この公演を一言であらわすなら、「愛」だ。

2026年7月14日、山本彩が自身初となる日本武道館単独公演「山本彩 LIVE at 武道館」を開催した。NMB48卒業後、シンガーソングライターとしての道を歩みはじめた山本。ソロデビュー10周年イヤー、そして33歳の誕生日が重なったこの一日は、ともに歩むスタッフ、詰めかけた観客、その一人ひとりと想いをぶつけ合うようなステージとなった。

夢の舞台へ向かう山本を映したVTRが流れたのち、ステージに黒いシルエットが浮かぶ。光が差し、山本彩が顕現した瞬間、フロアの絶叫で武道館が揺れた。

いけんのか武道館!全員飛ばして行くぞ!」。山本の叫びとともに放たれた一発目は『Bring it on』。この地に降り立った一人のアーティストを祝うように、足元からスモークが噴き上がる。背面へのけぞりながらギターをかき鳴らす姿に、観客は彼女が絶好調であることを確信した。

駆けめぐるレーザーギミックを浴びながら、フロアは『木天蓼(MATATABI)』の色香ただようロックに酔いしれる。アウトロでは山本がギターを武道館の天へ掲げ、この日の特別感をこれでもかと刻んでみせた。

このライブでは、山本が信頼を寄せるバンドメンバーとの協奏も際立った。波のように弾けるドラムを軸にしたインストを挟み、高まりを保ったまま『TRUE BLUE』へ。背中を押すようなこの曲は、観客の高速クラップと溶け合い、ひとつの景色を完成させた。

ここで、ステージが闇に沈む。それでもフロアの声はやまない。武道館のあちこちで、山本を求める呼び声が響き続けた。ライトが灯り、彼女が再び姿を見せると、さらなる大歓声が会場を包み込む。

あらためて会場を見渡す山本の表情には、感慨深さと、この時間が愛おしくてたまらないような色が滲む。その間も拍手は止まず、この日を彼女と刻もうとする熱がフロアに満ちていた。

そして「みんな、元気すぎる!」と、ようやくツッコミを入れる山本。「ペース配分しようと思ったのに、狂いましたわ!」と、はじけるような表情を見せる。「今日という日を何度も想像してきました。それを遥かに超える声が、めちゃくちゃ届いています」。その言葉に、フィナーレかと錯覚するほどの歓声と拍手が返された。

今日はこのライブでどうなってもいいと思っています」。そう宣言してから山本は、全員で“マイペース!”とシンガロングできる『KIRAKUモンスター』をドロップ。山本がカメラを片手に自由にステージを歩き回り、そのカメラ越しの景色がスクリーンへ映し出されると、武道館と観客の距離がぐっと縮まった。

続けて山本が「まだどこでも歌ったことのない新曲です。初めて聴くみんなでも楽しめると思うので、タオル一緒にぶん回していきましょう!」と叫ぶと、跳ねるようなナンバー『ラズベリーサマー』が走り出す。すかさずタオルを回して順応する観客を見て、山本は衣装の長く白い袖を手に取り応戦した。

続いてアコースティックギターへ持ち替えると、共に創り上げてきた空気が一転する。『刹夏』だ。山本が歩んできた道を辿るように、たゆたいながらも力強く、夏のナンバーを染め上げていった。

短い静寂を挟み、切ないピアノの旋律が忍び込む。姿を見せたのは、黒い衣装をまとったダンサーたち。ヴァイオリンのリードにのせ、艶やかな踊りが繰り広げられる。ダンスが激しさを増したところで、白い衣装の山本が登場。ステージ後方の高みから『unreachable』を解き放った。

ダンサブルなパートは続く。メガネをかけた新たな装いでスタンドマイクを握る『feel the night』、女王のような佇まいの『Nocturnal』では、ニヒルに「おやすみなさい」と笑ってみせた。

