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和楽器バンドのボーカリストとしても知られる鈴華ゆう子が、ソロデビュー10周年イヤーの幕開けを飾る公演『華まつり -十年大祝宴-』を6月13日(土)に東京・いちょうホールで行なった。

期待が高まるオープニング映像 → 幕の振り落とし&板付き → 10周年を記念した『神代夜想曲』の初披露という、意外性抜群な演出でライブはスタート。ボカロP・黒うさと再タッグを組んだいきなりの最新ナンバーを受け、ペンライトが輝く客席は一様に驚喜し、鈴華ゆう子(Vo)も真紅の羽織を早々と脱ぎ捨てる。
冒頭から際立つ叙情的なメロディと和の世界観。そこに『Incubation』でヘヴィメタルの獰猛さを掛け合わせるなど、匹田大智(津軽三味線)、鳴風(Gu)、広田圭美(Key)、わちゅ~(Ba)、Yeongkwi Lee(Dr)による“華Band”の変幻自在なグルーヴも素晴らしい。ダンスミュージックの刺激を取り入れた『ケサラバサラ』は、鈴華が振り付けを交えながら場内にシンガロングを巻き起こす。

「10周年のお祝いに集まっていただきありがとうございます! SNSなどでみなさんの様子を見ていて、今日を楽しみにしてくれているのをひしひし感じていました」と挨拶する鈴華。本番前は『神代夜想曲』を手がけた黒うさに応援メッセージをもらったと明かす。観客たちがそれぞれどこから来たのか尋ねたりと、積極的にコミュニケーションを試みる時間も。
「誕生日にあやかっていちばん大きなライブを毎年6月にやってるんですけど、今回はバースデーとかを取っ払い、10周年のお祭り騒ぎで行こうと思います!」と呼びかけ、バンドメンバーを紹介したあとは、ジャジーなピアノを軸に艶めかしく聴かせる『泥棒猫』、麗しい歌声がひときわ映えたミディアム曲『カンパニュラ』(作詞・作曲は森山直太朗)で、自身の表現やサウンド感をさらに拡張。

その後は長丁場に対する配慮でオーディエンスをいったん着席させ、作曲家・田中公平と雅楽師・東儀秀樹とともにコラボ制作した平和を祈る歌『SAMURAI DIVA』、入倉慶志郎(日本壮心流/雅号:入倉昭鳳)との舞踊パートも加えて己の死生観を切々と描いてみせた『巡り巡る』……スモークが幻想的に漂うなか、見事なまでに緩急を付け、より深遠なムードを形成していく。

続けて、鈴華と入倉はしなやかで力強い剣舞を披露。『SAMURAI DIVA』のMV含め、たびたび共演を重ねてきた2人ゆえ、ダンサブルなBGMおよび匹田の津軽三味線に乗せたパフォーマンスは息ぴったり。幼少期から多彩な文化に触れ、昨年は詩吟の新流派“吟道鈴華流”を立ち上げた彼女らしい、どこまでも自由闊達なアプローチにすっかり心を掴まれてしまう。
剣舞を終えると、またも驚きの仕掛けが。入れ代わりでYOSAKOIソーランチームの倭奏(読み:わっか)が、和太鼓や篠笛を高らかに鳴らしつつ、ホール内の左右と後方の扉から客席通路を練り歩いて現れた。同じく(結成)10周年を迎え、自分たちの魅力をわかりやすく伝えるため“踊る和楽器バンド”と名乗っていた時期もあるという彼らが、こうして鈴華のライブに招かれるのはまさに悲願。
和太鼓の快活なリズムに合わせ、手拍子のみならず「10周年おめでとう」「わっしょいわっしょい 鈴華ゆう子」のコール&レスポンスを促したり、グッズのフラッグやハリセンを振らせたり、時にヘドバンも誘ったり。この日14人編成で臨んだ倭奏によるダイナミックな音頭が、会場全体をいっそう熱く盛り上げる。

衣装を変えた鈴華が戻り、再びスタンディングモードに転じるライブ後半。口火を切ったのはもちろん、彼女が特別歌唱参加した倭奏の10周年記念作品楽曲『響粋(読み:ひすい)』で、よさこいに溶け込む神秘的なボーカルをはじめ、エネルギッシュな演舞との融合、ゴキゲンな祭囃子がたまらない。和楽器バンド飛躍の契機となった『千本桜』(黒うさの代表曲)も解き放たれ、降り注ぐ美しい桜吹雪とのシナジーで辺りは狂宴の様相に。

