恋した時代のいろんな出会いの曲を届けてくれた、最高に楽しかったA面ライブ!

「59th SHOUT! ~A面に恋をしたあなたへ~」のツアータイトルに触れたとき、胸が踊った。50代最後の年となる59歳を迎えた岸谷香が、今回のライブで並べたのが、PRINCESS PRINCESS、奥居香、岸谷香、Unlock the girls名義でリリースしたA面(表題曲)や代表曲、ライブに欠かせない定番曲たち。まさに、「興奮しないわけがないでしょ」というメニュー。Unlock the girls(ベースのHALNAは産休中のため、山口メイ子が参加)のメンバーと一緒に6月から始めた同ツアーのファイナルとなった7月26日・豊洲PIT公演の模様をここにお伝えしたい。

ライブは勢いよく…といいたいところだが、PRINCESS PRINCESSのアルバム『LOVERS』の1曲目を飾り、ソロ時代にもセルフカバーしていたミドルメロウの『ムーンライトストーリー』から幕を開けた。満員の観客たちが詰めかけたこの空間を、淡い音の光と優しい歌声で包み込むような始まりだ。とてもスケールの大きな世界観を描きながらも、岸谷香の歌声からは、どこかエモーショナルさも滲み出ている。彼女の歌声に重なるコーラスも美しい。早くも酔ってしまう気分で、その演奏に身も心も預けていた。曲が進むにつれ、少しずつテンポが上がれば、楽曲も躍動していく。場内からは、クラップの音も鳴っていた。少しずつ、少しずつ気分が高揚していく。そこへ…。

岸谷香がこの日10曲と最も多くの楽曲で使用したギターはGibson Custom Shop 1954 Les Paul Custom Reissue Ebony。グローバー製のペグが搭載されている2000年代初頭に生産されたモデルだ。

激しく掻き鳴らされ、歪むギターの音。PRINCESS PRINCESSのアルバム『PRINCESS PRINCESS』の1曲目に収録した『ROCK ME』だ。アルバムの1曲目に収録された曲を繋げる展開も「A面ライブ」らしい。感情のエンジンを一気に吹かせた岸谷を筆頭とするUnlock the girlsのメンバーたちが、パワフルな歌や演奏を通して荒々しく攻めてきた。おらついたように歌う岸谷流のロックンロールなスタイルが、気持ちも身体も熱くした。

『ボディガード』と『LOVE FLIGHT』でYukoが使用したギターはFender Limited Edition American Vintage II 1966 Jazzmaster 3A Flame Neck Black。1966年製のジャズマスターを精巧に再現したモデルだ。

Yukoのギターを中心としたブルースな演奏が響き渡る。アルバム『Unlock the girls 4』の1曲目に入れた『ボディガード』だ。この曲で、ブルージーな演奏と絡むように歌う岸谷の姿も印象的だった。生粋のバンドウーマンたちが、互いにロックな魂を奮い立ててエモーショナルに、身体を揺らす刺激を求めるようにブルースなセッションを繰り広げるように歌い、演奏していた。観客たちがその演奏に触れ、身体を横に揺らし続けていたのも納得だ。

続いても、ブルースな色を濃く押し出した、Unlock the girlsナンバーの『LOVE FLIGHT』。立て続けにブルース色の強いロックンロールナンバーを届けるのみならず、曲を重ねるごとに演奏のパワーが増幅していくのが嬉しい。演者たちは、ステージの上でセッションをするような雰囲気を見せながら、演奏を繰り広げていた。

『あいのうた』『marble』で岸谷が使用したギターはGretsch G6128T-62 Duo Jet Double Cut。

少しセンチメンタルな香りも漂わせた演奏に乗せ、一つひとつの言葉を大切に紡いだのが、奥居香のシングル『SPARKLE』のC/Wに収録、1stソロアルバムにも入れた『あいのうた』。愛車に対する思いを綴った曲とはいえ、愛しい人へ話しかけるように歌う姿や、心地よい速度でゆっくりドライブするような演奏に触れていると、彼女と一緒にランデブーしている気分に浸れていた。

