Ayasaが約4年ぶりに行った東名阪ツアー「LIVE TOUR 2023 ~Glory,Glory~」。同ツアーの最終公演の地として、彼女は8月6日(日)に東京キネマ倶楽部の舞台に立っていた。当日の模様をここにお届けしたい。

満員の人たちが埋めつくした場内へ荘厳なSEが流れだす。その音へ呼応するように、観客たちが熱い手拍子を打ち鳴らす。登場するメンバーたちへ向けた声、主役のAyasaの登場にあわせ、その声はひと際大きくなる。

ライブの冒頭を飾ったのは、シンフォニックメタルナンバーの『亡霊たちの舞踏会』。舞踏会と言いつつ、けっして優雅なだけではない。Ayasaを筆頭としたメンバーたちも、フロアで拳を振り上げる観客たちも、感情の導火線に火を点けるどころか、最初から熱く気持ちを高ぶらせ、共に戦いを挑んでいた。Ayasaの雄大かつ勇壮なヴァイオリンの音色が、心を優雅に染めあげる。でも、演奏陣は荒ぶる音をぶつけ続ける。轟音の上で華麗に躍る白鳥のような様が、目の前には見えていた。ときに弓を弦の上に叩きつけるなど、豪快な姿がとても凛々しい。

『phoenix』でもAyasaは、重豪な音の上で優雅に音を響かせていた。黒く荒々しい音たちが拳を交わす上で、気品を忘れることなく奏でる。轟き、疾走する演奏とシンクロしながらも、けっして優美さを忘れることはない。むしろ、その気品を持った音色で、観客たちの荒ぶる感情さえもギュッと抱きしめてゆくようだ。Ayasaの奏でる高貴な旋律が、演奏陣の刺々しい音を巧みに誘導し、この空間を赤黒く染め上げる。まさに、高貴なコンダクターAyasaに相応しい姿と演奏だ。

「私がずっと見たかった景色が、ここに広がっている」と、AyasaはMCで述べていた。

次のブロックでは、カバー曲を演奏。最初に届けたのが、ボカロ曲の『テオ』。タイトなビートが響く演奏の上で、Ayasaはマシンガンを奮わせるように次々と荒々しい音符の弾を撃ち続けてゆく。ときに力強く弦を打ち鳴らしながらも、身体はしっかりとリズムを刻んでいた。途中には、ヴァイオリンとギターとの速弾きのバトルも展開。会場にいる人たちの理性を消し去る勢いでAyasaは激しい旋律の数々を弾き倒しながら、この空間を揺らしていった。

LiSAの『明け星』では、雄々しくも優美な音色を、重厚な音の絨毯の上に敷きつめてゆく。溜めを効かせた演奏が生み出すのは、大きく優しい音のうねり。その大きなうねりの中へ、このまま心地好さを覚えながら落ちてしまいたい。

この日のAyasaは、スケールあふれる激しい楽曲を好んで選んでいた。それだけ彼女自身が、心を熱く燃え滾らせ、この空間を赤い情熱の炎で焼き尽くそうとしていたからか!?その言葉が相応しい演奏として響かせたのが、和の音色も描き加えたMAN WITH A MISSION×miletの『絆ノ奇跡』。演奏が始まった途端、フロア中から熱い声が轟きだす。ゆったりと優雅な表情を描く場面では、この空間へ伸びやかな音色を撒き散らすようにAyasaは奏でていた。激しい表情に変わった途端に弾き倒せば、曲が転調するのに合わせて優美な音色も響かせる。でも、どんな旋律の中にも燃え滾る熱が漲っていた。だから、フロア中の人たちが大きな声を張り上げ、興奮した感情を彼女へぶつけていたのだろう。

