とても大きな会場なのに、心と心は近い距離で隣り合える。そう、イマジネーション次第で、彼との距離もぐっと縮めていける。

8月よりスタートした、声優の神谷浩史が行ったホールツアー「Kiramune Presents Hiroshi Kamiya LIVE TOUR 2023 WAO!」。同ツアーのファイナル公演が、9月16日にパシフィコ横浜国立大ホールで行われた。当日の模様を、ここに伝えたい。

SEに乗せ、フロア中の人たちが熱い手拍子を鳴らしだす。軽快な音の風に乗せて始まったライブは、この場からドリーミーな物語の世界へ駆けだすように『Drive』に乗せてスタート。とても爽やかな歌声だ。「高鳴る鼓動 止めないで」の歌詞の一節ではないが、わくわくするときめきが止まらない。神谷浩史は、優しい笑みを浮かべ、一人一人に向かって歌っていた。その気持ちが嬉しい。

さらに勢いを増すように歌ったのが、『HA-RE? GO』。曲を重ねるごとにワクワクとした気持ちが膨らみ続ける。これから楽しくなれる時間をもっともっと重ねながら、素敵な笑顔を分かち合っていこう。そんな風に彼に声をかけたい気分だ。輝く楽園へ向かって、ここからさらに一緒に駆け続けよう。

勝手なルールで縛っていた自分を解き放て。『SELFISH』に乗せ、神谷浩史と一緒に声を張り上げ、身体を揺らし、気持ちの熱を上げていこう。この空間にいると、限界と思っていた境界線さえ超えられる気持ちになれる。心地よく疾走する楽曲を追い風に、さぁ、もっともっとはしゃぎまくろうか!!

スリリングな演奏の上で、シリアスな表情を浮かべ、神谷浩史は『HEART BEAT』を歌っていた。でも、その歌声からは優しさも覗かせる。現状を壊し、ここからもっと自分を解き放て。彼が歌を通して響かせたメッセージが、気持ちを奮い立て、顔を前へと向けさせた。

この日は、小中学生から、親子どころか家族連れで足を運んでいた人たちも。さすが、老若男女幅広い支持層を得ている神谷浩史だ。ちなみに、最年少は2歳。親に連れて来られてだと思いつつも、本当に幅広い層から支持を得ているところが神谷浩史の強みだ。

この空間に、晴れた爽やかな景色を描きだすように、神谷浩史が歌いだしたのが『モアライブラリ』。彼の歌声が、胸にスカッと爽快な風を吹かせる。つい笑顔になる。いや、神谷浩史の歌声が触れた人みんなの頬を緩ませ、笑顔にしてゆく。嬉しいよね、気持ちが自然とウキウキとしだし、心がにやけてくるって。

ここからは8th Mini Album『CUE』に収録されたKiramuneメンバーのカヴァー曲メドレーコーナーへ。『Want you』を、をとても爽やかな声とサウンドに乗せて神谷浩史は運んできた。この曲に触れていると、素敵な未来が飛び込んできそうな気持ちになれる。途中に飛び出した「I Want you」のセリフに、フロア中の人たちがキャーッ!!と熱狂。胸を揺らすよね、その甘い誘いが。

続く『愛しさのコントラスト』でも、神谷浩史は甘い優しい声で、この場にいる一人一人を物語の世界へ連れ出した。少しの切なさも覚えながら、自身も心に哀愁の風を吹かせるように、少し切々とした表情で歌っていた。

メドレーらしく、曲の表情は次々と変化してゆく。『はじまりのうた』では、軽快に駆けだした楽曲に乗せて、彼は優しい声を場内中に響かせた。「君の笑顔が見たいんだ」の声を受け、少し照れながらも、笑顔で舞台上を見つめていた人たちも多かったのではないだろうか。

