LOVEBITESのギタリストのMiyakoが、3回目となるピアノリサイタルを自身の誕生日に開催。前回までのTOKYO FM HALLから、今回は東京オペラシティ リサイタルホールへと舞台を移し、ますます意欲的な姿勢が窺えた2部構成のパフォーマンスより、昼公演の模様をレポートする。

ソールドアウトで観客がいっぱいのホールに、春っぽいピンクのドレスを纏ったMiyakoが登場。まずは、LOVEBITESのライブで開演を告げるBGMとしておなじみのジューダス・プリーストの『ダイヤモンズ・アンド・ラスト』(オリジナルはジョーン・バエズ)、ソロデビューEP『Etude Op.23(覚醒のエチュード)』に収録されたハロウィンの『イーグル・フライ・フリー』を颯爽とプレイ。ヘヴィメタル曲の美しいメロディは屈強なサウンドの陰に隠れがちだが、滑らかな運指と独自のクラシックアレンジによって、それをしっかりと浮き立たせるアプローチが早くも心地よい。

ここ数年、4月5日の頃はもう葉桜になっちゃっていたんですけど、ちょっと前まで寒かったりして、桜が待ってくれた感じなのかな。今日はめちゃくちゃ満開じゃないですか? なので、柄にもなく桜色のドレスを着てみました」と、誕生日を報告しつつ嬉しそうなMiyako。

https://twitter.com/miyako_0405/status/1908319084267381009

2026年3月に決定しているLOVEBITES初の日本武道館公演も「満開の桜の下でやれたら……!」と期待を膨らませたほか、バンドでライブを行なう際のピアノソロセクションを緊張しないようにしたい、そのためにメンタルを鍛えたいという、本リサイタルを始めた目的についても、自らを律するかの如く改めて言及。少しずつ成果が出ていて「いつもよりは落ち着いてできてるかな」と話す彼女は、著しい進化の真っ最中にあるのだと思う。

続いては、Miyakoが「人生でいちばん聴いているバンド」だというクイーンのメドレー。言わずと知れた名曲『手をとりあって』『ショウ・マスト・ゴー・オン』『ウィ・ウィル・ロック・ユー』『ボーン・トゥ・ラヴ・ユー』と、ポップス方面からのチョイスでも楽しませ、より華やかなグランドピアノの音色がホール内に鳴り響く。

そして、本公演のメインディッシュとなったのは、ベートーヴェン ピアノソナタ第14番『月光』第1〜3楽章。作曲家であるにもかかわらず20代後半に耳の病を患ってしまった“楽聖”が「どういう気持ちで書いたのか、想いを馳せながら聴いてください」と前置きし、15分強に及ぶフルバージョンを、Miyakoなりの解釈のもと、しっとりとメランコリックに、明るく朗らかに、激しくアグレッシブに、さまざまなタッチで弾き分け、そのままベートーヴェンのピアノソナタ『悲愴』をモチーフにしたLOVEBITESの『Dystopia Symphony』に繋げる流れは絶品だった。

来場者たちを没入させたあとは、LOVEBITESのツアー中に自動車教習所へ通っていた話、AMP UPのオーナーで友人のITSUKA氏とのドライブをきっかけに申し込みを決断した話、免許を取るまでにかなり時間がかかることを知って驚いた話など、誕生日らしいくだけた雰囲気の近況トークも。

終盤では、さらなるサプライズを用意。LOVEBITESでの楽曲制作協力でも知られるコンポーザー兼アレンジャーのMaoをゲストに迎え、Miyakoが人生初の挑戦だという2台4手によるスペシャルなピアノ演奏で、LOVEBITESの『We The United』をドラマティックに届けてくれた。互いの繰り出すフレーズ、それらが重なって映えるハモリなど、素晴らしいコンビネーションの中、ファンファーレのように快活なメロディが場内を優しく包み込む。

なんか見慣れへんわ。スーツでちゃんとしたMaoくんは(笑)」「いえいえ、お誕生日おめでとうございます」「2台ピアノって、私は初めてやったんやけど」「僕は音大のときに、2台を4人で弾く曲をやったことがあって」「2台のアレンジは経験がないので、曲の意図をいちばんわかっている作曲者のMaoくんに頼もうと思って」「Miyakoに任せると、超絶ムズい楽譜になりそうだったしね(笑)」「本当にありがとうございます。これからもいい曲を書き続けていきましょう!」「(客席に向かって)みなさんもよろしくお願いいたします!

