12月15日に渋谷clubasiaで、Little Lilithが結成2周年を記念したワンマン公演“Little Lilith ONE-MAN LIVE「ZERO」”を大勢の観客たちを前に行った。

Thanatophobia』のイントロが流れだすのにあわせてフロア中から起きた歓声と手拍子。その音へ導かれるようにメンバーらが舞台へ次々登場。最後にLILLY(Vocal)が現れるのにあわせて、さらに高まる歓声。そのまま演奏は『Thanatophobia』へ。静謐とした音の上で唱えるように歌うLILLY。でも、演奏が激しく唸りを上げるのにあわせ、フロア中が轟音に包まれた。その音を合図に理性のスイッチを切り、瞬時に暴れだす観客たち。メンバーらは、楽曲へ巧みに硬軟な表情を付け、観客たちの暴れたい感情を鮮やかにコントロールしてゆく。終始クラップが起き続ける場内。楽曲が表情を変えるたびに、フロア中の人たちの動きも演奏へ揺さぶられるように様変わるところがLittle Lilithのライブらしい。微睡みを覚える妖しい演奏と意識を殴るような激烈な演奏が、何度も何度も打ち寄せる波のように繰り返される。感覚は、早くも麻痺しだす…。

Are You Ready!?」の声を合図にノイズのような轟音が響きだす。ときにグロウルも混ぜながら、LILLYはスタンドに付けたマイクを握りしめ、力強く『Double Suicide』を歌っていた。途中からは左手にマイクを握りしめ、身体を半身に逸らし、観客たちへ挑みかかる様も見せていた。フロア中の人たちが絶叫を上げながら激しく身体を揺さぶり、折り畳む。荒れ狂う様を、意外と冷静に見ながら演奏している楽器陣。むしろ、その冷静さで、暴れたい衝動を持った観客たちを巧みにコントロールしているということか。LILLYは次第に感情を露にしながら、観客たちを熱情した音の渦の中へぐいぐいと巻き込んでいた。

次に披露したのが、Little Lilithの始まりを告げた『LadyBug』。絶叫したLILLYの狂おしい声。黒く重く激しい音が次々と身体の奥へ奥へと浸食してゆく。いや、重い重い音の弾を次々と撃たれているような感覚だ。荒々しく唸る音と歌声に興奮を隠せない観客たちが、声を荒らげ、頭を激しく乱れ狂わせる。フロアから響く「Oi!Oi!」の声が、さらに気持ちを高ぶらす。頭を激しく振りながらギターを掻き鳴らすERIKA(Guitar)。SHIORI(Bass)は一心不乱にベースへ向き合っている。腕をバネのようにしならせ、重い音を叩き続けるYUKI(Drums)。LILLYも身体を大きく揺らしながら、胸の奥底から沸き立つ衝動を掻きむしるように声を荒らげていた。

止まることなく『Ash』へ。1曲ごと巧みに楽曲の表情を塗り替えながらも、身体へズンッと突き刺さる荒ぶる音のハンマーを振り下ろす行為を彼女たちはけっして止めることはない。タイトかつソリッドな演奏の上、艶かしさを持った声で歌うLILLYの姿を視線がずっと追いかけていた。絶叫するLILLYへ向かって、フロアのあちこちから突き上がる拳・拳・拳。まだまだ感情をMAXまで振り切っているわけではない。でも、フロア側にいると、もっともっと気持ちを晒して騒ぎたくなる。この衝動こそが、Little Lilithのライブに足を運んだからこそ感じられる喜びだ。

この日でLittle Lilithは結成から丸2年を迎えた。思えば、1年前も、渋谷clubasiaで、同じように熱狂していたのを思い出す( https://stagegear.jp/20221203littlelilith )。何年経とうが、彼女たちが突きつける音楽に触れていると、現実をすべて忘れて熱狂の虜に。4人の僕になり続けていられる。

「誰かの決めた未来なんて塗りかえてやる」。軽快に跳ねたクリーントーンのギターの音色に乗せ、LILLYが軽やかに『fuse』を歌いだす。そこへクラップで乗っかる観客たち。この曲でも彼女たちは、荒ぶる轟音と軽快に跳ねた演奏を巧みに交錯しながら、観客たちの気持ちも、床に下ろした足も軽やかにしていた。シャキシャキッとしたギターの音を軸に据えた演奏に触れながらも、時にノイズのような音が響くたびに身体が踊り狂う。頭上から降りそそぐミラーボールの輝きも、気持ちを騒がす嬉しい刺激だ。曲が進むにつれてフロアのあちこちから上がる声も、胸を熱くする。

