目次
驚異の2時間半超え!思いの丈を詰め込んだ26曲のパフォーマンス!
「トゲナシトゲアリ」結成から約2年半。
アニメーションを追い越し、2025年9月23日、日本武道館のステージに立った。
12000枚を超えるチケットは完売。客席は360度に敷き詰められ、武道館は言わずもがな超満員で、開演前とは思えないほどの熱気を帯びていた。
ファン陶酔のステージデザインと圧巻のパフォーマンス

ステージが暗転し、スクリーンにはカウントダウンが表示される。ゼロになり、バンド全体のサウンドが鳴り響く。観客がさらに沸き立つ中、1曲目『雑踏、僕らの街』により幕が切って落とされた。ステージはアニメのオープニング『雑踏、僕らの街』を模したデザインで、まさに会場にいた全員がオープニングの中にいるような構図となり、1曲目から最上級の一体感が生まれた。続けて2曲目は『碧いif』。儚いリリックでさらに観客を惹きつけた。




武道館最初のMCでは、朱李(Bass)の「みなさん、このステージ気づかれましたか?(ドヤ)」に対して、観客から「もちろーーーん」の嵐。「ここで『雑踏、僕らの街』演奏したの、これめちゃくちゃエモくないですか?」「ということで武道館、最高の一日にしていきましょう。楽しんでイクぞおおおおお!」と続けた朱李に観客はブチ上がる。
熱く切なさのある『闇に溶けてく』に続き、超攻撃的ベースサウンドから始まる『空白とカタルシス』で駆け抜ける。

2回目のMCを挟み、アコースティックなバラード『蝶に結いた赤い糸』で一旦観客を落ち着かせ、より深くファンの心を掴んだ。6曲目は打って変わり爆発力のある『ダレモ』、エモさの塊のようなロックである7曲目『運命に賭けたい論理』と続いた。

そして3回目のMCでも暴れる朱李が「ヤレンノカァアアアアアア」と煽り、さらに観客はブチ上がる。


続く『無知のち私』、『サヨナラサヨナラサヨナラ』、『最期の禱り』の3連続に加え、『誰にもなれない私だから』ではまさかの理名(Vocal)のキーボード弾き語りとなった。初披露となる理名のキーボード演奏に対する驚きと、卓越した演奏能力に会場の心はぐっと引き寄せられた。セトリ常連曲からレアな楽曲や演出まで織り交ぜた、ファン発狂ものの連続4曲であった。

日本の代表的な暖房器具“コタツ”ステージでのセッション

20分のインターミッションを挟み、ステージ上には、コタツ(!?)がセッティングされていく。観客がどよめく中、夕莉(Guitar)と朱李がコタツへ。「夕莉&朱李 in the kotatsu」の構図だ。12曲目はギター、ベースの2人によるセッションで、アニメのサウンドトラックより『雑踏、僕らの街(彷徨う)』を披露。何かとエモさを発するギターとベースとコタツの三位一体のセッションは、会場の度肝を抜いていた。そして、コタツは撤収された。


13曲目もサントラより『宣戦布告』、その曲中で理名も加わると途切れることなく『視界の隅 朽ちる音』を披露。アニメ第5話の挿入歌であり、力強さだけでなく、儚さ・翳りを含むリリックで会場を盛り上げた。
続く4回目のMCでは、「今更ながらここで自己紹介してもいいですか」とメンバー各々の自己紹介が始まる。
理名の「広島県出身の 17歳、高校3年生です。今日来てくれている人の中に、私と同じぐらいの年齢の方っていらっしゃいますか?」との問いかけに会場からは図太い17歳(?)の観客たちの声が沸き立つ。「本当か?本当の声か」と戸惑う理名(サポートキーボード鈴木栄奈も挙手していたのが微笑ましい)。
朱李は、「千葉県出身、 21歳です」「いやー、ついに武道館に来てしまった」「最後まで楽しんでいくぞー!」と相変わらずの元気を振りまいていた。
夕莉は、「茨城県出身のなんと!あと3日で!25歳でーす!」「これからも末長く祝ってください」と続き、メンバーそれぞれの個性が光るMCで会場が一体となって楽しむ様子が彼女たちとファンの距離の近さを物語っていた。
ガールズバンドクライを象徴する曲たちの応酬

続いてはバラード曲の『吹き消した灯火』を披露。そして、アニメーションになぞらえ、夕莉ボーカルから始まる『空の箱』。『空の箱』はガールズバンドクライを象徴する楽曲なだけに、夕莉の真っすぐで力強いボーカルは会場のファンをより深く釘付けにした。


ピアノが引き立つ感傷的かつ攻撃的な『傷つき傷つけ痛くて辛い』。トゲトゲの曲はもれなく全てかっこいいが、筆者も鬼のように大好きな『極私的極彩色アンサー』が続く。序盤のピアノと理名の合わせ、メロのブリブリのベースサウンド、サビの爆発感、間奏のギターテク、ラス前のドラムのスネア、そして極めつけは曲ラストの「Answer」の一言。この「Answer」はブレス多めで消えそうな、それでも存在を力強く現わしている、まさにアンサーだ。鳥肌レベルの“アンサー”に、私だけでなく会場中からも雄たけびのような歓声が上がった。

ライブも佳境に入り、新曲『飛べない蝶は夢を見る』をライブ初披露。疾走感と心を掴むエモいメロディーは、およそ2分半と短めな楽曲とは思えないほどの充足感を与えてくれる(というかトゲトゲってエモい曲が多すぎないか?)。そして間髪を入れずに20曲目は『爆ぜて咲く』。もちろん観客は大歓喜。待ちに待っていた全員大合唱の「爆ぜて咲いた」は、会場が震えるほどの爆音となった。




