今年5月にリリースされた4thアルバム『&』を引っさげ、6月から全国15ヵ所でライブハウスツアーを開催した山本彩。そのファイナルとなった8月3日(木)東京・Zepp Hanedaでの追加公演の模様をレポートする。

マキシワンピース×ショートパンツ×ショートブーツの白い衣装とデコレートされた金髪三つ編みツインテールのヘアスタイルで登場した山本彩(Vo&Gt)は、高速ラップパートを取り入れつつ“1秒でも無駄にしたくはないの”“人生は暇つぶしのゲームじゃないから”と強い気概をもって歌うオープニングの『Don’t hold me back』からアクセル全開で、ギブソンレスポールを弾いて楽しそうにパフォーマンス。

同じく最新アルバム『&』に収録の自己肯定感を高めてくれるロックチューン『Bring it on』では、“one”“two”“three”“four”“five”“six”とカウントアップしていく英語詞に合わせて、オーディエンスが活き活きとハンドサインを示し、掛け声やジャンプもホットに巻き起こる。阿部真央による書き下ろし曲『喝采』へと勢いそのままに繋ぐと、山本がステージ中央から伸びる花道に駆け出し、持ち替えたアコギを激しく掻き鳴らすシーンも。

力強い歌声を響かせてテンポよく沸かせる彼女のボーカルはもちろんのこと、草刈浩司(Gt)、奥野翔太(Ba)、SATOKO(Dr/FUZZY CONTROL)、小名川高弘(Key&Gt)、Ayasa(Vn)、asami(Cho/LOVEBITES)という豪華メンバーで構成されたバックバンド“チームSY”が生み出すグルーヴも、これまで全国各地を回ってきたとあって申し分ない最高の仕上がりだ。

「ツアーファイナルということで寂しさはとてつもなくあるんですけど、それを撥ね除けるくらいハジけていきたいと思います!」と挨拶した山本。「みんなの声、聞かせてもらってもいいですか?」と女性限定エリアを含む1階フロアから2階席のファンまで、すべての客層にくまなく呼びかけたあとは、Ayasaのバイオリンと奥野のベースの掛け合いで始まった『unreachable』へ。ラテンのノリが燃え上がる麗しい雰囲気の中、ライブはますます快調に進む。

序盤のハイライトは、ボカロPの100回嘔吐がプロデュースを手がけた『劣等感』。“怖いものなんてない 全ては私の思い通り”とポジティブに歌った先の『Bring it on』と対をなすような作風で、“自己愛など縁がない 特技と言えば自己否定くらい”とネガティブに心の葛藤を曝け出したこの楽曲を、山本はファルセットを巧みに織り交ぜながら、ダイナミックなバンドサウンドに乗せてニュアンス豊かに聴かせる。アルバム『&』のテーマである二面性や多様性を、ライブにおいても美しく表現してみせたのが見事だった。

そして、敬愛するELLEGARDENのカバー『風の日』。“僕だって いつも ピエロみたいに 笑えるわけじゃないから”と歌うこの曲にも、どことなく『&』の世界観と通じるような陰と陽の心模様が滲んでいて、彼女がしっかりと想いを込めてワンマンのセットリストを組んでいることが伝わってきた。場内に飛び交う「さや姉、愛してる!」「カッコいい」「好きだ」「ありがとう」「最高!」といった歓声に、山本は「めっちゃ嬉しいです!!」と満面の笑みで返す。

サウナのように熱気がものすごかった宇都宮でのライブのことを話したり、主役である山本彩のセクシーさについてワイワイ盛り上がったりと、2回目のMCタイムはチームSYのメンバーを交えてツアーの思い出を和やかに振り返る。この日は計16台のカメラを駆使した生配信も行なわれており、山本が視聴者のコメントをチェックするくだりも。「新曲も出したい!」とも語ってくれたので、来たるリリースを楽しみにしておこう。

「ほいじゃあ、夏っぽい曲をやりたいと思います」の言葉どおり、切ないメロディを歌ってほのかに納涼ムードを漂わせ、山本が草刈とともに華麗なツインギターソロも奏でたラブソング『蛍』からの中盤ブロックは、序盤とは一転して重厚かつしっとりと染みる、つい聴き入ってしまうようなスケールの大きいナンバーが並ぶ。

現実と妄想の世界を行き来しながら清々しい感情を取り戻していくミディアム曲『ゼロユニバース』、チームSYの奥深いアレンジと相まって胸がいっぱいになった別れのバラード『追憶の光』、エキゾチックで温かい曲調がミラーボールのきらめく演出とマッチしていた『ラメント』と、山本は持ち前の透き通った歌声を伸びやかに届け、シンガーソングライター/ボーカリストとしての魅力を存分に印象づける。カッコいいだけじゃない振り幅の広さ、ジャンルを問わない多才ぶりに改めて驚かされた観客も多かったに違いない。

