RAYJI 使用楽器・機材紹介

Guardian Bass

―このベースのサウンド面での特徴や魅力、気に入っている部分やプレイアビリティについての感想をお聞かせ下さい。

RAYJI:僕のプレイスタイル的にハイフレットを多く使用するのですが、Guardianベースはハイフレットの音の伸びが素晴らしいです。また、Guardian社オリジナルのピックアップ自体に少しコンプレッサーがかかり音のまとまりもとても良く、歌いながらスラップする僕に相性がとてもいいです。サウンドはナチュラル寄りでどのジャンルでも奏者のスキルで対応可能。僕はFenderのカスタムショップのジャズベースをメインで使用していたのですが、Guardianと出逢ってからはGuardianがメインとなっています。

―使用している弦の種類も教えてください。

RAYJI:弦は普段はD’AddarioのEXL165TPなのですが、この日はDean Markley MEDIUM LIGHTを使用しました。僕はライブの度、弦を交換しているのですがスラップを多用する以上、弦が切れないように気を付ける面とスラップのブライト感を重視しています。

―特殊なチューニングを使用していると思いますが、チューニングについても是非聞かせてください。

RAYJI:僕のチューニングは基本形がDmオープンチューニングとなっています。スラム奏法をベースで行う際に不協和音が出ないようにすることから8年前に始めたのですが、今となってはこのチューニングでしか弾けないリフや、奏法も作ってこれたなと思います。
そこにカポを使用してEmオープンチューニングにしたり、Fmオープンチューニングにしたりしています。
僕はコード理論を本や動画、教材から学んだわけではなくて、ベースをそうやってチューニングをいじっていたらベースが教えてくれたんですけど、曲のキーがGメジャーの時は勿論Emオープンチューニングが役立つんですけど、Cメジャーの時も僕はEmオープンチューニングにしますし、色々弾きやすいようにしています。
というのも、僕って握力本当になくて(笑)
女子の平均より低いんですよ。これは昔怪我したのがきっかけで今も神経を圧迫してるからなんですけど。
そもそもベースを弾くのに握力は必要ないんですが、仮に左腕が動かなくなってもベースが弾けるようにっていう意味も込めて編み出したチューニングなんですよね。
誰かの真似をしてみたわけでもなく、聞いたりしたわけでもなく、自分で編み出したチューニングだから必要に応じて自在に好き勝手やっています。

RAYJI:歌いながらスラップをする中で、腕に力が入ったら歌も力んでしまう。
ベースを弾くとき最大限の脱力が求められた結果、左手は使わず、握力(筋肉)は使わずの奏法が身についたと思います。
動画の『No one…』では顕著にそれが見えると思います。

RAYJI:この曲、実はとても気持ち悪いんですが(笑)
ベースのグルーブと歌のグルーブ、違うんですよ。
ベースは前気味にガツガツ弾いた方がカッコいい曲。でも歌は少し後ろにあった方がかっこいい。同じグルーブじゃ駄目なんです。
勿論手元を見るなんて許されていないので、この曲では手元はほぼ見ていないです。

RAYJI:この動画の『YOU DO YOU』なんかもベース的には面白いかもしれません。
高速スラップしながらラップしているのですが、この曲は僕のチューニングでしか弾けないです。 是非見て頂けると嬉しいです。

―ここからはアンプやエフェクター等の機材についてお聞きしたいのですが、まずは音作りで気を使っている点やサウンドメイキングのこだわりをお聞かせ願えますか。

RAYJI:僕は正直なところ、僕の音楽においてはアンプは必要ないと思っています。それは生音のエアー感が僕の音楽の中だと浮いてしまうからです。
もっと言えば生のベースは僕の音楽には必要ない。そしてそれは世界的流行を軸に置けばもっと必要ない楽器だと思っています。
しかし、その現実を受け止め、目をそらさず、しっかりと見つめたうえで自分がどうするか、が一番大事だと思っています。

僕はベーシストである。

この言葉1つ、意味が変わってくる。

時代の変化の中で如何様に踊るか。僕のベースの音にはそれが詰まっていると思います。
積み上げてきたものも必要ないと思えば躊躇なく捨てることができる。グルーブを探求してきておきながら自分の音楽ではグルーブを最大限出ないように弾く。と思ったら、別の曲ではグルーブを最大限に出しに行く。

RAYJI:自分を貫いているように他者からは良く見られますが、実は逆で、曲が求めている音に自分を寄せるのが好きなんです。そこにベースがいらなければ、僕はベースを弾かず歌に徹したりもします。
曲に耳を澄ますと、自ずと自分がやるべき、弾くべき音が聞こえてくる。そこに自分の過去も意志もいらないんですよね。

同期音源を再生していたのはApple MacBook Pro。オーディオインターフェイスにはFocusrite Scarlett 8i6だ。

RAYJI:バックトラックも僕がアレンジからMIXまで自分でやっているのですが、実はライブ毎に編集し直しているんです。常に変化していく自分に合わせてバックトラックも進化させていっています。だから同じ曲でも、例えばアジアツアー行く前と後では全然違うんです。

