その後はおなじみの幕間映像「キャラ設定をくずしちゃいけない!!」を挟み、いよいよライブ中盤戦へと突入していく。当日の空模様ともリンクした“雨”がテーマとなっている楽曲『Determination Symphony』に続いて演奏されたのは、10/26(水)に発売予定の12thシングルナンバー『Swear ~Night & Day~』だ。今回がフルコーラス初披露ということで、イントロが流れた瞬間に観客席からは大きなどよめきが起こった。クリーンギターの心地よいアルペジオや哀愁漂うピアノソロ、そして大サビラストの魂を揺さぶるようなロングトーンなど、これまでの楽曲とはまた違ったタイプの味わい深いロックバラードに、Roseliaの新たな一面を感じたファンも多いだろう。

新曲の発売日や今回の衣装について語るMCも挟みつつ、Vo.友希那の「次に会う時まで、突き進む」というセリフとともに演奏されたのは『Sprechchor』。神秘的なアンビエントサウンドと調和のとれたハーモニーが特徴的な楽曲だ。ライブの定番曲である『陽だまりロードナイト』と続けて聞くと、各メンバーがこれまで以上に曲に合わせて弾き方や音色に拘っている様子がよりハッキリと分かる。

Dr.宇田川あこ(キャスト:櫻川めぐ)
自身のシグネイチャーシンバルであるPAiSTe 900 SP10 ROSELIAや、スネアドラムdw CL1455SD / Roselia-Ako を含む、dwのCollector’s Series Pure Maple “SSC”のキットを使用。スティックももちろんシグネイチャーモデルH-145AU2だ。写真におさまっているまぶしい笑顔、そしてツーバスのバシッと引き締まった低音と疾走感は、あこらしさ、Roseliaらしさを感じさせる要素といえる。また、スティックの打点を意識した工夫なのか、スネアとタムのヘッド中央にそれぞれ星やスマイルのイラストが描かれており、非常にメリハリの効いたサウンドを奏でていた。

再度MCを挟んだ後、Ba.今井リサ(キャスト: 中島由貴)のうねるようなベースのイントロを皮切りに始まったのは、こちらもライブの定番曲である『R』。各メンバーの独唱やソロ回しに合わせてカメラや照明が目まぐるしくフォーカスしていく演出に、観客の視線もこれまで以上にステージに釘付けとなっていた。その後も疾走感のあるヘヴィナンバー『overtuRe』が続き、会場のボルテージは一気に高まっていった。

そしてライブ終盤、メンバーそれぞれが今回のライブに対する想いを語った後に満を持して演奏されたのは『FIRE BIRD』だ。熱気に満ちたアリーナ内をさらに焼き焦がすかのようにステージからは火柱が上がり、キャストたちも渾身のパフォーマンスを見せつけた。大サビ直前、一斉にスポットがVo.友希那に向けられたブレイクの一瞬は、まさに「Sonnenschein(太陽の光)」を感じる瞬間だったといえるだろう。トリにふさわしい素晴らしい演奏を披露したメンバーたちは、大きな拍手を受けながらステージを後にした。

Key.白金燐子(キャスト: 志崎樺音)
前回取材時と変わらず、ピアノ音色メインで使用するRoland FA-08とオルガン・シンセサイザー系統で使用するRoland JUNO-DS61の2台をセッティングしていた。今回のセットリストは曲ごとの緩急やアンサンブルの明暗が特にはっきりしていた印象だ。楽器のハードウェア(本体)こそ一貫して変わらないが、各楽曲の雰囲気に合わせて、ピアノひとつにしても細かく音色を使い分けている様子が伺えた。キーボードの演奏スタイルにもプレイヤーの個性が表れるが、ハードな演奏でも決してブレない、燐子らしいエレガントな演奏スタイルが写真からもよく伝わってくる。

キャストのいなくなった会場では、すぐにアンコールを期待するファンたちの手拍子がこだましていく。興奮冷めやらぬ観客をクールダウンするため、ほどなくしてスクリーンには幕間映像の後編が映し出された。今回の企画もバラエティ色の強い内容だったが、ライブ中の凛々しい姿と、映像の中の“素”の彼女たちの可愛らしさが両方一度に楽しめるという点も、Roseliaのリアルライブの大きな魅力の一つだと改めて実感させられた。

映像が終わると、ライブTシャツ姿でキャストたちがステージに登場。簡単なトークを挟み、待望のアンコール演奏が始まった。1曲目に選ばれたのは、これからのRoseliaを象徴する1曲ともいえる『ROZEN HORIZON』だ。ステージから吹き上がる蒼い炎と観客のペンライトにより、会場は一気に“青薔薇の道”へと変わってゆく…。アクセル全開の選曲に観客たちも食らいついていくのに必死な様子だ。場内のテンションはVo.友希那の渾身のハイトーンとともに最高潮に達し、演奏を終えたキャストにはアリーナ全体を揺らさんばかりの拍手が送られていた。

これですべての演目が終了したかに思えたが、ライブはもう少しだけ続いていく。無事に今回のライブを開催できたこと、そして今後も新たなライブに向けて進んでいけることへの感謝を、メンバーを代表して語る相羽あいな。「次に繋いでいく」という言葉の後に最後の曲として披露されたのは、『-HEROIC ADVENT-』だ。実に4年ぶりの演奏というサプライズ選曲に、驚きと喜びの表情を浮かべるファンが数多く見受けられた。明るい曲調に合わせてステージを縦横無尽に走り回るフロントメンバーたち。会場の端から端までとびきりの笑顔を振りまく彼女たちの様子は、あの場にいた全員の目にしっかりと焼き付いていただろう。会場全体が大きな充足感に包まれたまま、10th☆LIVE初日の「Sonnenschein」は幕を閉じた。

今回のライブでは、新たなパフォーマンスへの挑戦や最新楽曲の初披露など、Roseliaの「変化を受け入れ、前に進んでいく」という姿勢を十分に垣間見ることができた。進化を続ける彼女たちの姿と合わせて、多様化の進むテクニック・サウンドメイクにも引き続き注目していきたい。

取材・文:増田 翔
Photo:ハタサトシ、福岡諒祠(GEKKO)
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《SET LIST》
  1. 1.THE HISTORIC…
  2. 2.BRAVE JEWEL
  3. 3.Opera of the wasteland
  4. 4.PASSIONATE ANTHEM
  5. 5.Ringing Bloom
  6. 6.“UNIONS” Road
  7. 7.Determination Symphony
  8. 8.Swear ~Night & Day~
  9. 9.Sprechchor
  10. 10.陽だまりロードナイト
  11. 11.R
  12. 12. overtuRe
  13. 13.FIRE BIRD
  14. EN1.ROZEN HORIZON
  15. EN2.-HEROIC ADVENT-

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