雄々しきその姿を通したライブは、次の未来へともに進撃しようと魂を奮い立たせた雄叫びのようにも感じられた。

BRIDEARの単独公演「BRIDEAR LIVE 2025『BURNING LIKE A FLAME』」が、9月5日に渋谷Star Loungeで行われた。台風直撃後の開催とはいえ、ライブハウスの中は、先程までの暴風雨以上に熱く激しいライブが繰り広げられていたことを先に伝えておきたい。この日は、4月にリリースした、過去の名曲たちを現メンバーで新録したミニアルバム『Reborn 2013-2016』に収録した楽曲もすべて披露。当日の模様を、ここへ再現しよう。

地を這うような重厚かつエレクトリックなSEが場内中に広がりだす。楽曲が躍動するのに合わせて、フロア中から熱いクラップが響きだした。メンバーらの登場に合わせて上がった、熱した声・声・声。高まる期待、高ぶる感情。そして…。

NATSUMI(Drums)のドラムカウントを合図に、AYUMI(Guitar)のギターの音が身体中を深く切り裂くように鳴り響く。ライブの冒頭を飾ったのが、『Still Burning』だ。KIMI(Vocal)の煽りを受け、場内中から上がる野太い声。荒ぶる叫び声さえも、彼女たちは自らを鼓舞するエネルギーにし、感情のアクセルをグイグイ踏み込んでゆく。曲が進むごとに攻撃性を増してゆく演奏。そのたびに、観客たちの声のボリュームも上がりだす。バトル!?そんなことは、メンバーも観客たちも最初から分かっている。互いに高ぶる気持ちをぶつけあい、彼女たちと一緒に身体を折り曲げ、5人の演奏に溺れながら暴れ狂えばいい。それが、ここにいる答えだ!!無数の拳がステージに向かって高く、雄々しく突き上がる。その景色を、ここに集まった大勢の仲間たちと一緒に作るたびに胸が熱くなる。

理性をぶち壊す激烈なリフを合図に、KIMIが観客たちを煽りだす。その声に合わせて、フロア中から野太い声が上がり、拳が突き上がる。『Braver Words』を通してBRIDEARは、さらに感情を剥き出しにして挑みかかってきた。歪みを上げた音が次々に表情を変えるたびに、身体を力強く折り畳まずにいられない。途中、AYUMIが台の上に乗りギターソロをぶち噛ます。KIMIの歌声も、感情のままに歌い叫ぶように見せながら、演奏としっかりシンクロしている。だから、唸るような凄まじい音が襲いかかるたびに、荒ぶる気持ちを抑えられなくなる。

みんなで一緒に暴れていきましょう!!」の声を合図に、BRIDEARが突きつけたのが、HARU(Bass)のグロウルした声も印象的な『SCREAM』だ。高速で攻撃的なリフを次々と突きつける楽器陣。その上にHARUのグロウルした声が重なる。KIMIもときに頭を振りながら歌えば、フロアにいる大勢の人たちも、身体や首を激しく揺らし、ステージの上から降り注ぐメタルコアな音の洗礼に身を委ねていた。AYUMIの刻むヘヴィなリフに重厚な演奏を折り重ねれば、観客たちも身体を大きく折り曲げ、熱狂に溺れてゆく。巧みに緩急を付けながら攻め続ける演奏に、気持ちが奮える!

Pray』では、拳を振り上げて煽るKIMIの動きに合わせて、フロアでも無数の拳が突き上がっていた。前のめりの姿勢で、ハード&ドライブした激しい音を叩きつけるメンバーたち。ときに、拳と絶叫のやりとりを交わしながら、攻撃的でエモくメロディアスな楽曲を通して、彼女たちは観客と心を一つにしていた。間奏では、AYUMIの突き刺すような美しくも牙を剥いたギターソロも登場。この曲でも終始爆走しながら、BRIDEARはこの場を暴れ騒ぐ狂乱の場に染めあげていった。