YUKIのドラムロールを受け、ERIKAのトリッキーなギターの旋律が刻まれる。『』でもLittle Lilithは跳ねたビートを繰り出し、観客たちの身体を小刻みに揺らしていた。1曲の中で巧みに曲調の色を塗り替えながら、間奏では激烈な音を轟かせるなど、激しくも跳ねた演奏の中へ、様々な轟音のグラデーションを描きだす。曲の変化にあわせ、観客たちもヘドバンやクラップなどいろんな乗り方をしながら、この宴を楽しんでいた。

Smoky Refrain』の演奏にあわせ、メンバーと観客たちが熱狂のギアをグッと一段上げだした。熱い音を響かせて爆走する演奏の上で、LILLYがエモい声で歌いあげる。彼女はときに両手でマイクを強く握りしめ、身体を逸らすように絶叫する様も見せていた。激しくも、エモくメロい楽曲が、身体だけではなく気持ちを心地よくアゲる。体感的な衝動を与えることが激烈なロックではない。むしろ、こういうエモい衝動を与え、心の底から喜びを沸き立てるからこそ、その音楽にどんどん魅了されてゆく。

立て続けに、エモい衝動を携えた『ESCAPER』をブースト。4人は熱情するフロア中の人たちの心も肉体も激しく揺さぶり、揺らし続ける。場内中の人たちが激しくもエモい曲へ向け、ずっとずっと声を荒らげ、拳を突き上げ続ける。暴れ騒ぎたいこの衝動、もっともっと熱く掻き乱してくれ。そのエモい歌声と旋律の刃でさらにさらに感情を切りつけ、興奮を与えてくれ。エンディングで感情的に歌いあげるLILLYの姿も、気持ちを嬉しく揺さぶった。

流れだした、心を幻惑させる『Lullaby』のSE。その音色が次第に大きくなる。LILLYのタイトルコールを合図に、ERIKAのギターが淡い音色を奏でだす。Little Lilithは『Lullaby』を通して甘くエモいミドルメロウな演奏や歌を届け、観客たちの身体をゆったり優しく揺らしていく。空間美を生かした音を作りあげることで、観客たちも4人の歌声と音が蜘蛛の糸のように交錯する演奏の中へ飛び込み、その音色や歌声を身体中へまとわせるように味わっていた。重心のどっしりとした演奏も響かせつつ、でも、心地よい微睡みの中へLittle Lilithは観客たちを落としていった。甘い熱いLILLYの歌声に抱かれながら、このままとろけてしまいたい。熱を抱いた空間の中で微睡む、この感覚がとても気持ちいい。

Little Lilithの新しい歴史が開かれます。わたしたちが何者なのか、それが明かされます」。LILLYの言葉に続いて飛び出したのが、新曲の『ZERO』。あきらかに今までのLittle Lilithとは異なる表情だ。もちろん、荒ぶる激しさや爆走する高揚感はある。でも、エモさの中へ刻んだ強い思い(メッセージ)が、楽曲という衝動を持って意識を刺激してゆく。激烈な演奏とLILLYのグロウルがシンクロする場面も刺激的だ。前へ前へと迫る歌声や演奏へ気持ちを強く押されるたびに、荒ぶる感情をぶつけずにいられなくなる。この轟音のアンサンブルにはひと味違うスパイスが隠されていそうだ。

拳を上げて、お前らの声をちゃんと聞かせてくれ」。演奏はさらに熱を描き加えるように『The Ghost』へ。YUKIの繰り出すタイトなビートに乗せ、LILLYが、ERIKAが、SHIORIが跳ねながら歌い演奏をする。フロア中の人たちも、声を張り上げながら飛び跳ねる姿もキマっている。一心不乱に演奏をする楽器陣の様も刺激的だ。

「NEVER SAY NEVER  だって つかめそうな空の果て」。LILLYの歌声を合図に飛び出したのが、スケール大きくも轟音の暴風を吹かせる『STRIKE』だ。背景にはMVも投影。LILLYを筆頭に、メンバーらも感情を剥き出しに、高ぶり、荒ぶる思いを、すべて演奏に乗せてぶつけてきた。巧みに緩急をつけつつも轟音の洗礼を浴びせてこそ、ここで熱狂している意味がある。ときにキックする様も見せながら伸びやかに歌うLILLYのエモい声と3人の突きつけた轟音に、ずっと声を荒らげ、身体を揺さぶりながら溺れていたい。

