ここで、鍵盤奏者がゲストで登場。ここからはアコギとエレピの演奏を背景にしたコーナーへ。続いて披露したのが、chayが「テラスハウス」へ出演していた時期に作った楽曲。「優しく触れたくて 誤魔化した言葉は」とchayが温かく伸びやかな声で『I am』を歌いだした。アコギとエレピの音が寄り添いながら、心地好くスキップをするように駆けだす。その上で、自らの心模様を示すようにchayが高らかに歌っていた。気持ちが騒ぐのにあわせて、演奏や歌声も弾みだす。フロア中の人たちも優しく手拍子をしながら、心をあの頃の自分へと戻し、chayと気持ちを重ね合わせるように歌へ寄り添っていた。心地好く弾む演奏が、気持ちも軽やかにしてゆくようだ。
次に披露したのが、シングル曲のC/Wナンバーを集めた『カップリングメドレー』。ここでは、エレピの演奏を背景に歌唱。なかなかレアなメニューになっていたことから、観客たちも曲が始まるたびに嬉しい興奮を覚えていた。イントロが流れるごとに声が漏れだすなど、観客たちの反響も良かったが、chay自身も、1曲1曲気持ちを瞬時に塗りかえながら、その曲に似合う姿に成りきって歌っていた。今、改めて耳にすると、C/Wにしておくのにはもったいないと思える名曲がいくつもあった。この日は全部で5曲を披露。chayの歩みを、異なる側面から味わえたのも嬉しかった。次々と心模様の移り変わる素敵なひとときを過ごせた気分だった。
「10年経ったけど、核となる自分が伝えたい部分は変わってないと思いました」。と語ったうえで、自分の一番伝えたい思いをそのまま歌詞へダイレクトに投影した『それでしあわせ』を、微睡むような優しいエレピの音色へ寄り添うように、とても温かい心模様と声の色でchayは歌っていた。まるでエレピの音が愛しいパートナーのようだ。chayは大切な人への気持ちを側で伝えるよう、囁くように歌っていた。その歌声からは、幸せが滲み出ていた。だから、その幸せの歌声を一つとして零さないように受け止めていたのかも知れない。
ふたたびアコギを手にしたchay。次に披露したのは、渋谷で路上ライブをやっていた頃に好んで歌っていたというシンディー・ローパーの『True Colors』。原曲を、よりゆったりとしたバラードスタイルにアレンジ。大きい吐息のような声で、思いを呼吸するように歌を届けてくれた。曲が進むにつれ、吐息のような歌声と感情が大きく膨らんでゆく様も、耳に心地よく響いていた。
続いて披露したのが、『You』。この曲でもchayは、心を呼吸するように、胸の奥に奥にと溜め込んでいた気持ちを少しずつ零すように歌っていた。今にも壊れそうな心模様を、零すように歌う。その声が、ずっと胸をキュッと鳴らし続けていた。
次は、ループマシンを用いて、エド・シーランの『Shape Of You』をカバー。一つ一つの音をループマシンで重ね合わせ、1つの楽曲を成してゆく、その過程を目の前で見れたのも嬉しい刺激だ。 ギターをカッティングする音や、ギターのボディを叩いて鳴らす音。そこへキーボードの旋律やコーラスなどを重ねながら、楽曲のベーシックを作りあげる。その音の上で、彼女は弾き語りだす。一連の流れは、まるで芸術のよう。目の前で曲が臨場感を持って生まれる様は、chayが音楽の料理を作りあげる姿のようにも見えてきて嬉しかった。途中から、クラップなど音を足してゆく様もさすがだ。
続いて、chayのオリジナル曲『Wishes』もループマシンを用いて表現。chay自身、思い入れの深い楽曲ながら、ライブでは久し振りに演奏することもあって、多少緊張した様子も見せていた。ベーシックを作り終えたあと、観客たちの熱い手拍子も導きながら、気持ちを弾ませるように歌いだす。 オリジナル曲でも、ループマシンを用いた素敵な魔法を見せてくれたのが嬉しかった。
続いて披露したのが、雑誌「CanCam」の40周年ソングとして制作した『I Can』。当時は、多くの歌い手を招いて作った楽曲を、この日は一人で歌唱。いや、ここにいる人たちを歌い手の仲間として巻き込みながら歌っていた。その日、その空気の中、臨機応変に表現に必要な要素を演奏へ取り入れてゆくところが、器用なchayらしい。会場には、伸びのある澄み渡る歌声が響き渡っていた。その歌声は、気持ちをウキウキと弾ませる素敵な歌の魔法のようだった。終盤には、観客たちによる大合唱が響き渡っていたこともお伝えしておこう。