時を刻むような音とともに、山本の軌跡を辿る映像が流れ出す。ガールズバンド・アイドル時代の姿が映ると、フロアからこぼれるような歓声が。やがて映像が明けると、ステージには真っ白なドレスをまとい、一本のギターを携えた山本が立っていた。シンガーソングライターとして武道館に立つ彼女が届けたのは『365日の紙飛行機』。景色をゆっくりと眺め、優しい笑みを浮かべながら歌う山本を、薄明かりがそっと照らす。拍手が、そのすべてを包み込んだ。

続く『イチリンソウ』は、山本がソロの第一歩として世に放った一曲。エレキギターへ持ち替えた彼女が、バンドの一員として音を鳴らす。憎いセットリストはなおも続き、今度は2026年5月に配信リリースされたばかりの『バタフライエフェクト』へ。山本が10年かけて磨いた歌声を震わせるたび、目元のラメが美しくきらめいた。

MCでは、武道館が決まったときのエピソードを明かす。誕生日開催と聞き「喜ばしいけど、詰め込みすぎだろ!」と感じたこと。誕生日を忘れるほど、この日まで準備に没頭してきたこと。それでも今となっては、誕生日で良かったと思えること。バンドメンバーともわちゃわちゃトークを重ねたのち、舞台はアコースティックパートへ移る。『夢の声』『ブルースター』を、優しく撫でるように奏でていった。

次の曲へ向かう前に、山本が歌についての想いを綴る。「曲作りを始めたときは、誰かのちょっとした力になれればと思っていた。でも気づけば、自分が言ってほしかった言葉を歌詞に込めているのかもしれない」。そして、誰かのため、なによりもいまの自分のために書いた一曲として『サードマン』を届けた。「君は君でいて 変わらなくていいから」。山本の独唱から始まったメロディに、ヴァイオリンとピアノが厚みを添える。やがてバックバンドが重なり、彼女の想いはフロアの隅々まで広がった。

雰囲気が、また一変する。赤と青のツートン、スポーティな衣装で現れた山本が、躍動感をまとって『JOKER』を吐き出した。そして走り抜けるようなバンドインストを挟み『喝采』へ。アコースティックギターをかき鳴らすたび、ファイヤーギミックが呼応する。魂をえぐるような山本の咆哮に、観客は“喝采”で応えた。

間髪を入れず『劣等感』『Let’s go crazy』を放った彼女の顔には、晴れわたった笑みが浮かぶ。縦横無尽にステージを駆け、ときに大きく跳ぶ。

ここでバンドメンバーを紹介したのち、「ボーカル山本彩です!」と自らも名乗りをあげる。そして「ラスト一曲、いってもいいですか?」の声とともに『Are you ready?』へなだれ込んだ。花道を歩き、サブステージへ。持っていたタオルを手放した山本は、全身で音を浴びるように踊り出す。その姿に応えるように、観客はクラップで残された時間を刻んでいく。会場が「Oh Oh Oh」と叫ぶたび、武道館の光が透明に澄んでいった。山本はすべての高まりを引き連れながら、最後は両手をいっぱいに広げ、指揮者のように旋律の終着点で音を止めた。「最高以外、言いようがない!」そう言い残しステージを去った。

まだ山本と遊び足りない会場は、すぐさまアンコールを起こす。ほどなくして彼女も、武道館公演のグッズTシャツ姿で舞い戻る。そしてこの日を迎えられた感謝をあらためて伝えていると、突然ハッピーバースデーソングが流れ出す。「聞いてないよー!」と山本。スタッフを含む全員からの贈り物として、ステージ中央に特大のケーキが運ばれてきた。さらに33歳の誕生日にちなんだ33本のレインボーローズ、そして寄せ書きが彼女のもとへ届けられる。客席からも、拍手とともに“さやか”コールが湧き上がった。山本の目に、涙が滲む。「人間って、あまりにも幸せだと言葉にならないよね」。感極まったまま、11年、そして20年もずっと走り続けたいと、決意を新たにした。

