5月から6月にかけ全部で5公演、岸谷香が行った全国ツアー「Kaori Kishitani 2022 Live Tour 55th SHOUT!」。みずから率いるガールズバンドUnlock the girlsとしてサーキットをするのは、約3年ぶり。強い意欲を持って臨んだ全国ツアーの中から、5月29日にEX THEATER ROPPONGIで行われた公演の模様をお届けしたい。
厳かなSEに乗せ、メンバーらがゆっくりと舞台へ登場。その姿を観て、すかさず拍手を送る観客たち。静寂を引き裂くようにシャキシャッとした音を掻き鳴らすYukoのギターの音色が会場中に流れだす。その音へ導かれるようにドラムのYuumiが、ベースのHALNAが次第に音を重ね始めた。豪快なグルーヴに身体を揺らしながら、岸谷香もまた3人の作り出したビートをその身で感じている。

やがて楽曲は『DREAM』へ。心地好く唸るブルースでグルーヴィな演奏に乗せ、気持ちへ熱を注ぎ込むように岸谷香が歌いだす。椅子から立ち上がった観客たちも、メンバーたちの心とシンクロするように感情を高めだす。演奏も後半に入る頃には、岸谷香の心のエンジンもいい感じで唸りだしていた。舞台の前へ、前へと身を乗り出しながら、身体を揺さぶり歌う。その姿に刺激を受けた客席中の人たちも、次第に動きを大きくし始めていた。
「3年ぶりのバンドツアーがやっと始まりました。最後まで、うんと楽しんでください」。その言葉を合図に、この空間へドキドキやワクワクを乗せた爽やかな風を吹かせるように、岸谷香は『恋に落ちたら』を歌っていた。いくつになっても、恋を感じたときは心が高鳴りだす。岸谷香は、ときめく恋心さえ楽しみに変えるようにギターを弾きながら歌っていた。気持ちが、あの頃の青春気分へどんどん揺り戻される。甘い女の子の心模様に触れ、ドキドキを止められずにいた。

続いて序盤で飛びだしたのが、この会場に足を運んだ人たちの多くが青春という言葉を思い返す、PRINCESS PRINCESSナンバーの『Diamonds<ダイアモンド>』だ。Unlock the girlsとして演奏することで、情熱的というよりは、もうちょっとカラッと。でも、ロックな香りを覚えるテイストに昇華。キラキラした楽曲を手に取り、その淡い手触りに無邪気にときめく。そんな感覚を彼女たちの演奏に覚えていた。メンバー全員で合唱するパートなど、Unlock the girlsらしいロックスタイルにアレンジ。身近な仲間たちと普段着気分でセッション・パーティーへ興じるように歌い演奏することを、彼女たち自身が無邪気に楽しんでいた。あの頃の名曲を真正面から受け止めるのではなく、もうちょっと俯瞰的な視点で捉え、歌い奏でることを楽しむ。そんな姿を観れたのも嬉しかった。


「久しぶりに3月にアメリカへフライトに行ったときから、ツアーで絶対にこの曲を歌うんだと決めてました」の言葉を受けて届けたのが、『LOVE FLIGHT』。オールディーズなブルース&ロックスタイルを持った楽曲だ。そこへ、メンバーの歌の掛け合いが加わることで、楽曲に親しみやすさと、甘い口触りを覚えるのが嬉しい。攻めた表情を持ちながらも、メンバーたちがサラッと歌いあげることで、程よい食感を持って曲がスーッと体内に吸い込まれてゆく。身体が自然と揺れるのも、納得だ。
ギターを手にした岸谷香がストロークしながら、思い出を振り返るように『BOY』を歌いだした。甘く揺れる岸谷香の歌声に、他のメンバーたちも甘い声を重ね合わせる。岸谷香のシャキシャキッとしたギターの音へ思いを重ねるように、3人が表情豊かな音の服を着せてゆく。少しノスタルジックに、ちょっぴり甘い気分も携えながら、『BOY』に合わせ、客席中の人たちも身体を優しく揺らしていた。

メンバーらの呼びかけるクラップに合わせ、客席中から大きな手拍子が起き出した。メンバーが「Oh! Yeah!!」と叫べば、観客たちも心の中で声を上げていた。心地好くステップを踏むように、Unlock the girlsはカラッと晴れた気分を胸に『Wrong Vacation』を歌っていた。日常の風景を、細かないろんな日々の悩み事なども、軽快なロックンロールに乗せすべて吹き飛ばしてしまえ。楽しむモードを共有出来たときのロックンロールは、無敵だ。ネガティブな感情などすべて押し潰してしまえ。「楽しい!!」と思えたなら、気持ち動くままに身体を動かせばいい。それこそがロックンロールが、Unlock the girlsが僕らにかけてくれた魔法なのだから。
観客たちを座らせる、岸谷香。MCでは、3月にアメリカ縦断旅行をした中での思い出話を聞かせてくれた。
次に披露したのが、ライブでは初めて演奏した『リアルファンタジー』。心地好く跳ねたビートが身体を弾ませる。この曲に触れている間、気持ちがフワフワと浮かれる気分を感じていた。スカッとしたアメリカンロックな風を感じる楽曲が、気持ちまでスカッと爽快な気分に塗り上げる。

ドラムビートに合わせ、客席中から起きた手拍子。先の『リアルファンタジー』、続く『レミニセンス』ともに、Unlock the girlsとしてNYでレコーディングした楽曲だ。当時のことを思い返すように、少しノスタルジックな気分も胸に、演奏。岸谷香は、この曲ではキーボードも担当。4人でセッションするような感覚を持って歌い奏でる姿が、とても微笑ましく見えていた。世代を超え、時を巡らせ、気持ちを一つに音楽を楽しむ。その姿が、最高にHAPPYに見えていた。

先の曲でホンキートンクなピアノプレイを見せていた岸谷香だが、次の楽曲では、胸をキュッと潤すロマンチックな音色を響かせだす。歌いだしたのが、PRINCESS PRINCESSの『M』。先の楽しさから一気に表情を塗り替え、Unlock the girlsは主人公の哀切な心模様を、涙を誘うように歌い奏でていた。1曲ごとにガラッと感情を変えながら、見ている人たちの心の表情も瞬時に塗り替える。いや、新しい心のページをめくってゆく。だから、見ている側も何時の間にか『M』の世界へジンッと心を寄り添え、蘇ってきた切ない恋の風景に思いを寄り添えていたのだろう。ふいに涙を引き寄せる、なんて嬉しくも罪な曲構成だ。メンバーらの甘く優しいコーラスも、胸をキュッとくすぐるビターなスパイスになっていた。
岸谷香/Unlock the girls
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