一緒に歩むことで、魂と、この身を揺らす景色をRAYJIが見せてくれるのは間違いない。

ベースを手に、アジア各国を駆けめぐるRAYJI。海外の人たちが今、日本から衝撃を持って乗り込んできたベース侍に熱い視線を注いでいる。日本よりも先に、海外でブレイク。いわゆる“逆輸入アーティスト”として、日本でも次第に注目を集めだしている。

8月10日、RAYJIがShibuya O-WESTでワンマン公演「RAYJI “会心の一撃” Shibuya O-WEST」を開催。当日の模様を、ここにお伝えしたい。

ベースとドラムというツイン・スタイル。そこへ同期を噛ます形で、RAYJIのライブは繰り広げられた。ライブは、弾む同期の音と躍動する生ドラムの音がクロスオーバーした上へ、RAYJIの唸るベースが絡み合う『I’m All Set』からスタート。触れた人たちの気持ちを騒がせる。いや、身体の内側から熱を沸き立てる唸るグルーヴロックを軸に据えたうえで、RAYJIはクールに歌を突きつける。歌いながらも、スラップしたベースのフレーズを次々と叩きつけるRAYJI 。熱情し、躍動する演奏の上で彼は、歌も心地好く跳ねさせていた。ロックのリズムで踊る歌とベース、それこそがRAYJIのスタイル。跳ねる、跳ねる、音が跳ねる。そのまま感覚も跳ねさせるどころか、ぶっ飛ばしてくれ!!

超絶スラップベースに絡む、ヘヴィでタイトなドラムのリズム。『Euclid Ave. 2022』でRAYJI は演奏の加速とエナジーをさらに上げ、観客たちの身体をグイクイ揺らし続ける。激しく駆ける演奏と歌声がシンクロ。ベースの音が唸りを上げるたびに、RAYJIも身体を反らし、野太い音をフロアの奥まで響かせていた。どの曲もそうだが、間奏では超絶テクニカルな速弾き演奏をぶち込み、音のみならず、視覚面でもRAYJIは刺激を与えていた。

止まることなく演奏は、『NOT A SLAVE』へ。この曲では、RAYJIのエモーショナルかつ抑揚を持った歌声を堪能。攻めるように歌いながらも、気持ちをつかむ声だからこそ、そこへ惹かれてゆく。RAYJIは歌声と演奏を巧みにシンクロさせて大きなうねりを作りあげ、熱いグルーヴで観客たちの理性を次々と奪い取っていった。RAYJIは曲を重ねるごとに、ベースと歌のマジックで。いや、その魔法を駆使して観客たちから現実を消し去り、身体を揺らし、拳を突き上げさせ、熱情した楽園の中へ観客たちを連れだしていった。

興奮を抑えきれず、フロア中から沸き立つ歓声。そこへRAYJIがぶち込んだのが、横ノリでエレクトロなダンスミュージックナンバー。彼はベースを背負い、マイクを片手に『Tell me the way to get to your heart』を歌唱。言葉の弾丸を次々と撃ち放ち、夢中にさせながら、大きな踊りの渦の中へ観客たちを引き込みだす。雄大かつ熱情したグルーヴの上で、マイクをガシッと握りしめたRAYJIが、フロアにいる人たちを自身の懐へグイグイ誘い込む。腰にズンッと響くスケール大きなダンスロックナンバーを通し、RAYJIはもっともっと身体をこっちヘ預けなよと誘いかけていた。後半には、重厚なドラムのリズムの上で野太い音を響かせるベースソロも披露。この曲では終始オラオラと煽るような歌で、自身の懐へ観客たちをグイグイ引き寄せていた。

重厚かつ奥深い音の唸りを上げる『Where’s Our Angel』でもRAYJIは、挑戦的な歌声をフロアにいる一人一人のハートへズンッと刺し続ける。低音の効いた唸る演奏と、挑発する歌声が楽曲の中でコンフュージョン。勇ましくてグルーヴィなロックサウンドという刺激的なパンチを、ゴツゴツと食らっているような気分だ。その痛心地好い音と歌に刺激を受け、身体がさらに大きく揺れていた。