泣いて笑って、共に生きていきましょう」。そうつぶやいて、山本は『共鳴』のメロディをかき鳴らした。途中、歌唱を山本が観客へ委ねると、フロアは懸命に声を震わせた。そして「みんなも自分の可能性を信じて、一緒に突っ走っていきましょう!」。山本の笑顔の叫びとともに、正真正銘のラストソング『レインボーローズ』が流れ出す。

この日いちばん明るい照明が会場を照らすと、山本の晴れやかな顔も、バンドメンバーの表情も、観客の笑みも、すべてが見渡せた。サビではレインボーの閃光が乱反射。明るい旋律がフロアを高く押し上げ、ラスサビでは祝福するように銀テープが空高く舞う。最後に空を仰いで跳ねた山本とともに、曲は終わりを迎えた。

33歳の今日が、間違いなく人生で最高の1日です。ありがとうございました!」感謝を告げたのち、実の兄が集合写真のシャッターを切り、思い出をまた1枚刻む。そして山本が「また武道館に帰ってくる」と宣言して「山本彩 LIVE at 武道館」は幕を閉じた。いろんな人の心を彩れるように――。「彩」に込められた願いのまま、彼女はこの夜、武道館を埋めた一人ひとりの心を彩ってみせた。

取材・文:川上良樹
Photo:半田安政

《SETLIST》
  1. 1.Bring it on
  2. 2.木天蓼
  3. 3.TRUE BLUE
  4. 4.KIRAKUモンスター
  5. 5.ラズベリーサマー
  6. 6.刹夏
  7. 7.unreachable
  8. 8.feel the night
  9. 9.Nocturnal
  10. 10.365日の紙飛行機
  11. 11.イチリンソウ
  12. 12.バタフライエフェクト
  13. 13.夢の声
  14. 14.ブルースター
  15. 15.サードマン
  16. 16.JOKER
  17. 17.喝采
  18. 18.劣等感
  19. 19.Let’s go crazy
  20. 20.Are you ready?
  21. 〈ENCORE〉
  22. EN1.共鳴
  23. EN2.レインボーローズ

山本彩(Vocal/Guitar)使用楽器・機材紹介

山本彩

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今年ソロデビュー10周年を迎える山本彩。自身初となる武道館公演を独占配信!

見逃し配信期間
9月5日 20:51〜9月19日 23:59

今年ソロデビュー10周年を迎えるシンガーソングライター山本彩。本人の誕生日でもある7月14日(火)に行われた、ソロデビュー後、自身初となる日本武道館公演のLIVE映像を独占配信!
https://video.unext.jp/livedetail/LIV0000014990

SAYAKA YAMAMOTO LIVE TOUR "NARRATIVE"

SAYAKA YAMAMOTO LIVE TOUR "NARRATIVE"

<スケジュール>
2027年1⽉14⽇(⽊)
埼⽟・ヘブンズロックさいたま新都⼼
開場 18:30 / 開演 19:00

2027年1⽉16⽇(⼟)
宮城・darwin
開場 17:00 / 開演 17:30

2027年1⽉23⽇(⼟)
広島・VANQUISH
開場 17:00 / 開演 17:30

2027年1⽉28⽇(⽊)
⼤阪・BIGCAT
開場 18:15 / 開演 19:00

2027年2⽉5⽇(⾦)
愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO
開場 18:15 / 開演 19:00

2027年2月6⽇(⼟)
福岡・DRUM Be-1
開場 17:00 / 開演 17:30

2027年2⽉10⽇(⽔)
東京・Zepp Diver City Tokyo
開場 18:00 / 開演 19:00

▼チケット
7,150円(税込)
※東京のみ:2階指定席 8,800 円(税込)
※ドリンク代別

詳細はこちら
https://yamamotosayaka.jp/news/detail/2958


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