Photo:RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)

春は始まりの季節であると同時に別れの季節でもある。まさか数時間前にはこの日のライヴが彼らとのしばしの別れになることになるなんて誰もが思っていなかったことだろう。このコロナ禍においてもコンスタントにライヴ活動を続けながら、昨年にはBillboard Live TOKYOにてアコースティック編成でのライヴをするなど新たな表現方法を見出してきたNothing’s Carved In Stone(以下、NCIS)が東阪ワンマンライヴ<Bring the Future>を開催した。本稿では4月20日に東京・LINE CUBE SHIBUYAにて開催されたNCISにとって初のホールワンマンでもあった東京公演の模様をレポートする。

このコロナ禍以降、座席ありの公演には慣れたものの、いつも彼らを見慣れているライヴハウスに比べると何倍も天井が高く厳かな雰囲気のLINE  CUBE SHIBUYAのステージでNCISがどんなライヴを見せてくれるのか胸を躍らせながら開演を待ちわびる。

生形真一(Gt)。プレイするのは自身のシグネチャーモデル、Gibson Shinichi Ubukata ES-355 #001。
Photo:RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)

定刻、暗転するステージに青い光が明滅する中ゆっくりと登場するメンバーを大きな拍手でフロアが迎え入れた。やはり高い天井の反響もあってか一際拍手が大きく聞こえる。SE『Material Echo』の音が止んだその一瞬の静寂をかき消したのは生形真一(Gt)の愁いを帯びたアルペジオだった。村松拓(Vo/Gt)の声を合図に『Mythology』でライヴの幕を切って落とした彼らは早速重たいビートで会場を揺らし、ハンドマイクの村松は凄まじい迫力でヘッドバンギングを見せる。今思い返せばこの時点で明らかに気合の入り方が違ったことに気づく。つづく『In Future』でもNCISらしい凄まじい音圧で会場を支配すると、『Deeper,Deeper』ではハンズクラップを巻き起こしたオーディエンスを日向秀和(Ba)と大喜多崇規(Dr)の鉄壁のリズム隊が繰り出す強靭なユニゾンが音の塊となってフロアめがけて飛んでいく。

日向秀和(Ba)。Lakland SL44-64/R Hinatchをピックでプレイ。
Photo:RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)

彼らがステージでやることはライヴハウスでもホールでもさして変わらないようだ。上昇し続ける会場のボルテージをクールダウンさせるかのごとく村松の歌声が響いた『Falling Pieces』、軽快なビートに日向のスラップが絶妙なアンサンブルを奏でた『PUPA』を経て『No Turning Back』へ。そして、大喜多のドラムにあわせて手拍子をするオーディエンスに向けて村松が「よく来たね、渋谷!会いたかったよ!!」と声をかけると愛すべきファンに向けて「みんなの名前を呼ぶつもりで歌います」と『きらめきの花』をプレイ。村松の「届いてるよ」の一声は、声が出せなくとも音とその手拍子でしっかりと心が通じ、コールアンドレスポンスになるのだと感じる一幕だった。

Photo:RYOTARO KAWASHIMA

(アコースティックセットで)やっちゃいますけど、いいですか?」と村松が笑顔を見せると、昨年11月にBillboard Live TOKYOで手ごたえを掴んだ新しい表現方法でもあるアコースティックセットでの楽曲を披露。『Isolation』や『Midnight Train』はグルーヴィに、『Shimmer Song』や『Beautiful Life』では我々の心に寄り添うような優しい歌声を届けてくれた。これまでのNCISらしいヘヴィな音像とは違った新しい彼らの魅力をじっくりと堪能することができたなんとも贅沢なひと時であった。

大喜多崇規(Dr)。Photo:RYOTARO KAWASHIMA

まだまだこの先にみんなを連れていきたい。新曲やります!」と演奏されたのはつい先日リリースされたばかりの『Fuel』。トーチに灯がともり、日向と生形の深く歪んだリフの応酬が内臓まで揺らすほどのヘヴィさをもって我々を襲う。ステージを幻想的に青く染め、色とりどりのレーザーが空間を切り裂いた『Mirror Ocean』、NCISのNCISたる所以を見せつけるようにメンバー各々の個性を衝突させた『Milestone』を立て続けに演奏し、再びステージにヘヴィロックの熱量が宿ると、思わず村松もオフマイクで「最高!」と叫び感情を剥き出しにした。

村松拓(Vo&Gu)。ギターはGibson Custom Shop Historic Collection‘58 Les Paul Reissue
Photo:RYOTARO KAWASHIMA

残すところはラストブロックのみ。会場に充満したエネルギーをさらに高めるように「いけるところまでみんなの気持ちを引き上げて、最高の演奏をして、ひとつになって帰りましょう。行けますか、渋谷!」と吼えると『Spirit Inspiration』へとなだれ込む。間髪入れずに『Out of Control』のイントロが響くとオーディエンスも臨戦態勢だ。お決まりの「今夜だけは最高の夜にしようぜ。踊れ!」の声を合図にLINE CUBE SHIBUYAは一気にダンスフロアと化し、日向と大喜多も笑顔で拳を合わせる。ここからも勢いをそのままに『Scarred Soul』『Bloom in the Rain』をお見舞いし、極めつけはデジタリックなシーケンスが爆音で鳴り響く『Impermanence』だ。フロアの熱も最高潮でこのままラスト一曲というところで村松がおもむろに口を開いた。