2本のギターが、印象的なリフメロを重ねて突きつけた。『Dimensions』が始まった途端、フロア中から上がる拳と絶叫。台の上に立ったKIMIは、今にもフロアへ飛び込みそうな姿で観客たちへ迫る。AYUMIとHARUもステージの最前まで乗り出し、腰をグッと落として野太い演奏を叩きつける。間奏ではライブ活動休止中のMOE(Guitar)に代わってサポートで迎えた美彩季とAYUMIの2本のギターが織りなす、気持ちを笑顔で揺さぶる美メロなユニゾンプレイも登場。熱を上げて爆走し続ける音楽に、今はどっぷりと浸り、暴れていたい。

MCでは、雨女のHARUが台風を呼び起こしたことなど、当日、関東を襲った台風にひっかけての話題を語っていた。

続いて披露したのが、初期ナンバーを今のメンバーでリアレンジした『Marginal Lie』。ドラムカウントを合図に、NATSUMIが凄まじい音を叩きつけた。荒ぶるハリケーンのように激しく唸りを上げた演奏の上で、KIMIが感情的な声で歌いあげる。次々と繰り出される重厚なリフビート。間奏で見せたAYUMIのギターソロも、ひと際重量感を持った音を響かせていた。その後に奏でた2本のギターの掛け合いやツインプレイ。彼女たちは、そこからさらに感情のボリュームを上げて攻めてゆく。

フロア中に鳴り響く鐘の音。シンフォニックでダーク&ゴシックな様相を呈した演奏は、次第に激しく荘厳に染めあがる。BRIDEARが届けたのは、時間を気にせず堪能できるワンマンだからこそ味わえる超大作曲の『BRAVE NEW WORLD REVISITED』。一篇の長大な物語を重厚な音の絵筆で描くように、彼女たちは次々と表情を変化させながら、スケールの大きいオルタナティブなメタルワールドを目の前に描きだす。NATSUMIのドラムが物語のページをめくるように次々と表情を変えれば、その上で弦楽器隊がプログレッシブでハード&メロディアスな世界観を音の絵筆を使って彩りだす。AYUMIの泣きのギターに合わせて、気持ちの内側を抉るような演奏を見せたかと思えば、再び攻撃性を増すなど、曲が進むごとに彼女たちは、長大な音絵巻の上に様々なドラマを描き加えてゆく。ふたたび場内中に鳴り響いた鐘の音。そして…。

感情を掻きむしる、AYUMIの野太いギターのリフが炸裂。鋼のように重厚ながらもしなる演奏を背に、KIMIが台に左足を乗せ、身体を揺さぶるように歌っていた。4人の楽器陣が繰り出すヘヴィネスな音の塊が、激烈で攻撃的なリフになって襲いかかる。『Empty Mind』。全身をハンマーで殴るような、重い衝撃をずっと身体中に与えてゆく楽曲だ。その音に興奮を覚え、拳を突き上げる観客たち。終盤、メンバーらと観客たちが一緒に拳を振り上げ、心を一つに「Wow Oh Oh~」とシンガロングしてゆく。その様も、気持ちを嬉しく奮わせた。

ここで、雄々しく咆哮するような強靱な音を叩きつけるNATSUMIのドラムソロへ。力強いビートを叩き出すNATSUMIの演奏にあわせて、フロア中からも煽るような声と手拍子が上がり続ける。そこからさらに、手数女王ともいうべき雷鳴の如き凄まじさを持った荒ぶるプレイが炸裂していった。

NATSUMIの叩き出す超高速のツーバスを合図に、剥きだした音を高速で激しく突き刺すように『Road』を演奏。身につけた服を脱ぎ、身軽な姿になったKIMIが、気持ちを煽る激しく切れ味鋭い演奏に飛び乗り、その身を揺らし、今にも客席へ飛び下りんばかりの姿で熱唱してゆく。その姿を見ながら、メンバーたちも身体を揺らし、理性を破壊するリフメロを次々と突きつけていった。

ドラムカウントを合図に、BRIDEARは勇壮かつ攻撃的な、しかも、スケールの大きい『Scar of Reunion』を演奏。美しく、気高く、でも、全身をギザギザな音の刃で斬り刻むようだ。この曲でもメンバーらは、感情的な思いを全力の声と演奏にしてぶつけ、この場に雄大な世界を描きだしていった。左右の台に上がり、2本のギター陣がソリッドな音に乗せ、美しくメロディアスな音をハモリ続ける。落ちサビでメロウな表情も見せながら、BRIDEARはスケール大きなドラマを描きだし、観客たちの気持ちを高ぶらせていった。この曲の間中、気持ちがずっと熱く沸き続けていた。

