LUNA SEAの結成35周年を記念した自身最大規模のホールツアー。そのEPISODE 2より、8月25日(日)に東京ガーデンシアターで行なわれた『SEARCH FOR MY EDEN』編の模様をレポートする。

1993年に発表された3rdアルバム『EDEN』のツアー『SEARCH FOR MY EDEN』のリバイバル公演も、前日の『IMAGE or REAL』と同じくソールドアウトを記録。ケイト・ブッシュの『ロケッツ・テイル』がSEとして神聖に響きわたると、SLAVE(LUNA SEAファンの呼称)たちは期待に胸を膨らませ、割れんばかりの大歓声でバンドを迎え入れた。

RYUICHI(Vo)の“Jesus, don’t you love me?”コールをきっかけに、真矢(Dr)の快活なビート、SUGIZO(Gt&Vn)のキャッチーなリフが次々に解き放たれる、アルバム『EDEN』のオープニング曲『JESUS』でライブは開幕。歪みとクリーントーンを繊細に行き交うINORAN(Gt)のプレイ、拳を振り上げシンガロングする客席の熱いアクションなど、のっけから目が離せないシーンの連続だ。間奏でグッと全面に出てきたり、アウトロで骨太なコーラスを添えたりと、J(Ba)の見せ場もちりばめられ、5人の強すぎる個性がわずか数分でドラマティックに噛み合う。

間髪入れず『Déjàvu』を持ってくるという、当時のツートップと言っていい無双コンボで、水を得た魚のようにますます勢いづく場内。アリーナからバルコニーまでぎっしりと埋まった8,000人収容の東京ガーデンシアター内を嬉しそうに眺めながら、メンバーもめいっぱい躍動し、スタートダッシュの段階で一気にペースを掴む。

どこまでも飛ばしていきたい」とサングラスを外したRYUICHIが意気込み、ここからしばらくは『EDEN』のコアなナンバーに傾倒。“死者の神”をテーマにした『ANUBIS』が始まった瞬間、まばゆいレーザーの照射も相まって、長年聴き馴染んできた曲のイメージと現LUNA SEAの重厚なサウンドが時代を超えてオーバーラップする。やはり決してノスタルジーに浸ることを目的としない、あくまで今のバンド像を凛と示すエネルギッシュなライブになっており、心地よいデュアル体験がいよいよ本格化していく。

STEAL』『LAMENTABLE』は、誰もが聴きたかったであろうアルバム曲順どおりのシームレスな再現が嬉しい。接合点を担うJのソリッドなベースラインに、もうすっかりハートを撃ち抜かれてしまった。鮮やかな浮遊感を演出し大活躍するSUGIZOのフレットレス、キラキラした音色が星のまたたきを想起させるINORANのジャズマスターも絶品で、LUNA SEAらしいセパレートなツインギターの対比が、ここに来ていっそう麗しく際立つ。

今夜も最高だね!」と、ツアーとしては31年ぶりとなる『SEARCH FOR MY EDEN』の開催、オープン時以来の東京ガーデンシアター公演を喜ぶRYUICHI。本会場が“新しい故郷”になったという前日のSUGIZOの発言を引用し、「これからもいろんなところでLUNA SEAのライブをやりたい。世界中を故郷にしようよ。みんな、いっしょに行こうよ!」と明るく呼びかけた。

続いては、至上のミディアムゾーン。真矢のドラムが要所を彩りRYUICHIのボーカルをたおやかに羽ばたかせた『RECALL』、SUGIZOがバイオリンでワルツのメロディを気高く奏でた『Providence』を経由し、耽美的なアレンジとともに『EDEN』の最深部へと向かう。暗めに落とした照明のもと、グッズの“LUNA SEA LIGHT”が優しく灯る客席。INORANは椅子に腰掛け、マーティンのアコギを弾く。一転、ものすごくシンプルなアンサンブルに様変わりするも、少ない音数で奥妙なムードを生み出せるあたり、バンドの地力や曲の革新性を改めて感じざるを得ない。