次々と表情を変えてゆく音の刺激を持って、RAYJIは、触れた人たちを異空間へ誘いだす。スペイシーなSEを受け、RAYJIの「MAKE SOME NOISE」の声を合図に、演奏は『The Universe』へ。跳ねた、とても挑発的な楽曲だ。重低音のメロディメイカーと化したRAYJIが、唸る音の絨毯をフロア中に敷きつめる。その音の上へ、彼は強いメッセージを持った言葉を次々と撃ち放ち、観客たちの身体とハートを揺さぶり続けていた。曲が進むごとに、エモく熱情してゆくRAYJIの歌声も刺激的だ。

幻想的なSEに導かれる感情。次にRAYJIが目の前へと見せたのは、スケール大きなミドルメロウの『The hill where I can see the sun』。SEの流れから、どんな表情へと繋がるのか、その展開も毎曲ごとに気になる。この曲では、底の深い音の唸りと歌声を魅力に、RAYJIは目の前にいる人たちをどっぷりとした深くて暗い奈落の世界へ導いていった。荒れ果てた大地とガツガツとした岩肌が広がる景色の中、RAYJIのベースが、そこへ輝く暁のような光を降り注いでいた。

さぁ、ここからふたたび気持ちを熱く滾らせ、豪快に唸るヘヴィ&グルーヴなダンスロックに身を預け、一緒に躍ろうか。RAYJIは『Wake Me Up』を歌い奏で、ここから一緒に極上の跳ねたグルーヴの上で一緒に弾けようぜと誘いかけてきた。スペイシーでエレクトなダンスロックの上で、感情をエレクトさせるように、RAYJIは野太く刺激的な音をフロアにいる観客たちの感情の静脈へ次々と撃ち込み、高揚と恍惚の域へと観客たちを導いてゆく。ベースの音が雄叫びのような唸り声を上げるたびに、身体が躍動する。さぁ、躍れ、躍れ、理性ではなく、本能が示すままに身体を大きく揺らし続けろ!!

荒ぶる歌声をリードに、続く『GET READY』でもRAYJIは、図太い音の衝撃を持って、観客たちの感情を重厚で豪快な音で包み込む。いや、刺激的な音のエナジーを神経の隅々まで注ぎ込み、観客たちを心地好くトリップさせていった。

ダンスナンバーだから、もっと身体を動かしていいんだよ」。甘い誘いをかけるRAYJI。さぁ、ここからは後半戦だ。

その口火を切ったのが、RAYJIがずっと大切に歌い奏でてきた、こちらも重厚な音が身体の奥底までズクズクと染み渡る、ヘヴィに唸るダンスロックナンバーの『The Pact』。挑発するRAYJIの歌声。この曲で彼は弾き倒すよりも、エモく熱い歌声の風を野太いベース音の風に乗せてフロア中へ吹かせ、観客たちの身体に刺激を注いでいった。途中、ドラマーのソロ演奏も挟みつつ、野太い言葉の弾丸をRAYJIは次々と放ち、会場にいる人たちに、現実を忘れたグリッターな景色を見せていった。

ここからさらに激しく、ファンキーに唸りをあげるように、RAYJIは『No one…』をぶち噛ました。とても性急な、何より、ドラムとベースが楽曲の中でスリリングに絡みながら、トリップしたような刺激的なグルーヴを描きだす。その上で挑発するように、ときに声をしゃくりながら歌うRAYJI。エモい歌と、身体を跳ねさせる演奏。その不思議な心地好さへ、どっぷり浸り続けていたい。後半には、雄大な景観の中へ刺激的なリズムを打ちつける様も投影。ときに映画のように、ときに絵画のようにと、RAYJIは曲ごとに色々な音の技法で、観ている人たちに様々な音のヴィジョンを示していった。