倭奏の送り出しから息つく間もなく、今度は和楽器バンドのメンバーである亜沙がイン。ベーシストとしてアンサンブルの一員を担ったうえ、自身のソロプロジェクト“骸と伽藍堂”における鈴華フィーチャリング曲『骸に歌えば』で2人が鮮やかなデュエットを繰り広げるという、スペシャルゲスト然とした奮迅ぶりで観る側を大いにどよめかせた。
ひさびさとなるステージでの再会を喜び、マシンガントークに興じる両者。「亜沙とこうやってライブをするのはかなり珍しいよね?」「ゆうこりんと何かするっていうのがね。今思い出したんだけど、(和楽器バンドの)黒流さんのライブに2人で行ったの覚えてます?」「まだインディーズの頃ね」「その待ち時間で確かカラオケに行ったのよ」「えー!? 超レアじゃん! 大さん(神永大輔)と変なカラオケバーに入ったこともあるよね。亜沙がイントロでピッと消しちゃうの、大さんがミスチルを歌おうとしてるのに(笑)」「あれはお約束です」
「部屋から出ないイメージが強いボカロPさんだけど、亜沙はまったく違うタイプだった。ライブの煽り方を教えてくれたりしてね」「今日もゆうこりんが『千本桜ーッ!』とか言ってるのを見てさ、ああ懐かしいなと思いました。相変わらず外タレっぽくて(笑)」「で、最近は何してたんですか?」「ずっとゲームしてた。曲も作ってますよ」「亜沙に連絡するときは、だいたい深夜2時です」「……間違ってはないか」などなど、どこまでも話していられそうな雰囲気だ。

MC明けには「この曲があるからこそ『華まつり』と思ったくらい好き!」(鈴華)という、骸と伽藍堂で発表したもうひとつの共演作『金魚掬いと夢花火』をプレイ。夏の風情に包まれ気持ちが昂ったところで、亜沙を象徴するエモーショナルな花魁哀歌『吉原ラメント』へ。2人が和傘に入って背中合わせになるシーンも決まり、オーディエンスの高揚はますます膨らむ。
亜沙が捌けても勢いは止まらない。そのままクライマックスに突入し、詩吟テイストを織り交ぜた陰陽座のカバー『甲賀忍法帖』、ゲーム『SDガンダム ジージェネレーション ジェネシス』のオープニングテーマソングで10年前に黒うさが書き下ろしたソロデビュー曲『永世のクレイドル』、サビの“ひらひら”“はらはら”と共鳴するようにファンが舞扇子を掲げた人気ボカロ曲『百年夜行』と、キャリアの節目にふさわしいメニューを畳みかけ。

ファンキーなラップを響かせた『The Battle of the Monkey and the Crab』で大合唱を味方につけ、とびきりポップな『step forward』でタオル回しを爆誕させ、いよいよ興奮はピークに到達。「嫌なことは置いていってね。私が全部吸い込むから!」と鈴華が叫び、Q-MHzがプロデュースした『Dark spiral journey』へ繋ぐ。王道アニソンの風格を持つ、ソロシンガーとしての可能性を広げた疾走ロックチューンにより、ここでもまた新鮮な感動が生まれ、本編は歓喜のうちに締め括られた。
「私にとってはみなさんの存在が生きがいです。これからも絆を深めていきましょう。人生の最期は誰にでも訪れるけど、今日の景色は走馬灯として絶対に残ると確信しました。どれだけ深く“私にしかできないこと”を追求していくか。次世代にも繋げていきたい。それが目標なので、進化し続ける鈴華ゆう子を支えてください。よろしくお願いいたします!」
未来について言及するなどあふれる想いを語ったアンコールでは、こちらも黒うさ作となるソロ初期の奥ゆかしいバラード『戦火の灯火』、“前に進もう”“ありがとう”“君の寂しさは、私が抱きしめよう”のポジティブな歌詞が印象的だった『パピヨン』を演奏。


さらに、亜沙がもう一度ベースを携えて登場したほか、お祝いに来ていた大さんこと神永大輔がなんと私服のまま尺八で飛び入り参加し、ラストは和楽器バンドの『戦-ikusa-』が怒涛のテンションで届けられる。ここで聴けるとは思っていなかったまさかの選曲や銀テープ発射にオーディエンスも最高のリアクションを見せ、2時間半に及ぶ絢爛豪華な祭りは賑々しく終演となった。 なお、鈴華ゆう子は11月から12月にかけて、アニバーサリーにちなんだツアー『万華の宴 -10周年東名阪巡礼-』と衣装・写真展『万華の苑』の開催を発表。8月と9月には、亜沙のツアー『遊郭低音帳』が行なわれる。今後の動きもぜひチェックしよう。

Photo:上溝恭香/笠野志緒里
取材・文:田山雄士
《SETLIST》
- 1.神代夜想曲
- 2.Incubation
- 3.ケサラバサラ
- 4.泥棒猫
- 5.カンパニュラ
- 6.SAMURAI DIVA
- 7.巡り巡る
- 8.剣舞
- 9.よさこい太鼓performance~リズム遊び
- 10.響粋
- 11.千本桜
- 12.骸に歌えば
- 13.金魚掬いと夢花火
- 14.吉原ラメント
- 15.甲賀忍法帖
- 16.永世のクレイドル
- 17.百年夜行
- 18.The Battle of the Monkey and the Crab
- 19.step forward
- 20.Dark spiral journey
- <ENCORE>
- EN1.戦火の灯火
- EN2.パピヨン
- EN3.戦-ikusa-
STAGE Vol.15 《表紙・巻頭》八潮瑠唯(Morfonica/CAST:Ayasa)/和楽器バンド
【和楽器バンド 機材紹介】2020.8.15-16@横浜アリーナ “和楽器バンド真夏の大新年会2020 〜天球の架け橋〜” ライブレポート 












