
次に披露したのが、今、一番新しいUnlock the girlsの表情となる新曲の『And the life goes on』。コロナ禍の影響により、やりたくても出来なかった頃の気持ちをエナジーに。加えて、今のUnlock the girlsとしてやりたい音楽性をメンバー同士で共有しながら生まれたのが『And the life goes on』になる。重低音響かせるラウドでグルーヴィなロックスタイルを提示。岸谷香が持つブルースなロックンロールの要素に、3人のメンバーたちが日常の中で吸収してきたヘヴィに唸る音楽性をクロスオーバー。豪快な音の上で雄々しくシャウトしてゆく岸谷香の姿が、とても勇ましい。この楽曲を通し、世代を超えて色々な音楽を貪欲に飲み込みながら進化し続けるUnlock the girlsの姿を感じていた。

壮麗な歌声が会場中に響き渡る。流れだしたのが『デロリアンドライブ』だ。ちょっとスリリングな、心地好い緊張感を懐きながらも、演奏が進むほどにゴリゴリッとしたロックな音を楽曲に色濃く塗りつけてゆく。楽器陣の3人が顔を突き合わせ演奏してゆく中、岸谷香は舞台を右に左へと動きながら、客席中の人たちを熱く煽りだす。サビで大きく手を振り歌ったときには、場内中の人たちも一緒に手をくるくるとまわし、ともに熱を分かちあっていた。
『Signs』は、Unlock the girlsを立ち上げるときに書いた思い出の楽曲。このブロックの中、最新モードの楽曲と、始まりのきっかけになった楽曲を並べてきた選曲が、なかなか冴えている。ゆったりと、でも、ジワジワと熱をあげてゆく歌声と演奏が身体に染み込めば、気持ちにもジンワリと熱を与えてゆく。心が高陽するのに合わせ歌声や演奏の熱も膨らめば、次第に気分が上がりだす感覚へ軽く酔ってしまうような心地好さも覚えていた。




ライブも終盤へ。飛びだしたのが、PRINCESS PRINCESSナンバーの『HIGHWAY STAR』。ポイントごと、巧みにPRINCESS PRINCESS曲を挟み、ライブに起伏と高陽を与えてゆくところも、岸谷香のライブの醍醐味だ。『HIGHWAY STAR』に乗せ心のエンジンを吹かせた場内中の人たちが、無邪気な少年少女に戻り、スカッと駆ける演奏や、胸躍らせる歌声を合図に、あの頃の眩しい時代へ飛びこむように心ときめかせながら、巡る思い出の景色の中を駆け続けていた。

エレクトロな要素も冒頭に取り込んだ、Unlock the girls流のダウナーでグルーヴィなロックナンバー『Unlocked』の登場だ。タイトなビートも心地好い、最高に胸をHIPさせるダンスロックナンバーだ。一打一打が心地好いYuumiのドラムビートに乗せ、メンバーらが気持ち揺れるままに演奏を塗り重ねれば、岸谷香も沸き立つ感情をぶつけるように歌っていた。ビートに合わせ、飛び跳ねながら演奏するギターのYuko。客席も、身体を上下に揺らし、Unlock the girlsの作りだすダンスロックに心地好く身を委ねていた。いや、陶酔するように大きく手を振り上げ、身体を揺らし続けていた。
一瞬のブレイク後、演奏は、感情を爆発させるように『シャウト!』へ。アガッた気持ちを、もっともっとダウナーでグルーヴィなロックの唸りでトリップさせようと、4人は唸る音を響かせ、観客たちの身体を熱く揺さぶっていた。高ぶる感情のままに音を叩き付ける、沸き立つ感情を制御することなく高らかに歌声を響かせる岸谷香。ステージの上には、とても熱くエモいロックサウンドが渦巻いていた。

本編最後を飾ったのも、Unlock the girlsらしい最高にエモーショナルでディスコティックなダンスロックチューンの『ミラーボール』だ。 客席の天上で大きなミラーボールがくるくるとまわりだす。Unlock the girlsの超アッパーで跳ねた演奏が進むたびに、ホットでアッパーなディスコロックが螺旋を描くように上昇し続ける。4人の誘いに合わせ、客席中の人たちが高く掲げた右手を大きく左右に振り、最高に気持ちを火照らせながら、その場でダンスに興じていた。ヤバいね、最高に気持ちをトリップさせる楽曲だ。ベースのHALNAに至っては、思いきり身体を揺らし、踊りながら演奏に興じていた。身体が自然と動いてしまう。その衝動に素直に身を投じながら、一夜の楽しいロックなダンスパーティーにずっと熱情していたい。

アンコールは、身体も、気持ちも熱く騒がせるロックンロールナンバーを三連打。『ハッピーマン』を通してワクワクする気持ちを高めてゆく。サビでは、客席中から数多くの手が、舞台上のメンバーたちに向け伸びていた。互いに、もっともっと熱を求めあいたい。その関係性がとてもエモーショナルだ。シャキシャキッとしたビートとカラッとしなからも熱情した歌声が、気持ちを嬉しく騒がせる。
Yuumiのドラムビートが先の勢いを継続するように響き続ける。岸谷香の掛け声を合図に、演奏は『Dump it!』へ。ギターを置いた岸谷香が、舞台の上を右に左に駆けながら、胸を熱く騒がせるロックンロールなパーティーの中へ観客たちを誘い出す。客席中の人たちも心の中で声を上げ、大きく手を振り上げれば、岸谷香はステージ上でゴーゴーダンスに興じていた。たとえ声は出せなくとも、大きく手を振り上げ、身体を揺らせば、ロックンロールの楽しさを十分身体中に染み渡らせられる。この楽しさこそが、ライブだ。

岸谷香はマーチン製の岸谷香モデルの真っ赤なアコースティックギターを手にした(「MARTIN CUSTOM 00 Style 18 KAORI KISHITANI」として受注生産での一般発売もアナウンスされている)。そのギターを手に、軽く一人セッション演奏に興じる場面も。
そのうえで最後に岸谷香は、身体中に残っていたエナジーをすべて放出する勢いで、天空へ向かって、高らかに『STAY BLUE』を歌いだした。いつしか客席中の人たちの振り上げた手が青空へ飛び立つ翼に変わり、Unlock the girlsの演奏を推進力に、大空へ向かって心を羽ばたかせていた。気持ちが最高にスカッとする瞬間だ。約2時間半という時間の中、僕らは確かに自由を手にしていた。音楽が心の制約をすべて取り払い、心だけは無邪気に青春を謳歌していた。
秋には、生ピアノとアコギでの弾き語り一人旅ツアー「KAORI PARADISE 2022」も始まる。こちらも、楽しみに待っていてほしい。
TEXT:長澤智典
PHOTO:MASAHITO KAWAI
《SET LIST》
- 1.DREAM
- 2.恋に落ちたら
- 3.Diamonds<ダイアモンド>
- 4.LOVE FLIGHT
- 5.BOY
- 6.Wrong Vacation
- 7.リアルファンタジー
- 8.レミニセンス
- 9.M
- 10.And the life goes on(新曲)
- 11.デロリアンドライブ
- 12.Signs
- 13.HIGHWAY STAR
- 14.Unlocked
- 15.シャウト!
- 16.ミラーボール
- EN1.ハッピーマン
- EN2.Dump it!
- EN3.STAY BLUE
岸谷香/Unlock the girls
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