ここまで、魂を熱く騒がせる躍動した楽曲を軸に構成してきたAyasaだが、次のブロックでは、アコギも加え、涼しげな夏の日々を描くように演奏を始めた。『HIGURASHI』では、Ayasaが優しい風のような音色を奏で、なびく音の風を、演奏陣が風圧の強い音でフロアへ押し流してゆく。小さな湖畔の森の中、時折、身体を差す温かい夏の日射しも覚えながら。ゆったりと流れる時を優雅に過ごす。そんな気分を覚えながら、優しいヴァイオリンの音色と、音の隙間を生かしながらも躍動する演奏に、心地好く身を浸していた。

『約束の日』では、オリエンタルな音色を奏でるヴァイオリンの調べを先頭に、その音がゆったりと流れゆく様を追いかけるように、演奏陣も爽やかで優しい音色を会場中へ染み渡らせていた。大河の中をゆったりと流れるような。いや、羽根を羽ばたかせた音色たちが、旅するようにゆっくりと大河の上を進み続ける。そんな様も思い浮かべながら、悠久の世界へと誘う音へ導かれるままに身を預けていた。終盤には、優しい音の中へ熱と壮大さが増してゆく。きっとその先に見えるのは、心を穏やかに癒す夏の桃源郷のような景色だろうか…。

次のブロックの最初に届けたのが、新曲の『Dualism』。この楽曲は、キネマ倶楽部という会場に似合う曲としても作りあげられている。冒頭から、激しさと雄大さ、優雅さと耽美な音色を重ね合ったシンフォニックでハード浪漫な世界が広がる楽曲だ。華やかさと激しさが交錯しながら、楽曲は次々と場面を塗りかえるように転調していく。優美で勇壮でロマンティックな楽曲ながら、そこからは、色々な物語の景色が見えてくる。まるで大作映画を早回しで観ているようだ。その分スリリングさもあり、気持ちがグイグイ引き寄せられる。また、凄まじい名曲を作りあげたものだ。高貴で情熱を抱いた音世界が、嬉しく魂を奮わせた。

先の雄々しき表情へ、さらに華やかで艶やかな色を塗り重ねるように、Ayasaは『華吹雪!破天連娘』を演奏。フロア中の人たちが、激しくも優美に舞い躍る演奏に身を預け、ときに手にしたタオルを大きく振り回し、ときに声を張り上げ、ときには熱く手拍子を送るなど、情熱の踊り子となったAyasaの奏でる演奏へ寄り添い、共に激しく踊り騒ぎ、気持ちの荒ぶるままにライブを楽しんでいた。途中、「Oi!」と声を掛け合う場面も誕生。激しくステップを踏むように踊るヴァイオリンの音色にあわせ、みんなズーッとタオルを振り続けていた。

ダンサブルなデジロックナンバーに乗せて始まったのが、『ナデシコロデオ』。この曲では、冒頭からAyasaが激しい速弾きの演奏を突き付ける。躍動する和ダンスロックの上で麗美な花魁に身を染めたAyasaが、沸き立つ気持ちのまま、弦の上を激しく擦るように弓を這わせていた。躍る、躍る、激しく情熱的に踊り狂う。フロアでは、ずっと数多くのタオルが回り続けていた。見目麗しい宴の様が、そこには広がっていた。ヴォイオリンが鳴らす音符のステップにあわせ、共にステップを踏みながら踊りたい。いや、声を荒らげて踊り、騒がずにいられない。Ayasaの「タオル回せ~」の声も胸に熱かった。

荒ぶるメタルな演奏が炸裂。『Medousa-破壊と創造-』に記した、破壊と想像の言葉が相応しい光景が目の前に広がりだす。ときに挑発するように、ときには優雅な音を響かせ、躍動した演奏も引き連れたうえで、Ayasaは観客たちの理性を次々と壊してゆく。フロア中の人たちも高く腕を突きあげ、破壊と創造を繰り返す演奏を貪り食らっていた。一つ一つの音がなんて力強いんだろう。

