岸谷香と一緒にジャジーな音楽にどっぷりと浸れる、この楽しさがたまらない。

恒例となった、岸谷香のビルボード公演。2024年は、新春に横浜・大阪・東京で開催。今回も、BIG BAND(DIAMOND SWING OHCHESTRA)との共演。ここでは、2024年1月14日(日)、ビルボード東京を舞台に二部制で行った「KAORI PARADISE 2024 新春スペシャル」の中から、第二部公演の模様をお伝えします。

ライブは、BIG BANDの奏でるファンキーでゴージャスなジャズナンバーの演奏からスタート。時代の針を50年代に巻き戻したような華やかなムードが満ちた場内へ、派手なスパンコールの衣装姿に身を包んだ岸谷香が登場。彼女は、現代に蘇ったマリリン・モンローのような妖艶な出で立ち。でも、カラッと晴れた笑顔の花を咲かせ、ムードたっぷりに『Mack The Knife』を歌唱。まさに時代は、華やかなりし頃のニューヨークのクラブのような雰囲気だ。食事を楽しみながら見ている人たちも、ナイフとフォーク、グラスを置き、流れるジャジーな音楽に乗せ、手拍子をしながら、今度は、お酒ではなく音楽に酔いしれだす。いいよね、この雰囲気が。この場にいるだけで、まるで映画の世界へタイムスリップしたような気分だ。

続く楽曲も、ジャズナンバーの『Lullaby of Birdland』なのも嬉しい。岸谷香は、みずからの歌声へ酔いしれるように、ゆったりと身体をスウィングし、背景から響き渡る艶やかでムーディーな音に乗せ、甘い歌声をフロア中に響き渡らせていた。歌詞のひと言ひと言に。そして歌声へ高い度数の音楽のアルコールを忍ばせ、彼女は見ている人たちを妖しく酔わせてゆく。お酒が飲めなくても、どっぷりと歌に酔えるのも粋じゃない。

「本能のままに、やりたい音楽を出来るときにやっていくことを軸に生きていきたい」。それが、歌いたい楽曲たちを集めた、この日のライブのセットリストの根幹を成していた想いになる。

岸谷香が初めてジャズを歌ったのが、25歳のとき。彼女が生まれて初めて歌った曲が、次に披露した『Honeysuckle Rose』。あれから四半世紀以上を超えた今だからこそ、BIG BANDの奏でる音楽を推進力に、張りのある声でスキャットしながら、翼を広げた鳥の如く自由に軽やかに舞い歌っていた。

ジャズナンバーに続き、岸谷香はソウルフルでファンキー、ブルー・アイド・ソウルなPRINCESS PRINCESSの『ROLLIN’ ON THE CORNER』を歌唱。この日は、ジャズなムードを醸しだすBIG BAND編成という理由もあり、楽曲もとても華やか。時代の川の流れを行き来しながら、この場に似合うゴージャスな音の色に楽曲を染めあげ、この場にいる人たちの気持ちをどんどん酩酊するような深みへ誘い込んでいった。

奥居香として一番際最初に出したソロナンバーの『奇跡の時』でも、ちょっとおすましした姿に自らを染めあげ、大人のムードというキーワードそのままに、大人びた歌声とサウンドの化粧を施していたのも印象的だった。

続く『Ice  Age~氷河期の子供たち~』も、とても懐かしい曲。当時は、打ち込み演奏と弦楽を重ねあわせた編成で収録。この曲を管楽器を含む生楽器編成で表現したかった想いもあり、このたび管楽団を入れた編成で再現。曲が進むごと、感情のボリュームも上がれば、伸び伸びとした歌声を思いきり解き放ちだす。途中には、大きく手を振り歌う場面も登場。まるでセッション感覚さながらにアドリブで声を交えながら、本当に楽しんで歌っていた。

自らピアノを弾き語りながら歌いだしたのが、PRINCESS PRINCESSのバラード曲『ジュリアン』。歌声と鍵盤の音色が時にしっとりと、時に軽やかに躍るように響き渡る。その優しくて繊細な音色の数々をBIG BANDの演奏がブランケットをかけるようにそっと寄り添う。彼女自身の心の中から込み上がる歌声に、演奏陣が素敵な想いの装いをサウンドとして重ねてゆく、そのスタイルも素敵な音楽の描き方だ。

