そして『Perfume』へ。
本当にRAYJI氏の曲は色とりどりである。
「これがソロの特権でしょ?笑」と笑いながら話してくれた。
このPerfumeという曲をはじめ、RAYJI氏の曲にはライブではベースを弾かず歌に徹するものがいくつか存在する。
「ベーシストほど、ベースに縛られちゃうんですよ。人間と同じ!一緒にいすぎるとね、離れるのが寂しくなっちゃうの。だからベースにね、君がいなくても僕は1人でも立てるよって見せなきゃダメ。身体の一部が削がれた気持ちでも、しっかり自分でいなきゃダメ。それが出来た時に、ベースが僕にとって依存先じゃなくて、本当の武器になると思ったし、なったんだよね」
更にRAYJI氏は続ける。
「僕にとってベースのスキルっていうの?それを誰かと比べる事に興味はないんだよね。誰かより上とか下とか。いつかそれって行き詰まるから。自分の人生の到達点の中で僕はまだまだ未熟だと思ってる。だってまだまだ凄くなれるって感じてるから。
あと、自分がこれこそが得意だって想うほど他の事が始められなくなるのが怖い。ベースだったらこれだけできるのに!って、なっちゃう。
僕が新しく何でも始めてるのは多分そこに理由があって。
僕にとってベースは未熟なんですよ。だから何でもまだまだ挑戦できる。ベースに固執しないでいられる」
「…ベースを弾いてなくても、ベースじゃないことをやっててもベーシストでいられたら、きっとそれが本当のベーシストなんだと思う。」

R&B調の『Perfume』を頭に思い返しながら彼の言葉に耳を傾ける。

-音楽は取捨選択じゃない-

「僕って変な事ばっかりベースでするじゃないですか?笑 この曲のベースはいわゆるテクニック的な事を一切してないんですよ。なんだろう、巷ではテクニック派かグルーヴ派かみたいな争いが定期的にあったりするんですよ。笑 しょーもないなって思ってて。笑 両方出来ればいいじゃんって。音楽はどっちかを選択したら、それだけしか出来ないってわけじゃないんですよ。僕は昔テクニックをいらないって思ってた。でも出来ないのはダサいなって思って、出来るようにしたんです。出来たら表現の幅は広がったし良い事しかなかったです。片方が片方を否定するなんてそんなもんです。笑 両方やればいい。ベーシストも歌えばいいし、何でもやればいい。音楽は取捨選択じゃないんです。僕は人にも音楽にも境界線を勝手に引かない。全部で大きな1つです。ね、良いグルーヴでしょ?僕、ベーシストなんですよ」

私からも、この曲は音源も出ているのでベースに耳を傾けて聞いて貰いたいと思う。

「僕はベーシストなんですよ」
こんなシンプルな言葉の中に彼の生き様を感じた瞬間だった。

-ただいま-

MCでRAYJI氏は声を大きく伝えた。
ベースを弾いている時の彼は、まるで何かが憑いたように人相まで変わるが、話している時の彼はとても穏やかで笑っている。
「帰る場所があったから、待っててくれるみんながいるって信じれたから乗り越えられた」
と彼は伝えた。

MCの後、彼は新曲を2曲披露してくれた。
Rebels』と『A million miles』だ。
RAYJI氏曰く、4月頃リリースされる予定だという。
RAYJIという存在が次々に変化していくのを見てきたが、楽曲もまた変化していく。
これは彼自身の能力が上がり続けているというのも勿論だが、感性も変化していき、私達にその瞬間瞬間を共有してくれているのだろう。

ライブではアコースティックギターを弾きながら歌い始めたRAYJIがいた。

RAYJIの使用アコースティックギターはこちら。Martin

Martinギターの音が幾多に注ぎ込まれた、読者にもリリースを期待していて欲しい曲達だ。
まるでこれまで培ってきたもの、育ててきたものを一気に破裂させるような新曲。

RAYJI氏は語る。
「誰が僕がこうなるって思ってましたかね 笑 でも僕は信じていたし、今こうやってライブに来てくれてるファンも信じてくれてた。自信だけではどうにもならない時は沢山の言葉に背中を押してもらった。僕の音や言葉、声、楽曲全てから感じて欲しいのは、背中にある沢山の人の気持ちだったりします」

ここからカバーソング『Help!』に続いていく。
そう、皆も知っているThe Beatlesの有名な曲だ。
RAYJI氏のライブはEDM調がメインなのだが、その中でも浮くことはなくむしろしっくりと来るカバーソングとなっていた。
彼はアコースティックギターを弾きながら歌っている。底知れない彼の音楽に浸る。
サポートドラムのFUMIYA氏も普段はメタルドラマーなのだが、楽曲に、そしてRAYJI氏の音に寄り添っているのが誰の目からも明らかに分かる。