会話のテンポも息ぴったりで微笑ましい。ラストは、再びLOVEBITESのナンバーから『Glory To The World』をデュオ編成で豪華に披露。壮大なアンサンブルをダイナミックかつ繊細に表現し、文字通りの輝きあふれる瞬間を生み出したMiyakoとMaoに、オーディエンスがスタンディングオベーションで応え、第3回ピアノリサイタルの昼公演は賑々しく幕を下ろした。

取材・文:田山雄士
Photo:Ryutaro Saito

《SET LIST》
  1. 1.DIAMONDS AND RUST(JOAN BAEZ)
  2. 2.EAGLE FLY FREE(HELLOWEEN)
  3. 3.QUEEN MEDLEY:TEO TORIATTE(LET US CLING TOGETHER)〜THE SHOW MUST GO ON〜WE WILL ROCK YOU〜I WAS BORN TO LOVE YOU
  4. 4.MOONLIGHT SONATA(1ST〜3RD MOVEMENT)(LUDWIG VAN BEETHOVEN)
  5. 5.DYSTOPIA SYMPHONY(LOVEBITES)
  6. 6.WE THE UNITED(LOVEBITES)
  7. 7.GLORY TO THE WORLD(LOVEBITES)

Miyako 初ソロEP『ETUDE OP.23』好評発売中!

ヘヴィ・メタル界の日本代表、LOVEBITES。そのギタリストのMiyakoが、幼少期より自身が培ってきたピアノでハード・ロック/ヘヴィ・メタルの超名曲をクラシックに華麗にアレンジし、カヴァーした6曲入りの初ソロEP。付属DVDには、HELLOWEENの「Eagle Fly Free」と、LOVEBITES「Addicted」のセルフ・ピアノカヴァーのミュージックビデオのほか撮影時のオフ映像を収録。

タイトル: ETUDE OP.23 / 覚醒のエチュード
発売日:2023年6月21日(水)
形態:CD+DVD (NZS-925 税込¥3,960) 
VICTOR ONLINE STORE限定商品:
https://victor-store.jp/item/36956

LOVEBITES

LOVEBITES LIVE AT BUDOKAN開催決定!

日程:2026年3月29日(日)
開場 16:00 / 開演 17:00
会場:東京・日本武道館
チケット:一般チケット 9,500円(税込)、ユースチケット 3,900円(税込)

最新ライブ作品『NO MORE TRAGEDY』Now On Sale!!

2024年9月1日に開催されたバンド史上最大規模の会場である東京ガーデンシアターで行なった、ワールドツアー「THE THIN LINE BETWEEN LOVE AND HATE」における唯一の日本公演の模様を収めたライブ作品がBlu-ray、DVD、CDで発売。
Blu-rayとDVDには、6月から7月にかけてのイギリス、ベルギー、ドイツ、イタリア、スペイン、フランス、デンマーク、8月の韓国、そして9月の日本とアメリカ、そのワールドツアーのドキュメンタリー映像を約1時間20分にもわたり収録し、それに対してメンバー自身が思い出を語るコメンタリーも副音声で収録。さらに、東京ガーデンシアター公演当日にファンの皆さまによって撮影され、後日バンド側に提供してくださった動画ファイルを使用して制作された「Soldier Stands Solitarily」のファンカム・ミュージックビデオもボーナスとして収められています。

商品詳細
Blu-ray: ¥7,700 / VIXL-477
2DVD: ¥7,700 / VIBL-1172~1173
2CD: ¥4,000 / VICL-66046~66047


ESP E-II Horizon Infinite MOGAMI
山野楽器Ginza Guitar Garden Digimart LOVEBITES
Ryoga Snare Weight DRUMSHOW
Dean Martin Ukulele Cannonball
Hofner Orange Valve Tester MkII Heritage
Orange Glenn Hughes MONO