ライブも最後のブロックへ。並べたのが、BRIDEARの顔とも言える曲たち。『IGNITE』のイントロのリフが流れ、リズム隊が演奏へ加わった途端、場内中の人たちが野太い声を張り上げ、ステージに向かって拳を突き刺しだす。身体を大きく折り畳みながら歌うKIMIや、身体を深く折り曲げて、激烈なリフを刻むHARUの姿も印象的だ。一つ一つの音が気持ちを奮いたてるように響くたび、フロア中から野太い声が上がり、たくさんの拳が突き上がる。一緒に高みへ向かって熱をほとばしらせる。この感覚が、たまらなく胸を熱く揺さぶっていた。

まだまだいけるか!?」と煽る声が飛び交う。『Ghoul』でも、高揚するメロディックでハードな楽曲に乗せ、メンバーと観客たちが互いに心を裸にし、荒ぶる感情をぶつけあっていた。AYUMIとHARUが立ち位置を変えるなど、様々な見せ場もさりげなく作りながら、メロハーな音の衝撃で観客たちをずっと興奮の渦の中へ巻き込み続けてゆく。その上で…。

最後にBRIDEARは、今のメンバーで新たに表情をブラッシュアップした『Light In The Dark』を突きつけた。AYUMIの美しくも気高きクリーンなギターの旋律から、一変。演奏が荒ぶるのにあわせ、彼女たちは牙を剥きだした攻撃的な姿でグイグイと迫りだす。フロア中から突き上がった無数の拳。HARUのグロウルした声を興奮へ導くスパイスにしながら、ときにKIMIと観客たちが声を掛け合い、熱した思いを一つにしてゆく。この曲でも、間奏では高速で繰り出すツインギターの妙味を堪能。ハモリやリフメロが身体中に興奮という熱を注ぎ込む。KIMIと観客たちの掛け合いも含め、誰もがこの曲を、いや、ここまでの流れを通して、互いに剥き出した裸の気持ちで熱狂と絶叫と絶頂を分かち合っていた。

シンフォニックでメロディアス、スケール大きなメタルナンバーの『Again』を演奏しながら、アンコールはスタート。KIMIのエモくハートフルでメロディアスな歌に気持ちが揺さぶられる。楽器陣も、彼女の歌声を激しく華やかに彩るように演奏。もちろん、攻撃的な音もぶち噛ましつつ、胸を嬉しく揺さぶる歌に大勢の人たちが気持ちを赤い血潮に染め、上がる気持ちを拳にして突きつけていた。途中、ボリュームペダルを使って揺れ動く感情を現したギターの演奏も登場。KIMIが「遠くまで」と歌いあげる声に気持ちを高ぶらせ、観客たちも声を荒らげ、拳を高く突き上げていた。歌に心が泣き濡れる。沸き立つ思いを、演奏陣が激しく華やかに彩る。そのコントラストが、激情した世界を目の前に描きだしていった。

最後にBRIDEARは、新録し、ブラッシュアップした『Wing Of Hope』を演奏。気持ちを熱く気高く刺激するギターのリフメロに感情を奮い立たせた観客たちが、拳を高く掲げだす。疾走する楽曲の上で、BRIDEARはメロディックでハードな楽曲をプレイしていた。高ぶる感情のままに身体を揺さぶり、歌いあげるKIMI。彼女の歌に魂が共鳴するたびに、フロア中の人たちが拳を突き上げる。鋼のような演奏を従えてとはいえ、歌で心を恍惚へ導いてゆく様に、気持ちがずっと揺さぶられていた。途中に4人の楽器陣がソロプレイを繋いでゆく場面も組み込み、4人が紡いだ思いを受け継ぐように、KIMIが高らかに歌いあげていた。その歌声の手を、誰もが伸ばした手でつかもうとしていた。いや、しっかりと心の中で握り締めながら、メンバーらと一緒に「Wow Oh Oh~」とシンガロングし続けていた。雄々しきその合唱は、次の未来へともに進撃しようと魂を奮い立たせた雄叫びのようにも感じられた。

