chayのデビュー10周年記念ツアーが、自身初となるZepp DiverCity公演でファイナルを迎えた。
10階建ての“GRAND chay HOTEL”の各階でさまざまなことが巻き起こるというコンセプトのもと、バンド編成で大阪、名古屋、福岡を回ってきた本ツアー。 東京公演にはスペシャルゲストの登場も予告され、ファンの期待はいっそう高まっていたように思う。
集まった観客をもてなす英語のアナウンスと壮麗なオーケストラBGMが流れるオープニングSEを経て、いよいよ赤の引幕が開くと、すでに見えていたこれまでのアルバム『ハートクチュール』『chayTEA』『Lavender』『Heart Box』のタイトル入りサインボードに加え、シャンデリアやレッドカーペット、階段、回転ドアなどを配した、“GRAND chay HOTEL”の名にふさわしいキュートなステージセットの全貌が解禁。 『Twinkle Days』から板付きでライブがスタートする。
「盛り上がっていくよー!」と呼びかけたchayの出で立ちは、初の金髪姿(!)になっているというサプライズがあったほか、ホテリエ風の赤いトップスにキャップ、黒のボリュームスカート、そしてキラキラのハイヒールとスパンコールが全面にあしらわれたボディが映えるテレキャスター。 そのかわいらしさにオーディエンスからも思わず歓声が漏れ、客席には彼女の背中を押すような新グッズのビッグハートペンライトが色とりどりに輝き出す。
『笑顔のグラデーション』になると、階段の下に降りてきて、今度はトレードマークのひとつであるハート型のサウンドホールを持つアコギを手に歌い、曲ごとに違った見せ方で楽しませてくれるのがchayらしい。 バンドメンバーのフジタユウスケ(Gt)、okamu.(Ba)、田辺貴広(Dr&バンマス)、YU-TA(Key&Mani)も、同じく赤と黒を基調とした揃いの衣装でホテルマンに扮し、主役をがっちり支えながら活き活きとパフォーマンス。
『運命のアイラブユー』までを颯爽と聴かせ、「『GRAND chay HOTEL』にお越しいただきありがとうございます! 待っていたんです、みんなに会えるのを。10周年の感謝を込めて、このツアーを決めました」と嬉しそうに挨拶するchay。 初めてライブに来たという観客ともコミュニケーションを取りつつ、「はじめましての方も古参の方もいらっしゃるでしょうけど、今日はそんなの関係なく、全員で楽しんで盛り上がって、最高の思い出を作っていきたいです!」と想いを伝えた。
『恋のはじまりはいつも突然に』では、レトロなトランクケースを持ったり、キャリーカートに乗ったり、ホテルフロントを模したセットの前で歌ったりと、ロマンティックな曲の世界観が一段と引き立つ演出をプラス。 さらに『With』が始まれば、イリュージョンのように一瞬で白いカットアウトのミニワンピースに早着替えを行ない、場内を大いにどよめかせるなど、抜群に透き通ったボーカルを届けながら、視覚的にも魅せるライブが展開されていく。
「次に歌う2曲は、私にとってかなり思い入れが強い曲です。 デビュー当時の約半年間、『テラスハウス』に住んでいたんだけど、あの頃は人間関係において自分の本意がなかなか伝わらなかったというか……もどかしさみたいなものを感じているときに作りました」
そんな言葉を受けての『I am』は、胸の内に抱えていた葛藤を曝け出すように演奏。 『Just on my way』でも、不安や矛盾が窺える歌詞とともに、chayがステージに膝をついてギターをエモーショナルに掻き鳴らすシーンが見られたりと、活動初期のナンバーを味わい深く響かせる。
エレベーターの階数ランプがスクリーンに映り、“GRAND chay HOTEL”の5Fに到着したことが告げられると、いったん舞台袖へ捌けていたchayが、夏らしいストローハットや白&ピンクの花々をあしらったボリュームスカートを纏い、本日3つ目の衣装で戻ってくる。 このブロックは、楽曲の持つシンプルなメッセージを浮き立たせ、『それでしあわせ』はYU-TAによるピアノ伴奏のみで、『You』は原点を思わせるアコギの弾き語りで奥ゆかしく披露。
