東名阪を舞台にしたRayflowerのツアー「Rayflower TOUR 2022 “Spring Sprout”」も、5月30日(月)に新宿BLAZEで行ったワンマン公演でファイナルを迎えた。チケットはSold Outを記録。満員の観客たちの期待を胸に、ライブは始まりのときを告げた。

大地を震撼させる重厚なSE音が響き渡る場内。メンバーの登場に合わせ、フロア中から熱い拍手が響き渡る。ライブは、Sakura(Dr)のドラムカウントを合図に、満員の観客たちの期待を背負って幕を開けた。

物語の主人公が輝きに向かって走り出す。そんなヒーロー系アニメのオープニングテーマが似合いそうな、カラっと開放的な音を響かせ、Rayflowerのライブは『Bloom Moment』からスタートした。フロア中の人たちが、輝き放つ歌や演奏をつかもうと舞台へ向けて手を伸ばし、両手を大きく広げ、メンバーらの奏でる音楽を、咲かせた両手の花の中へ包み込んでゆく。気持ちがスカッと晴れ渡る物語の始まりだ。この日のアドベンチャー、かなり刺激的な旅になりそうだ。

こぶしー!」田澤孝介(Vo)の熱く煽る声や、熱を持って雄大な景観を描き出す演奏に合わせ、フロアのあちこちで両手を広げる景色や、突き上がる拳の波が生まれていた。Rayflowerが仕掛けた『Real Game』。どんな熱い勝負が繰り広げられるのか…じゃないよな、すでに、互いが沸き立つ熱をぶつけあっていた。気持ちを熱く掻き立てる攻めたロックナンバーに触れ、感情が燃え滾り続けてゆく。煽りに合わせるように、終盤に起きた拳を突きあげるバトルも刺激的だ。

IKUO(Ba)の唸るスラップベース音を合図に飛びだしたのが、Rayflower流のダンスロックナンバー『Prisoner of evolution』。重く、でも身体を騒がせるように豪快に躍動するロックナンバーだ。重厚かつ雄大な、でも、サビではキャッチーでメロウな歌の魅力で見ている人たちの身体と心を揺らすメンバーたち。序盤から、ウズウズする衝動を抑えられない。演奏が進むにつれスケールを増してゆくダイナミックな楽曲展開に、気持ちが嬉しく包み込まれていた。フロアのあちこちで花咲く光景が広がるのも、すごくわかる!!

田澤孝介(Vo)

演奏が終わっても鳴り止まない拍手。それが、この日のライブの熱さをすでに物語っていた。「これからもガンガン突っ走ろうじゃないか!!」「心、制限されていませんか」「思いきり楽しんで帰ってくれ

そんな田澤の言葉を合図に飛び出したのが、スケールあふれるスタジアム系ハードロックナンバーの『Welcome to the Gracious World』だ。YUKI(Gt)が豪快に、ザクザクと奏でるリフに乗せ、荒ぶるロックの衝動をRayflowerは突きつける。彼らが放つ勇壮で雄々しいロックの唸りに噛みつかれたとたん、そのまま痛みを恍惚に変えながら落ちてしまいたくなっていた。荒ぶる演奏の牙が、消せない衝撃と興奮を次々と身体に刻んでゆく。この雄々しきロックな衝動に身体や心を奮わせ続けていたい。

切々とした、哀愁味あふれた歌と鍵盤による演奏から楽曲は幕開けた。そこへ重厚な演奏が重なると同時に、曲は切なくもエモーショナルな表情を描きだしてゆく。『Garbera』、激しいのに胸をギュッと締めつける歌だ。田澤の抑揚した歌声が、同じように気持ちを激しくも哀愁な色に染めあげていった。

楽曲は緩急多彩な表情を描きながら、表情豊かな景色を描きだした。『Make A Judgment』、とてもエモいのにドラマチックな楽曲だ。サビ歌では、拳振り回し煽るメンバーの姿と気持ちを重ねるように、フロア中の人たちも拳をぐるぐると回し、熱情した思いを舞台上へぶつけていた。

