昨年に続いて今年のゴールデンウィークも代官山SPACE ODDでワンマンライブを行なった、ガールズメタルバンドのBRIDEAR。新ギタリスト・MOEの加入、2022年秋のヨーロッパツアー、『SUMMER SONIC 2022』『LOUD PARK 2023』といったビッグフェスへの出演を経て、この日はさらにパワーアップした姿を存分に見せつけてくれた。

KIMI(Vo)、AYUMI(Gt)、MOE(Gt)、HARU(Ba)、NATSUMI(Dr)が黒い衣装を纏って現れ、挨拶代わりに投下されたのはなんと『Eyes of Doubt』。3月にリリースしたライブアルバム『AEGIS OF LONDON…LIVE!』日本盤のボーナストラックとして収められた最新曲をいきなり解き放つという強気なスタートダッシュに、すし詰め状態のフロアは早くも堰を切ったように沸きまくる。

イントロから耳を惹くギターリフ、英語詞でありながらもみんなで歌えるキャッチーなサビ、AYUMIとMOEによるWタッピングが活き活きと冴えわたるなど、もはや1年前とは段違いのパフォーマンス! KIMIのボーカルにも、楽器陣のプレイにも自信と力強さがみなぎっていて、この間で場数を踏んできたことが十分に窺える。フロントの4人が勢いよくせり出してオーディエンスを煽った『Dimensions』、重心の低いビートでどっしりと聴かせた『MIRROR』では、世の不条理に中指を突き立てるようなヘヴィメタルを日本語詞で届けていく。

今日はマスク着用の上で声出しOKなので、思う存分暴れていきましょう! みんな、声ずっと出したかったよね? 私たちもずっとみんなの声が聞きたかったからさ、登場の時点でものすごく興奮しました」とKIMIが歓声の喜びを伝え、ワンマンならではの特別な熱量でライブは快調に進む。

BPMをガツンと上げて駆け抜けた『Dance Macabre』に続き、美しいピアノのSEを挟んで始まったのは、各所で高い評価を得た最新オリジナルアルバム『AEGIS OF ATHENA』を象徴する大曲『BRAVE NEW WORLD REVISITED』。地鳴りのような音塊をはじめ、ドラマティックな展開、パンチが効いたHARUのデスボイス、ストロボ使いなど、一段とスケールが増した演奏はさすがの貫禄で、約8分の曲尺をよりあっという間に感じさせるほどのクオリティに化けていた。ミラーボールが場内を照らし、ステージ背面のLEDパネルに瞬く星屑が映し出される中での『Starlight』も素晴らしく、包容力のある温かいバラードにオーディエンスは惚れ惚れと聴き入るばかり。

大歓声を受けて「ありがとうー!」と返したKIMIは、「意図していたわけじゃなかったんですけど、さっき演奏した『BRAVE NEW WORLD REVISITED』と『Starlight』は、どっちもコロナ禍に入ってからね。“なんだよー、ライブもできないしよー!”みたいに思いながら作った曲だったので……それが今こうやってみんなの声を聞いてやれることがすごく嬉しくて、なんかグッときてしまいました」と笑みを浮かべる。

また、MOEが加入して初の声出しOKワンマンであることに触れると、フロアからは盛大な“MOEコール”が! この日はそんな彼女がまだ一度もライブで弾いていないBRIDEARの過去曲も多く取り揃えたセットリストにしたそうで、直後に披露された『Ashes』を含め、聴きたいけどやらないだろうなとファンが思っていたようなナンバーをたくさん用意してきてくれたのが嬉しいポイントだった。

スペシャルはまだまだあって、KIMIがステージを捌けた中盤のブロックでは、楽器隊の4人によるインストセクションへと突入。AYUMIとMOEのギターソロが交互に曲を色づける一方、HARUのベースソロもフィーチャーしたりと、エモく切れ味鋭いフレーズの応酬で魅せる。さらに、バンドの屋台骨を支えるNATSUMIのドラムソロが衝撃だった。ツーバスのセットを活かしたパワフルな連打だけでも見事なのだけれど、バックに虹のアーチが架かり、チャイコフスキーの序曲『1812年』が流れた瞬間、あのコージー・パウエルのドラムソロに挑んでいることに多くの観客が気づく……! そこからのオーケストラサウンドに合わせて叩く無双ぶりは、この日いちばん理解が追いつかないシーンだったかもしれない。

6分弱に及ぶ豪快なソロのあとも『NEXUS』までをノンストップで叩いたNATSUMIのドラムを、「カッコよかったでしょ? 曲を聴いていて“NATSUMIすげえな”と感じてくれていたとは思うんだけど、“もっとすごいんだぞ!”っていうところを私たちは観てほしくてね」と称えるKIMI。その前のインスト曲についても音源化をメンバーにねだるなど、最高の雰囲気でワンマンはいよいよ後半へ。

KIMI曰く「みんなの声が聞きたい曲を集めた」というクライマックスは、フロアからの歓声が過熱してヘドバンも巻き起こった『IGNITE』を皮切りに、“Raise your voice for us”の大合唱で全員がひとつになった『Determination』、猛烈に加速するバンドサウンドとポップなメロディが鮮やかに交わった『Ghoul』と、屈強なライブ定番曲で圧巻の畳みかけを見せた5人。そして、巨大モンスターマスコット“Brideちゃん”がステージに降臨した代表曲『Bloody Bride』で、盛りだくさんの本編をド派手に締め括った。

ニューTシャツに着替えて再登場したアンコールでは、「首の体操が足りてないんじゃない? みんな、ヘヴィメタル大好きだよね!?」というKIMIの呼びかけから、結成初期の懐かしいナンバー『Light In The Dark』を披露。メンバーもオーディエンスもヘドバン全開で歌って暴れまくる。

さらに、《君と大きく羽ばたきたい》と誓う『Again』をラストに誇らしく届け、やり切った5人は笑顔の記念撮影でエンディングを迎えた。新旧の楽曲を聴かせながら、この日ならではの演出をふんだんに入れながら、“EVOLUTION”のライブタイトルどおりに頼もしい進化を印象づけたBRIDEAR。MOEがバンドに馴染んでいるのも見て取れたし、その成長はまだまだ止まらなさそうだ。

取材・文:田山雄士

《SET LIST》
  1. 1.Eyes of Doubt
  2. 2.Dimensions
  3. 3.MIRROR
  4. 4.Dance Macabre
  5. 5.BRAVE NEW WORLD REVISITED
  6. 6.Starlight
  7. 7.Ashes
  8. 8.インストゥルメンタル
  9. 9.ドラムソロ
  10. 10.NEXUS
  11. 11.IGNITE
  12. 12.Determination
  13. 13.Ghoul
  14. 14.Bloody Bride
  15. <ENCORE>
  16. EN1.Light In The Dark
  17. EN2.Again

AYUMI(Guitar)使用楽器・機材紹介

BRIDEAR

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