やっぱ俺バンドがやりたいのかも知れない

その時には、また別でやってたときにひなっち(日向秀和/Nothing’s Carved In Stone:Ba)とホリエ(アツシ)くんがもう友達だったんですよ。で、ひなっちはZAZEN BOYSとかで向井(秀徳)さんとかに鍛えられてて、結構尖ってたし、「俺やめるよ」って言ったときに「わかったわかった。それはしょうがない」みたいな。ただ、音楽やめるのはもったいないから、たまたま仲間でレーベルのディレクターがいるから、そこでドラム叩いたらいいみたいなので、スタジオミュージシャンになったんですよ。つばさレコーズっていう川嶋あいさんとかが所属してる事務所で、バンドもいたんですよね。そのバンドの、レーベルの箱ドラマーみたいなのになって。1年間あいのり系の音楽のバックバンドとかライブサポートをして過ごしてました。

そのときに、僕はそれまで音楽シーンてバンドだけが音楽の世界だと思ってたんですけど、スタジオミュージシャンもいるってことを考えたら急にライバルが2倍になったんですよ(笑)。

これはとんでもない世界だし、年齢関係なく、「スタジオミュージシャンになりました」って言った時点から青山純さんとかがライバルと言うか、謂わば目の上のたんこぶになってくるわけですよ。これは本当に努力しなきゃ駄目だと思って。前の日とかに音源が送られてくるんで、徹夜で譜面起こして次の日にレコーディングに行ってとか、そういうのをやってたんですよ。そういうのも楽しくなって音楽に対する耳も肥えてきたときに、スタジオミュージシャンもすごい楽しかったんですけど、やっぱり自分の音楽では無いんですよ。

「やっぱ俺バンドがやりたいのかも知れない」と思いました。スタジオミュージシャン的な悩みですよね。僕のところに来る他のミュージシャンとかでも、「サポートしてると自分の個性が出せなくて」みたいなのがあるんですけど。

だから、俺はバンドがやりたいのかもと思ってたら、ひなっちから「大好きなギタリストがいて、セッションするからオニィおいでよ」って言われて。「あぁわかった、じゃあ行くね」って言って、「ギタリストの名前なんていうの?」って聞いたら「ウブ(生形真一/Nothing’s Carved In Stone:Gt)っていうんだけど」って。「俺ウブ知らないけど音出せばわかるから」って、そのときはセッション慣れしてたんで、セッションが怖くなかったんですよね。音出せばどんなプレイヤーかもわかるって言って。

で、当日行って、ウブはすごく控えめに見えて。その時セッションの経験はそんなに無いからテーマに沿ってやりたいって言ってデモを持ってきたんですよ。ちょっと取り組んでやってみようって言って、その日取り組んだのが『Isolation』なんですよ。

俺はこの先一緒にやる可能性なんかわかんなかったけど、でも生形はかっこよかった。なんか控えめだけど、「出来ないよ」って言うわりには「こういうのはどう?」って言ったらすごい弾くんですよ。で、ジミヘンとかめちゃくちゃ詳しくて。俺ジミヘン好きだったから、お、すげーと思って。で、そっから、「俺失礼だった、ELLEGARDENを知らなかった」と思って。その夜ELLEGARDENを聴いたら、歌もそうですけどギターが音楽の中の割とほとんどを占めてて。すっげーかっこいい!と思って。これは言ってないですけど、一晩中ELLEGARDEN聴きましたよ(笑) この曲好きだな、この曲好きだなって(笑)

―全部名曲ですもんね。

そうですね(笑) で、ウブの存在もすごかったし、細美くんの歌とか歌詞とかもすごくて。かっこいいなーと思って。『Missing』かっこいいなーと思って。で、一緒にやろうよって言ってくれて、それがナッシングスに変化していったので、俺はバンド出来てよかったなっていうか。バンドが出来たときにひなっちが「ツアーに行こうよ」って言ってくれたんですよ。それがなんかね、グッとくる、グッと動くきっかけになったと思います。

―ボーカルが決まる前に3人でバンドをやるって決めたってことですか?

