遡ること約半年前、2025年6月14日に行われたRAISE A SUILEN LIVE 2025『REBEL SOUNDWAVE』にてサプライズ告知されたRAISE A SUILEN×トゲナシトゲアリ『RAISE MY CATHARSIS』。作品の垣根を超えた実力派バンド2組のレアな競演とあって告知当時から注目度は高く、チケットは早々にソールドアウト。それぞれのバンドグッズを身に着けた多くのファンが京王アリーナ TOKYOへと駆け付けた。
開演時間が迫るにつれて客入りのBGMの音量が徐々に高まる。RAISE A SUILENとトゲナシトゲアリの楽曲が交互に再生され、観客のボルテージに拍車がかかる。
いよいよ開演、スクリーンに映し出される両バンドのメンバー。

先攻をつとめるトゲナシトゲアリが颯爽と登場。『声なき⿂』、『渇く、憂う』とノンストップで披露。スタートを飾るにふさわしいアッパーチューンで観客のテンションを一気にぶち上げて見せた。
MCでは飾らない自然体のトークが展開する。

繊細でありながら芯が強くリスナーにまっすぐ刺さる歌、その歌声に感情をこめるときの鋭いまなざし…たぐいまれな実力をもった生粋のボーカリストであることは、ステージでその姿を一目見て歌声を聴いたその瞬間に実感できる。圧倒的な歌唱テクニックの中にただならぬ熱量を感じる。楽曲によってはギターボーカルを兼任する。
ミディアムテンポの素朴でメロウなナンバー『蝶に結いた赤い糸』では全員の美しいアカペラのハーモニーが心地よく響いた。
『空の箱』の演奏に続いて、歪みとアタックの効いた力強いベースソロから『空⽩とカタルシス』を披露、さらにノンストップで『闇に溶けてく』へと続く。軽快なシャッフルビートのカッティング、タッピングやワウペダルを絡めたギターソロなど、どこを切り取っても印象的なギタープレイを堪能できた。

“曲中全部がギターソロなのか”と思うほどテクニカルなバッキングも常に涼しい表情で弾きこなす。軽快なカッティング、タッピング、ワウペダルをからめたリードプレイなど、1本のギターを非常に多彩に使いこなしていた。歪みの量は浅めで、ギター本来のトーンが活きた艶やかでコシがあるサウンドだ。
続いて披露される『視界の隅 朽ちる音』『名もなき何もかも』などの楽曲では“トゲナシトゲアリらしさ”を感じさせる、ボカロ曲のようなアップテンポで非常に音数の多い歌が印象的だ。難度の高い歌唱でも息やピッチが全く乱れず、演奏面も荒々しくも非常に精密だ。

劇場版総集編(前編)のOP主題曲『もう何もいらない未来』を皮切りに、『命をくれよ』『arrow』『荊の薔薇』の3曲を連続でライブ初披露した。今回の対バンライブに対して全力を注いでいるのがひしひしと伝わる。いずれも劇場版総集編の前編及び後編の主題歌とあって、どれもリスナーの心を震わせ、感情に刺さる必聴ナンバーばかりだ。

さらにノンストップで披露される『雑踏、僕らの街』はTVアニメOP曲とあって、今回初めてトゲナシトゲアリのライブを観たという観客でも思わず「あ!この曲は!」と思っただろう。多くのリスナーにトゲナシトゲアリの音楽性を印象付けた象徴的なナンバーのひとつだ。客席からクラップと歓声が沸き起こり会場を震わせる。『最期の禱り』で聴かせたボーカルのロングハイトーンはまさに聴く者の心に刺さるアツい歌声だ。

序盤と終盤に使用したSG Bassでは、中低域が特徴的なメロウなサウンド、イントネーション、強弱表現が豊かでメロディアスなベースラインを奏でる。中盤では5弦ベースを使用。こちらは対照的にアタック感の強いソリッドなサウンドで攻撃的なフレーズの数々を披露。 実はRASのチュチュ推しで、THE THRID(仮)時代からバンドのファンなのだそう。
「RASの胸を借りて好き勝手やらせてもらいました!」
その言葉通り、今回のセットリストは16曲と合同ライブとしてはかなりボリューミーだ。まさに遠慮なく全力で臨んだことがうかがえる。

いよいよ前半はラストスパート。ぐんぐんと高まってきた会場の熱量が『爆ぜて咲く』で力強いコールアンドレスポンスになってあらわれ、会場の空気を大きく揺さぶる。最後の『運命の華』ではスクリーン上のアニメ映像とシンクロするようにメンバー同士が至近距離で向かい合って、楽しそうに演奏している姿がとても眩しかった。
フィニッシュに相応しい華やかで見事な演奏で観客を大いに魅了、圧倒的な実力を見せつけたトゲナシトゲアリに対して、観客から鳴り止まない拍手と歓声が送られた。
《SETLIST》
- トゲナシトゲアリ
- 1. 声なき⿂
- 2. 渇く、憂う
- 3. 蝶に結いた⾚い糸
- 4. 空の箱
- 5. 空⽩とカタルシス
- 6. 闇に溶けてく
- 7. 視界の隅 朽ちる音
- 8. 名もなき何もかも
- 9. もう何もいらない未来
- 10. 命をくれよ
- 11. arrow
- 12. 荊の薔薇
- 13. 雑踏、僕らの街
- 14. 最期の禱り
- 15. 爆ぜて咲く
- 16. 運命の華
ガールズバンドクライ/トゲナシトゲアリ
「トゲナシトゲアリ Zepp Tour 2026 “拍動の未来”」開催決定!

「トゲナシトゲアリ Zepp Tour 2026 “拍動の未来”」
2026年2月11日(水・祝)OPEN 17:00 / START 18:00 KT Zepp Yokohama(神奈川)
2026年2月14日(土)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Fukuoka(福岡)
2026年2月23日(月・祝)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Nagoya(愛知)
2026年2月28日(土)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Sapporo(北海道)
2026年3月8日(日)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Osaka Bayside(大阪)
2026年3月13日(金)OPEN 18:00 / START 19:00 Zepp Diver City(TOKYO)(東京)
2026年3月14日(土)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Diver City(TOKYO)(東京)
詳細はこちら
https://girls-band-cry.com/live/post-18.html
STAGE Vol.28 《表紙・巻頭》ジェイク・シマブクロ/トゲナシトゲアリ
【トゲナシトゲアリ機材紹介】2025.9.23@日本武道館 トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫” ライブレポート
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2025.1.19@Zepp DiverCity(TOKYO) RAISE A SUILEN ZEPP TOUR 2024-2025「PANDEMONIUM」ライブレポート
2024.12.20@豊洲PIT トゲナシトゲアリ 4th ONE-MAN LIVE “協奏の響” ライブレポート
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