これからのLittle Lilithがライブ空間に描くスタンダードな姿。それを1周年という一つの節目であり、次へと繋がる新たな始まりの日にどっぷり味わえた一夜。

この秋、Little Lilithが仕掛けた「Little Lilith 3ヶ月連続Digital Release」。【第1弾】の『Double Suicide』、【第2弾】の『The Ghost』と続き、ワンマン公演前日となる12月2日、【第3弾】の『Lullaby』が配信になった。同曲たちも手にLittle Lilithは、12月3日(土)渋谷club asiaを舞台に、初のワンマン公演「A Rebellion」を行った。彼女たちにとってこの日は、バンド名をリトルリリスから現在のLittle Lilithに変えて1年になる大切な日。現状、最大規模の会場でワンマン公演への挑戦にもなった。

満員の観客たちが詰めかけた会場。この日は声出しOKの環境という理由もあり、ライブ前から大勢の人たちが声を上げ、4人の登場を心待ちにしていた。いや、すでに気持ちを高め、戦闘準備を整えていた。

耳をつんざく音と五感を刺激する映像が流れだした場内。絶叫と猛々しい音へ導かれるようにメンバーたちが姿を現した。ライブは、Little Lilithとしての始まりを告げた『LadyBug』からスタートした。LILLYのグロウルを合図に楽曲は、轟音を響かせ豪快に走り出す。重厚な音が大きな波となってフロア中へ次々と押し寄せる。メンバーたちが頭を大きく振りながら歌い演奏するたびに、フロア中の人たちも高く腕を突き上げ、身体を大きく揺さぶり、高ぶる思いを4人にぶつけていた。Little Lilithと名前を変えたのがコロナ禍中のこと。観客たちの絶叫を耳にしてのライブは、この日からになる。たくさんの野太い声を4人も力に変え、さらに身を大きく揺らし、高ぶる感情を歌声や演奏にぶつけてゆく。互いに感情を高め、恍惚を求めあう。まさに、この感覚だ。

LILLYの歌始まりによる『ESCAPER』では、楽曲が熱と速度を上げ出すのに合わせて観客たちの感情のボルテージも上がりだし、声へさらに熱が加わっていた。熱情するオーディエンスを、ときに甘さも加えたエモーショナルな歌声で煽り、魅了するLILLY。フロア中から沸き上がる絶叫や、この空間を満たし始めた熱により額に汗を浮かべだしたことで、ライブという空間で生きていることを、より強く実感する。抑揚した声や演奏を見せる最後の場面では、気持ちが嬉しい昂りを覚えていた。

Little Lilithにとってこの日が、初のワンマン公演。振り返ってみれば、ちょうど1年前にリトルリリスとして行ったワンマン公演のアンコールで、Little Lilithへと改名し、今のメンバーでライブを始動した。あのときは、もっと小さな会場だった。あれからの日々の中で積み重ねた道のりは、たった1年で、こんなにも大きな景色を導き出した。

LILLYは言っていた、「私たちとみんなを繋ぐ曲」と。先の曲たちもそうだが、跳ねたジャジーなムードを醸しだす『』も、リトルリリス時代から歌い続け、このバンドとたくさんの人たちを繋ぎ続けてきた楽曲だ。轟音を軸にした今のLittle Lilithのように演奏からはラウドな表情が見えてくるが、楽曲が持つ熱くメロウな本質はリトルリリス時代から脈々と受け継いできたもの。それを現在の自分たちに似合う服へ新調し、今も歌い続けている。

続く『Smoky Refrain』も、リトルリリス時代から。もちろん今も、装いを変えた形でライブに熱狂を描き続けている楽曲だ。高ぶる気持ちのまま、エモい声の色で歌い上げるたび、フロア中からも雄叫びと共にたくさんの拳が突きあがる。ときにメンバー同士で目配せながら、フロアで暴れ騒ぐ観客たちへ向け、LILLYは気持ちを揺さぶる妖艶な歌を響かせ、身体を熱情し、心をとろけさせていった。