-RAYJIのサポートミュージシャンはドラムだけ-

何故ドラムだけなのか。RAYJI氏に聞いてみた。
「別に他のミュージシャンを入れたくないわけじゃないです。同時に、海外では1人でやってるし、1人で何万人を相手に出来ないわけでもない。ドラムが欲しいわけじゃないんですよ。FUMIYAだからいいんです」
「ソロはソロでも複数のサポートミュージシャンと一緒にステージに立つのと、ドラムだけで立つのでは全く違うんです。同じソロでも全くの別物。求められるスキル、メンタル、全てが別物。そしてそれは、FUMIYAも一緒。他にサポートがいれば彼ももっと楽だと思いますよ 笑 1人でサポートミュージシャン複数人の仕事をこなしてくれてると思ってます」
「それが出来るのはふーみん(FUMIYA)だけなんですよ」
とRAYJI氏は語ってくれた。

ライブも後半戦へ。
一気にロック調の楽曲達へ、そしてスピードを上げていくRAYJI氏。
No one…』では高速スラップをしながら歌う。
この空間では世の中の異常が正常となる。
ベースだけでも天下を悠々と取れそうな男がその先へ向かっていくのを感じ取れる。
見ている景色が違う。描く未来の大きさが違う。
自分の感覚を信じ、自分の人生を全部乗せれる男。
それがRAYJIなのだろう。

そこからRAYJIとしてのソロ1st シングルである、『NOT A SLAVE』へ。
あの日表現したかった音はこれなんだろう。こんなにカッコいい曲だっただろうか。
最近の彼の楽曲の歌詞にも繋がっていく世界観。
RAYJI氏の楽曲では世の中においてのミュージシャンの価値を問い、訴えている。
7年前から続く彼の叫びを私達が理解することは多分できないだろう。
だが彼は私達には見えない何かと戦い続けている。今も、これからも。

会えなくなった仲間へ向けて作ったという『The Pact』に続く。
力強さの中に見え隠れする切なさ。
「君と離れていても僕は叫び続ける」「いつかまた会えるさ」
彼は歌いながらベースを叩き続けている。
「僕達は歴史に名を刻む」と、今はもう恐れを感じない叫びと共に。

みんな踊ろうぜ!
RAYJI氏の音楽はダンスミュージックが基盤でもある。
癖になる曲『Dance With Me』は英語の歌詞を聞き取りにくい私達にも口ずさめる言葉が散りばめられている。
ブギ・ウギ・ビューティー!
この歌詞が頭にこびりついて離れなくなったのは私だけではないはずだ。

バラードである『TATTOO』。
ベーシスト故にベースに集中しがちだが、RAYJI氏の作るバラードは本当に美しい。
幾重の音が美しく重なり、心の不純物を洗い流してくれるような感覚になる。

「僕のバラードって、陰と陽というか。善と悪というか。全ての物事には二面性があると思ってるんですけど、それを歌ってるものが多いです。でもみんなそうじゃないですか。何かに迷って、行ったり来たりする。でもそれがいいし、そういうものだし。例えば、一生懸命頑張って、頑張って頑張って、それでも報われなかったり、何かの拍子で全部ダメになったり。自分以外の何かで上手くいったり、上手くいかなかったり。ふざけるなって思いますよ笑 でもそれが良かったり…頑張った分報われてたらとっくにてっぺんに辿り着いてやめてますよ笑 報われたいくせにね笑 だからいいんですよ。矛盾してるでしょ?」
「僕ね、矛盾って真実だと思ってるんです。」
と語ってくれた。

言葉の中に感じる無常も美しく感じることが出来た。そしてそれは、彼自身が全ての音を出していて、歌詞も自身で手がけ、自身で歌い、自身で前に立っているからかもしれない。
不純物がないのだ。
きっと商業的になるほど音楽も制作者の意図や意識、感情は伝わりにくくなるだろう。
彼は思っている事を音という形にして私達に届けてくれる。
よくありそうで、実は殆ど存在しないそれを受け止めざるを得ない。

私の大好きな曲、『YOU DO YOU』。
RAYJI氏の楽曲の中で一番ベースが輝いている楽曲なのではないかと感じている。
世界中探しても彼にしか出来ないスラップをしながら英語でラップをする。
伝え忘れていたが彼はカポタストというものも使用していて、チューニングも独自なのだ。
自ら見つけ、研究し、編み出していったという。
誰かの物真似ではないと彼は語る。

「0から1を作るのが一番楽しいんですよ。まだまだ頭の中には誰もやってない事、思いついてるんですけど、こればっかりは時間がない。ちょっとずつ出していきますよ笑
チューニング真似してもこれが出来るわけじゃない。何故、どうしてそこに辿り着いたかを僕は持ってるから。これ表には言ってないんですけど、真似されるの嫌だから笑 弦の共鳴です。弦を共鳴させたくて始めたチューニングなんですよ実は」