「いやー、超楽しいです!しっとりしたナンバーを続けて聴いてもらったんですけど、もうひと暴れするかい? まだ行けるか、東京!!」という短いMCを挟んで、ライブはいよいよ終盤に突入。Ayasaのバイオリンに導かれてオーディエンスが崇めるように手を掲げた『JOKER』で会場の一体感がいっそう高まり、底抜けに明るいアッパーチューン『Weeeekend☆』では“HAPPY HAPPY Party Boy”“Happy Happy Party Girl”のコール&レスポンスとチームSY全員のソロ回しがパワフルに決まる。山本も大いに躍動し、お立ち台に上がって歌う。

さらに、ブルーのド派手なライティングが目を引いた疾走感あふれる『TRUE BLUE』、辺り一面に熱いタオル回しを大発生させた『ドラマチックに乾杯』までをロックにノンストップで駆け抜け、満ち足りた表情で本編を終えた7人。「今日来てくれた一人ひとりみんなのおかげですごく楽しかったです!ホンマにありがとう!!」と叫び、とても幸せそうに歌う山本の姿はグッとくるものがあった。

鳴り止まない“彩コール”を受け、カジュアルなY2Kファッションに着替えて再登場した山本は、「こうして最高の日にできてるのって、自分の力じゃなくて、みんなの力が大きいと改めて実感しました。声が出せないライブもそれはそれで特別やったけど、やっぱりいっしょに歌って騒げるこの感じは完璧な相思相愛だなと思います。今日もステージに立たせてくれてありがとう!」と胸の内を語り始める。

「前回の『re』ツアー(『SAYAKA YAMAMOTO TOUR 2021 ~re~』)、前々回の『α』ツアー(『山本彩 LIVE TOUR 2020 ~α~』)と、どっちも完走できなかったことがすごく悔しかったし、みんなにも申し訳なくて……今日は自分なりに特別な想いがあったんですね。長かった霧の中からようやく抜け出せたような気がしています。『&』ツアーが始まってからの2ヵ月間、めちゃくちゃ幸せでした」という、体調不良などを懸命に乗り越えてきた彼女の素直な告白には、この日いちばんの長く温かい拍手が送られた。

「自分に特別なものや人よりすごいものがあるなんて、いっさい思ってません。でも、やり遂げられること、誰かの力になれることは続けていればあるんじゃないかなって。このステージに立ってみんなに自信というかけがえのないものをもらったので、もっともっと大きいところに連れていけるように、30代も身体を鍛えつつやっていきます。みんなも長い旅に、長いマラソンにケガせずついてこられるように、これからもいっしょに楽しんでくれたら嬉しいです」

現在の心境、そして未来への意欲をまっすぐに伝えた山本。アンコールでは「そんな旅にもぴったりの曲です」とエレクトロ感のある『yonder』、オーディエンスのシンガロングを味方につけてこれからの自分へ期待を込めた『Are you ready?』を披露。まさかの終演アナウンス後に予定外のダブルアンコールも敢行され、締めはもう一度『Bring it on』を、客電が付いたままの状態&ハンドマイクでよりエモーショナルにお届け。圧倒的な熱量に包まれ、忘れられないツアーはこの上ない大歓喜のフィナーレを迎えたのだった。

Photo:佐藤祐介・半田安政
取材・文:田山雄士

《SET LIST》
  1. 1.Don’t hold me back
  2. 2.Bring it on
  3. 3.喝采
  4. 4.unreachable
  5. 5.劣等感
  6. 6.風の日
  7. 7.蛍
  8. 8.ゼロ ユニバース
  9. 9.追憶の光
  10. 10.ラメント
  11. 11.JOKER
  12. 12.Weeeekend☆
  13. 13.TRUE BLUE
  14. 14.ドラマチックに乾杯
  15. <ENCORE>
  16. EN1.yonder
  17. EN2.Are you ready?
  18. <W-ENCORE>
  19. WEN1.Bring it on

山本彩 使用楽器・機材紹介

山本彩

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見逃し配信期間
9月5日 20:51〜9月19日 23:59

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SAYAKA YAMAMOTO LIVE TOUR "NARRATIVE"

SAYAKA YAMAMOTO LIVE TOUR "NARRATIVE"

<スケジュール>
2027年1⽉14⽇(⽊)
埼⽟・ヘブンズロックさいたま新都⼼
開場 18:30 / 開演 19:00

2027年1⽉16⽇(⼟)
宮城・darwin
開場 17:00 / 開演 17:30

2027年1⽉23⽇(⼟)
広島・VANQUISH
開場 17:00 / 開演 17:30

2027年1⽉28⽇(⽊)
⼤阪・BIGCAT
開場 18:15 / 開演 19:00

2027年2⽉5⽇(⾦)
愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO
開場 18:15 / 開演 19:00

2027年2月6⽇(⼟)
福岡・DRUM Be-1
開場 17:00 / 開演 17:30

2027年2⽉10⽇(⽔)
東京・Zepp Diver City Tokyo
開場 18:00 / 開演 19:00

▼チケット
7,150円(税込)
※東京のみ:2階指定席 8,800 円(税込)
※ドリンク代別

詳細はこちら
https://yamamotosayaka.jp/news/detail/2958


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