さらにこの日は、アルバム『EDEN』とほぼ同時期にリリースしたシングルのカップリング曲も披露。隠れた名曲『Claustrophobia』で雰囲気を再びガラッと変えてくる、予測不能の展開がたまらない。また、メンバーのシルエットや雲の静止画がスクリーンに映し出される中、黒いフードを被り、徐々に声の抑揚を付けつつ、理性を失ったように絶唱するRYUICHIの姿も、ただれた心模様が思い浮かぶ詞世界と見事にシンクロしていた。より壮大に化けたライブアレンジ、“「壊して」”と繰り返すシャウトを全身で浴び、SLAVEたちは得も言われぬ快感に包まれる。

そして、前日と同様にドラムソロからライブが第2部へ突入。真矢は「みんなの笑顔を見てると、本当に泣きそうになります」としみじみ語る一方、「もっと来いよー!」と全員を熱く鼓舞しながら力強い連打を叩き込む。RYUICHI、SUGIZO、INORAN、Jもステージに戻ると、『MECHANICAL DANCE』がド派手に後半の口火を切った。『IMAGE』(1992年発表のメジャーデビューアルバム)のレア曲がセットリストに加わったことで、思わずタイムスリップしたような錯覚に陥るが、2024年の奥行き豊かな演奏を再確認しては、すぐさまハッと我に返る。そんなトリップ感が楽しめるのも『ERA TO ERA』の醍醐味と言えよう。

LUNA SEA、35周年を迎えました。こうして41本のホールツアーをやってるとは……グランドファイナルの東京ドーム(2025年2月23日開催)も正直イメージしてなかったんだけど、みんなにパワーをいっぱいもらったし、ラストまでおもいっきり走っていきたいです。予測された道はこれまで一度もなかったので、これからも共に新たな道を作っていきましょう。今夜はU-NEXT(生配信)でも、最前列で盛り上がってくれてると思う。全国に我らのメンバーがいます!

誇らしげなRYUICHIのMCを経て、最終ブロックは疾走感に満ちたアップナンバーが畳みかけられる。爽快なサウンドに反して切ない別れが滲む『STAY』では、LUNA SEAの変わらない根幹と、35年で変わってきた円熟のグルーヴが、等身大のままでピュアに轟く。もうひとつのカップリング曲でファンネームを冠した『SLAVE』、“ア・ヌ・ビ・ス”のワードが歌詞で再来する『TIME IS DEAD』もダイナミックに炸裂し、本編を締め括ったのは『BELIEVE』。

すでにご存じだとは思うが、RYUICHIはこれまで度重なる喉の不調を経験。近年のインタビューによれば、声帯の手術を終えたのちに、発声障害の可能性までが浮上したという。しかし、それでも彼は希望を捨てることなく、命懸けで進化を模索しながらステージに立ち続けている。

万全とは言えないコンディション下で、『BELIEVE』のCメロ“遠い過去 遠い未来 あなたが 何処かにいたなら きっと”“一人でも 凍えても 優しさ ときめき あふれて”の部分を、INORANにもたれ掛かるような体勢になり、声を振り絞って必死に歌い上げるRYUICHI。演奏を止めて、静かに見守るSUGIZOとJと真矢。一連の流れがとても生々しく、バンドの結束力や内情がじわっと窺えた気持ちに。

その光景を観て、SLAVEも熱くならないわけがない。RYUICHIからマイクを向けられれば、“6人目のメンバー”としていつでもボーカルになる。結成35周年のLUNA SEAにとって、最も大きな財産となっているのは、こうしてアーティストとオーディエンスが互いに支え合える信頼関係を築けたことではないかと思う。今回のライブに参加し、両者が紡ぐかけがえのない温かみをたっぷりと感じさせてもらった。

アンコールでは、来場者一同にプレゼントされた横断幕(寄せ書き)を掲げて5人が現れる。「本当にありがとう。昨日の分もちゃんと届いてます。すごく嬉しいよ。みんなと共に高め合っていきたいね」と、RYUICHIが代表して感謝を告げ、INORANの綺麗なリフから『IN MY DREAM (WITH SHIVER)』へ。ミラーボールが輝き、ワイパーがあふれる幸せな空間の中、『IMAGE』『EDEN』で描かれてきたアダムとイブの物語も終わりに近づく。

