今回の公演名となった「Adventus」という単語はキリストの降誕“クリスマス”を待ち望む期間を意味するラテン語だという。実は前日のRoseliaの単独公演と同様にクリスマスに関連したタイトルなのだ。

彼女たちのステージ“マスカレード”の顛末を見届けるために多くのファンが会場に足を運んだ。Ave Mujicaにとって、この単独公演は過去最大クラスとなる。

本編前には、前日に見事なライブを完遂したRoseliaがゲストアクトを務めた。

1曲目から激アツナンバー『FIRE BIRD』を披露。さらに『Determination Symphony』と続き、会場を盛り上げていく。一緒に歌えるキャッチーさと、エッジの効いたハードロックサウンドとの絶妙なバランスがRoseliaの魅力のひとつだ。

THE HISTORIC…』のセッション方式のメンバー紹介パート、さらに前日に話題をさらった多弦ギター/ベースを駆使した『PASSIONATE ANTHEM』と続けて披露。既存のファンはもちろん、この日Roseliaのステージを初めて体験するファンをも魅了したのは間違いないだろう。

最後は『Floral Haven』の爽快で華々しいサウンドで5色の花を咲かせ、会場を存分に温めてくれた。

いよいよ本日の主役Ave Mujicaの出番を迎える。

ただならぬ雰囲気を醸し出すBGMに乗せて、黒いローブに身を包んだメンバーがひとり、またひとりとステージに姿を現し、暗闇の中に照らし出される…やがて5人が舞台に揃い立ち、スタートを飾る『黒のバースデイ』の演奏が始まった。重厚でダークなメタルサウンドにGt.&Vo.ドロリス(CAST: 佐々木李子)の妖艶で甘美な歌声が折り重なる。

Gt.&Vo.ドロリス(CAST: 佐々木李子)
ギターボーカルとしてとても稀有なスタイルと言っていいだろう。コードによる伴奏を弾く事が多いのが一般的なギターボーカルだが、彼女は基本的に歌いながらリードプレイをこなし、ギターソロも担当する。『Symbol IV : Earth』などの曲ではなんとライトハンド奏法を披露しながら歌うのだ。こういうスタイルもあるのかと驚嘆した。使用するSCHECTER製の7弦ギターAR-07を基にしたドロリスモデルは、非常にパンチの強い硬質でタイトなサウンドで、バンドサウンドの中でも一歩前に抜けてくるような存在感だ。

さらに畳み掛けるように『ふたつの月  ~Deep Into The Forest~』を披露。Gt. モーティス(CAST: 渡瀬結月)とドロリスが背中合わせになり、2本のギターの分厚いリフが絡み合い、全てを飲み込むようなヘヴィでラウドなサウンドを会場中に放つ。問答無用で観客たちをAve Mujicaの世界に一気に引き摺り込むような禍々しさすら感じる凄まじいステージだ。

Gt. モーティス(CAST: 渡瀬結月)
SCHECTER製EXCEEDシリーズEX-24を基にしたモーティス専用7弦ギター。これまでは同社製のオープンタイプのピックアップが搭載されていたが、今回はFISHMAN Fluence Modern Humbuckerが搭載されている。RoseliaやRAISE A SUILENのギターでも採用実績のあるピックアップだ。ドロリスのギターと比較すると、より太くワイドレンジなサウンドを奏でており、特にハイゲインの低音弦のリフで真価を大いに発揮している。歪んだサウンドだけにとどまらず『Symbol IV : Earth』では澄んだクリーンサウンドも奏でる。

自動制御式のリストバンドライトが曲ごとに決められたカラーの光を放つことで、演奏と合わさり幻想的な世界観を構築していた。

Ave Mujicaのライブでは一般的なMCは一切行わない。演奏パートと語りパートが組み合わさり、ライブと物語が進行していく。

Choir ‘S’ Choir』は曲名にちなんで聖歌隊のような清らかなコーラスが響くどこか不気味なイントロから始まり、ダンサブルなビートへと豹変していく多面的な魅力を醸し出す。

続けて披露された『神さま、バカ』は、まるで神に祈り縋るようにミディアムテンポの重厚なサウンドを奏でる。特にDr. アモーリス(CAST: 米澤茜)の、髪を左右に大きく振り乱しながらビートを刻むオープンハンドスタイルゆえの姿が印象的だ。

Dr. アモーリス(CAST: 米澤茜)
バシッと引き締まったトーンを放つDW製ドラムキットとPaiSTe製シンバルセットの組み合わせ。特徴的なオープン・ハンド(両手を交差させずに左手リードで演奏するスタイル)による演奏は、ステージ上での躍動感や存在感が際立つ。髪を左右に大きく振り乱しながらの演奏は妖艶なAve Mujicaのステージングと抜群の相性を持っている。ハードなメタルサウンドが主体のバンドだが、『Symbol II : Air』で披露するジャズテイストのトリッキーなシャッフルビートも見事にこなす実力の持ち主だ。
Key. オブリビオニス(CAST: 高尾奏音)
ピアノとオルガンをめまぐるしく、時にはノールックで2台同時に弾きこなす。その圧倒的な王者感は、Ave Mujicaを統率している様を感じさせる。磨き抜かれた圧倒的な演奏技術とセッティングの合わせ技で、まるで生のグランドピアノのような生々しいサウンドが放たれる。『Mas?uerade Rhapsody Re?uest』でピアノの背面に回り込んで反対側から鍵盤を弾くなど、常人では真似できない離れ技を披露し観客を圧倒する。