この日は「A面/表題曲」を中心に集めていた。その構成上、肝になるのが、やはりデビュー曲。次に歌ったのが、PRINCESS PRINCESSのデビューシングル『恋はバランス』。その曲を岸谷は、ハワイ島で新たなアレンジに生まれ変わらせたことを伝えてきた。原曲とは異なる色を持ったこと、ハワイに行って作ったことで、この日は、『恋はバランス(バカンス)』とタイトルを変えて届けてくれた。常夏気分を味わえる環境でアレンジをした理由もあるからだろう、『恋はバランス(バカンス)』は、今風に言うならシティポップと言えばよいだろうか。トロピカルなアイランドビートも印象深い、甘い青春模様も見えてくる楽曲に仕上がった。この曲で岸谷はエレピを演奏。ちょっと気恥ずかしい青春時代を、なるたけ大人の装いに染めて届けていた。彼女のライブには、長く通い続けている人たちも多いので、きっと甘酸っぱくも懐かしい気持ちで、この曲に触れていた人たちもいたのではないだろうか。

続けて、デビュー曲のB面に収録した『ソーロング、ドリーマー』を演奏。実質、メンバー自身が初めて作詞・作曲を手がけた楽曲を並べてきたことに、狂喜していた人たちも多かったのではないだろうか。キラキラした眩しさと、勢いと、元気という、若さゆえのパワー感をこの曲に詰め込んでいたことを、演奏を通して改めて実感した。ギターを掻き鳴らしながら歌う岸谷の姿を見ていたら、自分の心の細胞も活性化していくようだった。サビでは、フロアでたくさんの手が揺れ、声も張り上がっていた。

Yukoが13曲と最も多く使用したギターは岸谷と同じくGibson レス・ポール・カスタム。Yukoの使用モデルはGibson Custom Shop 1968 Les Paul Custom Reissue Pelham Blueだ。

今回、せっかくハワイ島へ行ったからにはと、岸谷はUnlock the girls用の新曲も作ってきた。それが、次に届けた、かぐや姫をモチーフにした『コンテンポラリーKAGUYAHIME』。いつかは音源化にもなるだろうか。今後、ソロライブも含め、曲を披露する機会も訪れるだろうか。そこは彼女の気分次第とはいえ、演奏をしたときや音源化されたときは、「かぐや姫」の物語の、どの部分を切り取り、彼女なりの視点で歌にしたのかにも注目してほしい。曲調もホンキートンクでブギーなロックンロールスタイルだけに、初見で触れてもノリ良く楽しめ、ライブでも、みんなノリノリで身体を揺らしていた。『コンテンポラリーKAGUYAHIME』、その場に気持ちを騒がせる景色を描きだす楽曲になりそうだ。曲中、岸谷とYukoが熱いギターの掛け合いやユニゾンした演奏を見せていた。この曲のギターソロには、PRINCESS PRINCESSナンバー5曲をオマージュした演奏が組み込まれていることもお伝えしておきたい。

『BOY』『Diamonds<ダイアモンド>』『Signs』ではYukoはGibson ES-355TDSV Cherry 1968を使用。

次に届けた『BOY』は、Unlock the girlsの1stアルバムに収録していた曲。切なさを覚えるダウナーな楽曲だ。岸谷自身が、みずからの心の内側へ、内側へと気持ちを向けるように歌っていた姿も印象的だ。次第に前向きな気持ちに変わるとはいえ、ピアノを弾きながら歌う彼女の切ない、でも、エモーショナルさも滲み出る声が胸に染み渡れば、その声に重なり合うコーラスも、楽曲に切なさを加えていた。

YuumiのドラムセットはPearl President Series Deluxe (Ocean Ripple)のキット。

そのうえで、岸谷のピアノの音色が、『M』の旋律を響かせた。その瞬間から、会場中の人たちが心の中で狂喜しつつも、ピアノの旋律と心のチューニングを合わせて歌う彼女の声に、じっと耳と心を傾けていた。そこへ寄り添う、メイ子のゆったりとしたベースの音色。さらにYuumiのドラムの音をきっかけに、楽器陣みんなの演奏が重なった途端、胸が張り裂けそうなほどの感動を覚えた。今はただただ、岸谷香が歌声で綴る切ない恋の思いに心を委ねていたい。この曲を聴くたびに、自身の切ない思い出の景色と重ね合わせる人たちも多いのだろう。この場には、聴き入るという言葉通りの景色が広がっていた。