もうやるって。バンドをやるってウブとひなっちから聞いて、「俺またバンドできるー!」って(笑)

―それはグッときますね。そこで大喜多さんの人生が大きく動き出したというか。

そうですね。だからキャリアで言ったら僕はすごい遅咲きだと思います。

―でも、今までのこと全部がそこで動くための布石だったんですね。

どうなんでしょうね。いろんな経験をさせてもらったから今があると思いたいですけど、よく考えると自分が定まってなかったのかなって部分にも見えてきて。

3年ぐらい前の話になるんですけど、武道館をやる前は多分本物しか武道館には立てないだろうって思ってたのに、俺はまだなんか憧れてる人を超えてないような気がするみたいなのもあって。色々積み重ねていくときに、練習はしてましたけど、器用だったんで割とそんなに、練習量としては少ない中でも叩けたと思うんですよね。だから超えられないんだみたいにも思ったので、もっとこだわりを持ってやってたら僕の音楽人生も違ったものになったのかなと思うんですけど。今は、いろんな過程を経てひとつのものに繋がったと思えたらいいですけどね。

武道館のときに初めて、粗が見当たらなかった

―今も話に出ましたけど、武道館。これもターニングポイントのひとつになるのかなと思うんですけど、どういう気持ちでしたか?目標だったときとやった後の心境の変化とか。

自分のプレイのチェックとかバンドの中においてライブでどんなふうに聞こえるかっていうのはカメラの映像をもらったりとかして毎回ライブの度にチェックしてたんですよ。武道館のときに初めて、トータル2時間以上のセットで粗が見当たらなかったんですよね。なんかすごい自信が持てたと言うか。本当に叩きたかったリズムっていうのはこういうタイム感だって思ったんですよ。テクニックの練習はやればできるんですけど、本当のタイム感っていうのはプレイヤーの核の部分じゃないですか。だから、そこを手に入れられたっていう自信があるんで、それ以降は僕が憧れてたレジェンドたちと同じところに立ててるっていう風に思えてます。

ちょっと早くなった、ちょっと後ろになった、じゃなくて。バンドがドーンと演奏し始めたら、その一定のエネルギーを出し続けられるみたいな。それゆえに、バンドが大きく見えるんですよね。若いときって、勢いだけで行っていろんなものを追い越しちゃったりとかモタったりとかあるじゃないですか。そういうのがなくなったんで、もの凄い自信がつきました。

Photo by Takahiro Takinami

―そこに至るまでの過程の曲が今回セルフカバーのアルバムとしてリリースされるじゃないですか。これは全部新たに録り直したんですよね?

全部録り直しました。

―そこが今作の最大の魅力なんだと思うんですけど、今仰った武道館を経た後に録った音源なんですよね。

どういう感じかと言ったら、俺たちが今ライブでやってる楽曲はこれぐらいの勢いとかパワーを込めてやってるっていうのがわかりやすく入ってると思うんですよ。過去のアルバムっていうのは、当時の限界に挑戦してるんで、よく見るとすごく突っ込んでる部分とかもめちゃくちゃ多くて。誰もが俺が俺がっていうとこがクリックよりも突っ込んでて(笑)、結果なんかうまくドライブはしてるんですけど、今回はそこが本当に、バラでは録ってるけど、普段のライブはこれぐらいの勢いでやってるっていうのが録り直せましたね。

―今回のこのセルフカバーアルバム『Futures』はライブ寄りですよね。以前の音源よりもライブっぽさを感じました。

そうですね、ただ、ライブっぽいんですけど、全体のプレイがいいんで、力強く鋭いですよね。カリッカリなピーキーな感じなのが過去のアルバムだとしたら、これは強さとか包容力とかそういうのがさらに増したと思うんで、もし時間があるんだったら、すべての人に聴き比べして欲しいですね(笑)。

