再びRASへバトンタッチし『!NVADE SHOW!』が披露される。この曲に限らず声出し解禁後の披露が初となる曲がいくつかあり、楽曲が秘めていたポテンシャルを解き放った瞬間を目の当たりにできた。

Raychell「あれ?おまえら声の出し方忘れたんじゃない?

紡木「なんにも聞こえないわ!無観客なのかしらー!?

Raychell「宇宙まで声帯飛ばせ!!

バンドメンバーの煽りに応えるように、観客のコールや歓声のパワーが一層アップする。さらに『THE WAY OF LIFE』とテクニカルでスリリングなナンバーが続き、観客はサウンドに酔い、狂ったようにリズムに身を任せ、会場を揺さぶる様子も圧巻だ。

Key. 倉知玲鳳(パレオ役)
写真の奥から順にRoland FA-06(61鍵盤)×2台、Roland FA-08(88鍵盤)の3台を引き続き使用している。デコレーションや、テープへの書き込みなどが、数多くのライブで実戦に使われてきた歴史を物語っている。ポピパとのジョイントセッション参加時にはショルダー・シンセサイザーRoland Lucina AX-09も使用した。

もともとダンスが楽しいライブ定番曲『灼熱 Bonfire!』だが、ポピパから愛美&伊藤彩沙がゲストに加わりこの日は賑やかさが倍増。ポピパの2名はヘッドセットマイクでダンスに専念し、縦横無尽にステージを駆け回る。2番ではボーカルも担当し、ポピパの楽曲とは一味違う歌声を披露した。RASメンバーの笑顔も自然と増えているようだ。両バンドのカラーが合わさり、これまでに見たことのない楽しさにあふれたステージで会場を大いに沸かせた。

DJ紡木吏佐(チュチュ役)
右手側に見えるのはPioneer DJ製サンプラーTORAIZ SP-16だ。もちろん同社製のDJコントローラーPioneer DJ XDJ-RX3も手元で駆使している。また今回、RASのライブでは普段あまり聴かない音源も、ポピパとのジョイントセッション用に用意されており、ライブを一層盛り上げる起爆剤として存在感を放っていた。

RASのMCパートでも存分に声出しコミュニケーションを楽しみ、観客と一緒に「We Are RAISE A SUILEN」の掛け声をあげるなど、演奏以外でも会場の一体感が高まるひとときに。

いよいよ後半に差し掛かり、RASの多彩な持ち歌の中からエモーショナルなミディアムナンバー『Beautiful Birthday』、『Light a fire』を続けて披露した。ヘヴィな楽曲とはまた違った熱量が観客の感情を揺さぶる。客席にゆったりと揺れるペンライトがまるで銀河の星々のように輝き、幻想的な光景が広がっていた。

雰囲気をガラリと変えるアッパーチューン『DRIVE US CRAZY』では、拳を掲げ「Wow! Wow! Wow!」と力強いコールレスポンスが繰り広げられた。

Raychell「足りないよ!もっと(声)出せ!!

さらに観客を煽り、観客も負けずに全力で応戦する。体の奥まで響く重低音と疾走感あふれるビートに乗せて、バンドメンバー・観客ともに大きく頭を振り、会場に渦巻く熱量がさらに膨らんでいく。

Gt.大塚紗英(花園たえ役)
おなじみ、ブルーが鮮やかなギターESP SNAPPER Taeは、近年メインに据えているシングルコイルピックアップ×3のレイアウトだ。クリーン~ハイゲインまで幅広いサウンドを奏でる万能な一品だが、一貫して音の芯と輪郭がクッキリとしているのが特徴的だ。小原(RAS)のStrandberg Bodenとのサウンドキャラの違いを聴き比べるのも面白い。

R・I・O・T』の演奏が始まり、Raychellの合図で迎え入れられた大塚、眼差しの鋭さがこれまでとは違う。RASとはTHE THIRD(仮)時代から特に繋がりの深い彼女にとって、今回の合同ライブへの想いは特別なものがあることも窺い知れた。曲中でステージを自由に歩き、笑顔でRASメンバーと背中合わせになるなど、多彩な表情を見せる。Gt.小原莉子(ロック役)とのツインギターによる交代でのソロプレイも圧巻だ。

ポピパの楽曲である『Returns』だが、Raychellのボーカルと大塚のクリーンなギターサウンドで始まる。サビでの2人の歌声のハーモニーが、とても優しくて美しい。2番からポピパのバンド演奏へと展開し、愛美とRaychellのハーモニーも楽しめる。TVアニメ第2期のストーリーを彷彿とさせる曲順だけでなく、今回のセッションが実現したことで楽曲の世界観が爆発的に広がる。
大塚の目に光るものが…。言葉で言い表せない想いを音楽に乗せて届けられ、観客から温かい拍手と声援が送られた。

Gt.小原莉子(ロック役)
Strandberg Boden J6 RAS LOCK -Caribbean Light Blue-。今回は6弦がメインだった。ギターソロの単音フレーズでは独特の残響感と奥行きのある音色が楽しめる。6弦モデルに採用されているFISHMAN製ピックアップは、ハイゲイン(深い歪み)でも粒立ちが良く、サウンドが無機質にならないのが特徴だ。

続いての『Step×Step!』ではGt.小原莉子がRaychellと交代で招き入れられた。温かいメロディとリズムに合わせて、一歩ずつ前に進むようにステップを踏むメンバーの笑顔が眩しい。間奏で愛美と小原が背中合わせになってギターを奏でる姿も微笑ましい。

