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2013年8月12日、SOPHIAは日本武道館の地で、約19年の歩みに「活動休止」という形で一つの区切りを付けた。当初は、もっと早く戻ってくるはずだった。それが、気づいたら長い長い“時”が経過していた。でも、“時の流れ”は、人の心や環境に様々な変化を与えていく。
あれから9年の歳月を経て、SOPHIAが再び立ち上がった。復活の狼煙を上げる場として選んだのは、日本武道館。書き続けたSOPHIAという本を、9年前に一度閉じた場所だ。閉じた本を再び開き、新たなページからまた物語を綴ろうと、SOPHIAは10月11日に日本武道館の地に立っていた。「SOPHIA LIVE 2022 “SOPHIA”」と題したこの日の公演は、SOPHIAファンであればあるほど、嬉し涙の浮かぶ内容だった。
『愛の讃歌』のSEに乗せ、メンバーたちが舞台へ。赤松芳朋の叩くビートに、黒柳能生のベースが絡みだす。その上へ、都啓一と豊田和貴が音を重ねだした。4人の演奏は、松岡充の登場に合わせ『大切なもの』へ形を変えていく。ゆったりとした、大きなうねりを持った演奏の上で、松岡充は<本当に大切なものなのに すぐ失くなるね>と人生の機微を歌っていた。彼らは、失くした大切なものを取り戻し、ここから再び新しい物語を描き出そうと、『大切なもの』を歌いながら、SOPHIAとしての新たな物語を描き始めたのだ。
「9年間もの長い間、ずっと待たせたね。5人一人一人が現実に向き合い、歯を食いしばって、それぞれに生きてきた。ここにいる全員そうだろ。ただいま!!」と挨拶をしたのが、松岡充。
今、失くした大切な思いが再び輝きだしたのを互いに確かめあえた。さぁ、ここからが新たな物語の幕開けだ。演奏が力強く躍動。いきなり青いテープが発射。飛びだしたのが、『Early summer rain』だ。時計の針はもう戻“さ”ない。ここからは突き進んでいくだけ。メンバーらの呼びかけに、フロア中の人たちが、時を飛び越え、あの頃に戻り、彼らと一緒に輝きの中にいた自分を取り戻していた。歌は、いろんな時代に自分を戻してくれる。戻すたけじゃなく、その時代の自分にもう一度成り代わらせる。SOPHIAと一緒に過ごしていた、あの五月の景色の中へ再び飛び込もうか。
松岡充のブルースハープの音色が鳴り響く。ブルーズロックした軽快な『ゴキゲン鳥 crawler is crazy』に合わせ、場内中の人たちたちがご機嫌に身体を揺らしだす。熱狂へ導くメンバーらの演奏に身を任せ、その場で、心の翼を羽ばたかせるように飛び跳ねていた。ご機嫌な音楽に身を任せている間だけは、現実という籠を飛び出し、心を自由に羽ばたける。それが嬉しい!!
心地好く跳ねたビートに乗せて届けたのが、『君と揺れていたい』。スタンドに置いたマイクを優しく握りながら、大切な人たちへ思いを伝えるように松岡充は歌う。彼の気持ちを優しく押すように演奏は進んでゆく。置き忘れた時間の中で彷徨っていた歌たちが、1曲1曲歌うたびに少しずつ現代に甦り、現実を形作ってゆく。懐かしさに心を揺らしながら。でも、あの頃の気持ちを今に重ね合わせ、SOPHIAと観客たちは、少しずつ今の自分たちに似合う歌の服に当時の楽曲を着替えさせていた。
鳴り響くエレピの音色。情熱的なその色は、次第にブルーズな色を増してゆく。ドラムのカウントを合図に飛びだしたのが、 SOPHIAの始まりの時期に生まれた『Eternal Flame』だ。懐かしさと。でも、どんなに時代の時を経ようとも色褪せない歌へ、会場中の人たちが耳を傾け、心地好く身体を揺らしていた。サビでは、会場中の人たちがメンバーへ向けて捧げた両手を揺らし、思いを伝えていた。舞台に向かって会場中で大きく揺れていたたくさんの手の花も、とても美しく見えていた。
1本のスポットライトの下でブルースハープを吹く松岡充。そこへ演奏が重なるのに合わせ、楽曲は『Like forever』へ。彼らはこの曲を通し、改めてここで生きてゆく意味を自分たちに問いかけていた。復活という、大きな嬉しい出来事の中で『Like Forever』に触れていたからだろう。また、いろんな解釈を持って、この曲を受け止めていた。その時代の意識という服を身にまとうことで、伝えたかった思いにも、色々な装いが増えていく。それが歌の持つ面白さであり、歌が人の心を揺さぶる力になっていることの証拠。それを、『Like Forever』を通して感じていた。