― 一曲づつ。

そうそう(笑) 前の曲、今回の曲みたいな。

―何が増えて何が無くなった、とかそういう感じじゃないですもんね。聴いていて深みが分かる気がします。

聴いてくれてる人の何を納得させるかっていう部分で、思い入れのある曲って変えづらいし、自分が好きな曲がガラッと変わっちゃったら嫌って思うかも知れない。嫌に思わせないためにも、ライブでやってるアレンジ以外は変えませんってなったときに、もう“音”しかないんですよね。音の人に及ぼす影響って結構大きいと思うんで。どんな形でもいいからいい音だとその時思えるものをレコーディングで録ろうという。

―特に今回大喜多さんが気にされた音の部分てあるんですか?具体的に何を変えたとか、何にこだわったとか。

多分変わったって思いやすいのはスネアのピッチですね。スネアのピッチが過去のアルバムに比べると低いんです。その狙いがボーカルの帯域を空けたかったんです。僕は割とパキーンと鳴らしたいんで、固い音で、音がレガートのように伸びるのが僕の好きなスネアサウンドなんですけど、それって途切れさせないためにある帯域をずーっと鳴らしてるんですよね。そこが結構歌の帯域に近くて。だから歌を加工せざるを得ないっていうのが過去のナッシングスにはあったんですけど、ピッチを下げたことで、歌と、ギターのクランチとかクリーントーンのところにゴソッと空けられるんですよ。だから、一瞬聴いた感じで歌が出たねって思う人は多いと思うんですけど。

―生々しさも出た感じはしました。

ありがとうございます。そうなんですよ。でもその帯域を切ったからと言って全体がしょぼくなってしまうかと言ったらそうではなかったんですね。それはエンジニアさんが変わったのもあるし、新しいスタジオで録ったっていうのもあるんで、そういうことも影響してるとは思います。

―選曲はどういう風に行われたんですか?

これ、今回新曲が2曲あるじゃないですか。2曲を入れて、半分以上はライブでやる曲をやりたいなって思ったので、定番曲は半分以上は入ってる感じです。

それを選んでから、後半はやっぱり勢いっていうかアップテンポに寄った選曲になったので、全体のバランスを見て今やったら結構劇的に変わるんじゃないかなっていう曲を選んだつもりではいるんですけど。

―では、最後に、今回特にこのアルバムを作るにあたっての決意や、ナッシングスとしての流れ、そして大喜多さんの伝えておきたいことがあればお願いします。

実は、コロナが無かったらツアーをやってたはずなんですよね。だからこのアルバムは作ろうとは思ってたけど、活動自粛になったんで、前倒しで作ろうと。でも、ベスト盤てただ焼いて入れてもらうだけだと納得できるものにはならないから、それだったらセルフカバーという冠を付けて、もう一回録り直そうと。で、抜群に音がいいものにしないと多分きっと既存のファンの人たちは納得してくれないと思うので。まず、全曲前のテイクを超えていこうというのが一番の目標でした。

過去の曲ってリズムレコーディングしたときには歌とかギターの完成形を知らない状態で作ってるので、歌が出来たら、僕は僕で感動するんですよね。でも、歌詞がついたものに対してプレイとかタイム感をそこに当てはめるのはやっぱりライブなりツアーをやった後じゃないとできないことなので、今回の『Futures』がライブっぽくなってるっていうのは、そこが当たり前なんですよね。もうツアーでやってる曲を、歌を知ってるっていう部分があってドラムを叩いているので。歌とか、ギターとかベースを活かすプレイをしてるので、そこが多分過去曲との進化の違いだと思うので、それを聴いてもらえるといいんじゃないかなと思います。

―ありがとうございます。これで改めて聴くのがさらに楽しみになりました。聴き比べもしたいと思います。

時間があったら是非(笑)

インタビュー:小野寺将也

Photo by 橋本塁(SOUND SHOOTER)

Nothing’s Carved In Stone

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Live at 野音 2021 開催決定!

2年ぶりとなる野音公演の開催が決定!

“Live at 野音 2021”
9/19(日)日比谷野外大音楽堂
OPEN 16:30 / START 17:30

詳細はNothing's Carved In Stoneオフィシャルサイトをご覧ください。
https://www.ncis.jp/


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