トゲナシトゲアリの歌声と演奏が、強烈な熱を放つように身体中を貫いた。
トゲナシトゲアリが11月2日にTOKYO DOME CITY HALLで3rd ONE-MAN LIVE “咆哮の奏” 公演を行った。当日の模様をここにお伝えしたい。


この日は、映像などの演出を極力抑え、バンドが持つ表現力の魅力で真っ向から挑んだライブ。その姿勢を示すように、満員の会場に理名(Vocal)と夕莉(Guitar)が弾き倒すトゲトゲしい、ヒリヒリとしたギターの音が響き渡る。理名の「始まるよー!」の声を合図に、楽曲が風を切るよう軽快に走り出した。ライブの冒頭を飾ったのが、『運命の華』。力強く、でも爽やかな音の風を吹かせる彼女たちの歌や演奏に刺激を受け、気持ちが嬉しく奮い立つ。理名と夕莉が互いに顔を合わせて歌い奏でる場面も気持ちを嬉しく騒がせた。朱李(Bass)もリズムを感じながら、心地好く身体を揺らして演奏。活動休止中の美怜(Drum)と凪都(Keyboard)に代わるサポートドラマーの宮内沙弥、キーボードの鈴木栄奈の演奏も一体となり、場内にいるみんなと一緒に叫ぶパートを含め、ここにいる全員が気持ちを嬉しく奮わせていた。なんて素敵な始まりの景色なんだろう。

リズミカルなドラムビートを合図に、理名が思わせぶりな声で歌いだした。激しく疾走するピアノロックナンバーの『極私的極彩色アンサー』だ。この曲で理名はギターを置き、マイクを握り締め、ときに身体を大きく揺らしながら想いの限りに歌いあげる。凛々しくも力強いその姿へ、演奏陣も、同じように凛々しくもスパイスの効いた刺激的な演奏で寄り添っていた。

「闇に溶けて 溶けて 溶けて 溶けてく」と歌いあげる理名の声を合図に、演奏は『闇に溶けてく』へ。この曲でも彼女たちは、軽やかに、でも疾走するように弾むピアノの演奏を軸に据えた音の上で、同じように気持ちを弾ませて歌い奏でていた。この曲での朱李のベースが、とても軽やかに弾み続けていた。対して夕莉のギターは、シャキシャキッと切れ味鋭い音を奏で、楽曲をタイトに引き締める。だから理名の耳心地の良い歌声も、演奏と相まって、より強さを持って胸に届いていた。


夕莉のアルペジオの音色から楽曲はスタート。そこへ理名が、想いを込めた声を重ねて歌いだす。『碧いif』でも、一人一人が演奏を寄り添わせ、心地好い一つの想いの塊として届けてきた。ステージの上にいる5人が、音や声を通して思いを一つに重ねて伝える。だから、感情の揺れの見える楽曲に、自然と気持ちが惹かれてゆく。

「君がくれた花束 枯らしてしまったり」と、理名の歌声から演奏がスタート。そこへ夕莉の奏でるギターの旋律が優しく、でも、切れ味の鋭い音で寄り添う。『蝶に結いた赤い糸』、この曲でもメンバーたちが互いに気持ちを重ねながら、触れた人たちの心に温かな想いの風を吹かせていた。この曲では、朱李のベースの演奏も楽曲に耳心地好い色を描き加えている。何より、心の中に渦巻いていた気持ちを解き放つように歌う理名の声と姿に、ずっと心が引き寄せられていた。


気持ちを奮い立てるように、感情的な声を持って理名が「淀んでいる 歪んでいる この世界に立って」と『偽りの理』を歌いだした。とてもヒリヒリとした演奏の上だからこそ、生々しくも感情的な理名の歌声が、より生きた色を持って胸に突き刺さった。理名自身が、生きる意味を自らへ問いかけるように歌う。その葛藤した気持ちを、夕莉のギターや演奏陣がさらに感情的に掻き回す。リズムに合わせ、身体を揺らしながらベースを弾きつつ歌う朱李の姿も印象的だった。

