「最高!!」がスタンダードの「ガールズラウドの最終兵器」Little Lilithのライブ。そのスタンダードに、さらに興奮を塗り重ねたライブが、この日、目の前に広がっていた。

2ndEP『STRIKE』を手に5月よりスタート、「ガールズラウドの最終兵器」Little Lilithの東名阪を舞台にした「Release Tour 2023「STRIKE」」。同ツアーのファイナル公演が、5月19日にSHIBUYA DIVEで行われた。ゲストに、BRIDEAR、PARADOXXも出演。当日の模様をここにお伝えしたい。

イベントだけに限られた時間という理由もあるが、この日のセットリストは2ndEP『STRIKE』に収録した曲たちは勿論、シングルとして形にしてきた曲たちも多く並べていた。Little Lilithの場合、作品をリリースするごとに次々と表情を変え、たとえ表題曲を中心にしたとしても、それだけでも多彩な音楽性は勿論のこと、ものすごい勢いで変化し続けているバンドの歩みを味わえる。勢いを持ったバンドの進化の過程が、こんなにもドラマチックだとは…。この日のライブを通し、その魅力を改めて感じていた。

SEが流れだすのに合わせ、フロア中から沸き上がる歓声。舞台前の幕が上がるのに合わせて、メンバーたちが次々登場。一人一人に向けて飛びかう熱い声とクラップ。突然、SEが轟音を上げるのに合わせ、ヴォーカルのLILLYがステージへ。そして…。

YUKIのドラムが雷鳴のような音を叩き出す。「渋谷、暴れる準備はできてんのか!!」 LILLYの声を合図にLittle Lilithがぶつけたのが『Gun Bullet』。フロア中から飛びかう「Oi!Oi!」と絶叫する声・声・声。その声をエナジーに、4人はフロア中に轟音を浴びせながら観客たちを煽りだす。メンバーは、まだまだクールな装いだ。でも鳴り響く音からは、確かに熱が迸っていた。その熱を感じるからこそ、観客たちも、最初から感情のスロットルを全開にして暴れだす。間奏では、LILLYと観客たちが、バトルをするようにヘドバンをしてゆく様を見せていた。フロア中から沸き立つ熱に嬉しい刺激を覚えたメンバーたちは、身体を前のめりに、フロアにいる猛者共へ、同じように気持ちを剥きだしながら挑みだす。ライブはまだ始まったばかり。でも、フロアの勢いはすでに終盤戦のようだ。

さらに身体を大きく揺らす轟音が響きだす。Little Lilithはこの空間に赤黒い音の色を塗りつけるように『Graffiti』を歌っていた。フロアはたちまち熱狂し、メンバーたちも、身体をガツンと揺さぶる音の衝撃を突きつけつつも、メロウでエモい歌の魅力も生かそうと、楽曲へカラフルな表情を塗りたくる。一緒に口ずさみたくなるキャッチーな歌も、嬉しく胸を踊らせる。中盤ではカオスな音の表情を見せながら、Dメロでは美しい様も提示。“美と破”両極の表情を1曲の中で交錯しながら、Little Lilithは『Graffiti』の中へドラマチックな展開を描き出す。身体は轟音にさらされ興奮を覚えながらも、気持ちはずっとLILLYの歌声の魅力に嬉しく酔いしれていた。葛藤した心模様を歌っているのだが、それ以上に、LILLYの歌に心が侵されてしまうんだ。

MCでLILLYが語った、「今日はいい景色が見れてめちゃくちゃ嬉しいです。その景色を見ていくために、うちらは進化し続けていきます。進む道を、決めた道を、自分を信じて、ただひたすらに、がむしゃらに進んでいきたいと思います。私たちの決死の一撃を聴いてください」の言葉。それを受けて飛び出したのが…。

壮麗な音に乗せ、「Never Say Never だって 掴めそうな空の果て~今ここから生まれ変わる」と歌うLILLYの澄み渡る声が場内中に広がりだす。そこへ、YUKIのドラムを合図に、カオスな音が歌を一気に浸食しだした。飛び出したのが、最新曲の『STRIKE』だ。美しくも壮大な景色を映し出す歌声と、激しい漆黒な音の景色が交錯してゆく中、LILLYは、ここから生まれ変わるんだと宣言をするように高らかに歌っていた。演奏陣の繰り出す理性を叩き壊す轟音と、LILLYの感情的ながらも美しい声とが混じり合う中で、観客たちは我を忘れて暴れ続けていた。

次に披露したのが、『Ash』。音が鳴り出した途端、フロア中から「Oi!Oi!」と熱い声が起きだす。ひと際重厚ながらもミドルメロウな演奏に乗せ、心の内に抱いた痛い想いを吐き出すようにLILLYは歌っていく。彼女の感情的な歌声を、重厚かつ激烈な音がグイグイと押してゆく。その音に触れ、フロア中の観客たちは、声を止めることなく「Oi!Oi!」と叫んでいた。途中には、LILLYのグロウルも登場。巧みに緩急をつけながら、楽曲はLILLYの掻き乱れる感情を具現化するように、暗鬱な音の色を次々と塗り重ねていった。