この日のLittle Lilithは、1年という歩みを示す中へ、リトルリリスからLittle Lilithへいかに魂を継承しながら進化し続けてきたのかを、時系列を追かけるように伝えていた。

観客たちと「Oi!Oi!」と熱い声をぶつけあった、3ヶ月連続Digital Release第2弾作の『The Ghost』を突きつけたタイミングで、ついにダイブする観客も登場。その場の空気が熱情してゆくのは、もちろん。身体を激しく揺さぶる轟音ロックを魅力に、観客たちの身体から重力を解き放ち、その場で大きく飛び跳ねさせていた。いつしかLILLYも上半身にまとっていた服を脱ぎ去り、身体と身体を、気迫と気迫をぶつけあう戦いへ身を投じていた。その熱のやりとりが、さらに興奮を導き出す。

一度ステージから下りたメンバーたちは、着替えを終え、ふたたび舞台へ。続く『Graffiti』は、Little Lilithの方向性に、より豊かさを与えてゆくきっかけになった楽曲。オートチューンも用い、エレクトロとラウドなスタイルをクロスオーバー。エモさを増幅した曲を通し、観客たちの身体を大きく揺さぶりだす。耳心地良い歌系の楽曲に刺激を受け、大きく手を振り上げ、舞台上の4人と熱した感情をシンクロする観客たち。重厚かつミドルメロウな中で次々と転調してゆく楽曲の上で、4人自身も気持ちの内面から興奮を導きだし、観客たちを煽り続けていった。

飛びだしたのが、3ヶ月連続Digital Release作品の先陣を切って突きつけた『Double Suicide』だ。観客たちの理性を消し去るに相応しい轟音のハンマーで頭をガツガツ殴りつけるような重さを武器に、疾走感とエモーショナルさも重ね合わせた楽曲だ。LILLYの歌はとてもキャッチーで耳心地好いのだが、その歌を爆走する豪快な音に乗せたとたん、それは破壊力を持った最狂の音の武器になる。フロア中がLILLYのグロウルに合わせてヘドバンをする景色も、最高だ。その上で見せる張り上げたエモーショナルな歌声に、心が奮い立つ。フロア中から絶叫が途切れないのも、納得だ。

表情を塗り替えるように、Little Lilithは甘くメロウな表情を見せた『fuse』を演奏。LILLYは、マイクスタンドに置いたマイクをギュッと握りながら歌えば、ときに頭を振り乱し、気持ちの内側から沸き立つ思いを歌声に乗せていた。こう書くと甘ったるく思われそうだが、この曲でも演奏陣はザクザクとした音を重く響かせ、客席中の人たちの理性を黒い音でどんどん塗り潰していった。何時しかフロアに、肩を組み飛び跳ねるグループも生まれていた。

エレクトロな要素と体感的な衝動を組み込んだ楽曲だ。秘めた感情を少しずつ吐きだすように、LILLYは『Thanatophobia』を歌っていた。だが、楽曲が轟く音を響かせ転調するのを合図に、この空間を埋め尽くした人たちの身体が大きく横に揺れだした。胸の内から沸き立つ気持ちへ導かれるままにクラップをする観客たち。舞台上の4人は、緩急変幻してゆく表情に合わせ、歌声や演奏で雄大な景観を描く楽曲に抑揚をつけていった。鈍い色がグラデーションを持ってこの空間へ広がりだすような演奏も、心地好い。