まだまだ終われねぇよな。この興奮、冷ますんじゃなくて、さらに燃えたぎらせたいよな。収まらない観客たちの声。興奮したその思いへ応えるように、三度メンバーらがステージへ。

最後の最後にぶち噛ましたのが、このメンバーで新録した『Rebirth』。冒頭から2本のギターがユニゾンしながら走り出した。その音をリズム隊がさらに煽る。熱を撒き散らしながら爆走する楽曲の上で、KIMIが真心を持って歌いあげる。激しく切り刻む演奏に身体は奮えながらも、気持ちはずっとKIMIの歌声に酔っていた。胸がスカッとする開放的な、でも腹の奥底までズシンと響くメタルサウンドの洗礼を受けて気持ちがずっと沸き続けていた。エモくメロく(メロディアスで)、でも拳を突き上げずにはいられない音の衝撃と衝動に浸り続けていたい。誰もが終わりを拒むように、ずっと拳を高らかに突き上げていた。この時間を永遠には出来なくとも、それでも永遠を求めたい。そんな最高に刺激的なドラマを、BRIDEARはこの場に作りあげていった。最後のツインギターのハモリも胸に熱かった。

ライブ撮影:MOE(BRIDEAR)
TEXT:長澤智典

《SETLIST》
  1. 1.Still Burning
  2. 2.Braver Words
  3. 3.SCREAM
  4. 4.Pray
  5. 5.Dimensions
  6. 6.Marginal Lie
  7. 7.BRAVE NEW WORLD REVISITED
  8. 8.Empty Mind
  9. -Drum solo-
  10. 9.Road
  11. 10.Scar of Reunion
  12. 11.IGNITE
  13. 12.Ghoul
  14. 13.Light In The Dark
  15. -ENCORE-
  16. EN1.Again
  17. EN2.Wing Of Hope
  18. -W ENCORE-
  19. EN3.Rebirth

KIMI(Vocal)使用機材紹介

BRIDEAR

New Full Album『Born Again』Now On Sale!!

BRIDEARがFredrik Nordström(フレドリック・ノルドストローム)のプロデュースによる新作『Born Again』を2024/6/28にリリースした。
Fredrik Nordström(フレドリック・ノルドストローム)とは、HAMMERFALL、ARCH ENEMYのプロデューサーとしても知られる実力者だ。

このレコーディングはスウェーデン・イェーテボリにあるStudio Fredman(スタジオ・フレッドマン)にて3週間に渡り敢行され世界と戦えるサウンドを目指し製作されたという。

アルバム『AEGIS OF ATHENA』(2022年)以来約2年振り、通算5作目のスタジオ盤フルアルバムとなる期待大の大作だ。

MOEのアルバムレコーディング参加は今回が初、1曲目の先行シングル『Still Burning』がそのMOEの作曲した曲と言うのも更に強力になった証だと思われる。

前作『AEGIS OF ATHENA』では2曲を作曲したAYUMIは本作『Born Again』では4曲の作曲の他、2曲の作詞に挑戦している事も新境地に踏み出した勢いを感じる。
10曲目『Die Like This』にはスウェーデンのヘヴィメタルバンドDream EvilのボーカリストNick Nightもゲストボーカルとして参加している。

BRIDEAR『Born Again』
2024年6月28日発売

<収録曲>
01. Still Burning  (Music: MOE Lyrics: KIMI)
02. Braver Words  (Music: AYUMI Lyrics: KIMI)
03. Born Again  (Music&Lyrics: AYUMI)
04. Cult  (Music&Lyrics: KIMI)
05. Empty Mind  (Music&Lyrics: AYUMI)
06. Scar of Reunion  (Music&Lyrics: KIMI)
07. Real is Real  (Music: AYUMI Lyrics:KIMI)
08. Fight it Down  (Music: MOE Lyrics:KIMI)
09. No Angels  (Music: HARU Lyrics: KIMI)
10. Die Like This  (Music:MOE Lyrics:KIMI)

Psychomanteum Recordsより全世界発売に先立ち日本盤がリリース。
先行シングル『Still Burning』のMVの撮影はArch EnemyやIn Flamesも手掛ける著名監督との事で、とてもカッコイイ仕上がりになっている。


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