これは自身もそうなんですが、物理的にアレンジからMIXまで再編集をしていて。
身体に感じた音圧、空気、全てをバックトラックでも体現している。

RAYJI:そして、それをどう出力するか、でも変わってきます。
PAさんに負担がかからないように、も考えます。
どこまで揃えて、どこまで分けてアウトするか。たったそれだけで外音は違うんですよね。
正直に言うと、欲を言えば今は4チャンネル(Ch)アウトですが6Chくらい欲しいです。

RAYJI:ただ、機材とは関係ない部分なのですが、アジアツアーを一緒に回ったこのオーディオインターフェースでWESTでも音を出したかったんですよ(笑)

機材が正常に動くことって当たり前じゃないんです。
少なくとも僕がこの夏駆け抜けたアジアでは、電圧、気温、湿気、直射日光、本当に沢山のトラブルと隣り合わせで、その中で一緒に結果を残してきたこの機械の塊にね、マジで感謝してるんですよ。
本当にありがとう、ちゃんと動いてくれてありがとうって何度も言ったんです。
海外でライブした時はいつも、ライブ前に声かけていましたから(笑)
だから木材だけじゃなくて、機械の塊のこいつらもアジアナンバー1、最強の音が出るんですよ。
と思っています(笑)

ペダルボードは ( 1 ) のループスイッチャーを使用したシステム。( 2 ) ~ ( 5 ) がLOOP1、( 6 ) ~ ( 8 ) がLOOP5に接続されている(LOOP2~4は不使用)。( 8 ) のディレイはステレオアウトが可能になっており、片方のアウトはギターアンプに接続されている。 ( 11 ) はボーカル用のエフェクターだ。

( 1 ) One Control Iguana Tail Loop2(ループスイッチャー)
( 2 ) nature sound 40000pre(プリアンプ)
( 3 ) EBS Multi Comp(コンプレッサー)
( 4 ) Darkglass Microtubes B7K Ultra(プリアンプ)
( 5 ) MXR M108S Ten Band EQ(イコライザー)
( 6 ) Electro-Harmonix nano POG(ポリフォニック・オクターブ)
( 7 ) Mooer Micro Preamp 002(プリアンプ)
( 8 ) tc electronic Flashback II Delay(ディレイ)
( 9 ) tc electronic Polytune 3(チューナー)
( 10 ) K.E.S KRP-001(リチウムイオンバッテリー内蔵充電式パワーサプライ)
( 11 ) TC Helicon Voicetone C1 Hardtune & Correction(ピッチ補正/HardTune/ジェンダー・エフェクト)

―このボードの中で特に核となっているエフェクターやお気に入りのエフェクターについて教えてください。また、そのモデルのサウンド面での特徴や魅力も教えて下さい。

・Electro-Harmonix / Nano POG Polyphonic Octave Generator

RAYJI:このPOGのオクターバーはとても気に入っていて頻繁に使っています。
POGには他にもモデルがあるのですが、僕の求める音はこのモデルでしか出せなかったんですよね。そもそもギター用みたいなところがあると思うんですけど(笑)

・MXR / M108S 10-Band Graphic-EQ

RAYJI:このエフェクターも大事で、通すだけで音がクリアになるといいますか。
かけっぱなしにしています。

・Darkglass Electronics Microtubes B7K Ultra

RAYJI:こちらダークグラスのプリアンプもかけっぱなしです。僕があまり歪んだ音が好きでない為、ディストーションは踏んでないのです。

ベースアンプがこちら。上に置かれた小さな緑色のヘッド Trace Elliot ELFが使用されていた。その下にあるAmpeg SVT-450はサブとしてスタンバイ。キャビネットはAmpeg SVT-810Eだ。

ダイレクトボックス(DI)はCountryman TYPE85が使用されていた。

アンプのイコライザーはベースとトレブルを上げたドンシャリ寄りのセッティングだ。

前述の通りギターアンプも同時に鳴らせるシステムになっており、使用されたアンプはMarshall DSL 100H。キャビネットはMarshall 1960Aだ。

RAYJI:ギターのようなぎゅぃぃぃぃぃぃん!っていう音を出す時にマーシャルを使用しています。あのギターにしか出せないズルいほどカッコいい音をベースでも出したくて。
超気持ちよくないですか?動画でも使っているので聞いて見て欲しいです。これがベースの音か?って。

―全体的な音作りでのこだわりやポイントなどもあれば教えて下さい。

RAYJI:僕はスラップを多用するのでハイ音域の音の立ち上がり方はとても大事にしています。持ち上げたブライト感でも、コンプで抑え込んだ音でもなく、本体から出る音を如何に伸ばせるか。
一番大事なのはライブの度に弦を交換することなのですが、次点でコンプをかけすぎない事。アコースティックベース/ギターのような生っぽさが好きなんですよね。
アンプを使わなくてもラインの音で完成されてるサウンド。
そしてライブでパフォーマンスしながらでも常にレコーディングクオリティで演奏する。
曲の作曲・アレンジもしているので、曲によってどんなベースサウンドが欲しいかも自分で分かっていて。そこら辺は手元の弾き方で出音を変えています。だからコンプがきついとニュアンスつけれないのでしんどいです(笑)
一番大事なのはカッコいい音か否かなんですけど(笑)
ただこのかっこいいって感覚も変わっていくので、次ライブするときに全然変わってるかもしれません。そのいい意味で機材に囚われず、過去に囚われず、今曲が求めている音を出していく。これが一番の拘りだなと思っています。


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