今日、みんなの前で演奏させてもらって思ったことがあるんだけど、LUNA SEAのライブを作ってるのは、紛れもなく君たちのほうだぜ! もちろん、配信組も最前列でめっちゃ盛り上がってると思う。すごく感動してます」(真矢)

35年間でいろんなことが変わったけど、今回のツアーをやって、当時からなんにも変わらないものは存在するんだなと改めて思ってます。俺たちの情熱と、ここにいるみんなの情熱と、(配信を)観てくれてるみんなの情熱で、まだまだ行けるでしょー!」(J)

おもいっきり叫びまくって、喉が枯れそうだわ(笑)。これからの35周年ツアーも素敵な時間を、メンバー、スタッフ、みんなと作りたいです。そして、その先には僕らが“覚悟の夜”と決めた東京ドームがあります。必ず来てくれよ!」(INORAN)

みんなもLUNA SEAの存在に救われてきたと思うけど、俺たちはそれ以上にみんなに救われてきて、みんなが心の拠り所だったんだなと実感しました。いろいろな事情でツアーに来るのを諦めざるを得なかった人、90年代に大好きだったLUNA SEAからちょっと離れちゃってる人もいるはず。でも、常に門を開けて待ってます。いつでも帰ってきてください」(SUGIZO)

メンバーの言葉から、ファンとの絆の強さが伝わる。SUGIZOが「LUNA SEAの誇り」とRYUICHIを称えていたのも印象深かった。写真撮影OKの「#LUNAPIC」企画が実施された『WISH』、バンドを後押しする分厚いシンガロングがこの日いちばんの一体感を生んだ『PRECIOUS…』をもって、『SEARCH FOR MY EDEN』は大盛況のうちに終演。

みんなの想いが集まる東京ドームじゃないと意味がないんだよ。他のアーティストのライブと変わらなくなっちゃうからね。そして、信じられる未来へ。今できないことが、明日できるかもしれない。今日できることが、もうできないかもしれない。でも、必ず進化して、突き抜けて、いっしょにドームに立ちましょう!」(RYUICHI)

5人はピックやスティック、水の入ったペットボトルなどを客席へ投げ入れ、SLAVEとコミュニケーションを取り、名残惜しそうにステージを降りた。なお、LUNA SEAは9月中旬から11月中旬にかけて『LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024 ERA TO ERA -EPISODE 3-』を実施。2025年2月23日(日・祝)には、約14年ぶりとなる東京ドーム公演『LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR ERA TO ERA -THE FINAL EPISODE- LUNATIC TOKYO 2025 -黒服限定GIG-』を開催する。

取材・文:田山雄士
PHOTO:田辺佳子、上溝恭香

《SET LIST》
  1. 1.JESUS
  2. 2.Déjàvu
  3. 3.ANUBIS
  4. 4.STEAL
  5. 5.LAMENTABLE
  6. 6.RECALL
  7. 7.Providence
  8. 8.Claustrophobia
  9. Drum solo
  10. 9.MECHANICAL DANCE
  11. 10.STAY
  12. 11.SLAVE
  13. 12.TIME IS DEAD
  14. 13.BELIEVE
  15. <ENCORE>
  16. 1.IN MY DREAM (WITH SHIVER)
  17. 2.WISH
  18. 3.PRECIOUS…
LUNA SEA

LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR ERA TO ERA -THE FINAL EPISODE- LUNATIC TOKYO 2025 -黒服限定GIG-

LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 
ERA TO ERA -THE FINAL EPISODE-

LUNATIC TOKYO 2025
-黒服限定GIG-

2025年2月23日(日祝) 
東京ドーム
開場15:00 / 開演17:00

チケット・公演情報
https://www.lunasea.jp/live/20250223tokyodome

The Millennium Eve 2025 LUNA SEA|GLAY

The Millennium Eve 2025
LUNA SEA|GLAY

2025年2月22日(土)
東京ドーム
開場16:00 / 開演18:00

チケット・公演情報
https://www.lunasea.jp/live/20250222tme

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