私には何を言ってるのか良くわからないが、きっと革新的で独創的なことなのだろう。
それはこの『YOU DO YOU』をライブで見れば理解せざるを得ないというか、世の中とは別の次元でベースを弾いているという表現が正しいと思う。

一番人気の楽曲『The Universe』。
海外でのパフォーマンス動画で度々目にしていた楽曲だが、やはり磨き上げられ安定感も増していた。こんなに自由に歌いながらベースを叩けるものなのだろうか。
ボーカリストとしての成長が凄すぎる。

「ベースと一緒ですよ。歌以外の事が成長したから歌も成長した。だって、ベースを弾くのにいかに力まないかって歌うには大事だし、体力管理もそう。どこにどれだけ自分のエネルギーを割り振るかとか。そのコントロールが上手くなったんですかね」
「でも一番は、僕の声を好きって言ってくれる本当に沢山の人達と出逢ったからです」
と伝えてくれた。

「自分を信じられなくなる時はやっぱりありますよ。でも、自分を信じてくれる人を信じてみようと思ったんです。自分を信じられなくなっても、彼らを信じる事は出来た。知ってますか?僕が海外でウケた一番のきっかけ。声なんですよ。信じられますか?笑 僕が一番嫌いだったところ。僕が一番自信がなかったところなんです。泣けるでしょ?笑」

未来に照準をあてて前しか見ていないように見えるRAYJI氏だが、実は凄く過去を大事にしていて、過去が大事だからこそ未来へ向かう男なのだとここまでのインタビューとライブから感じられた。

ラストの曲『FACE THE MUSIC』。
みんなで踊れるダンスナンバー。きっとRAYJI氏のライブに初めて来た方も大好きになる曲だ。サポートドラムのFUMIYA氏のバスドラムとRAYJI氏のベースが絡み合って兎に角気持ちがいい。世界最高のリズム隊と言っても過言ないだろう。
それほどのグルーヴ、パフォーマンスなのだ。
RAYJI氏はベースの根底を覆していくのだが、本来のベースらしいベースを弾いた時もまた本領を発揮する。派手な事も普段しているが、根底にしっかりとした土台があるのだろう。

2年という期間で間違いなく大きな成長、変化して帰ってきたRAYJI氏を身体で感じることが出来たライブ、“RAYJI is back in Tokyo”はファンに今のRAYJIを確かに刻み込み大盛況で幕を閉じた。

-二年ぶりに日本でのライブを終え、RAYJIとしてこれからの展望を聞いてきた-

「迷ってますよ。迷ってる時間なんてないのに迷ってます。笑 でも多分迷えるのも今しかないから、迷う時間も大切にしていきたいです。動き始めたら止まれないですから。日本でもまたすぐにでもライブしたいし。だから準備中です。心も身体も、計画も、曲も。ただ、何より日本でもライブしたいって思わせてくれた、今日来てくれたファンのみんなに感謝したいです。前に進めるのはいつだって、応援してくれる人達の気持ちのおかげですから。綺麗ごとじゃなく、それがなかったらもう音楽してないですよ。だからまた悩んで、沢山悩んで、答えをみんなと音楽を通して共有していきたいって思ってます。いい仲間も今いるし、応援してくれるみんなにも甘えられるところは沢山甘えていきたいって思ってます」

RAYJIの次のライブは未定。
それでも私を含め、新しいまた会える場所を待つだけの価値がそこにはある。
何かのきっかけ1つで私達の想像の遥か先に、とてつもなく大きくなってしまう存在。
無限の可能性を秘めたベーシストRAYJI。

全ての概念を破壊してくれる唯一無二のサウンドはここに。

《SETLIST》
高田馬場Phase
RAYJI is back in Tokyo
supporting drummer FUMIYA from Unlucky Morpheus
  1. 1. Euclid Ave. 2023
  2. 2. GET READY remix version
  3. 3. Behind the mask
  4. 4. This is my call
  5. 5. Tokyo Knife
  6. 6. We are SAMURAI
  7. 7. Perfume
  8. 8. Rebels
  9. 9. A million miles
  10. 10. Help! (Cover song)
  11. SE RAYJI is back in Tokyo
  12. 11. No one…remix version
  13. 12. NOT A SLAVE remix version
  14. 13. The Pact with FUMIYA version
  15. 14. Dance With Me
  16. 15. TATTOO remix version
  17. 16. YOU DO YOU remix version
  18. 17. The Universe 2024
  19. 18. FACE THE MUSIC remix version

Maton MY WAY J自伝 Sadowsky
Ryoga RS Guitar Works Furch
MONO Infinite
Martin Watch Novo Guitars Digimart
Kamaka Kukui Orange King Comp Charと呼ばれて