これからSOPHIAは、未来へ向かって歩み続ける。踏み出すその一歩を止めてはいけない。豊田和貴の爪弾くアコギの音色と都啓一の奏でる鍵盤の調べを受け、松岡充は、言葉のひと言ひと言をしっかり噛みしめるように『ALIVE』を歌っていた。SOPHIAは『ALIVE』を通し、生きることの意味を観客たちに問いかけてきた。その音色が、言葉が、歌声が、胸をジンと濡らす。たくさんの篝火に囲まれながら、SOPHIAは生きることを、胸張り裂けんばかりの声を通して、満員の観客たちに伝えていた。
次のブロックは、シンプルかつシャープな演奏に乗せて軽快に奏でた『蜘蛛と蝙蝠』からスタート。SOPHIAは、一つ一つのブロックごとに、様々な視点から思いを投影してゆく。どれも、自分と対峙したり、仲間たちに呼びかける歌かも知れない。でも、その届け方によって胸や身体に感じる思いは異なる。<一つまた一つ壊したいのです>と『蜘蛛と蝙蝠』を歌う声に向け、たくさんの人指し指が舞台に向けて伸びていた。
松岡充が、タンバリンを鳴らしながら『黒いブーツ~oh my friend~』を歌いだす。フロア中から響くたくさんの熱い手拍子。跳ねたリズムにメンバーと観客たちが身を任せ、心地好くステップを踏み出した。気持ちがウキウキと騒ぐなら、その楽しさに嘘をつくことなくはしゃげばいい。サビでは、場内中の人たちがモンキーダンスに興じ、ゴーゴーダンスを踊りながら夢中になってはしゃいでいた。心折れそうになることも多いこんな世の中だけど、その頑丈な黒いブーツを履いて、どんな困難さえ笑顔で蹴散らしていけ。
豊田和貴のギターが電光石火の如くガーンと鳴りだした。さぁ、『ビューティフル』を相棒に、気持ちを青春モードへシフト。思いきり気取って、イカした人生を描こうか。永久未来続くものなどあるのかないのか、そんなことはわからない。でも、いくつになっても、心の照準をロックンロールにロックオンすれば、最高にハッピーな気分が降り注ぐ。『ビューティフル』、心の背中を押す最高のロックンロールナンバーだ。彼らの歌や演奏に合わせ、会場中の人たちが身体を揺らし、心を無邪気に音の中で遊んでいた。
豊田和貴が口にした、「約束の場所へ5人で帰って来ることが出来ました。みんなと時空を超えて青春しようぜ」の言葉が嬉しい。
「ここに咲く ひまわりたちに贈ります」。豊田和貴のギターの音を合図に流れだしたのが、『ヒマワリ』だ。会場中の人たちが胸に抱いたひまわりの花を揺らし、この空間にたくさんの花が揺れるひまわり畑を作りあげていた。今は平和の象徴としての意味も強く持ち始めた、ひまわりの花。今まで以上に、いろんな意味を『ヒマワリ』が養分として吸収しながら、“生きる”ことの意味を伝えてきた。360度人で埋めつくされた会場中で揺れるひまわりの景色は、本当に美しかった。そのひまわり畑を、ただただ美しいとだけ思える日が来ることを、今は願いたい。
楽曲は、一気に熱を上げた。駆けだした『KURU KURU』へ会場中の人たちが飛び乗り、メンバーらの熱い熱い誘いへ呼ばれるままにはしゃいでいた。最高にゴキゲンなロックンロールナンバーだ。気持ちが揺れ動くままにはしゃぎ倒せ。
「活動休止して3、4年経った頃、復活はもうないなと思っていました」と、今だからこそ語れる本心を松岡充は述べていた。同じく、「絶対に戻ろうと思っていたので、解散ではなく活動休止にした」理由もいろいろと語ってくれた。
荒々しいギターとロックンロールなピアノの演奏に乗せ、さぁここから自分たちを信じて、明日へ向かって飛び立とうか。この先にどんな未来が待っているのかはわからない。そこには楽しさだけではなく、苦しさや悲しみ、つらさだって待っているだろう。それでも、胸に痛みを覚えることを生きている証に変え、大切な“君”を相棒に、『little cloud』を口ずさみながら、その先の景色に向かって駆けだしたい。メンバーたちに向けられる数多くの手のエールが確かな繋がりにも見えていた。
歌始まりの『cod-E ~Eの暗号~』の優しい演奏に合わせ、会場中の人たちが目指す場所へ向け、伸ばした手を大きく振り続ける。心地好いビートに乗せ、身体を揺らし続けていたい。当時のMVと今の姿がシンクロして大きなスクリーンに映る様も、嬉しい見どころになっていた。
まだまだ冒険の旅を続けよう。SOPHIAは『僕はここにいる』を歌いながら、何度だって挫けそうな心の壁をぶち壊し、共に前へ進もうと呼びかけてきた。9年間という空白の日々を飲み込み、再び集結し、夢を描き始めた5人が届ける歌。だからこそ、『僕はここにいる』へ記した一つ一つの言葉に、重みと、強い意思と、心を奮い立たせる勇気を覚える。これからも、この歌の数々を胸に掲げ、何度だって、人生をやり直せばいい。その言葉を投げかけるSOPHIAは、これからもずっとここにいてくれるはずだ。