バンドメンバーの紹介を挟んで、中盤にはスペシャルなアコースティックセットも用意。 甘く愛らしいムードで軽やかに歌う英語詞曲『Kiss me』は、バイオリン、12弦ギター、ウッドベースなどで彩った、カントリー調の朗らかなアンサンブルがなんとも心地いい。
「“今いちばん伝えたいことってなんだろう?”と立ち戻って作った曲で、主人公はきれいな花の陰に潜んでるまだ咲かない蕾。その蕾を自分自身に、お子さんがいる方はお子さんにも重ね合わせて聴いてくれたら嬉しいです。 結果ももちろん大事だけど、過程にこそものすごく意味があって、大切なんだなと。 デビューから10年経って思います」
事務所から独立後初リリースとなった最新曲『Beautiful Days』は、10年の気づきをそう明かしたあとに、こちらもアコースティック編成でやわらかにプレイ。 芝生のソファーに腰かけてギタレレを弾き、“花が咲き誇るように まわり道を 君らしく 歩こう”“心に花束 持って ありのままの色 君らしく咲かそう”と歌う、その澄んだ声を聴いて、清々しい表情を見て、現在のchayの充実ぶりが感じられたファンも多かったのではないだろうか。
そして、エレベーターは8Fへ。 フジタ→okamu.→田辺→YU-TAと繋ぐ華麗なソロ回しを経て、ポニーテールに白のブラウスやヒョウ柄のスカートを合わせた4つ目の衣装でchayが現れ、バーカウンターのそばで『砂漠の花』を切なく歌い上げる。『Don’t Let Me Down』でロックな色をグッと強め、『あなたの知らない私たち』では曲中に情熱的な赤いドレスへまたも早着替え。
ついに最上階の10Fへ辿り着き、ここでなんとスペシャルゲストとしてRIP SLYMEがステージイン! オーディエンスがさらなる熱気で沸く中、ライブで披露するのはまだ2回目だという、フジテレビ系『ENGEIグランドスラム』の出囃子でおなじみ『JUMP with chay』が投下され、chayはスイカ柄のチアガール風衣装で、RIPといっしょに振付ありの貴重なコラボをノリノリで繰り広げる。
流れるようなマイクリレーとバンド+DJセットの融合で大ジャンプを誘うだけでは終わらず、立て続けにRIP SLYMEの鉄板曲『楽園ベイベー』までお届けするという爆上がりのクライマックス。 chayもラップパートにハツラツと加わり、ゴキゲンなサウンドのもと、場内を一気に眩しい常夏へ変えてみせた。
RIP SLYMEのナイスアシストを受けたchayは、勢いそのままにサマーチューン『Summer Darling』でタオル回しを、“前を向いて 歩き出そう”とポジティブに歌う『DREAM SNIPER』で特大のシンガロングを呼び、ハッピーなエネルギーが満載のZepp DiverCityをますます開放的な雰囲気に。
「みんなとの思い出がめちゃくちゃ詰まっていて、chayとみんなを繋げてくれた曲です。いっしょに歌ってください!」と、赤のビッグハートペンライトが辺り一面に輝き、金&銀テープが舞う中、代表曲『あなたに恋をしてみました』で鮮やかに本編を締め括った。
『はじめての気持ち』を合唱して待つファンの声に応え、chayがステージに再登場。 七変化ラストとなった、10th Anniversaryスペシャルパーカーにデニムパンツというカジュアルなスタイルで、その記念すべきデビュー曲を、歩んできた10年を総括するように聴かせる。 ここでも客席いっぱいに掲げられた白のペンライト、そして“君がいたから”を“みんながいたから”と歌い替えた最終行が美しい。
また、12月23日(土)に東京・高輪プリンセスガルテンでクリスマスライブが行なわれること、ZAMAITISからchayモデルのアコギ(シースルーホワイト)が発売されることなど、アンコールでは嬉しいお知らせもあった。 気になる人は忘れずにチェックしておこう。