『ボディガード』『LOVE FLIGHT』『BOY』『リアルファンタジー』『バタフライ』『STAY BLUE』『世界でいちばん熱い夏』で岸谷が演奏したのはFender Custom Shop Nocaster Relic。

産休中のHALNAに代わって、今回のツアーより参加しているメイ子はスラップ奏法が得意という理由から、次のブロックは、メイ子にスポットを当てた曲たちを並べてきた。Unlock the girlsナンバーの『リアルファンタジー』では、スラップベースを生かしたファンキーなロックンロール演奏が炸裂していた。気持ちも身体も跳ねさせるノリノリなパーティームードに気分を染め上げた観客たちが、腰を揺らしてはしゃいでいた姿も印象的だ。

先に生まれたノリをさらに盛り立てるように、メイ子のスラップでのソロ演奏を繋ぎにし、彼女たちは、岸谷香としてリリースした『くいしんぼ天国』を炸裂させた。アイランドビートも交えた、こちらも胸を踊らせるパーティーチューンだ。華やかに弾むラテン系のリズムに乗って、この場を常夏気分に彩ってくれたのも嬉しい。

岸谷香/Unlock the girls

LIVE

【KAORI PARADISE 2026 -10回目のひとり旅-】
2026年9月4日(金)東京・なかのZERO 大ホール
2026年9月5日(土)千葉・松戸市民会館
2026年9月13日(日)新潟・見附市文化ホール アルカディア 大ホール
2026年9月18日(金)静岡・三島市民文化会館 ゆうゆうホール 大ホール
2026年9月20 日(日)神奈川・関内ホール
2026年9月22日(火・祝)広島・広島市南区民文化センター
2026年9月23日(水・祝)鳥取・米子市文化ホール メインホール
2026年10月3日(土)兵庫・さよう文化情報センター おりひめ文化ホール
2026年10月4日(日)兵庫・神河町中央公民館 グリンデルホール
2026年10月10日(土)和歌山・新宮市文化複合施設 丹鶴ホール
2026年10月11日(日)奈良県・かしはら万葉ホール
2026年10月17日(土)富山・滑川市民会館大ホール
2026年10月24日(土)鹿児島・アマホームPLAZA・マチナカホール
2026年10月25日(日)鹿児島・アマホームPLAZA・マチナカホール
2026年11月1日(日)岐阜・下呂交流会館アクティブ 泉ホール
2026年11月3日(火・祝)愛知・新城文化会館 大ホール
2026年11月8日(日)秋田・あきた芸術劇場ミルハス 中ホール
2026年11月14日(土)福岡・黒崎ひびしんホール 大ホール
2026年11月15日(日)福岡・春日市ふれあい文化センタースプリングホール
2026年11月23日(月・祝)北海道・深川市文化交流ホール み・らい
2026年12月12日(土)埼玉・アスカル幸手 さくらホール
2026年12月19日(土)熊本県・水俣市文化会館
岸谷香オフィシャルHP http://www.kaorikishitani.com

岸谷香、 60th Anniversary SPECIAL Unlock the girls BAND TOUR 2027開催決定!

<速報>岸谷香、 60th Anniversary SPECIAL Unlock the girls BAND TOUR 2027開催決定!

2027年6月26日(土)福岡・トヨタホールスカラエスパシオ
2027年6月27日(日)広島・CLUB QUATTRO
2027年7月2日(金)青森・Quarter
2027年7月3日(土)仙台・Rensa
2027年7月11日(日)東京・恵比寿The Garden Hall
2027年7月17日(土)新潟・LOTS
2027年7月19日(祝・月)名古屋・DIAMOND HALL
2027年7月24日(土)旭川・CASINO DRIVE
2027年7月25日(日)札幌・PENNY LANE24
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