ERIKAのギターの音が、晴れた美しい旋律を奏でだした。闇が強く浸食していたそれまでの世界の中へ、Little Lilithは『Lullaby』を通して閉じていた心の扉を開き、その身に輝きを覚えながら、フロア中の人たちに向けて「共に歌おう」「届けてほしい」と想いを届けていた。これまでの濃密な演奏に比べたら、巧みに音の隙間も利用した美しい音色だ。でも、間奏で身体を折り畳む衝撃を与えるところもLittle Lilithらしい。胸に抱いた言葉のひと言ひと言を、愛しい心模様でフロア中の人たちのハートに届けるように歌うLILLY。苦しい感情さえも、Little Lilith流の子守歌が浄化していくようにも感じていた。 「ここから最後までぶち噛ましていこうと思ってるけど、まだ、ついてこれるか!? 最後まで熱い夜を作っていこうぜ!!もっともっといけるよね!!!」(LILLY)

次に届けたのが、Little Lilithの始まり景色を描きだした『LadyBug』。スリリングなイントロ、そして、LILLYの絶叫を合図に楽曲はエクストリームな音世界を描き出す。轟音を引き連れ爆走する演奏の上で、呪詛を呟くように言葉を吐き出すLILLY。フロアでは、彼女に向かって無数の手が伸びていた。演奏に合わせ、声を張り上げる観客たち。ERIKAの野太いギターの旋律も、嬉しく気持ちを騒がせる。YUKIとSHIORIの作り出すブラストビートが、身体を熱く沸き立てる。体感的な激しさと、抑揚したエモいLILLYの歌声との絡み合う様に触れ、気持ちが高揚してゆく。後半には、LILLYのグロウルに合わせ、フロア中の人たちが野獣と化し、大きな声を張り上げていた。巧みに緩急を付けながら、Little Lilithは気持ちを揺さぶるドラマを描きだす。LILLYの歌のタクトに合わせ、フロア中の人たちが暴れ狂うのも納得だ。

あっという間だ。本当にあっという間すぎる。最後にLittle Lilithは『The Ghost』を突きつけ、これまで以上にカオスな様を場内に作り上げた。Little Lilith流のジェントな衝撃が、たまらない。絶叫と熱狂を司る女神と化したメンバーらに向け、これでもかと高ぶる気持ちをぶつける観客たち。途中には、LILLYとERIKAが舞台の上で絡みあう場面も登場。突きあげた拳は、もう絶対に振り下ろせない。いや、振り下ろすなんて選択肢は、とっくに消え去っていた。巧みにYUKIのドラムソロも挟み、フロントの3人が絡み合う様も、見ていて胸に熱い。今はただ、Little Lilithの繰り出す音楽に熱く陶酔したまま、喉が傷つくまで沸き立つ声を上げ続けたい。この空間を支配した熱気以上に体温を熱く上げながら、この渦の中に、このままずっと溺れていたい。

鳴りやまない声を受け、ふたたびメンバーが舞台へ。「今回のツアーは新しい出会いもあったし、いろんな刺激ももらえたツアーでした。何より、めちゃめちゃ楽しかった」と語ったのがLILLY。

Little Lilithが最後に叩きつけたのが、『Double Suicide』だ。マシンガンのような凄まじい激リフを刻むERIKAのギター。身体を荒々しく揺さぶる、YUKIとSHIORIのリズム隊。LILLYの高らかな声を進撃のための歌にしながら、楽曲は、興奮という熱を背負ってガツガツと駆け出した。沸き立つ気持ちに導かれるまま、自由に声を荒らげるLILLY。その声に荒々しい音の彩りを与える演奏陣と、「Oi!Oi!」と叫ぶ観客たち。SHIORIがお立ち台に乗って煽る姿も嬉しいインパクトだ。頭や身体をガンガンに揺らせとでも言うように、感情を剥き出しに攻めるメンバーたち。身体が破裂しそうな音の衝撃が、興奮という気持ちを限界まで突き上げていった。何時だって、「最高!!」がスタンダードのLittle Lilithのライブ。そのスタンダードに、さらに興奮を塗り重ねたライブが、この日、目の前に広がっていた。

次のワンマンライブは8月4日、代官山SPACE ODD。LILLYの誕生日も兼ねたこの場で、ふたたび熱狂を分かち合いたい。

Photo by nishinaga “saicho” isao
TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.Gun Bullet
  2. 2.Graffiti
  3. 3.STRIKE
  4. 4.Ash
  5. 5.Lullaby
  6. 6.LadyBug
  7. 7.The Ghost
  8. <ENCORE>
  9. EN.Double Suicide

LILLY(Vocal)使用機材紹介

Little Lilith

ONE MAN LIVE「Dystopia」2024.8.17開催決定!

Little Lilith ONE MAN LIVE 「Dystopia」
日程:2024/08/17(sat)
会場:六本木unravel tokyo
OPEN/START 17:30/18:30
出演:Little Lilith
料金:ADV ¥4,500/DAY ¥5,000(+1D)

チケット等詳細はLittle Lilithオフィシャルサイトまで
https://littlelilith.com/live/cbc4d0a3-055e-4559-bd64-a08a8c59548d

New Digital Single 「Hollow」 2024.3.31 Available.

________「灰色の世界」で、ずっと。
2024年3月31日、待望の新曲「Hollow」DROP。

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「METALLION Vol.78」にLittle Lilithが巻頭掲載!

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