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SUGIZO(LUNA SEA、X JAPAN、THE LAST ROCKSTARS)率いるサイケデリックジャムバンド、SHAGが10月18日(火)に自身初のBillboard Live TOKYOでのワンマンライブを開催。その1stステージの模様をレポートする。
LUNA SEAやX JAPAN、先日発表されたTHE LAST ROCKSTARSをはじめ、ソロにコラボなどさまざまな活動を行なうSUGIZOが2002年に結成したSHAG。2020年にメンバーを再編成して再始動。マイルス・デイヴィスの名盤『ビッチェズ・ブリュー』へのリスペクトを新たなコンセプトに掲げてよりドープで過激なインタープレイを展開し、2022年7月には満を持して1stアルバム『THE PROTEST JAM』をリリースした。
開演時刻を少し過ぎた頃、SUGIZO(Gt&Vn)、KenKen(Ba/RIZE、LIFE IS GROOVE)、類家心平(Tp/RS5pb、菊地成孔ダブ・セプテット)、よしうらけんじ(Perc)、松浦千昇(Dr/Yukino & Glanax)、別所和洋(Key/パジャマで海なんかいかない、GENTLE FOREST JAZZ BAND)からなるSHAGのメンバーがステージに登場。別所がおもむろに鍵盤を弾き出し、そこに各自の音が寄り添う感じで、とてもナチュラルにライブが始まった。オープニングナンバーはKenKen作の『KAMOGAWA』。ジャムバンドであることはもちろん承知していたけれど、思っているよりもさらにずっと演奏に即興の要素が強くて楽しい。SUGIZOと類家が会話をするように目を合わせながらフレーズを交わしたり、リズム隊のビートが超パワフルかつバリエーション豊かだったりして、その華麗な応酬を観客は早くも大きな拍手で称える。座席ありのシチュエーションとはいえ、6人が放つのはめちゃくちゃ刺激的で踊れるグルーヴだ。
「SHAGがBillboard Live TOKYOでやらせてもらうのは初めてなので、ものすごく光栄です。今日はステージと客席の距離が近いね。コロナ禍でわからなくなっていたけど、きっとこの状態が本来の形なんだと思います」とSUGIZOが話していたが、そんな親密さがあふれる快適な会場で、トップミュージシャンたちが濃密な演奏と真剣に向き合うさまを目の当たりにできるというのは、本当に贅沢で幸せな時間。メンバーも嬉しそうな表情を見せ、一段とディープなインプロビゼーションバトルに突入していく。
ステージが青白くダークな光に覆われる中で鳴らされたのは、アルバム『THE PROTEST JAM』のリード曲である『Rebellmusik』。タイトルどおり、今の混乱と不安に満ちた世界に物申す、憤怒の感情を音に込めたプロテスト作で、ヒリヒリとした響きを湛えたSUGIZOのギターを軸に、類家のトランペットソロや別所のピアノなど、メンバーの想いが乗った熱く咆哮するようなプレイが、争いの苛烈さというものを、簡単に言葉にはできない悩ましい現状を聴き手に色濃くイメージさせる。音楽のカテゴリーを超越してしまいそうな、スリリングにうねるサウンドもたまらない。
15分強に及んだ『FATIMA』では、SUGIZOのエレクトリックバイオリンがやはり叫びに似た、それでいてロマンティックな旋律を奏で、KenKenもスラップでフロアを沸かせたりとアンサンブルがじわじわと過熱する中、よしうらがファンキーにマラカスを振ってさらなるアクセントを加えるなど、6人がこの瞬間瞬間を大いに楽しんでいるのが伝わってきた。原曲を程よく、時には果敢に崩してくるので、生のセッション感がすごい。また、ソロを弾き終えたメンバーが“次は彼の見せ場ですよ!”と言わんばかりに誰かを指さし、グルーヴが立て続けに受け渡されていく展開は、インプロに対するハードルの高さを抱かせないエンタメ性がある。
「3曲だけなのに、もう40分経ってる。大丈夫かな? 我々のマスターベーションみたいになってませんかね(笑)」(SUGIZO)、「すでに15曲くらいはやった気がする!」(KenKen)、「衣装からして統一感のない私たちですが、音楽は非常に統一されているんじゃないでしょうか」(別所)といったMCも、SHAGの息もつかせぬサウンドの凄み、集中力を極限まで研ぎ澄ませたバチバチの演奏、至福のトリップ感を物語っていたように思う。
その後は、別所作のジャジーなナンバーで、ゆるやかなテンポから徐々に松浦の強靭なドラムがフィーチャーされる流れが美しい『MEGUROGAWA』。コンガのカラッと明るい音色や多彩なリズムの積み重ねに酔いしれた、よしうらと松浦によるパーカッション&ドラムソロ。SUGIZOのアーミングおよびスクリーム奏法が存分に炸裂した、SHAG再生の指標にもなったというファラオ・サンダース『Love Is Everywhere』のカバー(SUGIZOの敬愛するファラオが9月に亡くなったことを受けての披露)と、ますます熱くストイックなパフォーマンスで恍惚感を深めていき、気づけばライブも終盤に。
「何時までできるんだっけ?あと15分でアンコールまで終わらなきゃいけないの? 今から『THE CAGE』なんだけど、ショート版でやろうか。もしくはめっちゃBPM速いバージョンでやる?」と笑うSUGIZO。そんな言葉にも、即興に重きを置くSHAGのスケールの大きさが滲む。ド派手な照明が降り注いだ本編ラストの『THE CAGE』では、再びサイケ&ロック色を強め、怒涛のテンションとエネルギッシュなフレーズをもってメンバーが感情を痛快に放出し合った。
そして、アンコールは「昨日は僕の師匠である近藤等則さんの命日だったんです。なので、近藤さんといっしょに作ったこの曲をSHAGでお贈りします」とSUGIZOが告げ、『PRAY FOR MOTHER EARTH』を披露。その演奏が天まで届くようにステージ後方のカーテンが開かれ、高透過ガラスに広がる夜景をバックに、SUGIZOが弾くバイオリンの切ないメロディ、心臓の鼓動を思わせるKenKenのデジタルハンドパーカッションなど、バンドの幻想的なサウンドが場内をやさしく包み込んで、壮大なエンディングを迎えた。
取材・文:田山雄士
Photo:Keiko Tanabe
《SET LIST》
- 1.KAMOGAWA
- 2.Rebellmusik
- 3.FATIMA
- 4.MEGUROGAWA~Percussion & Drums Solo
- 5.Love Is Everywhere
- 6.THE CAGE
- <ENCORE>
- EN1.PRAY FOR MOTHER EARTH
SUGIZO
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SUGIZOオフィシャル特設サイト
https://sugizo.com/feature/a_t_c_i_k_m
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