さらに勢いを上げるように、『弦風景』では、神谷浩史と観客たちが一緒に手を振り上げ、気持ちを一つに盛り上がる。どんどん気持ちの熱が上がりだす。今はただ、感情が高ぶるままに腕を振り上げ騒いでいたい。

そこへ飛び出したのが『Say Hello』だもの。彼と一緒に「WOW WOW WOW」と声を張り上げずに入られない。さぁ、このまま勢いを踏み台にしながら、興奮という雲をつかむ勢いで飛び跳ね続けたい。「Hello Hello」のやりとりも胸に熱い。みんなで一緒に大合唱していける、そのひとときがたまらなく嬉しい。次々と表情を変えながら、一緒にいろんな景色を眺めつつ、共に熱くアガっていける。短いながらも、このひとときが最高にエモーショナルだ。

演奏陣のソロプレイやバンドセッションを挟み、着替えを終えた神谷浩史が、ふたたび舞台へ。ここからはアコースティック・コーナーだ。

優しいギターの音色に乗せ、甘く細い声で神谷浩史が「Tu Tu Tu」と『まあるい気持ち(Acoustic Version)』を囁きだす。シンプルな音の上だからこそ、身近で語りかけるような彼の甘く優しい歌声の吐息を、至近距離5cm感覚で味わえていた。とても大きな会場なのに、心と心は近い距離で隣り合える。そう、イマジネーション次第で、彼との距離もぐっと縮めていけるってこと。

MCでは、この曲のテーマにもなっているドーナツが好きということから、ドーナツ愛を熱々と語っていた。

心地よく、軽やかに弾むピアノの音色に乗せて、ハミングしだす神谷浩史。『しんこきゅう(Acoustic Version)』では、ふわふわっと弾むピアノの音色と歌声を重ね、鍵盤の動きにあわせて一緒に声を弾ませるように歌っていた。その歌声は、いつしか気持ちも優しく跳ねさせた。

革ジャン姿になった神谷浩史。ふたたびここから場内中に熱い風を巻き起こそうと、『Higher』が飛び出した。神谷浩史と観客たちが「Oh!Oh!」と声を上げ、一緒に気持ちを天高く飛ばしだす。大きく手を振りながら歌う神谷浩史の動きにあわせ、場内中の人たちも大きく手を振り、共に心を無重力に、気持ちを高く高く空へ向けて飛ばしていた。大きく左右に振る手を翼に変え、このまま妄想を膨らせ、見たことのない素敵な景色へ向かって羽ばたき続けようじゃないか。

ファンキーかつ華やかなダンスナンバーの『パラレルピンチョス』に乗せ、華麗に、少し艶めいた表情や仕種も混ぜながら、神谷浩史は舞台の上で歌い踊っていた。彼は、この場にいる人たちを妖しい宴の中へと招き入れ、甘く、でもスリリングなひとときをプレゼントしてくれた。

神谷浩史は歌っていた、「天国か そうじゃないか 気持ち一つで変わるのなら」と。『TEN-GOKU』を通して神谷浩史は、この場にいる人たちの心の中へ、モノクロの世界をカラーに染め上げるようなワクワクとしたときめきと、何かが起こりそうなドキドキを詰め込んでいった。

舞台の上を巨大な幕が覆いだした。光の輝きによって色を変え、風に煽られ、波のように揺れ動く巨大な幕。その後ろに立った神谷浩史は、マイクスタンドを用いて気持ちに情熱を注ぐように『イズムリズム』を熱唱。エネルギッシュで、しかもダンディーな出で立ちも見せながら、彼は「夜が明けるまでア・イ・シ・テ・ル」とセクシーに歌いかけていた。

ふたたび、上着を替えた神谷浩史。ここからはラストスパートだ。ピアノの音色へ導かれるように歌いだしたのが、『Re-answer』。ミディアムメロウな楽曲に乗せ、神谷浩史は言葉の一言一言を噛みしめ、あの頃の自分を思い返しながら。でも、まだまだ青春の続きを送ろうと。ここから、ふたたび始まりの鐘を鳴らすようにハートフルな声で歌っていた。

