オープニングアクトの興奮も冷めやらぬ間にいよいよ本編がスタート。ステージにRoseliaのメンバーが登場すると、客席のいたるところから熱い声援が送られる。「彩り」がテーマとなっている本公演は、「モノクロ」を連想させるRoseliaの代表曲『BLACK SHOUT』で幕を上げた。前日の疲れをまったく感じさせない笑顔とパワーのあふれる演奏に、負けじと観客の掛け声もどんどん熱量を増していった。

Gt.氷川 紗夜(CAST:工藤 晴香)
おなじみESP M-II SAYO II、8月に開催された「Animelo Summer Live (アニサマ)2023 -AXEL-」から使い始めたというFISHMAN Fluence Modern Humbucker搭載機をほぼ全編にわたって使用。ハイゲインでも芯がしっかりとしており非常に音の抜けが良い、分厚いサウンドと独特の倍音が特徴だ。『THRONE OF ROSE』や『ROZEN HORIZON』前の導入ではトレモロブリッジ(ESP製FLICKER-III)搭載機で激しいアーミングやタッピング、キルスイッチを駆使した非常にアグレッシブなプレイで観客を魅了した。

1曲目の演奏が終わると、Gt.氷川紗夜(CAST:工藤晴香)がステージのセンターに立ち、ギターソロのパフォーマンスを披露した。空間系・ピッチ系エフェクターやギターに増設したキルスイッチを多用しながら大胆なアーミングや高速タッピングを繰り出し、まるでステージが宇宙空間につながったのではないかと錯覚するほどの幻想的なサウンドを奏でていく。その可憐な姿とトリッキーなプレイのギャップに、会場の全員が釘付けとなっていた。

次に、ライブのトリを飾ることも多いドラマティックなナンバー『ROZEN HORIZON』が早々に演奏され、3曲目にはDAY2のみの日替わり曲として『ONENESS』が続いた。この曲は合いの手のパートがふんだんに用意されており、声出しライブの楽しさや熱量を十二分に思い出させてくれる1曲となっていた。

Dr.宇田川 あこ(CAST:櫻川 めぐ)
dwCollector’s Series Pure Maple “SSC”のキットをもとに、シグネイチャーシンバルPAiSTe 900 SP10 ROSELIAや、スネアドラムdw CL1455SD / Roselia-Akoを組み合わせた安定のセッティング。Roseliaは基本的にBPMの速い曲が多いが、今回初披露の新曲はドラムの疾走感、手数の多さ、テクニックが一層際立っていた。またスティックは昨年秋に発表されたAfterglow宇田川巴とRoselia宇田川あこの姉妹ダブルネーム入りのLERNI製スティックだ。

衣装やグッズに関するMCを挟み、再びライブパートへ。曲が始まる前にBa.今井リサ(CAST:中島由貴)による華麗なソロプレイが披露されたかと思えば、それに呼応するようにDr.宇田川あこ(CAST:櫻川めぐ)が混じり、リズム隊二人のセッションに発展。さらにそこから流れるように『R』のイントロへと繋がり、客席からはわっと大きな歓声が沸き起こった。こういったライブならではのパフォーマンスが増えていくのもファンにとっては嬉しいところだろう。続く『ZEAL of proud』もハイトーンかつテクニカルな楽曲だが、メンバー全員が笑顔でこなしているのがとても印象的だった。ライブを重ねるたびに成長を続けていくのがRoseliaの大きな魅力の一つだ。

幕間映像では、前日に引き続きキャストが夏休みの旅行を楽しむ様子が映される。演奏中の姿とのギャップに、思わず笑いがこぼれてしまうシーンも多い。そしてライブの後半戦がスタートすると、ステージにはVo.湊 友希那(CAST:相羽あいな)とKey.白金燐子(CAST:志崎樺音)の二人が登場。ピアノ伴奏によるバラードアレンジの『FIRE BIRD』が披露された。2番からは残りの楽器隊も演奏に参加していくのだが、ここでなんとギターとベースがトロッコに乗って客席をぐるりと巡回し始める演出が! 最前列並みの距離感で演奏を見ることができるサプライズに、観客席からは驚きと喜びの声が上がっていた。さらにラスサビ後にはコール&レスポンスが追加され、これまでとは一味違った視点で楽しむことのできる曲に仕上がっていた。

続いて演奏されたのは今回のライブで初披露となった『一逢のFull Glory』。明るい曲調と慈愛や感謝に満ちた歌詞が特徴的なナンバーだ。<咲き誇れ 一期一会の歌 今日限りの絶景を貴方と>というサビのフレーズが、色とりどりのライトに照らされた場内の光景とぴったりとリンクしているように思えた。

Key.白金 燐子(CAST:志崎 樺音)
メインRoland FA-08(主にピアノサウンド)はもちろん全般にわたって使用。セットリストの楽曲ごとにピアノの音色などを細かく設定して使い分けている。Roland JUNO-DS61は『R』の間奏部分の分厚いリードシンセサウンドで活躍している。『FIRE BIRD』の前半ではピアノ伴奏のみの演奏を披露し、持ち前の演奏技術をより鮮明に楽しむことができた。

再びMCを挟んだ後は、楽曲を1コーラスごとにつなぎ合わせたスペシャルメドレーが披露された。荘厳なイントロから始まる『Opera of the wasteland』、ギターのフレーズが印象的な『Determination Symphony』、ピアノの旋律が美しい『Ringing Bloom』、暖かなメロディーが心地よい『陽だまりロードナイト』、そしてRoseliaの決意を物語った『Song I am.』が五月雨式に演奏されていく。曲が変わるごとに観客席がキャラクターのイメージカラーに変化していく様子はまさに「彩り」が感じられる瞬間だった。

