吉田篤貴(Violin)使用楽器・機材紹介

■当日使用した楽器本体や弓、松脂についてお聞かせ下さい。

ヴァイオリン:YUKI HORI(堀 酉基) FECE IN TOKYO ANNO 2012 Inspired by GIUSEPPE GUARNERI DEL GESU 1742 “EX DONALDOSON”

吉田篤貴(以下、吉田):自分の恩師である久保陽子氏の勧めで堀氏の楽器と出会い、その音色と自分の演奏している音楽のスタイルとの相性がとても良かったので購入しました。全音域に渡り力強く、オールドのような渋みのある太い音色を持ち、反応の良さは様々なジャンルの演奏を手助けしてくれます。また、光り輝くようにキラキラとした高音が、自分の感情の高まりを際限なく表現させてくれています。

弓:Emile A. OUCHARD of Paris in New York circa 1954

吉田:力をかけた時の粘り強さがピカイチのこの弓は、楽器との相性もばっちりです。重めの弓ではあるのですが、繊細な音からアグレッシブな音までコントロールがしやすく、自分の身体の一部のようになっています。

松脂:Bernardel

吉田:割と松脂へのこだわりは無いほうなのですが、最近は録音でかなり繊細な表現をすることも多いので、しなかやさを求めるようになりました。

■楽器を始めた年齢と所有楽器の遍歴について教えて下さい。

吉田:4歳から始め、幼少期は全て鈴木バイオリンでした。中学1年生の時に初めて手にしたフルサイズが Luigi Apuilino 1998 Cremona で、その後、堀酉基さんの2012年製作のグァルネリ・デル・ジェスモデルの楽器に出会い、ずっと使用しています。

■一番頑張って練習した思い出の曲は何ですか?

吉田:パガニーニ 『24のカプリースより第23番』

大学3年生の時に、それまでヴァイオリンではコンクールと無縁だった自分が、予選も通るのは厳しいと師匠に言われながらも挑戦したコンクールの予選の課題曲。この時期の音の”精度を上げる”とか耳を”研ぎ澄ます”訓練のような練習が無ければ、今のように楽器を自由に扱えるようになっていなかったかも知れません。辛かったけど大切な思い出です。

■個人的に一番好きな楽曲や作曲家について教えて下さい。

吉田:敢えて「聴くのが」好きな曲を挙げてみます。クラシックでいうとラヴェルが一番好きです。中学生の時に聞いた『ダフニスとクロエ第二組曲”夜明け”』『水の戯れ』が、あまりに鮮やかに風景や色彩を音で再現していて感銘を受け、それから虜に。その時の感動は今も自分の音楽観に大きく影響しています。緻密に作り込まれた美しさの中に垣間見える、毒味やグロテスクさもラヴェルの音楽の大好きなところです。

他のジャンルだと、ジャズピアニストFabian Almazanの『Alcanza Suite』。複雑な拍子やハーモニー、ストリングスの入った楽器編成など全てがツボで、自分もいつかこんな規模感の音楽を作りたいと憧れながらいつも聴いています。

■ムジカーザ公演を終えた今のお気持ちをお聞かせ下さい。

吉田:自分が今EMO stringsでやりたいことを表現するのに最適な会場ムジカーザで、満席のお客様に聴いていただけたことが、心から嬉しかったです!ムジカーザの響き、規模感、客席との距離感等が、弦楽9重奏の持つ”集合体”でありながらも”個”を存分に感じられる要素を浮き彫りにしてくれたように感じました。作曲がギリギリになった(笑)新曲2曲に、久々に演奏ができた委嘱作品2曲、これらは特にヘビーな曲でしたがメンバーが頑張って練習をしてくれたおかげで客席の反響もすごかったですね!そして、内田麒麟氏のハンドパンを用いた新たな挑戦には度肝を抜かれましたが(笑)、弦楽アンサンブル特有の様々な音との共存を広く許容していく性格を今後もどんどん生かし、新しいコラボレーションを続々行いたいと思っています。次に制作したいアルバムを見据えながら組んだプログラムでしたが、手ごたえを感じることができ次なる大きな一歩を踏み出せた一夜となりました。

撮影:小野寺将也

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