ある朝魔女になってたら』では、演奏陣がふたたび華やかな音を振りまきながらスウィングしだす。岸谷香は引き続きピアノを弾きながら歌唱。途中からはふたたび舞台の中央に立ち、BIG BANDを率いた貫祿あふれる姐御なシンガーとなり、この場に、ジャジーでゴージャスなパーティーを描きだす。終盤には、ハスキーな歌声でかけあう観客たちとの熱いやりとりも。ほんと、在りし日のニューヨークのクラブの雰囲気が、ここに甦っていた。

ライブも終盤へ。奏でたのが、奥居香の『VANISHING』。管楽器陣の派手で力強い音色が推進力となり、伸び伸びとした彼女の歌声をグイグイと押しあげる。この曲では自らギターを演奏。軽快な歌声や演奏が速度を上げるたびに、場内の空気がどんどん熱を帯びてゆくのが生々しく伝わる。そう、もっともっと熱を持ってこの場を駆け上がりたい。

飛び出したのが、PRINCESS PRINCESSの『Diamonds <ダイアモンド>』だ。場内にいる人たちも手拍子をしながら、ときに声を上げ、岸谷香と管楽器隊とのセッションへ熱い想いを描き加えるように参加。みんなで、キラキラとした眩しい宴の様をこの場に作りあげていった。一緒に歌いたくなるのも当然だ。

岸谷香が最後に届けたのが、『台風の歌』。岸谷香のブルーズでブギーなエレキギターの弾き語りから演奏はスタート。そこへ観客たちが熱いクラップを寄せれば、さらに演奏陣が華やかにスウィングした音を塗り重ね、いい感じで肩肘抜いて音に酔えるライブ空間へと染めあげていった。岸谷香と一緒にカラフルでアダルトな音楽にどっぷりと浸れる、この楽しさがたまらない。

いつものライブとは異なる、ヴォーカリスト岸谷香の魅力を、ゴージャスな編成で楽しめるビルボードでのライブシリーズ。彼女は、来年もこの時期に開催したいと述べていた。ぜひ、毎年恒例の行事として、長く長く続けてもらいたい。

TEXT:長澤智典
PHOTO:MASAHITO KAWAI

《SET LIST》
  1. 1.Mack The Knife
  2. 2.Lullaby of Birdland
  3. 3.Honeysuckle Rose
  4. 4.ROLLIN’ ON THE CORNER
  5. 5.奇跡の時
  6. 6.Ice Age~氷河期の子供たち~
  7. 7.ジュリアン
  8. 8.ある朝魔女になってたら
  9. 9.VANISHING
  10. 10.Diamonds<ダイアモンド>
  11. 11.台風の歌
岸谷香/Unlock the girls

岸谷香 感謝祭2024 トータス松本さん、永井真理子さんのゲスト出演が決定!

「岸谷香 感謝祭2024」
日時:2024年2月23日(金/祝)
会場:EX THEATER ROPPONGI
会場 16:45 / 開演 17:30
全席指定 9000円(税込/ドリンク代別)

「岸谷香デビュー40周年」記念イヤーの2024年!第一弾公演として開催する今回の感謝祭に
トータス松本さん(ウルフルズ)、永井真理子さんをゲストに迎えて晴れやかに開催します!

詳細は岸谷香オフィシャルサイトまで
http://kaorikishitani.com/

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「KAORI PARADISE 2021 年末スペシャル」でお披露目された、「Transparent “KAORI” Red」の鮮やかなカラーも印象的なMartin Custom Shop製のカスタムモデルが遂に発売!!

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“今こそ青空を駆け抜けよう!岸谷 香・富田 京子の盟友コンビによる光輝く青春エールソングを収録!”こんな時代だからこそ精一杯の元気を届けたいという想いから、プリンセス プリンセスの盟友・富田 京子と共に、世代を超えたエールソング「STAY BLUE」を制作。切ない恋愛を歌った「A VISITOR」の作詞には中山 加奈子が参加。岸谷 香率いるガールズバンド”Unlock the girls”のパワーアップした演奏にも注目の、キラキラとした青春を感じる1枚が完成。

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<収録内容>
M1:STAY BLUE 作詞:富田 京子 作曲:岸谷 香
M2:Wrong Vacation 作詞・作曲:岸谷 香
M3:A VISITOR 作詞:中山 加奈子 作曲:岸谷 香
M4:charm 作詞:富田 京子 作曲:岸谷 香

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