アニメ内でロックの背中を押した応援ソングを、今回のジョイントセッションによって同じステージで一緒に演奏することになった。感涙必至のエモーショナルなステージが続き、観客やバンドメンバーの感情がさらに高まっていく。

ライブ本編のクライマックスを飾る『ミライトレイン』では温かみのあるコールレスポンスが展開。曲中に何度か客席が明るく照らされ、バンドメンバーからも観客の顔がよく見えていただろう。今回の公演で新しい可能性を見せ、さらに明るい未来を指し示すような壮観なステージを見せてくれた。

Key.伊藤彩沙(市ヶ谷有咲役)
Roland JUNO-DS61Wと同社製ステージピアノRD-2000のコンビネーション。近年のライブではこの2台を平行にセットすることが多いが、今回は珍しく2台を斜めにオフセットしたセッティングになっている。楽曲によって正面からの表情だけでなく横顔もよく見え、演奏中に多彩な表情を見せていた。フロントにも、もう1台JUNO-DS61Wが用意されている。

ノンストップで披露されたラストナンバー『ティアドロップス』では、曲名とともに歓声がドッと湧き上がった。大塚・西本が床に座り込んだり寝転んだりと、演奏の激しさが増していくとともに観客のテンションも上がっていく。「この手を離さない」の瞬間、会場を揺らすほどの歓声が湧き上がり、ボルテージが最高潮に達した。

演奏が終わると「アンコール」を求める掛け声がどこからともなく湧き上がる。アンコールといえばここ数年は手拍子だけだった。懐かしさを通り越して新鮮さすら感じる光景だった。

ステージ上の転換がないこともあって、本編終了からアンコールまでの時間がかなりスピーディーだ。さまざまなお知らせが公開され、その都度起こるリアクションの歓声も懐かしさを感じる。バンドを代表して愛美とRaychellから語られた挨拶はファンへの感謝、スタッフへの感謝、両バンドの互いへのリスペクトに溢れていた。

アンコールパートはもちろん両バンド総勢10名によるコラボ演奏だ。『ときめきエクスペリエンス!』と『EXPOSE ‘Burn out!!!’』をノンストップで披露した。ちなみにアンコールでの2曲の選曲は、2022年9月に行われたBanG Dream! 10th LIVE DAY3 : Poppin’Party「Hoppin’☆Poppin’☆Dreamin’!!」のセルフオマージュだ。両バンドのメンバーが、ボーカルをはじめラップや楽器パートの演奏を細かく分担するアレンジが非常に楽しく、合同ライブの醍醐味の集大成といった圧巻のステージだ。

メンバーも観客もこの瞬間を全力で楽しんでいた。観客のコールや歓声、ジャンプのパワーが限界を超えてさらに増し、この日最大の盛り上がりを見せていた。銀テープがド派手に宙を舞い、銀河までぶち上がるような最高のテンションの中で輝かしいフィナーレを迎え、翌日のRoseliaとMorfonicaへバトンを繋いだ。

この日の公演後にはテレビニュースでもライブの様子が報じられており、その話題性や影響力の大きさを改めて窺い知ることができた。

今回の全編声出し解禁によって“本来のライブの姿を取り戻せた”という感想と同時に、“今後のライブの新しい形の可能性”を随所に感じることができた。コロナ禍という逆境に挫けることなく、少しずつ確実に歩みを進めている。2023年も多くのライブ等が決まっており、今後もエンターテインメントの先頭を走っていく頼もしいコンテンツだ。

取材・文:佐々木雅晃
Photo:ハタサトシ、福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
©BanG Dream! Project ©Craft Egg Inc. ©bushiroad All Rights Reserved.

《SET LIST》
  1. オープニングアクト:MyGO!!!!!
  2. 1.迷星叫
  3. 2.名無声
  4. 3.影色舞
  5. RAISE A SUILEN
  6. 1.DEAD HEAT BEAT
  7. 2.HELL! or HELL?
  8. 3.A DECLARATION OF ××× (with 牛込りみ)
  9. 4.Dr. Solo セッション (山吹沙綾&マスキング)
  10. Poppin’Party
  11. 5.Moonlight Walk
  12. 6.イニシャル
  13. 7.Time Lapse
  14. 8.ぽっぴん’しゃっふる
  15. 9.What’s the POPIPA!?
  16. 10.ぽっぴん’どりーむ! (with パレオ&チュチュ)
  17. RAISE A SUILEN
  18. 11.!NVADE SHOW!
  19. 12.THE WAY OF LIFE
  20. 13.灼熱 Bonfire! (with 戸山香澄&市ヶ谷有咲)
  21. 14.Beautiful Birthday
  22. 15.Light a fire
  23. 16.DRIVE US CRAZY
  24. 17.R・I・O・T (with 花園たえ)
  25. Poppin’Party
  26. 18.Returns (with レイヤ)
  27. 19.Step×Step! (with ロック)
  28. 20.ミライトレイン
  29. 21.ティアドロップス
  30.  
  31. EN1 ときめきエクスペリエンス!(Poppin’Party×RAISE A SUILEN)
  32. EN2 EXPOSE ‘Burn out!!!’ (RAISE A SUILEN×Poppin’Party)

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Ryoga Snare Weight DRUMSHOW
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Orange Glenn Hughes MONO