最後にAyasaが届けたのが、轟音響かせる中へ、優雅かつ熱情した景色を描きだすゴシックシンフォニアナンバーの『Rosenkreutz』。雄々しく強い存在を放つ一つ一つの音色に触れていると、気持ちの高ぶりが抑えられない。火傷しそうな熱を放っているのをわかりながらも、舞台の上から放たれる一つ一つの優雅な音をしっかりと握りしめ、胸の内に叩きつけたい。それくらい、沸き立つ衝動を抑えられない。バンド演奏なのに、黒い翼を生やした魔性と化した無数の楽団員たちが気持ち奮わせながら奏でているような迫力だ。目の前には、気持ちを解き放ち騒ぎ続ける人たちによる熱情した景色が広がっていた。

アンコールでAyasaは、二階の舞台へ姿を現し、まるで妖精のような様を見せながら、優美で艶やかで可憐な、でもしっかりと熱を抱いた『Invitation from a fairy』を奏でだす。Ayasaに向けてフロア中から大きな声が上がり、彼女へ向けて熱い手拍子をぶつけだす。Ayasaは、雲の上のような舞台で、小さな羽根を羽ばたかせ、優しく踊り、戯れるような様で、心地好い旋律の数々を眼下へ向けて降らせていた。途中から一階へ降り立った彼女は、軽やかにステップを踏みながら踊りへ誘うように、澄み渡る音を通し、一人一人の心に眩しい光の旋律を降り注いでいった。彼女に向けて、フロア中から上がり続ける大合唱。まさしくその場には、天上の楽園が広がっていた。

MCでは、二階ステージから登場できたことにとても喜びを感じていたことを、興奮ぎみに語っていた。

躍動するマーチングビートを合図に、ベース、ギターと演奏が重なりだす。そこから楽曲は『Glory,Glory』へと進化してゆく。3人の演奏の上で、軽やかにスキップをするように音をはべらせるAyasa。五線譜の上で飛び跳ねる音符の数々を従え、さらに心地好く、軽やかに、優雅に音を踊らせていく。フロアでは、たくさんの人たちが手にしたペンライトや腕を左右に振りながら、共に心と身体を弾ませ、夜のピクニックを楽しむように一緒にはしゃいでいた。楽しい、本当にその言葉しか出てこないくらい、弾む気持ちのままに大きく手を振りながら、その先に見える楽園へ向けて一緒にスキップしていたい気持ちでいた。

最後にAyasaは、激しくも優美なシンフォニックロックナンバー の『籠鳥恋雲』を演奏。フロア中から「Oi!Oi!」と熱い声が轟きだす。場内中に沸き立つエナジーを自身の中へ取り入れながら、Ayasaは、弦の上で激しくステップを踏むように音を響かせ、この空間を熱狂したフェス会場のような様に染めあげていった。魂を揺さぶる熱情のコンダクターとなったAyasaが、彼女を筆頭としたメンバーたちが、フロアを埋め着くした満員の観客たちが、互いに心を裸に、剥きだした感情を思いきりぶつけあっていた。

このライブの続き、また早く味わいたい。

TEXT:長澤智典
Photo:リリィ(ririco:ramu)・飴屋

《SET LIST》
  1. 1.亡霊たちの舞踏会
  2. 2.phoenix
  3. 3.テオ
  4. 4.明け星
  5. 5.絆ノ奇跡
  6. 6.HIGURASHI
  7. 7.約束の日
  8. 8.Dualism
  9. 9.華吹雪!破天連娘
  10. 10.ナデシコロデオ
  11. 11.Medousa-破壊と創造-
  12. 12.Rosenkreutz
  13. -ENCORE-
  14. EN1.Invitation from a fairy
  15. EN2.Glory,Glory
  16. EN3.籠鳥恋雲

Ayasa(Violin)使用楽器・機材紹介

Ayasa

「Ayasa Birthday Festival 2025」

「Ayasa Birthday Festival 2025」
2025年10月19日(日)
*1st公演:Birthday Live
open14:30/start15:00
*2nd公演:あやたみんちぱーてぃー
open18:30/start19:00

▼会場:SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
▼詳細:Ayasaオフィシャルサイトへ
https://ayasa-official.com/


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