ライブはまだまだ止まらない。続いて演奏されたのは、エモーショナルな展開が魅力的なミドルチューン、『Sprechchor』だ。この曲ではギター・ベースだけでなくボーカルの友希那もトロッコに乗車し場内を回っていった。また、客席にマイクを向ける場面も多く見受けられ、サビでは会場を揺らすほどの大合唱が響き渡っていた。

再びメンバーがステージに集結すると、ドラムのカウントを合図に美しいコーラスのイントロが始まり、新曲の『THRONE OF ROSE』の演奏がスタート。パワフルなボーカルと疾走感のあるビート、そしてメロディックなギターソロとピアノの掛け合いなど、重さと可憐さを兼ね備えたRoseliaならではのハードナンバーだ。初披露とは思えない迫力満点のパフォーマンスに、観客もこの日一番の声援で応え、思い思いに拳やペンライトを突き上げていた。

最後の幕間映像では、二日間に渡って続いた「キャラ設定をくずしちゃいけない!! Roseliaの夏休み」の結果が発表され、会場を和やかな雰囲気に包み込んだ。アンコール前のクールダウンの間にもこうした演出で観客を楽しませてくれるのは、彼女たちのライブの醍醐味の一つだと言えるだろう。

そして待ちに待ったアンコール。1曲目はなんと楽器演奏なしのカラオケ版『-HEROIC ADVENT-』が披露された。メンバー全員がトロッコに乗り、マイクを片手に歌唱しながら客席を回っていく。観客の一人ひとりに目を向けて寄り添うように歌う様子に、ファンたちも目を輝かせて声援を送っていた。

トロッコがステージに戻ると、キャストの挨拶を挟みつつ新曲のリリースや待望のツアーの開催が発表された。会場が沸き上がる中、メンバーは楽器を手に取り最後の曲の準備に入る。ストリングスとピアノの美しい旋律から始まったのは、「絆」をテーマにした楽曲『“UNIONS” Road』だ。コロナ禍で制限されていた合いの手が解禁されたことでようやく楽曲本来の姿が披露された形となった。メンバー同士の絆だけでなく、ファンとの絆も大切にしたいという彼女たちの強い思いが感じられる演奏だった。コーラス部分の大合唱や過去一長かったのでは?と思われる最後のかき回しを経て、名残惜しくも2DAYSの単独ライブは幕を下ろした。

各メンバーのキャラクター性、楽曲ごとの個性、そして演出の多様性と、様々な“色”を感じられる内容だった今回のライブ。さらにそこにオーディエンスの生の声が加わったことで、メンバーにも観客にもより一層美しく鮮やかな色彩が映ったのではないだろうか。新曲のリリースや全国ツアーも発表され、進化を続ける彼女たちが次はどんな景色を見せてくれるのか。これからはコロナ禍以前よりもさらにパワーアップしたパフォーマンスを期待したい。

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Photo:ハタサトシ、福岡諒祠(GEKKO)
取材・文:増田翔

《SET LIST》DAY2
  1. オープニングアクト:Ave Mujica
  2. 1. Ave Mujica
  3. 2. 神さま、バカ
  4. 3. Mas?uerade Rhapsody Re?uest
  5. Roselia
  6. 1. BLACK SHOUT
  7. 2. ROZEN HORIZON
  8. 3. ONENESS
  9. 4. R
  10. 5. ZEAL of proud
  11. 6. FIRE BIRD
  12. 7. 一逢のFull Glory
  13. 8. Special Medley(Opera of the wasteland、Determination Symphony、Ringing Bloom、陽だまりロードナイト、Song I am.)
  14. 9. Sprechchor
  15. 10. THRONE OF ROSE
  16. -ENCORE-
  17. EN1. -HEROIC ADVENT-
  18. EN2. “UNIONS” Road
Roselia

Roselia 14th Single「VIOLET LINE」2023.12.13 Release!!

Roseliaの14枚目となるSingleがリリース決定!
叶えたい夢や、そもそも生きてゆく上でどうしても厳しい現実や世界が立ち塞がってしまう。けれど貴方は「独り」じゃない——
そんな「繋がり」をテーマとした完全新規書き下ろし楽曲「VIOLET LINE」に加えて、
様々な経験を経て変化していくRoseliaにとって、求められるかつてのRoseliaらしさというテーマに縛られず、自分たちの信念を守り抜く決断と覚悟を描いた「Call the shots」と、音楽のことから離れ、思いっきり海を満喫するRoseliaの普段とは違うテイストが楽しめる「Sunlit Musical」をカップリングに収録!

Blu-ray付生産限定盤には、2023年9月に有明アリーナにて開催されたRoselia単独ライブ「Farbe」を両日に加えて、同ライブにて上映された幕間映像の未公開シーンを収録!

詳細はこちら
https://bang-dream.com/discographies/3524

Roselia LIVE TOUR「Rosenchor」開催決定!

ツアー初日は2024年2月17日(土)・18日(日) 大阪城ホール、ツアーファイナルは2024年6月29日(土)・30日(日) 東京ガーデンシアターを予定しており、その他の公演につきましては後日の公開を予定しております。

詳細はこちら
https://bang-dream.com/events/roselia_rosenchor


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