ライブも終盤だ。この空間へ興奮という荒ぶる絵をもっともっと鮮やかに描くように、Little Lilithは『Graffiti』を突きつけた。サビ歌がとてもエモくメロい楽曲だ。LILLYと一緒に歌いたい、そんなシンガロングしてゆく気持ちに染め上げるのが嬉しい。この曲でも彼女たちは演奏へ巧みに緩急をつけながら、自分たちの心の中に渦巻く痛い感情と未来を見据えた欲望を、先に広がる空(未来)へ向かって響かせていた。LILLYの歌を先導に、その思いへ引っ張られるまま、彼女たちが見ようとしている景色を共に追いかけたい。

もっといけるだろ、Are You Ready! 一緒に暴れようぜ!!」。最後にLittle Lilithは『Gun Bullet』を叩き付け、フロア中の人たちの感情から熱狂と興奮と高揚と騒ぎたい衝動を次々と抽出。LILLYも観客たちも、己の限界を超える勢いで声を荒らげ、乱れ騒いでいた。荒れ狂うビートにあわせ、メンバーらも身体を揺さぶり演奏。途中からは、フロア中がヘドバン/折り畳みしてゆく様に染め上がる。とにかく沸き立つ気持ちのままに声を上げ、身体を前へ前へと激しく折り畳めばいい。みずからの感情をすべて解き放ってこそ、熱狂のその先の景色を一緒に見ていける。ここに足を運んだ誰もがそれを知っているからこそ、みんなが全力で楽しんでいた。

アンコール前にLILLYが語った欧州ツアーの思い出。アンコールは、デジタルリリースもスタートした新曲の『ZERO』をふたたび披露。凄まじい勢いで暴走しだした演奏に乗せ、フロア中から野太い声が上がり続ける。戦闘体制のメンバーらはノイズ混じりの轟音の弾丸を次々と撃ち放ち続ければ、LILLYも身体も気持ちも前のめりに観客たちへ挑みかかっていた。メンバーらが頭を振りながら歌い演奏をする姿も印象的だ。LILLYがグロウルするパートでは、観客たちが全力でヘドバンに興じていた。感情掻きむしり熱唱するLILLYに向かって次々と突き上がる拳と絶叫。すべてをゼロに戻したこの瞬間から、また新しい何かが始まる。そんな予感も覚えていた。

イケんのか!!」と、何度も繰り返し叫ぶLILLY。最後に突きつけた『Double Suicide』の上で絶叫する姿も胸を熱く熱く奮わせる。エモいLILLYの歌声にあわせ、絶叫し続ける観客たち。誰もが、舞台の上から豪雨のごとく降りそそがれる音の衝撃に身をひれ伏し、熱狂の虜になっていた。今にもフロアへ落ちんばかりの姿で歌うLILLY。止めることなく轟音を叩き出す演奏陣。フロア中がヘドバンしてゆく姿も、見ていて圧巻だ。このまま最後の最後まで暴れ狂え。それこそが、Little Lilithのライブに誰もが求めている最狂のルールだ。

この衝撃、次は3月11日のZircoTokyoで味わおうか。

TEXT:長澤智典
Photo:nishinaga “saicho” isao

《SET LIST》
  1. 1.Thanatophobia
  2. 2.Double Suicide
  3. 3.LadyBug
  4. 4.Ash
  5. 5.fuse
  6. 6.嘘
  7. 7.Smoky Refrain
  8. 8.ESCAPER
  9. 9.Lullaby
  10. 10.ZERO(新曲)
  11. 11.The Ghost
  12. 12.STRIKE
  13. 13.Graffiti
  14. 14.Gun Bullet
  15. -ENCORE-
  16. EN1.ZERO(新曲)
  17. EN2.Double Suicide

LILLY(Vocal)使用機材紹介

Little Lilith

ONE MAN LIVE「Dystopia」2024.8.17開催決定!

Little Lilith ONE MAN LIVE 「Dystopia」
日程:2024/08/17(sat)
会場:六本木unravel tokyo
OPEN/START 17:30/18:30
出演:Little Lilith
料金:ADV ¥4,500/DAY ¥5,000(+1D)

チケット等詳細はLittle Lilithオフィシャルサイトまで
https://littlelilith.com/live/cbc4d0a3-055e-4559-bd64-a08a8c59548d

New Digital Single 「Hollow」 2024.3.31 Available.

________「灰色の世界」で、ずっと。
2024年3月31日、待望の新曲「Hollow」DROP。

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