美しいギターのアルペジオの音色が場内中に染み渡る。嘆く気持ちを呟くように歌う理名。でも、次第に感情を露に歌う姿も印象的だ。『黎明を穿つ』で彼女たちは、主人公の揺れ動く気持ちに合わせ、巧みに演奏や歌声に強弱や緩急を付け、歌詞に込めた想いに生々しさを与えてゆく。その歌が求め、生きる姿にして楽曲を届ける。その力をしっかりつけてきたことを、この曲の歌や演奏が証明していた。

夕莉のギターのアルペジオの演奏。やがてギターをストロークするのに合わせて夕莉が『空の箱』を歌いだした。夕莉の弾き語りのスタイルから始まった楽曲は、その歌を理名が受け継ぐとともにバンドの演奏へ。途中からは、夕莉も歌声を寄り添え、心地好い緊張感を持って駆ける楽曲へ、気持ちを揺さぶる彩りを与えていた。だからフロアでも、気持ちを奮い立てた人たちが拳を振り上げて沸き立っていた。

凛々しくも力強い理名の歌声と夕莉のソリッドなギターの演奏が寄り添いあってスタート。そこへバスドラをキックする音が重なり、『声なき魚』の演奏へ。この曲の中、攻めるように前のめりの姿で歌う理名を支えるように、夕莉と朱李が顔を寄せ合いコーラスをしていた姿も印象深く見えた。曲が進むごとに、疾走感と熱をクングン上げてゆく。その演奏に触れていると気持ちが奮い立つ。この曲では、夕莉と朱李の絡み合う姿を多く見られたのも嬉しかった。それにしても、気持ちを熱くしてゆく歌と演奏だ。

ここから一気に駆け上がる勢いで、夕莉のギターがソリッドな音を咆哮した。感情を解き放つように元気に疾走する『視界の隅朽ちる音』だ。早口で次々と言葉を吐き出す理名の歌声にも輝きを覚える。何より、光を抱いて走る演奏に身を任せ、一緒に気持ちよく上がり続けたい。このブロックでは、背景にアニメ『ガールズバンドクライ』の映像も投影。映し出された映像とライブを通して伝わる歌とを心の中のスクリーンに投影しながら、いろんな思いを巡らせていた人たちも多かっただろうか。
ガールズバンドクライ/トゲナシトゲアリ
「トゲナシトゲアリ Zepp Tour 2026 “拍動の未来”」開催決定!

「トゲナシトゲアリ Zepp Tour 2026 “拍動の未来”」
2026年2月11日(水・祝)OPEN 17:00 / START 18:00 KT Zepp Yokohama(神奈川)
2026年2月14日(土)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Fukuoka(福岡)
2026年2月23日(月・祝)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Nagoya(愛知)
2026年2月28日(土)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Sapporo(北海道)
2026年3月8日(日)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Osaka Bayside(大阪)
2026年3月13日(金)OPEN 18:00 / START 19:00 Zepp Diver City(TOKYO)(東京)
2026年3月14日(土)OPEN 16:00 / START 17:00 Zepp Diver City(TOKYO)(東京)
詳細はこちら
https://girls-band-cry.com/live/post-18.html

2024.12.20@豊洲PIT トゲナシトゲアリ 4th ONE-MAN LIVE “協奏の響” ライブレポート
【トゲナシトゲアリ機材紹介】2024.9.13@川崎・CLUB CITTA’ トゲナシトゲアリ 2nd ONE-MAN LIVE “凛音の理” ライブレポート
STAGE Vol.23 《表紙・巻頭》藤巻亮太/ガールズバンドクライ トゲナシトゲアリ
【トゲナシトゲアリ機材紹介】2024.3.16@横浜1000 CLUB トゲナシトゲアリ 1st ONE-MAN LIVE “薄明の序奏” ライブレポート 












