クリスマスらしい凛とした冬の寒さの中、多くのファンが武蔵野の森総合スポーツプラザへ意気揚々と集った。Roseliaがこの会場でライブを行うのは2020年開催の「Rausch」以来4年ぶりだ。
会場チケットは見切れ席を含めソールドアウトとなっており、入場前の盛り上がりからも注目度の高さがうかがえる。
待ち時間にもクリスマスを彷彿とさせる愉快なBGMが流れ、観客の高揚感を誘うなか、唐突なカットインで空気を切り裂くような重く鋭いメタルサウンドが体を震わせる。

本日のゲストアクトAve Mujicaによる『Symbol I : △』の演奏が始まり、会場を一気に熱狂の渦へと飲み込んだ。
2024年10月に発売されたばかりのミニアルバム『ELEMENTS』の収録ナンバー5曲を披露。

非常にバラエティに富んだ楽曲の数々に、Ave Mujicaの無限の可能性が満ち溢れていた。卓越したテクニックでAve Mujicaの完璧な世界観へ観客を誘い、翌日の単独公演「Adventus」への大きな布石を打った。
轟々と響く吹雪の音…ステージ前面の紗幕に洋館の絵柄が映し出され、その紗幕が燃え上がるグラフィックと同時に一気に幕が上がる。

パワフルなアップテンポナンバー『Sage der Rosen』をライブ初披露した。観客のテンションを一気にぶち上げる最高のスタート。ハードロックサウンドと重厚なオルガンサウンドの荘厳なハーモニーがとてもRoseliaらしい一曲だ。

持ち前のパワフルなハイトーンの安定感はそのままに、低く柔らかく歌うパートでは、声の懐が一層広く、深くなっているのがよく伝わってくる。楽曲が増えるごとに歌唱表現力も広げ進化を続けるボーカリストだ。愛用マイクSENNHEISER SKM5200-Ⅱ BK-N-JBの先端にはバンド/キャラクターカラーである紫色のチップが装着され、Roseliaらしい良い差し色になっている。
さらにアッパーチューン『Song I am.』をノンストップでぶつけてきた。かなり火力強めのスタートダッシュで観客のテンションがガンガン上がっているのが肌で感じられる。クライマックスでVo.湊 友希那(CAST:相羽 あいな)が魅せた、どこまでも突き抜けるようなロングトーンに大きな歓声が沸き上がった。
MC後も続けてアッパーチューン『THE HISTORIC…』を披露し、もっともっと会場を熱くしていく。
この曲の間奏中には、ジャムセッションに乗せたコール&レスポンスを活用したメンバー紹介パートが織り交ぜられている。このメンバー紹介、非常に巧いアレンジだと感心させられた。楽曲のリズムに乗せて観客が全力でメンバー名を叫び、バンドメンバーがそれを煽る。このやり取りには観客も熱くならないわけがない。

テンポよく『Determination Symphony』へと続く。リリックビデオも雪景色が映し出された今回のライブ専用のもののようだ。この曲はやはりGt.氷川 紗夜(CAST:工藤 晴香)のギタートーンに聴き入ってしまう。ステージ上のひな壇の最上階のド真ん中、最高のポジションからソロパートを披露し観客を魅了してくれた。

今回の目玉は初使用の7弦ギターだ。『PASSIONATE ANTHEM』でその分厚いトーンを披露した。E-IIシリーズのM-II 7をRoseliaに合わせてカスタムしたものと見受けられる。HIPSHOT製の固定ブリッジ、FISHMAN Fluence Modern Humbuckerが組み合わせられている。衣装との統一感を重視したブラック仕上げだ。リバースヘッドが低音弦の図太いサウンドに寄与している。ベースも同様だが、6弦(ベースなら4弦)を長年使用してきたプレーヤーが短期間で多弦楽器によるパフォーマンスをモノにするのは並大抵のことではない。
今回のライブタイトル「Stille Nacht, Rosen Nacht」には「きよしこの夜、Roseliaの夜」という意味が込められており、MCではクリスマスらしくプレゼント交換の話題で観客の笑いを誘った。
舞台セットには雪が積もったような装飾がされ、季節感がいっそう心をくすぐる。

前半はとにかくアツいナンバーが続く。寒さを吹き飛ばさんばかりに『FIRE BIRD』を披露。火柱が止めどなく轟々と吹き上がる。ひんやりとした空気の中を炎の熱が伝播してくる。その熱が生み出す陽炎でメンバーの姿が揺らめいて見える。Dr.宇田川 あこ(CAST:櫻川 めぐ)がくり出すビートが特に心地よいナンバーだ。客席のペンライトが一面真っ赤に染まり、会場中が燃え上がるような一体感が最高だ。