人生の道筋を振り返るように、歌は続く。『アサカゼ』でも神谷浩史は、温かい歌声を場内中に満たすように歌っていた。遠くを見つめながら歌うその視線は、あの頃の自分の姿を見つめていたのだろうか…。それとも…。終盤、みんなで「la la la」の合唱を響かせた、あの場面が心に焼きついた。         

自らの生きざまを示す楽曲は続いてゆく。『希望の渦』でも自身の気持ちを奮い立てるように、神谷浩史は力強く歌声を響かせていた。終盤、楽曲を通して、彼自身の様々な心模様に触れられたのが嬉しかった。その生きざまは、受け止めた僕ら、私たちの生きる力や糧になって、心の中で芽吹くのだから…。

思いや想い出を巡る歌の旅は、『mille crepe』へ。この曲でも神谷浩史は甘く優しい声で歌いかけてきた。大勢の人たちが、温かい眼差しを向けて彼の歌う姿を見つめていた。

「一緒に踊りませんか」と誘う声を合図に、神谷浩史は最後に『ワヲ!』を熱唱。華やかに駆けだしたロックンロールナンバーに乗せ、神谷浩史と観客たちが「ワヲ!」「WAO!」と熱いやりとりを交わしながら、この空間に熱を大きく大きく膨らませていた。終盤には、互いに歌をかけあう場面も登場。この会場に足を運んだ一人一人が『ワヲ!』を彩る歌い手となり、この空間へ一緒に熱情した眩しい花を咲かせていた。

アンコールで神谷浩史は、自らカメラを手に登場。彼は『ハッピーアワー』を歌いながら、客席を、演奏するメンバーを、すべて自分越しのショットで映し出していた。巨大なスクリーンに、きっと配信で見ていた人たちのモニターにも、自撮りしながら歌う神谷浩史の姿が大きく映し出されていたに違いない。まさに、最高にハッピーな時間じゃないか。

最後に歌ったのが、ファン投票でも高い支持を得ていた『ソーシャルネット・ワーカホリック』。ネットミュージックファンも多い観客層を考えれば、この手の楽曲が支持を得るのも納得だ。神谷浩史も、詰め込んだ言葉を少し早口ぎみにビートにあわせて歌いながら、この空間にたくさんの拳の花を咲かせ、熱情した景色をしっかりと描き、この日のライブを打ち上げていった。

でも、そこで終わらないところが、神谷浩史のライブ。最後の最後に届けたのが、『1番星』。彼は力強く駆けだす楽曲に乗せ、フロア中で煌めく紫色(神谷浩史カラー)に揺れる星たちに向け、「1番星が輝いている」と歌っていた。一人一人にとって神谷浩史が1番星なら、彼にとって、目の前で眩しい笑顔を浮かべてはしゃぐ一人一人が、最高に煌めく1番星だ。この輝き、もっともっと銀河を彩る光として広がっていけ。

TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.Drive
  2. 2.HA-RE? GO!
  3. 3.SELFISH
  4. 4.HEART BEAT
  5. 5.モアライブラリ
  6. 6.CUEメドレー(Want you~愛しさのコントラスト~はじまりのうた~弦風景~Say Hello)
  7. 7.まあるい気持ち ※アコースティック
  8. 8.しんこきゅう ※アコースティック
  9. 9.Higher
  10. 10.パラレルピンチョス
  11. 11.TEN-GOKU
  12. 12.イズムリズム
  13. 13.Re-answer
  14. 14.アサカゼ
  15. 15.希望の渦
  16. 16.mille crepe
  17. 17.WAO!
  18. -ENCORE-
  19. EN1.ハッピーアワー
  20. EN2.ソーシャルネット・ワーカホリック
  21. EN3.1番星

増田武史(Guitar) 使用楽器・機材紹介


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