「また、この5人でこの曲が出来るのが嬉しいです。人生の宝島を目指して」(松岡充)。赤松芳朋の叩くビートに合わせ、フロア中から起きた熱いクラップ。会場中の人たちの手拍子も演奏に加え、SOPHIAは夢に夢を馳せる無邪気な少年に戻り、心地好く弾むホンキートンクな演奏に乗せ、力いっぱい、元気に『夢』を歌っていた。誰もが心を一つに、夢をむさぼり食らっていたあの頃の自分に戻り、5人と一緒に気持ちを熱く鼓舞していた。今は大人になり、丸くなった自分も認めながら、今の等身大な姿のまま、いつまでも少年のようにでっかい夢を見ていたい。
続く『街』では、会場中の人たちが心の中で松岡充と一緒に歌っていた。SOPHIAは、いつでも、どんなときも、向かい風に立ち向かいながら、いろんな風をはねのけ、その先の景色を見せてきた。この日の経験を通し、彼らはどんな新しい景色を見つけただろうか。この歌を心のエールに、SOPHIAがその先(未来)にどんな街の景色を描き出すのか楽しみにしていたい。
さぁ、もっともっと感情のストッパーを外して楽しもう。明るく軽やかに弾む『エンドロール』に合わせ、会場中の人たちが手を大きく振り、その場で跳ねながら、心の中から現実を蹴飛ばし、5人と一緒に無邪気にはしゃいでいた。何も恐れることはない、一緒にはしゃぎ続ければ、それでいい。
メンバー一人一人を支え続けてくれた人たち全員へ感謝の思いを込めて歌った、『Thank you』。この日は、これまで以上に無垢な響きを持ってこの歌が胸に届き、心に沁み渡っていた。最後に松岡充の叫んだ「ありがとう」の言葉が、胸に熱い。
終盤を彩ったのが、豪快に弾けた熱々のロックチューン『Kissing blue memories』。荒々しく煽るメンバーたち。気持ちを熱く騒がせるパンキッシュなビートナンバーに合わせ、メンバーも、観客たちも、重力へ逆らうように思いきり飛び跳ねていた。「俺の声は聞こえてんのか」。いつしか松岡充と一緒に、みんなが心の中で歌っていた。力強く駆け続ける演奏の上で、誰もが思いきり飛び跳ね、心を解き放ち、思いきり自由を、今の自分を謳歌していた。
最後に、SOPHIAは『Believe』を届けてくれた。松岡充が歌いだした瞬間、日本武道館の床が大きく揺れた。誰もが心の声を上げ<Believe 終わらない夜に 瞳閉じて 誓うよ君だけ 守り続けたい>と心の中で歌い、舞台に向かって手を伸ばしながら、5人と心を結びあっていた。互いに伸ばした手を、また次へと繋げる約束に変えていた。
取材・文:長澤智典
《SET LIST》
- 1.大切なもの
- 2.Early summer rain
- 3.ゴキゲン鳥 crawler is crazy
- 4.君と揺れていたい
- 5.Eternal Flame
- 6.Like forever
- 7.ALIVE
- 8.蜘蛛と蝙蝠
- 9.黒いブーツ~ oh my friend~
- 10.ビューティフル
- 11.ヒマワリ
- 12.KURU KURU
- 13.little cloud
- 14.cod-E 〜Eの暗号〜
- 15.僕はここにいる
- 16.夢
- 17.街
- 18.エンドロール
- 19.Thank you
- 20.Kissing blue memories
- 21.Believe
SOPHIA
SOPHIA LIVE 2023 "return to OSAKA" 開催決定!
日時 2023年1月8日(日) 開場 17:00/開演 18:00
会場 大阪城ホール
料金 指定席 11,000円(税込)※公演ロゴ入りLEDブレスレットライト付き
Eternalシート 22,000円(税込)
※Eternal会員先行購入者の電子チケットの方のみアップグレードが可能
企画/制作 avex entertainment
協力 キョードーアジア
協賛 ローソンチケット
※未就学児入場不可
詳しくはSOPHIA HPへ
https://sophia-eternal.jp/schedule/detail.php?id=1098073
"return to OSAKA" dTV&ニコニコ生放送で生配信決定!
〈視聴チケット〉
3,900円(税込)
各配信メディアにて販売中!
〈アーカイブ(見逃し)配信〉
dTV:2023年1月10日(火)12:00~1月16日(月)23:59
ニコニコ生放送:1月8日(日)LIVE終了後~1月14日(土)23:59
※期間中は何度でもアーカイブ(見逃し)視聴が可能です。
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