「もっともっと大きく、もっともっと高く飛んでいきたいと思います」の言葉に続いて披露したのが、『Lady Bug』からここまでの1年間の中に4人が描き続けてきた思いや音楽性を集大成、2023年3月29日に2ndEPとして発売する新曲の『STRIKE』。胸を揺さぶる歌や呪詛のように言葉を吐き出す表情も印象的だ。LILLYの感情の揺れに合わせ、轟音を軸に据えたうえで緩急巧みに表情を描いてゆく演奏も耳に心地好い。同期音も巧みに組み込み、歌メロ/歌心を活かしつつ、ダンスロックな要素も組み込んだ、触れた人たちを熱狂と高揚の世界へ導く轟音エモーショナルな楽曲だ。誰もが初見にも関わらず騒いでいたように、今後のライブでも強烈な武器になりそうだ。

終盤に届けたのが、3ヶ月連続Digital Release作品の第3弾になった、LILLYの歌や言葉を、耳でしっかりと追いかけたくなるメロウ&ラウドな『Lullaby』。胸の内から込み上がる思いへ導かれるように歌いあげるLILLY。彼女の思いへ寄り添うようにザクザクとした、腹の奥底まで響く重厚な音を届ける演奏陣。とかくラウドという言葉に、表現者やリスナーたちは体感的な衝撃を求めがちだが、気持ちをエモく揺さぶることが本当の意味で熱情へ導くことだと彼女たちは知っている。だからこそ『Lullaby』のような楽曲を通して気持ちを揺らし、心地好さを覚えるままに、フロア中から拳を突きあげてさせていたわけだ。

「世界で一番熱い空間を作っていこう!体力を全部ここで使いきれ!」。最後にLittle Lilithは『Gun Bullet』を叩きつけ、満員の観客たちから理性をすべて消し去り、轟き渡る音へ興奮を覚える狂人に変えていった。演奏陣みんながフロントの最前線へ身を乗り出し、観客たちを挑発する。その様へ負けずと、フロア中の人たちが両隣の人たちと肩を組み、思いきりへドバンし続ければ、高く拳を突きあげる。ふたたびダイブする観客も登場。猛り狂う観客たちを見て、笑みを浮かべならギターを掻き鳴らすERIKAの姿も印象的だ。しっかりと観客たちを熱狂へ導き続けてゆく、その手腕はさすがだ。

アンコールでは、3ヶ月連続Digital Release作品第1弾となった『Double Suicide』をふたたび演奏。鋭利で豪快な音を激しく疾走する演奏に乗せて叩きつけ、Little Lilithはまたもこの会場を、サウナの中で暴れ狂うような空間に変えていった。止むことのない絶叫と、降りることのない拳。振幅激しい曲調に合わせ、大きく身体を折り曲げる観客たち。LILLYのエモすぎる歌声が指揮者のタクト変わりになり、この空間を、暴れ狂う人たちによる汗まみれの宴の場に染めきっていった。これこそが、これからのLittle Lilithがライブ空間に描くスタンダードな姿。それを1周年という一つの節目であり、次へと繋がる新たな始まりの日にどっぷり味わえたのが嬉しいし、最高だった!!!!

PHOTO:nishinaga “saicho” isao
TEXT:長澤智典

LILLY(Vocal)使用機材紹介

Little Lilith

ONE MAN LIVE「Dystopia」2024.8.17開催決定!

Little Lilith ONE MAN LIVE 「Dystopia」
日程:2024/08/17(sat)
会場:六本木unravel tokyo
OPEN/START 17:30/18:30
出演:Little Lilith
料金:ADV ¥4,500/DAY ¥5,000(+1D)

チケット等詳細はLittle Lilithオフィシャルサイトまで
https://littlelilith.com/live/cbc4d0a3-055e-4559-bd64-a08a8c59548d

New Digital Single 「Hollow」 2024.3.31 Available.

________「灰色の世界」で、ずっと。
2024年3月31日、待望の新曲「Hollow」DROP。

https://linkco.re/p5t3B47Q

「METALLION Vol.78」にLittle Lilithが巻頭掲載!

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各メンバーを深く掘り下げたインタビューは必見。

METALLION VOL.78
A4判 オール・カラー 96頁
2024年2月15日発売 定価1,200円(税込)

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