Roseliaのライブではおなじみの幕間のお楽しみパートが明けると…ステージ全面の紗幕に、一面に広がるシロツメクサが映し出され、『約束』が披露される。紗幕越しにメンバーの姿が見え、花畑の中で歌っているようなエモーショナルな光景が広がる。紗幕が上がり新曲『礎の花冠』がライブ初披露された。王道的なナンバーだが、間奏部分にかなりテクニカルな変拍子が盛り込まれている。Ba.今井 リサ(CAST:中島 由貴)と友希那によるツインボーカルによって紡がれるエモーショナルな歌詞、そして二人が向かい合い手を取り合う。この光景を目の当たりにした観客の感情は最高潮に達したに違いない。

ギターと同様に『PASSIONATE ANTHEM』で初めて5弦ベースを披露した。長くキャリアを重ねてきたRoseliaだが、他弦ベース/ギターの使用は今回が初めてだ。限界を突破したステージは必見だ。従来から愛用している4弦ベースESP BTLをもとに低音弦(Bの音)が追加され、カスタムされている。デュアルコイルタイプのピックアップNYC Bass™ 5 Stringが搭載されているようだ。5弦ベースでありながらとてもスマートなシルエットに仕上がっている。
この曲にはキラキラとした美しいピアノのアルペジオが散りばめられており、このフレーズをKey.白金 燐子(CAST:志崎 樺音)は「星の瞬き」という何ともロマンチックな名前を付けている。
『約束』、『礎の花冠』の2曲をセットで演奏するという最高のステージで観客の心を満たしてくれた。

Roseliaの楽曲は疾走感のあるツーバスが特徴的で注目が集まるが、重厚なアタックから柔和なフレーズまで、非常に幅広く優れたバランスのサウンドで、幅広い曲調の数々を支えている。特に新曲『礎の花冠』の変拍子フレーズのテクニックは目を見張るものがある。冬のライブであっても演奏の合間には保冷バッグで体を冷やさなければならない。それほどの全力の演奏と絶えない笑顔は、いつもファンも笑顔にしてくれる。
いよいよライブも後半に差し掛かり、『Neo-Aspect』を披露する。サウンドアレンジのシンプルさのおかげで、楽器隊4人それぞれのサウンドをじっくり堪能できる。さらに『Re:birth day』へと続く。このあたりのパートは比較的初期の楽曲なので懐かしさを覚えるファンも少なくないだろう。メンバーが笑顔で目線を交わしながら奏でる温かみのあるサウンドに乗せ、客席からも歌声が重なる。胸熱なひととき…時間が過ぎるのがあっという間だ。
舞台セットの雪の装飾が消え、Roseliaのライブは雪を解かすほどアツいことを物語っている。Roseliaのクリスマスはアツい。

いつもエレガントなピアノサウンドでRoseliaのバンドサウンドに華やかさを添える彼女。その美しい音色は今回のクリスマスコンセプトに特にマッチした素晴らしいものだった。『Sage der Rosen』の重厚なオルガンサウンドや、『Song I am.』などで聴かせる鋭いリードシンセサウンドなど、2台のキーボードを華麗にあやつる姿が今回も光っていた。とある曲中のフレーズを「星の瞬き」と名付けるアーティスティックな一面も見せていた。
ラストスパートに差し掛かり披露された『Floral Haven』。晴れやかなメロディーとコーラスが美しく、スローテンポなパートから大サビへの展開がとても爽快で胸をすくような心地よい疾走感がたまらない。5人のハーモニーや色とりどりのペンライトの光は、5色の花々が一面に咲き乱れているような感覚を覚えた。