都啓一(Key)の奏でる哀愁を帯びたピアノの音色が、フロア中を包み込む。そこへ田澤の歌声が重なるのを合図に、楽曲は雄々しさを抱いた雄大なロックナンバーへと進化。『イニシエ』、なんて心揺さぶる熱血かつ熱情したドラマを創り出す楽曲だろう。スケールあふれた物語を描きながら突き進む楽曲に触れている間、僕らはスペクタクルな映画の世界に飛び込み、広大な荒野の中、魂を揺さぶりながら戦いへ身を投じていた。

猜疑心など、いろんな痛い感情が渦巻きながらも、定めに従い戦いに身を落すような気持ちを心に覚えながら、僕らは『哀しみのリフレイン』の演奏に合わせ、高く、力強く拳を振り上げていた。気持ちを掻きむしる歌声や、魂を震わせる豪快かつダイナミックな演奏に刺激を受け、感情がずっと奮い立っていた。沸き立つ熱情をぶちまけてこそ、このドラマチックな音楽の中で生きる意味を感じられる。まさに、そんな気分だ。

ここへ至るまでの楽曲の流れは、長大な物語の中、とくに感情を揺さぶり、魂を熱く騒がせるシーンばかりを次々と繋ぎ合わせた映画のようだった。『彩戯心』でも、覚めぬ夢の中、歓喜した思いをメンバーたちにぶつけたくて、フロア中の人たちが思いきり身体を揺らし、振り上げた拳を舞台上に突きつけていた。止めどなく沸き立つこの熱情、もっともっと放熱し続けたい。

それまでの高陽したドラマチックな表情とは異なり、MCでは緩いトークも見せる。いや、緩そうに見えて、今の時代の中で必要な心の支えとなる思いをしっかりと伝えていた。「すべてか様変わりした中で、なんか進んでいる感じがするんですよ」。そんな率直な思いが、胸にジンワリと染み渡る。

今回、どうしてもやりかった曲。今の状況にマッチする、今、やるべき曲」「大きな変化の中には失っていくものもある。でも、新しく見つかるものもある。どっちに目を向けるか。見方を変えれば、何でもないことが幸せに思える。そんなこと書きました」との言葉を受け、歌ったのがバラードの『Change Your Sight』。田澤は、ひと言ひと言を、この会場いる人たちの心へ強く塗り込むように歌っていた。彼の思いを、演奏陣が優しく押してゆく。この歌は、今の時代だけに響く歌じゃない。どんな時代でも、人が迷いを抱いていれば、胸に強く響き続ける。たまたま今の時代が求める欠けた心の土台となる部分に、この歌ががっちりと入り込み、心を支える大切なピースになっただけ。でも、それがとても大きな力を持つことだってあるのが、人生という歩みだと思う。

続く『Words Of The Wise Man ~時の贈り物~』も、欠けた心の隙間を埋め、止まっていた足を前へと踏みだす力になっていた。少しずつ光を集めながら、その輝きを眩しい力と勇気、強さに変えてゆく。気持ちをゆっくりと。でも、確実に光に向かって押し上げる楽曲だ。フロア中の人たちも、身体をゆったり揺らしながら、彼らの演奏に心を寄り添えていた。みんなで一緒に輝きの世界へ飛びこもうか。この曲が流れだしたとたん、フロア中から起きた熱い手拍子。演奏中、会場中の人たちが広げた両手を翼に変え、視線の先に広がる輝きに向かって羽ばたき続けていた。ときに歌は、心を大地から解き放してくれる。胸弾む音楽へ導かれ、自由に気持ちを青空広がる世界へ連れだしてゆく。その幸せや楽しさを感じたくて、僕らは心を自由にしてくれる音楽を求めているのかも知れない。この日のRayflowerのライブのように。

起こってしまったものは変わらんから、進んでいくしかない」「僕らはHAPPYです。それがみんなの中に響いて一人一人がHAPPYになってくれたら」と、田澤はMCで語っていた。

