【全ての概念を破壊してくれる唯一無二のサウンドはここに。】

RAYJI is back in Tokyoのライブに行ってきた。
彼のライブを観る事はこれまでに何回かあったが、今回は2年前のアジアツアーファイナル、渋谷Spotify O-WESTにて行われたワンマンライブぶりである。
2年前RAYJI氏は駆け付けたオーディエンスに向けてこう言った。
「ここから2年間、日本でのライブはしません。アジアでスターになって帰ってきます。だから2年間時間をください」と。
SNSで彼の動向を追いかけてきたのだが、RAYJI氏はMeijiチョコレートベトナムのKOLを日本人初、男性初で務めたり、インドネシアのファッションブランドのモデルに抜擢される等、音楽以外の面でも活躍を魅せ、勿論音楽では目を見張る活躍を魅せていた。
RAYJI氏はどこに行ってもメインアクトとして大きなイベントに招待され、何千、何万人の前で我々の想像を遥かに超えた熱気を生み出していた。
そう、RAYJI氏は正真正銘日本代表のベーシストになっていたのだ。

前置きは長くなったが、そんなRAYJI氏のワンマンライブをレポートしていきたい。
今回はライブ後にもインタビューも行い、使用機材、彼自身の思考にも迫ってきたので最後まで是非読んで欲しい。

-RAYJIはベーシストである-

2年越しに観るRAYJI氏のライブに期待と同時に、不安にも近いソワソワした気持ちを胸に会場へ向かう。
でもこれは彼も同じだろう。
2年間これまで活動してきた環境、日本を離れ、活動をしなくなるということはどれだけ不安であっただろうか。

開演。幕が上がる。
2年ぶりにステージに現れた彼には鋭さと表裏一体に時折顔を覗かせていた幼さが消えていた。
サポートドラムFUMIYAのカウントから1曲目、『Euclid Ave. 2023』が始まる。
このベースのスラップである。
いや、私達が知っているスラップではないのだ。
意味が分からない。この言葉が一番しっくりくる気がする。
それに加えて彼はベースを見ることなく前を向いて、オーディエンスを煽りながら演奏している。
RAYJI氏はそこからイントロを終えると歌い出す。
その意味が分からない演奏をしながら、である。
兎に角理解を追いつかせることが大変なのだ。
冷静に考えてみれば、サポートミュージシャンもドラムだけである。
これも普通ではない。
理解が追いつくのも束の間、今度はギターソロのようなサウンドを出し始めた。

ベースとは何なのか。
その概念が一気に崩されていく感覚。出逢った事のない、見た事のないものにい出逢った時に、人は固まり恐怖を覚えるらしい。それに似た感覚が身体に広がった。

2曲目の『GET READY』でも異変に気付くことになる。
ベースの音が以前よりも良くなっている気がする。感覚の話になってしまうが、でも明らかに音が2年前から変わっているのだ。
勿論この曲も、というと可笑しいのだが、勿論この曲も彼はスラップをしながら歌っていた。
歌。そう。ここでRAYJI氏の歌が以前とは比べ物にならないほど進化していることに気付く。こんなにも人は変わるのか。どんな生き方をしたら、他人から見てこんなに変化を感じられるのか。
矛盾しているかもしれないが、彼はベーシストなのだ。
「ソロ活動を始めるまではベースしか弾けなかった、他の事は何も出来なかった」と彼自身も言っている通り、RAYJI氏はベーシストでしかなかったのだ。
それなのに、目を閉じるとボーカリストと超絶ベーシストがいて、それ以外の音を出しているプレイヤーが複数人感じられる。いや、いなくてはいけないのだ。

この疑問を彼自身に聞いてみた。

「音が変わったって気が付きましたか?笑 それには要因がいくつかあって。1つは身体から出る音が変わった。これは成長ですね。2つ目はベース本体の音が鳴るようになった。2年間世界で一緒に戦ってきてベース自体の音がとても良くなったんです。3つ目なんですけど、ベース以外の音が変わったこと。3つ目が大きいです。ベースをしっかり想うがまま届けられるようにベース以外の事を勉強してきて、それが今ようやく形にまとまったんです」
RAYJI氏は作曲、作詞、アレンジからミックス、マスタリングまで1人で行っているのだが、それが大事だったというのだ。「僕のベースの事、僕自身を知っているのは誰よりも僕だから、僕がやらなくちゃいけなかったんです」と。

何も出来ないところから始めたということだろうか?
彼は続ける。
「出来るからやるんじゃないです。出来ないからやるんです。出来る事に興味はないです。出来ないから面白いんじゃないですか。それは『Behind the mask』を聞いてくれたら分かったでしょ?」と語ってくれた。