なだれ込むように披露された本編ラスト曲『PASSIONATE ANTHEM』、この曲も今回の必見ポイントだ。Gt.紗夜、Ba.リサ両名が持ち替えた楽器は、Roseliaとしては初めて採用された7弦ギターと5弦ベース。どちらも低い音の弦が追加されたラウドなサウンドがウリの楽器だ。Roseliaモデルの楽器ではないが、Roseliaの楽曲に合わせてカスタムされている。
間奏パートでブレイクをはさみ、7弦ギターと5弦ベースのうまみを存分に活かしたヘヴィメタルのような重低音を利かせたアレンジが織り交ぜられた。オリジナル音源とは大きく違う迫力の演奏でRoseliaの新境地を見せつけ、ライブの本編をフィニッシュした。
幕間映像の後編でも観客を楽しませてくれたRoseliaがアンコールに応えて登場した。ステージには氷川 紗夜役の工藤が楽屋から急遽持ち出したというクリスマスツリーが飾られている。
観客との記念撮影やコミュニケーションで楽しくはしゃぐテンションのまま『R』を披露。自由にステージ中を駆け回ったり、観客へ投げキッスを送ったりと、いつも以上にファンサービス旺盛なステージに観客の興奮は止まらない。さらに続く『-HEROIC ADVENT-』も、コーラスで元気いっぱいに叫んで本編では見せないような楽しげな表情を見せていた。バンドメンバーも観客も全力でこの瞬間を楽しんでいた。
クライマックスで赤や緑のクリスマスカラーの銀テープが飛び出し、盛大なクリスマスパーティーが最高に盛り上がった瞬間だ。
一斉ジャンプでフィナーレを迎え、挨拶を終えて公演が終了!…と思いきや、突然メンバーのトークが会場に流れサプライズ再登場した。これには観客もびっくりだ。
ファンに向けたクリスマスプレゼントとして、Roseliaのクリスマスソング『Our Carol』がライブ初披露された。ちょうど今の季節にドンピシャのナンバー、今回のライブコンセプト的に本編中に演奏することだってできたはずだ。そこを敢えてサプライズプレゼントとして披露するとは…あまりにも粋な計らいに脱帽だ。
この素敵なサプライズプレゼントに加え、終演後にはスクリーンにメンバーからのメッセージが映し出された。ファンにとって最高の思い出になったに違いない。
いつも様々な趣向でファンを魅了しているが、今回は特に「ファンに楽しんでもらいたい」という作り手の意思がとても強く感じられるライブだった。
常に「前回の自分を超えていく」という目標を立てて実行していくRoselia。既存のファンだけでなく新規のファンも確実に取り込んでいくのも納得だ。今後のライブや作品への期待が高まる一方だ。
取材・文:佐々木雅晃
Photo:ハタサトシ、関口佳代
©BanG Dream! Project
《SET LIST》
- ゲストアクト:Ave Mujica
- 1. Symbol I : △
- 2. Symbol II : Air
- 3. Symbol III : ▽
- 4. Symbol IV : Earth
- 5. Ether
- Roselia
- 1. Sage der Rosen
- 2. Song I am.
- 3. THE HISTORIC…
- 4. Determination Symphony
- 5. FIRE BIRD
- 6. 約束
- 7. 礎の花冠
- 8. Neo-Aspect
- 9. Re:birth day
- 10. Floral Haven
- 11. PASSIONATE ANTHEM
- EN.1 R
- EN.2 -HEROIC ADVENT-
- EN.3 Our Carol
Roselia
Roselia 単独ライブ開催決定!

2025年6月15日(日)に有明アリーナにて、Roselia単独ライブの開催が決定!
オープニングアクトには夢限大みゅーたいぷが出演。
<公演概要>
◆公演名:Roselia単独ライブ
◆日程:2025年6月15日(日) 開場16:30/開演17:30(予定)
◆会場:有明アリーナ
◆出演:Roselia
オープニングアクト:夢限大みゅーたいぷ
詳しくはこちら
https://bang-dream.com/events/roselia2025live
Roselia 16th Single「Dazzle the Destiny」 6.26 On Sale!!

定価:Blu-ray付生産限定盤:9,900円(税込)/通常盤:1,540円(税込)
品番:Blu-ray付生産限定盤:BRMM-10918/通常盤:BRMM-10919
発売日:2025年6月26日 (木)
商品タイプ:Blu-ray付生産限定盤:シングルCD+Blu-ray/通常盤:シングルCD
Roselia 16th Single 書き下ろし表題曲の「Dazzle the Destiny」は、“運命”が映し出す光の側面を描いた楽曲。交響的なサウンドと壮大なスケールのリリック、幾重にも折り重ねたコーラスが一体となった圧巻のアンセムナンバーだ。神話の如く綴られる荘厳な世界観に没入していただきたい。
カップリングに収録されるのはスマートフォン向けゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」でも配信中の「Grateful Melting」。こちらはメンバーへのリスペクトが一心に込められた、切なくも温かいロックバラードに仕上がっている。
Blu-ray付生産限定盤には、2024年12月に武蔵野の森総合スポーツプラザにて開催された単独ライブ「Stille Nacht, Rosen Nacht」を収録。
Roseliaが奏でる音の真髄を、心ゆくまで堪能してほしい!
詳細はこちら
https://bang-dream.com/discographies/4027
Roselia 17th Single「Requiem for Fate」6.26 On Sale!!

定価:Blu-ray付生産限定盤:9,900円(税込)/通常盤:1,540円(税込)
品番:Blu-ray付生産限定盤:BRMM-10920/通常盤:BRMM-10921
発売日:2025年6月26日 (木)
商品タイプ:Blu-ray付生産限定盤:シングルCD+Blu-ray/通常盤:シングルCD
Roselia 17th Single 書き下ろし表題曲の「Requiem for Fate」は、“運命”が落とす影の側面を描いた楽曲。渦巻く不穏な調べに激情が入り乱れた、これまでにない世界観の一曲に仕上がっている。眼前の絶望を憂うような語りから一転、“それでも どうか謳わせて”と懇願するように歌い叫ぶボーカルは必聴だ。
Blu-ray付生産限定盤には、2025年2月に浦発銀行東方体育中心にて開催された「Stille Nacht, Rosen Nacht」上海追加公演を収録。
Roseliaが拓く新たな境地を、その身で体感してほしい!
詳細はこちら
https://bang-dream.com/discographies/4028