Key. オブリビオニス(CAST: 高尾奏音)が真剣なまなざしで一心不乱にピアノソロ奏でる。表情には一切出さないが、まるで感情を爆発させているような激しい超絶技巧を披露し、『Mas?uerade Rhapsody Re?uest』が披露される。スラッシュメタル的な鋭いサウンドを全身に浴びてリズムに身を委ねる観客たちに向けてドロリスが「Adventusやれますか?」と煽り、猛烈な歓声が沸き起こる。

演奏終了に合わせて紗幕が降り、ギターのハウリング音がなり続ける…ライブの前半戦はここまでのようだ。

幕間にTVアニメ「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」#13中の芝居シーンが上映され、幕が上がると、前半までの重々しいローブ姿からステージ衣装に改めたメンバーが姿を見せる。キャストを明かさずにライブを行っていたアニメーションから繋がる形で『Ave Mujica』が披露された。

…ようこそ。Ave Mujicaの世界へ

語りによる導入から『素晴らしき世界 でも どこにもない場所』へと展開する。ミディアムテンポのメロディアスなサウンドに乗せて、破壊による創造の世界観を歌い上げる。このAve Mujica独特の世界観に中毒的な共感を覚えるファンがいるのもうなずける。

しっとりとしたピアノ伴奏とボーカルによるエモーショナルなパートからからバンドサウンドへと展開していくバラードナンバー『Angles』。シンプルなサウンド構成ゆえに歌声の美しさやそれぞれの楽器の音が際立ち、聴く者の心を揺さぶる。

バリバリと歪みとコンプレッションが効いたBa. ティモリス(CAST: 岡田夢以)のクールなベースソロから『Symbol I : △』が演奏されると、彼女たちの鬼気迫る気迫に呼応するように激しい炎が高々と吹き上がる。バンドサウンドもより攻撃的なサウンドだ。間奏で客席を明るく照らされると、メンバーの呼びかけが無いのにも関わらず自然と観客から歌声が沸き起こった。バンドと観客の間で阿吽の呼吸が生まれている。

Ba. ティモリス(CAST: 岡田夢以)
凛とした立ち姿から想像される安定したリズムキープを披露しつつ、時にはパンチの効いたアグレッシブなプレイ、技巧的でメロディアスなフレーズまで、幅広いプレイで観客を魅了し、Ave Mujicaのバンドサウンドのリズムを支える。SCHECTER製EXBシリーズを基にしたティモリス専用の5弦ベースは幅広いサウンドメイキングやプレイを柔軟にカバーする。歪みをきかせたアグレッシブなスラップからメロウなフレーズまで自在だ。

跳ねるようなシャッフルビートに乗せた、ビッグバンドジャズのテイストが漂うトリッキーなナンバー『Symbol II : Air』。これまでのAve Mujicaには無かったタイプの新境地といえる。かなり大胆なアレンジでありながらAve Mujicaらしさを感じられる非常に面白い楽曲だ。

ピアノと妖艶な歌声だけがそっと響き渡る『Symbol III : ▽』。じっと動かない3人にドロリスが縋るように歌う様が悲壮感を際立たせる。最小限のシンプルなサウンド構成ゆえに楽曲の美しさが引き立ち、幻想的なひとときが流れる。

続いての『Symbol IV : Earth』では、ミディアムテンポに重厚なメタルサウンドと美しいメロディが折り重なる。壮大な大地のような温かみを感じさせるハードかつエモーショナルなナンバーだ。

そして『Ether』へと続く。ミニアルバム『ELEMENTS』に収録される5曲を演奏してきた。それぞれのナンバーが非常に個性的でAve Mujicaの新たな一面を見せる見事なステージだ。

5人が互いの存在を確かめるように目線を送りあい、優しく穏やかなサウンドと共に演奏を終えると、会場は大きな喝采に包まれた。

ここでバンドメンバーはステージを去り、2025年1月2日より放送の新作TVアニメ「BanG Dream! Ave Mujica」の#1が会場で先行上映された。想像を絶する展開の数々に、会場からは様々なリアクションが漏れ聞こえてきた。ここでは詳細に触れられないので、ぜひ自身でアニメをご確認いただきたい。

上映後、仮面を外したメンバーがステージに登場し、新曲『KiLLKiSS』をライブ初披露した。

まさにバンドリ!コンセプトでもある“キャラクターとリアルライブがリンク”を改めて体現した演出だが、間違いなく過去最高の衝撃的な展開だ。驚きを隠せない観客のテンションが最高潮に達する。溜め込んだエネルギーを全て爆発させるような激しく壮大なフィナーレでファンの心を鷲掴みにしたAve Mujica。深々と華麗に一礼、宴の幕を下ろした。