RAYJIの使用ベースはこちらのGuardian Bass。

3曲目はその『Behind the mask』。
2年前にはなかったものがそこにはあった。
RAYJI氏は英語でラップを悠々と行っていたのだ。それが英語だから分からないとか、そういう感覚を越えて気持ちいい。
「ね?出来てたでしょ?笑」
と彼は後で笑って言った。
「僕は出来るって思ったから始めたんです。英語で歌うことも、ラップを1年前に始めた事も。アレンジやらミックスやら、、、1人でステージに立つことも。海外でライブをすることも。どうやったらそんなに変化できるのかと聞かれても、僕は練習しか知らないですよ。笑 きっともっといい方法があるかも。でも僕はそれしか知らない。でも思い返せば、出来るって思って始めた瞬間から出来るようになってたのかもしれませんね!笑」

短いSEを挟んで4曲目、『This is my call』へ続いていく。
彼の言葉はいつも等身大だった。歌詞を見ておいてくれと言われていたので歌詞を引用させて頂く。

-見渡してこの瞬間を祝おう トロフィーのように僕達のものさ
やっと目指していた自分に辿り着いた 
じっくりと時間をかけて今、僕は立ち上がる
愛してくれる人たちと共に築き上げた道 それが僕の名前だ

そんなことは出来るわけないと言われ
大きすぎる夢だと笑って沢山の人が通り過ぎていった
でも振り返ってみれば、生き残る道はひとつしかなかったことが分かる
僕がここに立っている それが答えだ-

(RAYJI氏による意訳より)

ここまで来るとベースを自在に身体の一部のように操りながら歌い、パフォーマンスをする姿にも慣れてきたころだ。
しかしそんな油断をまだまだ越えてくる男だと云う事も忘れてはいけなかった。
今度はタッピング(指板を両手で叩いて演奏すること)ソロをしながらラップを始めたのだ。
何度も言うが、この空間では当たり前になっていて触れないが、サビではスラップしながら歌っている。
彼の頭の中にはいくつの音が流れ、いくつの旋律、何が聞こえ、何が見えているのか。

そこから続けざまに『Tokyo Knife』へ。
私の好きな曲だ。東京に帰りたいけど今はまだ帰れないと歌ったこの曲。
RAYJI氏の言葉からはいつもどこか寂しさ(というべきか)を感じることがある。切なさだったり、哀しさのような儚さである。

この曲のBメロのベースも圧巻だ。歌のメロディーと同じようなフレーズを弾きながら歌っている。
…ニュアンスが独立している。
歌いながらベースを弾くだけでも理解が及ばないのに、彼はベースを歌と違ったベースのニュアンスまで確実にしっかりと、意図的に加えて演奏していた。

-EDM(エレクトリックダンスミュージック)に魅せられた男RAYJI-

自身の音楽のスタイルはEDMにあるというRAYJI氏。
しかし好きな音楽は様々でモータウンミュージック(60’)から始まっているとも語る。
彼は海外のライブではアンプを一切使わないんだそう。
しかし日本での公演となって、今回は2年前に引き続きこちらのアンプを使用していた。
これも普通では考えられないのだが、彼はギターアンプも併用している。

RAYJIの使用ベースアンプはこちら。Trace Elliot TRE-ELF
併用されていたギターアンプはMarshall JCM900ヘッドと1960Aキャビネット。

6曲目は『We are SAMURAI』
「このEDMで一緒に歌おうぜ!」と歌詞にもあるようにEDMがメインとなっている曲だ。
こんな事を言うと誤解されるかもしれないが、なんともライブハウスに似合わない曲である。彼の音楽は大きな野外ステージに非常に向いている。
そもそも、そこに立つべくして音楽を行っているのか。と当たり前であって当たり前でない事を感じざるを得ない。
RAYJI氏は間違いなく海外でとてつもなく大きなステージでたった1人、戦ってきたのだ。
「この二年間みんなからはカッコよくて凄いRAYJIしか見えてなかったと思う。それしか見せなかったから当然だ。でも同時に僕はいつも孤独と向き合って、音が出る事だけでも大成功のような環境で120%の結果を残してきた。1人で何千人も何万人と向き合うんだ。守ってくれる人もいない。僕は1人だったんだ」とMCでも言ったように、私にも語ってくれた。

これがその音か。
納得してしまう自分がいた。ライブハウスで聞こえる音ではないのだ。
それはジャンルや、言語といっただけの話ではない。
とてつもなく大きい。音の1つ1つがとても大きく鳴り響いていた。


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