そこから、『渇く、憂う』『声なき魚』『運命の華』の3曲連続。疾走感の塊であるこの3曲を疾走するかの如く連続で披露。レア楽曲『渇く、憂う』に加え、アニメ挿入歌である『声なき魚』『運命の華』をここで持ってくるとは…。どれだけジューシーなんだ。とくに『運命の華』はあんなに明るい曲調なのに、なぜだか泣けてくる。

本公演最後のMCでは理名から「皆さんに向けて手紙を書いてきました」とサプライズが。「いつも私たちを見守ってくれているあなたへ」と始まる、この手紙の内容をここで綴るのは、なんだか無粋な気がするので、いずれリリースされるであろうメディアをぜひ確認してほしい。


「最後に聴いてください。『生きて生きてゆく』」。24曲目となった『生きて生きてゆく』が始まる。先ほどの理名による手紙も相まって、より深く心に突き刺さり、会場は感動の渦に包まれ、最高のトリ曲となった。

圧巻のアンコール。堂々の大団円
最終曲『生きて生きてゆく』を終え、暗転。ステージからは誰もいなくなり、次第に割れんばかりのアンコールが始まる。ステージが明るくなり、可愛らしいライブTシャツに身を包んだ姿でメンバーが再登場。MCを挟み、理名が「もう少し楽しみましょうか」「トゲトゲとガルクラとあなたとの始まりの歌。『名もなき何もかも』」と告げた。

『名もなき何もかも』は、1st Single曲であり、アニメ第7話挿入歌でもある楽曲、そして“トゲナシトゲアリ”になってから初めての曲である。トゲトゲにとって始まりであるこの楽曲は、2年前に行われた公開練習ライブからこの日までの大きな進化を実感させる圧巻のパフォーマンスだった。
「みんなに今日は楽しんで帰ってもらえたらと思って次の曲を選びました」と理名。


アンコール2曲目は『もう何もいらない未来』。『劇場版総集編 ガールズバンドクライ【前編】青春狂走曲』のオープニング主題歌で、もちろん初披露曲だ。予告編動画で一部のみ公開されていたが、まさかのまさか、大トリでフルコーラスのベールを脱いだ。

目標だった武道館はすでに通過点に
大成功で幕を閉じた本公演では、彼女たちの演奏力の向上だけでなく、MCでもファンとの距離を感じさせないパフォーマンスを披露し、演奏以外での成長も感じさせた。また、本年11月以降には学園祭ライブやRAISE A SUILENとの対バン、2026年にはZepp Tourと多数のライブが予定されており、彼女たちの進化はとどまることがない。私たちも彼女たちに振り落とされぬようしっかりとついていきたい。
Photo:冨田味我、キセキミチコ
取材・文:高橋光平
《SETLIST》
- 01.雑踏、僕らの街
- 02.碧いif
- 03.闇に溶けてく
- 04.空白とカタルシス
- 05.蝶に結いた赤い糸
- 06.ダレモ
- 07.運命に賭けたい論理
- 08.無知のち私
- 09.サヨナラサヨナラサヨナラ
- 10.最期の禱り
- 11.誰にもなれない私だから
- 12.雑踏、僕らの街(彷徨う)
- 13.宣戦布告
- 14.視界の隅 朽ちる音
- 15.吹き消した灯火
- 16.空の箱
- 17.傷つき傷つけ痛くて辛い
- 18.極私的極彩色アンサー
- 19.飛べない蝶は夢を見る
- 20.爆ぜて咲く
- 21.渇く、憂う
- 22.声なき魚
- 23.運命の華
- 24.生きて生きてゆく
- En1.名もなき何もかも
- En2.もう何もいらない未来
ガールズバンドクライ/トゲナシトゲアリ
「トゲナシトゲアリ Zepp Tour 2026 “拍動の未来”」開催決定!

「トゲナシトゲアリ Zepp Tour 2026 “拍動の未来”」
2026年2月11日(水・祝)OPEN 17:00 / START 18:00 KT Zepp Yokohama(神奈川)
2026年2月14日(土)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Fukuoka(福岡)
2026年2月23日(月・祝)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Nagoya(愛知)
2026年2月28日(土)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Sapporo(北海道)
2026年3月8日(日)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Osaka Bayside(大阪)
2026年3月13日(金)OPEN 18:00 / START 19:00 Zepp Diver City(TOKYO)(東京)
2026年3月14日(土)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Diver City(TOKYO)(東京)
詳細はこちら
https://girls-band-cry.com/live/post-18.html

STAGE Vol.28 《表紙・巻頭》ジェイク・シマブクロ/トゲナシトゲアリ
2024.12.20@豊洲PIT トゲナシトゲアリ 4th ONE-MAN LIVE “協奏の響” ライブレポート
2024.11.2@TOKYO DOME CITY HALL トゲナシトゲアリ 3rd ONE-MAN LIVE “咆哮の奏” ライブレポート
【トゲナシトゲアリ機材紹介】2024.9.13@川崎・CLUB CITTA’ トゲナシトゲアリ 2nd ONE-MAN LIVE “凛音の理” ライブレポート
STAGE Vol.23 《表紙・巻頭》藤巻亮太/ガールズバンドクライ トゲナシトゲアリ
【トゲナシトゲアリ機材紹介】2024.3.16@横浜1000 CLUB トゲナシトゲアリ 1st ONE-MAN LIVE “薄明の序奏” ライブレポート 












