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INORAN恒例のバースデーサーキットの東京編が、9月29日(金)と30日(土)に渋谷CLUB QUATTROで開催された。
LUNA SEAのデュアルアリーナツアー直前に行なわれ、INORAN BANDにとって待望の声出し解禁となった東名阪4公演。本稿では、INORANの盟友DJ BASSがスペシャルゲストとして参加したことも大いに話題を呼んだ渋谷CLUB QUATTRO 2DAYSより、オフィシャル・ファンクラブ「NO NAME?」会員限定公演、9月30日(土)の模様をレポートする。
前日に53歳のバースデーを迎えたINORAN。渋谷クアトロのエントランスにはLUNA SEAのRYUICHI、SUGIZO、J、真矢からも届いた豪華な花々が飾られ、ステージには“INRN”のバックドロップほか、ささやかな電飾やキャンドルがアンプ周りに輝いている。開演時刻になると、後方エリアまでパンパンに詰めかけたファンの手拍子が自然と湧き、いよいよメンバーが登場。INORANはFIXERのTシャツにダメージデニム、白スニーカー、ブルーのJazzmasterという出で立ちだ。
集まってくれた人たちへ感謝を告げるように、ライブは『Thank you』でスタート。INORAN BANDが繰り出す、空間がひしゃげそうなほどビリビリくる爆音に、冒頭からいきなり度肝を抜かれてしまう。INORAN(Vo&Gt)、Yukio Murata(Gt/my way my love)、u:zo(Ba/Rest Of Childhood)、Ryo Yamagata(Dr)という不動の屈強バンドに、彼らと2018年以来のセッションとなる、刺激的なスクラッチやビートを盛り込むDJ BASSが加わり、サウンドの迫力は輪をかけてとんでもないことに。INORANのボーカルも年々パワフルに進化していて、53歳とはまったく思えない。
『Hide and Seek』『grace and glory』とラウドかつソリッドなナンバーが続く中、5人の尋常じゃないグルーヴを浴びたフロアからはハンドクラップやシンガロングがテンポよく発生し、加速度的に上がっていく場内のボルテージ。『Awaking in myself』では、多幸感いっぱいなオーディエンスのジャンプによって早くも渋谷クアトロが大きく揺れた。
「東京、元気かい?ツアーもラスト一発です。みんな思い切り歌って、騒いで、飛んで、心に刻んで帰ってください。お前らのパワーを見せてくれよー!」と、すでに最高の笑顔で呼びかけるINORAN。
ブラックのJazzmasterに持ち替え、お次は跳ねるリズムのゴキゲンな『Get Laid』へ。LUNA SEA『TONIGHT』を思わせるINORANのキャッチーなカッティングが眩しい『One Big Blue』では、1番のあとにバンドが演奏を急ストップさせ、「ヘイヘイヘイヘイ、渋谷!起きてるかー!?」と興奮を煽ってくる粋なノリも。
“この世界から君が消えたら すべてのことが色褪せてしまう”とリリカルに歌う『Daylight』からは少しBPMを落とし、インスト曲『HOME』はマーティンの12弦ギターで幽玄なアンサンブルを演出。ひさびさの披露となった『Walk along』、さらに『千年花』と、日本語詞のミディアム曲が心地よく奏でられ、気づけばフロアはじわっと温かいムードに包まれている。序盤の英語詞によるオルタナティヴ感たっぷりのロックンロールに、徐々に甘美さがプラスされていくような、このINORANらしいドラマティックなライブ運びがたまらない。
ファンの鳴りやまない歓声に対し、INORANが「そんなんじゃ向いてくれないよ!」とドSにメンバー個々の名前を叫ばせる楽しい一幕を経て、バンドは再びアッパーに転じる。ホワイト・ストライプスばりの超重低音で攻めた『Selfless』、オーディエンス全員を曲中にいったんしゃがませてそこから勢いよく飛ばせた『Rightaway』、DJ BASSのカッコいいターンテーブル捌きで始まった『raize』……後半に進むにつれて会場の雰囲気はどんどん良くなるばかり。
「渋谷クアトロ、最高だねえ。この景色をね、僕からのビューをみなさんに見せてあげたいくらい!」と感謝の言葉を伝える一方、閣下のような低音ボイスで「よーく聞け、我がNO NAME?たちよ……」「こういうキャラ、どう?」とINORANがおどけるシーンもありつつ、ライブはクライマックスに向かう。
DJ BASSを含むスペシャル編成ということで待ちわびていたファンが多かったに違いない、FAKE?(KEN LLOYDとINORANによるロックユニット)のナンバーでもある『LEMONTUNE』が満を持して投下されると、INORANはフロアに身をグッと乗り出し、ハンドマイクで痛快にシャウトする。文字通りの美しさを誇る壮大なロッカバラード『Beautiful Now』、オーディエンスが“Life”“We rise again”と共に歌う光景が念願の復活を果たした『Rise Again』も、思わず涙腺が緩むような感動的な時間に。
「今日でツアーがファイナルだから、このバンドもスタッフも散り散りになるんですけど、必ずみんなの前でこういう、君たちが好きそうなライブをやるために戻ってくるので、またおいでね。約束だよ?いつまでもいっしょにいようなー!」
INORANがファンに再会を誓い、ラストは「みんなで歌おうぜ!」と、ステージによりいっそう明るい光が降り注ぐ中で『All We Are』を演奏。フロアから轟く万感のシンガロングを受けながら、ありったけの想いを乗せたアンセムをエモーショナルに届け、「INORAN BIRTHDAY CIRCUIT ’23」は熱狂の大団円を迎えたのだった。
※写真は9月29日公演より
Photo:Yoshifumi Shimizu
取材・文:田山雄士
《SET LIST》
- 1.Thank you
- 2.Hide and Seek
- 3.grace and glory
- 4.Awaking in myself
- 5.Get Laid
- 6.One Big Blue
- 7.Daylight
- 8.HOME
- 9.Walk along
- 10.千年花
- 11.Selfless
- 12.Rightaway
- 13.raize
- 14.LEMONTUNE
- 15.Beautiful Now
- 16.Rise Again
- 17.All We Are
INORAN
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01.千年花
02.Beautiful Now
03.I swear
04.raize
05.Daylight
06.Starlight
07.Fading Memory(feat. Mao Denda)
08.Time After Time(feat. Mao Denda)
09.Glorious Sky(feat. Mao Denda)* Origin version
10.Long Time Comin
11.Rise Again
12.Thank you
<特典映像>
The Story of IN MY OASIS