これまでもセンセーショナルなライブを繰り広げてきたAve Mujica。今回は過去最大の爪痕を残したといっても過言ではないだろう。彼女たちが主人公となるTVアニメ「BanG Dream! Ave Mujica」の放送や、MyGO!!!!!×Ave Mujica 合同ライブ「わかれ道の、その先へ」の開催が控えている。いま最も注目を集めるAve Mujicaの今後の展開は更にアツいものになるに違いない。

取材・文:佐々木雅晃
Photo:ハタサトシ、関口佳代
©BanG Dream! Project

《SET LIST》
  1. ゲストアクト:Roselia
  2. 1. FIRE BIRD
  3. 2. Determination Symphony
  4. 3. THE HISTORIC…
  5. 4. PASSIONATE ANTHEM
  6. 5. Floral Haven
  7. Ave Mujica
  8. 1. 黒のバースデイ
  9. 2. ふたつの月 ~Deep Into The Forest~
  10. 3. Choir ‘S’ Choir
  11. 4. 神さま、バカ
  12. 5. Mas?uerade Rhapsody Re?uest
  13. 6. Ave Mujica
  14. 7. 素晴らしき世界 でも どこにもない場所
  15. 8. Angles
  16. 9. Symbol I : △
  17. 10. Symbol II : Air
  18. 11. Symbol III : ▽
  19. 12. Symbol IV : Earth
  20. 13. Ether
  21. 14. KiLLKiSS
Ave Mujica

MyGO!!!!!×Ave Mujica 合同ライブ 開催!

2025年4月26日(土)・27日(日)に、Kアリーナ横浜にて開催されるMyGO!!!!!×Ave Mujica 合同ライブのタイトルとロゴが公開されました。
タイトルに込められた想いや、2バンドが紡ぐこれからの物語はどのように展開していくのか。その答えをぜひ、会場で直接お確かめください。

<公演概要>
公演名:MyGO!!!!!×Ave Mujica 合同ライブ「わかれ道の、その先へ」
DAY1:Petrichor DAY2:Geosmin
日程:2025年4月26日(土)・27日(日)
会場:Kアリーナ横浜

チケット最速先行抽選
受付期間:2024年12月18日(水) 10:00~2025年1月27日(月) 23:59まで
※下記2商品の初回生産分に封入の申込券でお申し込みいただけます。
・2024年10月2日(水)リリース Ave Mujica ミニAlbum「ELEMENTS」
・2024年12月18日(水)リリース MyGO!!!!! 2nd Album「跡暖空」

タイトル公開映像:https://www.youtube.com/watch?v=hJEivvWpB74
詳しくはこちら: https://bang-dream.com/events/mygo-avemujica2025

Ave Mujica 2nd Single「KiLLKiSS」2025.1.15 Release!!

Ave Mujica 2nd Single「KiLLKiSS」が1月15日(水)にリリースされます。
2025年1月より放映されるTVアニメ「BanG Dream! Ave Mujica」のOP/EDテーマが収録されているほか、Blu-ray付生産限定盤には、2024年10月13日(日)河口湖ステラシアターにて開催された、Ave Mujica 3rd LIVE「Veritas」のライブ映像を収録しています。

定価:Blu-ray付生産限定盤:8,800円(税込)、通常盤:1,540円(税込)
品番:Blu-ray付生産限定盤:BRMM-10886、通常盤:BRMM-10887
発売日:2025年01月15日 (水)
商品タイプ:Blu-ray付生産限定盤:シングルCD+Blu-ray、通常盤:シングルCD

詳しくはこちら
https://bang-dream.com/discographies/3885

Ave Mujica ミニ Album「ELEMENTS」Now On Sale!!

バンドリ!発のメタルバンド「Ave Mujica」より、待望の五部作が発売。
真のメタルを追求した「Symbol I : △」を始め、壮大なピアノバラードに振り切った「Symbol III : ▽」など、Ave Mujicaの無限の可能性を存分に表現した楽曲が揃っている。
数量限定生産特装盤・Blu-ray付生産限定盤には、2024年6月8日(土)神奈川県民ホール 大ホールにて開催された、Ave Mujica 2nd LIVE「Quaerere Lumina」神奈川公演のライブ映像を収録。

Ave Mujica ミニAlbum「ELEMENTS」
定価:数量限定生産特装盤:13,200円、Blu-ray付生産限定盤:9,900円、通常盤:2,420円
品番:数量限定生産特装盤:BRMM-10835、Blu-ray付生産限定盤:BRMM-10836、通常盤:BRMM-10837
発売日:2024年10月02日 (水)
商品タイプ:数量限定生産特装盤:ミニアルバムCD+Blu-ray、Blu-ray付生産限定盤:ミニアルバムCD+Blu-ray、通常盤:ミニアルバムCD

詳細はこちら
https://bang-dream.com/discographies/3832


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