映画の始まりのようなシンフォニックな音色から楽曲は、美しくも、どこかサイコでサイケな音の香りを振りまくバラードスタイルの『TATTOO』へ。とても甘く、優しい歌声だ。ベースを背中に背負ったRAYJIは、胸の奥から言葉のひと言ひと言を振り絞りながら、しっかりと歌いあげていった。物語の幕開けのようなSE音に心地よく溺れていたら、いきなり感動のクライマックスの場面を突きつけられ、その様に歓喜を覚え、感動の余韻に浸りながらエンドロールを味わっている。そんな気分だった。それくらいジンと胸に染み入る、触れた人のハートを涙色に染めあげ、瞼の上に小さな湖を作り上げる楽曲だ。まるでエンディング気分で歌に触れていたのは、それだけ歌や演奏がハートを揺さぶっていたからだ。魂を泣き震わせる歌い手と化したRAYJI。その歌声に心が…魂が浄化されてゆくような感覚さえ覚えていた。本当に、スケール大きな世界が目の前に広がっていた。

ここで、ゲストラッパーにSHAD ADを迎え、トリオ編成に。『FACE THE MUSIC』という歌のカンバスの上へSHADは様々な言葉の色を叩きつけ、刺激的な声の色を次々と記してゆく。そこへRAYJIもクールな音の色を差し加える。3人が、攻めた姿勢を持って、観客たちを極彩色の大きな唸りの中へ次々と巻き込んでゆく。互いに荒ぶる牙を剥きだしながらも、巧みに調和する。だから、熱情したグルーヴに刺激を受け、騒がずにはいられなかった。

感情を小刻みに奮い立てるように、RAYJIはエキサイティングでハードアタックな『YOU DO YOU』を突きつけ、ベースをブインブインに唸らせ、観客たちの頭に興奮や恍惚というトラップを仕掛けていった。超絶速弾きのスラップ演奏も組み込みながら、RAYJIは気持ちを熱く騒がせ、理性のストッパーを叩き壊す勢いで、マシンガンのように跳ねた音と歌の弾丸を突きつけていった。その刺激を受け、フロア中からも、腕が高く高く振り上がる。そして…

フロア中から飛び交う熱情した声・声・声。「人も変わっていけば、景色も変わっていく」。その言葉が、ソロプレイヤーとして5年間活動を続けてきたRAYJIの今の躍進ぶりを示していた。熱情した観客たちの気持ちへ応えるように、彼は最後に、「これからも一緒に歩いていきましょう。側にいてください」と言葉を述べた上で、『We Keep On Walking』を歌っていた。この曲ではベースを下ろし、一人の歌い手として、今の、そして、これからも歌い紡ぎたい思いを、心のひだを奮わせながら、気持ちが動くままに歌っていた。あえてベースを置き、歌い手へ徹したところに、どうしても思いを伝えたい彼の心模様が見えていた。RAYJIは口にしていた、「一緒に歩いていこうね」と。その先にどんな景色が待っているのか、どんな景色が視界に飛び込んでくるのかはまだわからない。ただ、一緒に歩むことで、また魂と、この身を揺らす景色を彼が見せてくれるのは間違いない。未来に期待と希望を抱かせるライブを、この日RAYJIはしっかりと見せてくれた。

TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.I’m All Set
  2. 2.Euclid Ave. 2022
  3. 3.NOT A SLAVE
  4. 4.Tell me the way to get to your heart
  5. 5.Where’s Our Angel
  6. 6.The Universe
  7. 7.The hill where I can see the sun
  8. 8.Wake Me Up
  9. 9.GET READY
  10. 10.The Pact
  11. 11.No one…
  12. 12.TATTOO
  13. 13.FACE THE MUSIC
  14. 14.YOU DO YOU
  15. 15.We Keep On Walking

RAYJI 使用楽器・機材紹介


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