それはNCISはこの日のライヴをもって充電期間に入るというもの。理由としては生形がELLEGARDENの活動に専念したいとのことで、メンバーがそれを受け入れ送り出した形となる。Nothing’s Carved In StoneというバンドはELLEGARDENの活動休止を経て生まれたバンドであるし、村松はそれまでELLEGARDENの背中を追いかけながらバンド活動をしてきたことを踏まえると、彼の口から語られた言葉にはELLEGARDENへのリスペクトと、これまでNothing’s Carved In Stoneの活動を止めることなく続けてきたことへの矜持が感じることができた。さらに、村松は素直にELLEGARDENが復活することへの嬉しさと、同時にNCISの活動に影響が出る悔しさがあると語りながらも、この出来事はチャンスだとも口にし、残された三人は心の芯にある音楽に対する向き合い方を高め、素晴らしい力を得てステージに帰ってくるであろう生形を迎え、来年迎える15周年を「それはそれは素敵で、それはそれは最高な15周年を迎えたいと思っています」と結んだ。そして、その決意は<答えはひとつ そう 今を生きる 前を向いて>と本編ラストに歌われた『Walk』にも現れていたように思う。言葉でも音楽でもその想いを伝えるその姿勢は、彼らなりの最大限の誠意だと思ったし、それをしっかりと受け止めたオーディエンスから大きな拍手が送られ、メンバーは深々と一礼しステージアウトした。

Photo:RYOTARO KAWASHIMA

肩の荷が下りたように晴れやかな表情でステージに舞い戻ったNCISの四人はアンコールとして軽快に『Sands of Time』をプレイすると、発表を受け止めてくれたオーディエンスに感謝を述べ、さらに「何か言い残したことはないかい?メンバー諸君」と村松が問うと、会場中の視線がステージ上手に集まり、ついに生形が口を開いた。

――ナッシングスをずっと続けてきて、俺はもちろんメンバー全員にとってもこのバンドはライフワーク。だから、ちょっとだけ俺のわがままを聞いてもらいました。たぶん、そんなに遠くない未来に帰ってこれると思うので、楽しみはその時まで取っておいてください

あの場にいたすべての人が聞きたいと思っていた生形本人の言葉。それを引き出した村松は「言わせちゃったよ。渋谷の力ですね」とはにかんだが、彼のファインプレーがなければ誰もがポジティブな気持ちで生形を送り出すことはできなかったかもしれない。そして、「みなさんそれまで必ず会えるように、お元気で」と言葉を残しオーディエンスを鼓舞するようなメッセージが込められた『村雨の中で』をラストナンバーとしてステージを後にした。 <僕らにとって自由とはなんだ 答えの無い明日に書き込んで まだ見えない苦悩のホライズン 引き寄せろ 光れ 強く>とは『村雨の中で』の歌詞の一節だが、未来とは自らの手で引き寄せるものだと彼ら自身が歌っているのだ。帰るべき場所があるということ。守るべき場所があるということ。想いを馳せるまだ見ぬ未来があるということ。それがこの日のタイトルである<Bring the Future>、すなわち“未来へ繋ぐ”ことにも通ずるのではないか。そんなことを訴えるかのように、終演後再びステージに姿をあらわしたバックドロップがより一層Nothing’s Carved In Stoneという名前を誇らしく示しているように見えた。

取材・文:オザキケイト
Photo:RYOTARO KAWASHIMA、RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)

《SET LIST》
  1. SE. Material Echo
  2. 01. Mythology
  3. 02. In Future
  4. 03. Deeper,Deeper
  5. 04. Falling Pieces
  6. 05. PUPA
  7. 06. No Turning Back
  8. 07. きらめきの花
  9. 08. Isolation(Acoustic)
  10. 09. Midnight Train(Acoustic)
  11. 10. Shimmer Song(Acoustic)
  12. 11. Beautiful Life(Acoustic)
  13. 12. Fuel
  14. 13. Mirror Ocean
  15. 14. Milestone
  16. 15. Spirit Inspiration
  17. 16. Out of Control
  18. 17. Scarred Soul
  19. 18. Bloom in the Rain
  20. 19. Impermanence
  21. 20. Walk
  22. (ENCORE)
  23. 21. Sands of Time
  24. 22. 村雨の中で

村松拓(Vocal/Guitar) 使用楽器・機材紹介

Nothing’s Carved In Stone

Digital Single『Fuel』Now On Sale!!

Digital Single『Fuel』
2022.3.30 on sale

▼DL&Streaming
https://ssm.lnk.to/Fuel

11th Album『ANSWER』Now On Sale!!

11th Album『ANSWER』
Label:Silver Sun Records
【初回限定盤】CD+DVD DDCZ-9071(SSRA-2007)/ 3,500円(税別)
【通常盤】CD DDCZ-9072(SSRA-2008)/ 2,800円(税別)

<CD>
01.Deeper,Deeper
02.Recall
03.Flame
04.No Turning Back
05.Beautiful Life
06.Walk
07.Impermanence
08.Wonderer
09.We’re Still Dreaming
10.Bloom in the Rain

<DVD>「Studio Live "Futures"」全17曲収録 ※初回限定盤のみ

▼DL&Streaming
https://ssm.lnk.to/ANSWER


naga guitars MONO Cases
Black Smoker Heritage DoraKitty
S7Gaoi AT Now For Ever Orange 穴見慎吾
つば九郎ウクレレ The Realist RV5PeA SGZ Laramidia
Orange Hinatch Sheelan Martin Style41 SGZ
G7th Capo DIXON
LUNASTONE MU-TRON Dean MYK