最後に届けたのが、やはりこの曲だ。フロア中から沸きだす力強い手拍子。その熱を感じながら、chayは眩しい笑顔で『あなたに恋をしてみました』を歌っていた。みんな笑顔だ。みんな、HAPPYの気持ちを胸に覚え、chayと一緒に歌いながら、彼女が投げかけた幸せへ導く歌の魔法を思いきり楽しんでいた。ウキウキとしたこの気持ち、もう何も手につかない。いや、今はただただchayの歌声に惚れていればいい。終盤には、みんなでサビを合唱。なんてエモい景色だろう。このハートフルな一体化した楽しさこそが、chayの持っている歌の魔法なんだね。
エレピの音色に乗せ、アンコールの最初に届けたのが『はじめての気持ち』。ソファにちょこんと座ったchayが、優しく流れるエレピのさざ波の上で、一人思いを巡らせるように歌っていた。サビでゆっくりと揺らす手の動きに合わせ、フロア中の人たちも優しく手を揺らしていた。この優しい温かい景色が、胸をそっと潤していた。
最後の最後に届けたのが、やはりこの曲だ。chayと、ここに集った仲間たちとが一緒に思いを分かち合いながら『Together』を歌っていた。 フロアでは、chayと一緒に歌う人たちも。この温かい景色。次はバンド編成のツアーへと繋がっていく。chayの持つ温かい音楽の空気が、どんな風に熱を持って膨らんでゆくのか、今から楽しみになってきた。
取材・文:長澤智典
《SET LIST》
- 1.With
- 2.Twinkle Days
- 3.運命のアイラブユー
- 4.好きで好きで好きすぎて
- 5.花束
- 6.12月の雨(荒井由実)
- 7.Beautiful Days
- 8.I am
- 9.カップリングメドレー
- 10.それでしあわせ
- 11.True Colors(シンディ・ローパー)
- 12.You
- 13.Shape Of You(エド・シーラン)
- 14.Wishes
- 15.I Can
- 16.あなたに恋をしてみました
- -ENCORE-
- EN1.はじめての気持ち
- EN2.Together
chay
ZEMAITIS chay 10th Anniversary Year Model ご予約受付中!
デビュー前に路上ライブをしていた頃から十年間以上、ZEMAITISのギターと共に過ごしてきたchay。
そのchayにとって相棒であり戦友でもあるZEMAITISと、この10周年というスペシャルな機会にコラボレーションが決定!!
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シースルーホワイトのボディにパールホワイトのハートのインレイもchayのアイデア。
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https://www.kurosawagakki.com/zemaitis_chay10th/
http://zemaitis-guitars.jp/
配信シングル『Beautiful Days』好評配信中!
アーティスト10周年を迎えたchayが約3年振りにリリースした新曲『Beautiful Days』。今のchay自身がいちばん伝えたいことを詰め込んだ一曲。
2023.5.19 Release
https://wmg.jp/chay/discography/27909/
chay Best Album『Heart Box』好評発売中!
chay初のベストアルバム『Heart Box』。2012年のデビュー年に発表した「はじめての気持ち」、未だ多くの人の耳に残る大ヒット曲「あなたに恋をしてみました」、デビュー前に路上ライブを行なっていた頃から現在まで歌い続けるファン待望の初CD音源化となる「Together」、さらに長らく愛され続ける「Twinkle Days」「それでしあわせ」を最新アレンジで収録!そして結婚発表後に制作された渾身のラブソング新曲「花束」「永遠の針」の2曲が収録された全16曲!家族、恋人、友達、大切な人へ贈りたい、心温まる楽曲が詰まった”あなたの幸せな場所へ寄り添う一枚に”と、chayからの“心”を込めた贈り物となっている。
(通常盤)2,750円(税込)/WPCL-13205
(初回限定盤)4,950円(税込)/WPCL-13208