
こちらは5弦ベースSpector EURO 5 LX-PJ RAS LAYER -Twilight Amber-。この日のライブでは1曲目から7弦ギターとともにど迫力の重低音を響かせた。
後半はカバー曲『激動』からのスタートだ。RASのライブでカバー曲を演奏する機会が少なくなってきたこともあり、久しぶりの披露に観客も驚いたのではないだろうか。過去のライブを振り返ったところ、2020年8月に行われた「BanG Dream! 8th☆LIVE」夏の野外3DAYS DAY2:RAISE A SUILEN「THE DEPTHS」以来、約2年ぶりの披露であった。
続いてのカバー曲『Cry Baby』はこの日がライブ初披露。スウィング・ミュージックの様なムードの中にファンキーなフレーズが重なり、転調も相まって今までのRASの楽曲とは雰囲気が大きく変わった独特なサウンドに仕上がったナンバーだ。演奏のポテンシャルの幅をどんどん広げていることに深く感心するばかりだ。

MCをはさみ、ここで新たなカバー曲『メギツネ』がサプライズ初披露となった。原曲は重厚なメタルサウンドということで、多弦ギターを常用するRASとは相性バツグンの1曲だ。パワフルでありながら艶やかなボーカルもピッタリ。特徴的な合いの手を紡木が担当しており、声出しができるようになればコール&レスポンスが最高に盛り上がるだろうと想像できる。なお、この楽曲もガルパのプレイ曲としてこの日に追加実装された。

ドラムセットはPearl Reference Seriesのキット。スネアはReference Seriesとマスキングモデルとして発売されているPearl MCT1455S/C-NMだ。
そして、カバー曲パートのラストとなったのは『劣等上等』だ。2021年2月に行われた「Rausch und/and Craziness II」以来と、こちらも久しぶりの演奏となった。披露の機会が少ないカバー曲の豊富なラインナップに会場が沸き上がったことは間違いない。
ここで、インスト演奏が披露された。5人のテクニックとサウンドをそれぞれ存分に楽しむことができるとあって、楽曲演奏パートとは違った楽しみが味わえるパートだ。

続いての『!NVADE SHOW!』はライブごとに間奏部分の煽り文句のアレンジが変わり、RASのライブの名物の一つと言って良いだろう。何度も足を運んでいる観客の中にはきっと「今回はなんて言うんだろう?」と期待しながら待っている人もいるのではないだろうか。暴れ足りない奴はなんと、首をもぎとって河口湖に放り込まれてしまう。サビでは皆が弾けんばかりの笑顔でタオルを回し、観客も全力で暴れる。会場を揺らすほどに観客のボルテージを上げていた。

ピアノソロから続いて『REIGNING』が披露され、モニターにTHE THIRD(仮)時代を含めた過去のライブ映像が流れるというエモーショナルな演出で観客の目頭を熱くさせた。
さらに、メンバー5人の語りから新曲『Light a fire』が初披露された。この曲には“バンドリーマーは私たちバンドにとっての光である(Be light)”というメッセージが込められている。ミディアムテンポの優しいメロディに乗せられた熱いメッセージに、観客は感動と喜びで胸が一杯になったのではないだろうか。

ここでメンバーは一時退場し、ライブTシャツに衣装替えをして登場。ここのインストパートでは倉知のショルダーキーボードVS小原のギターによる速弾き対決が見どころだ。
ライブもいよいよラストスパートに差し掛かり『DRIVE US CRAZY』が披露される。声出しができない代わりに「心で歌え!」と呼びかけると、応戦するように観客が力強く拳を掲げる。「Wow! Wow!」のコール&レスポンスは過去のライブ音源を応用することで、感情をさらに昂らせてくれる。日が沈み暗くなった会場は、ペンライトの光やステージ前に噴き上がる火花が一層鮮やかに輝いていた。

さらに飛ばして『OUTSIDER RODEO』へと続く。アクセルをさらに踏み込むようにDr.夏芽 (マスキング役)の倍テンフレーズで疾走感が増していく。イントロでは頭を飛ばさんばかりの勢いで首を振り、サビではロデオのカウボーイの投げ縄のようにタオルを激しく回して、会場中が全力で暴れ倒していた。大サビで銀テープが飛び出し、観客の頭上でキラキラと輝いた。
RASの単独ライブにアンコールはない。最後の曲の前にバンドを代表してRaychellがスタッフや関係者への感謝の念を言葉にし、ライブに関わる人々へ大きな拍手が送られた。

いよいよ最後を飾るのはデビュー曲『R・I・O・T』だ。 イントロから花火が打ち上がり、 観客も「待ってました!」と言わんばかりの盛り上がりを見せていた。原点とも言えるナンバーを最後の最後まで温めて、熱い思いを込めた演奏を観客に届けることで会場の熱量が最高潮に達した瞬間だった。最後には打ち上げ花火の連続ラッシュも合わさり、最高に熱く、そして華々しいグランドフィナーレを迎えた。
演奏を終え、観客一人ひとりに向けて手を振るバンドメンバー5人。達成感に満ち溢れたその目には光るものが。バンドリーマーとのつながり、コミュニケーションをとても大事にしていることがとても伝わってくる。ライブを観たバンドリーマーもきっと「応援していてよかった」と感じた瞬間ではないだろうか。 バンドメンバーや観客たちの顔には疲れの色は見えない。このライブに関わった全ての人々が満足感と達成感で満たされているようだ。
挨拶を終えて最後には「We are RAISE A SUILEN!!」の掛け声で「OVERKILL」の全てが締め括られた。
かつてない超特大のボリュームを誇る今回のライブで、改めてRASの実力を目の当たりにした。それは単に演奏技術だけではなく、観客をリードして巻き込んで全員でライブを作り上げていくライブアクト、構成やセットリストなども含めた総合的な実力の高さだ。
8月には3つの音楽フェスへの参加、そして9月、11月には大きなライブが控えている。多くの場数を踏んでバンドにさらなる磨きをかけていくRASの進歩はまさに無限大だ。
Photo:ハタサトシ、福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)
取材・文:佐々木雅晃
©BanG Dream!
《SET LIST》
- 1. SOUL SOLDIER
- 2. EXPOSE ‘Burn out!!!’
- 3. A DECLARATION OF ×××
- 4. Sacred world
- 5. Repaint
- 6. UNSTOPPABLE
- 7. Embrace of light
- 8. 灼熱 Bonfire!
- 9. JUST THE WAY I AM
- 10. HELL! or HELL?
- 11. 激動
- 12. Cry Baby
- 13. メギツネ
- 14. 劣等上等
- 15. !NVADE SHOW!
- 16. REIGNING
- 17. Light a fire
- 18. DRIVE US CRAZY
- 19. OUTSIDER RODEO
- 20. R・I・O・T