misty Moon
  5. 4.die for you
  6. 5.Sweet Temptation
  7. 6.Go away
  8. 7.We Are
  9. 8.Ultimate Melodious
  10. 9.メガロマニアック
  11. 10.Red strings

続いては7年ぶりに復活するCYNTIAが満を持しての登場


ESP E-II Horizon Infinite MOGAMI
山野楽器Ginza Guitar Garden Digimart LOVEBITES
Ryoga Snare Weight DRUMSHOW
Dean Martin Ukulele Cannonball
Hofner Orange Valve Tester MkII Heritage
Orange Glenn Hughes MONO