ライブも、ここからクライマックスへ向け、ふたたびガンガンと熱を上げてゆく。スカッと晴れた気分へ導く『サンデードライバー』に合わせ、フロアのあちこちで身体を揺らし躍りだす光景が広がっていた。気持ちが指し示すままに楽しむ。それを体現した空間が、そこには生まれていた。駆ける演奏や、心を騒がせるビートに合わせ無邪気に飛び跳ねながら、大きく咲かせた手の花揺れる光景がフロアのあちこちに広がっていた。エモくてパンキッシュな跳ねたロックンロールに合わせ、無邪気に身体も跳ね続ける。この感覚こそが最高だ!!

勢いを止めるどころか、さらに加速するよう、Rayflowerは豪快なアップチューン『サバイヴノススメ』を突きつけ、この会場を、極上のロックンロールなパーティー空間に染めあげていった。身体を縛るなんてもう無理だ。はしゃぎたい、その衝動のままに騒ぎ続けようじゃないか。自分を解き放つ、それこそが今、この空間に一番似合う楽しみ方だ。

メンバーらのセッション演奏から、楽曲は雄大かつ熱情したロックナンバー『Runaway Brain』へ進化。気持ちを騒がせながらも、スリリングな心地好い緊張感も抱く楽曲だ。振りまわす腕の動きに合わせ、フロア中の人たちも、衝動へ導かれるままに拳を力強く振りまわし、舞台上のメンバーたちと熱情した魂を重ね合わせていた。終盤に飛びだしたSakuraの凄まじいとドラムソロも、胸熱だ。

胸をカラッと、爽快な気分に導く『ユースフルハイ』の登場だ。メンバーらの掛け合う声に合わせ、大きく花咲く光景も胸をスカッとさせる。このまま一人一人が輝く眩しい光となり、それを大きな束にして、共に未来を輝かせようじゃないか。一人一人の輝きは小さくとも、Rayflowerの歌を通してみんなで一つに結びあえたなら、この楽しさは現実を消し去り、この空間を楽園に変えてゆく。

最後にRayflowerは『Soul survivor』を歌い奏で、フロア中を無邪気な笑顔を浮かべ大きく両手を揺らす花園に染めあげていった。終盤の、楽しさに楽しさを二乗や三乗してゆくこの感覚、それがライブだよな。僕らが忘れてしまいそうになっていた、あの頃のライブ空間にあった、自分自身も輝かせてゆく音楽の魔法が、Rayflowerのライブにはしっかりと生きていた。

アンコールという形を取りながら、最後にRayflowerは『U-TOPIA』を届けてくれた。あえて、たった1曲だけのアンコールだ。でも、最後に彼らが『U-TOPIA』を選んだことにも、いろんな未来を見据えた想像を巡らせてしまう。でも、それでいいんだと思う。そこでどう解釈するのかは、ライブでその曲を受け止めた人次第。この記事を通して想像を巡らせている人次第だ。

大きな大きなエネルギーの交換をしたい」と言った言葉を示すような、滾るエモい感情をぶつけるような演奏。その音へさらに熱情を塗り重ねるように、フロア中の人たちも広げた両手を揺らし、思いを捧げていた。「動き出した未来」という『U-TOPIA』の歌詞の一節ではないが、その先の、Rayflowerと一緒に過ごす未来も楽しみになってきた。

次は、秋のツアーでこの熱狂を分かち合おうか。

TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.Bloom Moment
  2. 2.Real Game
  3. 3.Prisoner of evolution
  4. 4.Welcome to the Gracious World
  5. 5.Garbera
  6. 6.Make A Judgment
  7. 7.イニシエ
  8. 8.哀しみのリフレイン
  9. 9.彩戯心
  10. 10.Change Your Sight
  11. 11.Words Of The Wise Man ~時の贈り物~
  12. 12.It’s a beautiful Day
  13. 13.サンデードライバー
  14. 14.サバイヴノススメ
  15. 15.Runaway Brain
  16. 16.ユースフルハイ
  17. 17.Soul survivor
  18. EN1.U-TOPIA

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