「今日はありがとうございました。がむしゃらに10年活動してきて、もう辞めちゃおうかなと思うこともあったけど、こうしてライブで大好きなみんなの笑顔を見られて何度救われてきたか……。 みんなにも、chayの曲を聴いて“よし、もう一度がんばってみよう”そんな気持ちになってもらえたら本望で。 そのために私はやっています。 20年、30年と歌い続けていきたいので、これからもぜひ何卒よろしくお願いします!」
「すごく悩んだけど、これにしました」と、最後の最後は『あともう少し』をチョイス。 これまでのキャリアを振り返る映像をバックに、chayは“もう一度 立ち上がって 前を向く”とたまらない様子で涙ながらに歌う。 感謝の気持ちを乗せつつ、未来へ踏み出す姿勢をしっかりと示し、アニバーサリーイヤーの集大成となる2時間強に及ぶライブを終えたのだった。
取材・文:田山雄士
写真:関口佳代
《SET LIST》
- 1.Twinkle Days
- 2.笑顔のグラデーション
- 3.運命のアイラブユー
- 4.恋のはじまりはいつも突然に
- 5.With
- 6.I am
- 7.Just on my way
- 8.それでしあわせ
- 9.You(弾き語り)
- 10.Kiss me
- 11.Beautiful Days
- 12.砂漠の花
- 13.Don’t Let Me Down
- 14.あなたの知らない私たち
- 15.JUMP with chay (feat.chay)
- 16.楽園ベイベー
- 17.Summer Darling
- 18.DREAM SNIPER
- 19.あなたに恋をしてみました
- <ENCORE>
- EN1.はじめての気持ち
- EN2.あともう少し
chay
ZEMAITIS chay 10th Anniversary Year Model ご予約受付中!
デビュー前に路上ライブをしていた頃から十年間以上、ZEMAITISのギターと共に過ごしてきたchay。
そのchayにとって相棒であり戦友でもあるZEMAITISと、この10周年というスペシャルな機会にコラボレーションが決定!!
ボディサイズは小さめでネックグリップも握りやすく弦高も低めにセットアップ。
初心者の方でも弾きやすいスタイルにこだわりました。
シースルーホワイトのボディにパールホワイトのハートのインレイもchayのアイデア。
CAF-85H-C ¥79,200(税込)
CAF-85HCW-C ¥84,700(税込)
https://www.kurosawagakki.com/zemaitis_chay10th/
http://zemaitis-guitars.jp/
配信シングル『Beautiful Days』好評配信中!
アーティスト10周年を迎えたchayが約3年振りにリリースした新曲『Beautiful Days』。今のchay自身がいちばん伝えたいことを詰め込んだ一曲。
2023.5.19 Release
https://wmg.jp/chay/discography/27909/
chay Best Album『Heart Box』好評発売中!
chay初のベストアルバム『Heart Box』。2012年のデビュー年に発表した「はじめての気持ち」、未だ多くの人の耳に残る大ヒット曲「あなたに恋をしてみました」、デビュー前に路上ライブを行なっていた頃から現在まで歌い続けるファン待望の初CD音源化となる「Together」、さらに長らく愛され続ける「Twinkle Days」「それでしあわせ」を最新アレンジで収録!そして結婚発表後に制作された渾身のラブソング新曲「花束」「永遠の針」の2曲が収録された全16曲!家族、恋人、友達、大切な人へ贈りたい、心温まる楽曲が詰まった”あなたの幸せな場所へ寄り添う一枚に”と、chayからの“心”を込めた贈り物となっている。
(通常盤)2,750円(税込)/WPCL-13205
(初回限定盤)4,950円(税込)/WPCL-13208